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首都圏北部4大学発 新技術説明会(2)

日時:2012年06月13日(水)

会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 製造技術

1)伸びないバネで力を測る

埼玉大学 大学院理工学研究科 人間支援・生産科学部門 教授 水野 毅

新技術の概要

ばね定数の大きさが等しい正のばねと負のばねとを直列に接続すると無限大の剛性を持つ機構(ゼロコンプライアンス機構)が実現できる。この機構を利用して、微小力を高精度で測定する装置を実現する。

従来技術・競合技術との比較

力測定にはロードセルなどが用いられるが、従来の測定装置では、高剛性化と高感度化の両立が原理的に困難である。これに対し、新技術では、作用力による作用点の変位を伴わずに高感度な力測定を実現できる。

新技術の特徴

・力が作用しても無変位で力が測定できる
・それぞれのばね定数を小さく設定すれば高感度化が図れる
・3次元力の測定も可能

想定される用途

・精密力測定
・マイクロフォース測定
・走査プローブ顕微鏡

  • 製造技術

2)金属材料表面の高硬度・耐摩耗・耐食性の向上技術

群馬大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻 助教 小山 真司

新技術の概要

本技術では安価な処理浴を用いて素材表面からホウ素を拡散させ、ホウ素と鉄などの化合物層を形成させることで、1800HV(HRC80)以上の高硬度表面が得られる。またその層は高い耐摩耗性と耐食性を有する。

従来技術・競合技術との比較

コーティング(めっき・蒸着)と異なり表面内部を硬化する手法で耐剥離性があり、下地処理が不必要。また他の処理法に比べ高硬度層が得られ、ガスや炎を使わない安全・安価で複雑形状にも対応可能な処理法である。

新技術の特徴

・特殊な装置が不必要: 安全・安価な処理で高硬度表面層を形成可能
・浴中処理: 複雑形状や細溝を有する製品であっても硬化処理可能
・素材と一体化した硬化層: 熱衝撃やせん断力により剥離し難い

想定される用途

・鋼管、蒸気タービン、ジェットエンジン翼部などの機械的・化学的浸食部の保護
・自動車/自動二輪、航空宇宙機構部品(ギヤ・軸)、医療器具(刃物)の耐久性向上
・その他、耐摩耗性、耐食性、高温硬さ、耐高温酸化などの向上が望まれる製品

関連情報

・試作可能

  • 製造技術

3)界面トラップ密度の低いSiC半導体MOS構造の作製方法

埼玉大学 大学院理工学研究科 数理電子情報部門 准教授 土方 泰斗

新技術の概要

本技術は、Si-MOSと比べ約2~3桁も高い界面トラップ密度を有する炭化ケイ素(SiC)半導体MOS構造の、界面トラップ密度を大幅に低減化させるMOS構造作製プロセスに関するものである。堆積SiO2膜とSiC半導体の間に低温極薄熱酸化層を設けることで、低い界面トラップ密度と高い酸化膜信頼性の両立を目指す。

従来技術・競合技術との比較

近年のSiC-MOSFETの開発動向はMOS界面への窒素導入によってトラップを不活性化させる手法が主流なのに対し、本技術は、トラップ密度自体を減らすことを目的として開発された作製プロセスである。

新技術の特徴

・界面トラップの不活性化ではなく密度自体を低減化
・絶縁層としてSiO2を採用しているため、良好な絶縁耐性と信頼性が期待される。
・通常の素子製造ラインに適用可能なプロセス

想定される用途

・SiC半導体を用いた金属酸化物半導体接合電界効果トランジスタ(MOSFET)
・SiC半導体を用いたゲート絶縁型バイポーラトランジスタ(IGBT)
・SiC半導体の表面リーク電流ブロック層

  • 製造技術

4)対歩行者交通事故を低減する交差点の信号制御装置

茨城大学 工学部 機械工学科 准教授 道辻 洋平

新技術の概要

歩行者・自動車が行き来する交差点において、信号切り替わり場面は特に交通事故が発生しやすい。本技術は、信号切り替わり時におけるドライバの交差点への無理な進入や、横断歩行者のフライング横断を抑制し、事故のない安全な交差点を実現するための技術である。

従来技術・競合技術との比較

従来の技術として、ドライバの黄信号の迷いを取り除くジレンマ感応制御信号がある。この技術は、ドライバの無理な進入を抑制できるが、横断歩行者が無理な横断をする場合は想定外である。本技術では、横断歩行者の無理な横断を抑制でき、より効果的に交通事故を予防できる。

新技術の特徴

・交差点に進入する自動車と、横断待ち歩行者とのリスクを定量化
・歩行者の不安全行動を抑制する交差点設置型の警報装置
・無理な交差点進入を抑制する車載の信号機

想定される用途

・事故の多い信号交差点(危険交差点)への設置による事故低減
・幼稚園、小学校付近の交差点へ設置し交通安全教育の体感
・自動車教習所などに設置し、信号交差点への進入・停止の教育

  • 製造技術

5)ホログラムによる機械加工面のワンショット形状検査

宇都宮大学 オプティクス教育研究センター コーディネーター 小野 明

新技術の概要

被測定物に大きく斜めにレーザ光を入射すると粗面においても正反射光が得られる。正反射光は被測定物の形状の情報を波面にもつ。この波面とコンピュータホログラムで得られた波面を干渉させて形状誤差を得る。

従来技術・競合技術との比較

従来形状を測定するには①プローブ式の三次元測定器、②画像処理法、③干渉計があった。①は測定に多大な時間がかかる、②は測定精度が低い、③は表面が鏡面でないと測定できない等の難点があった。本発明では粗表面物体でも短時間に形状検査が行える。

新技術の特徴

・粗面物体でも精度高い干渉形状測定ができる。
・あらかじめ設計形状値をホログラムに書き込んでおり、それと実際の形状との比較するのみなので検査時間は短い。
・検査器の構成要素は基本的にはレーザとホログラムで、簡単な構成となる。価格も安い。

想定される用途

・製造現場における部品品質検査
・金型の形状保証
・ガラス板、シート状高分子材料のうねり検出

  • 製造技術

6)光とCTを用いた流体内の騒音源の可視化

群馬大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻 准教授 荒木 幹也

新技術の概要

ジェット騒音などの流体騒音の音源は「流れの中」にあるため、音源探査に従来のマイクロフォンは使用できない。本発明では、「光」と「CT」技術を組み合わせることで流体騒音源の断層可視化を可能とした。

従来技術・競合技術との比較

多数のマイクロフォンを設置し音波の到達時刻差から音源の方向を割出す「マイクロフォンアレイ法」と比較し、飛躍的に高解像度での音源探査が可能となった。

新技術の特徴

・音波による場の密度変動を「光の屈折で検出」するため、非接触計測が可能である。
・計測された「光の屈折量」を「CT演算」することで、音響場の断層像が再構成できる。
・非接触かつ高解像度(空間分解能1mm以下)での音源探査が可能である。

想定される用途

・ジェットエンジンからの排気騒音源の位置・規模の探査。
・各種ターボ機械・配管など、流体騒音源の位置・規模の探査。
・ヘリコプターのロータ騒音など、流体騒音源の位置・規模の探査。

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

7)放射性廃液中の金属類を抽出分離する抽出剤の合成法

茨城大学 理学部 理学科 化学コース 教授 折山 剛

新技術の概要

Tc, Pd, Re用の新抽出剤、MIDAA(メチルイミノビスジアルキルアセトアミド)の合成に関して、新技術を開発した。メチルイミノニ酢酸とメチルイミダゾールを氷温下で塩化トシルを加えながら1時間撹拌する。次に第二級アミンを加えて1昼夜撹拌すると、MIDAA化合物を効率よく合成できるという新技術である。

従来技術・競合技術との比較

新合成法は従来の方法に比べて回収率、多量での取り扱い、安全性等の点で優れている。

新技術の特徴

・ポリマー合成
・ファインケミカル合成
・試薬メーカー

想定される用途

・抽出剤
・原子力関連高レベル廃液処理
・レアメタル回収

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

8)外部刺激により薬物を放出する有機-金 ハイブリッドナノ材料

宇都宮大学 大学院工学研究科 物質環境化学専攻 准教授 上原 伸夫

新技術の概要

ドラッグデリバリーシステム(DDS)用の新しいキャリアとして、熱応答性金ナノ複合体(熱応答性高分子を複合化した金ナノ粒子)を創製した。この新規材料はあらかじめ内包していた薬剤分子を熱刺激により放出することができる。

従来技術・競合技術との比較

ゲル状の熱応答性高分子や金ナノ粒子もまた、DDS用のキャリアとして研究されてきた。しかしながら、両者を複合化した材料はこれまでのところ報告されていない。開発された材料は、熱刺激による高分子のコンフォメーション変化を金ナノ粒子の形態変化へと導き、その過程で内包している薬剤を放出というものであり、従来のものに比べて、薬剤の保持効率、放出効率ともに向上している。

新技術の特徴

・薬剤の放出
・外部刺激による制御
・安全性

想定される用途

・製薬分野

  • 材料

9)有機溶媒可溶性なフタロシアニンを基盤とした新しい材料

埼玉大学 大学院理工学研究科 物質科学部門 物質機能領域 准教授 石丸 雄大

新技術の概要

一般的な有機溶媒には溶けなかい金属フタロシアニンを可溶化することで、金属フタロシアニンの物性に起因した新しい機能性材料が創製できることを明らかにした。

従来技術・競合技術との比較

金属フタロシアニンは、青色顔料や電子材料として、工業的にも利用されている。本発表では一般的な有機溶媒に可溶化することで、スピンコート法などによる安価な成膜法により薄膜や分子の配向制御が可能になった。

新技術の特徴

・有機太陽電池用色素
・高分子用モノマ-
・機能性薄膜作成

想定される用途

・機能性薄膜
・可視光線フィルター材料
・有機太陽電池用部材

関連情報

・サンプルの提供可能(サンプル量に関してはご相談下さい)

  • 材料

10)半導体集積回路の配線の微細化対応技術

茨城大学 工学部 マテリアル工学科 講師 永野 隆敏

新技術の概要

LSI用Cu配線の微細化において、バリアメタル層としてRuが有力候補である。このRuバリアメタル層を低欠陥で形成する方法を見出し、その形成膜の安定性を第一原理計算で明らかにした。

従来技術・競合技術との比較

バリアメタル層としてこれまではRuは単一Ruではなく、Ta/TaNや、Tiなどと組み合わせることで良質な膜構造を実現しているが、我々の方法では単一Ruによって十分なバリア性能を出すことが可能である。

新技術の特徴

・電子構造まで遡り解説することにより、最適な結晶法を見出すことで、有力なバリアメタル選定方法をもとにしてバリア膜を作成
・熱処理条件のみで適用可能
・条件が高温であるが、エネルギーを熱以外の形で与えれば適応可能

想定される用途

・バリア膜作成
・レアメタルフリーバリア膜作成への選定手法

  • 材料

11)有機溶剤を用いないポルフィリン金属錯体の製造法

宇都宮大学 大学院工学研究科 物質環境化学専攻 准教授 佐藤 剛史

新技術の概要

ポルフィリンやフタロシアニン等のポルフィリン型骨格を有する化合物と無機金属塩を、200~450 ℃の水中で反応させることで、それらの有機金属錯体を合成する手法。

従来技術・競合技術との比較

本手法は、極性有機溶媒に有機金属塩を導入する従来法と異なり、溶媒は水で、反応物として安価な金属塩の利用が可能であり、反応後の金属錯体と酸水溶液の分離が容易な、環境負荷の少ない効率的なプロセスである。

新技術の特徴

・有機溶媒を用いずにポルフィリン類への金属導入が可能な、環境調和型有機金属合成法
・金属源として、安価な水溶性金属塩の利用が可能
・反応後、生成物の金属ポルフィリンと溶媒の分離が容易

想定される用途

・触媒製造
・医薬品原料製造
・有機薄膜太陽電池材料製造

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

茨城大学 産学官連携イノベーション創成機構

TEL:0294-38-7281FAX:0294-38-5240
Mail:ccrd-iuアットマークmx.ibaraki.ac.jp

宇都宮大学 知的財産センター

TEL:028-689-6318FAX:028-689-6320
Mail:chizaiアットマークmiya.jm.utsunomiya-u.ac.jp

群馬大学 群馬大学TLO

TEL:0277-30-1171FAX:0277-30-1178
Mail:tloアットマークml.gunma-u.ac.jp

埼玉大学 オープンイノベーションセンター

TEL:048-858-9354FAX:048-858-9419
Mail:tiikiアットマークml.saitama-u.ac.jp
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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