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産総研 新技術説明会

日時:2013年02月26日(火)

会場:JST東京本部別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 環境

1)バイオマス由来の循環溶媒を用いた使用済み工業製品からの有用資源の回収

産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門 吸着分解研究グループ 研究グループ長 加茂 徹

新技術の概要

エポキシ製プリント基板、ネオジムボンド磁石、FRP製ガスタンク等をバイオマス由来の有機溶媒中で可溶化し、有用金属やガラス繊維を回収すると共に、可溶化した樹脂を熱分解して溶媒として循環利用する。

従来技術・競合技術との比較

従来の熱分解法では、エポキシ樹脂やポリビニルエステル等の熱硬化性樹脂を可溶化することはできない。また、物理的な粉砕・分離法では、回収されたプラスチックを有効に利用することが出来なかった。本法では、穏和な条件下でプラスチックを可溶化し、溶媒として再利用することができる。

新技術の特徴

・熱硬化性樹脂を温和な条件下で可溶化することができる。
・可溶化したプラスチックを再び溶媒として利用するため、新規に溶媒を購入する必要がない。
・リグニン等これまでほとんど利用することができなかったバイオマスを溶媒原料として利用することができる。

想定される用途

・使用済み電子機器からの有用金属の回収
・FRP製タンク、漁船、構造物の再資源化
・使用済みの自動車および航空機からの炭素繊維の回収

関連情報

・サンプルの提供可能(MTAの締結により提供可能)
・展示品あり(可溶化した基板、FRPタンク)

  • 材料

2)木質材料の流動性発現による複雑三次元成形加工

産業技術総合研究所 サステナブルマテリアル研究部門 木質材料組織制御研究グループ 研究員 杉元 宏行

新技術の概要

木質材料の新規な加工方法として、世界で初めて、“塊り”状態からの大変形3次元成形加工を可能にした。これは、適切な微細構造制御ならびに加工条件制御によって、木質材料の個々の細胞を破壊することなく変形させ、細胞間ですべりを発生させることにより、所要形状に大変形させる技術である。

従来技術・競合技術との比較

木質材料の形状付与には、これまで、切削や粉末化の工程が必要であった。これらの工程において、製造エネルギーや材料の著しいロスが発生する。本技術は、金型を用いた単純なプレス工程によって、これらの工程を無くすことが可能である。

新技術の特徴

・特徴的な意匠
・低い線熱膨張係数
・豊富な資源

想定される用途

・自動車内装材
・食器、化粧筆
・家電外装材

関連情報

・展示品あり(素材(樹種)、形状などの異なる複数の成形加工品)

  • アグリ・バイオ

3)大腸菌を用いたバイオマスからの有用物質生産と大規模な代謝経路解析

産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 合成生物工学研究グループ 主任研究員 中島 信孝

新技術の概要

大腸菌の代謝経路を、アンチセンス法によって包括解析する技術を開発した。これで、有用物質の生産性を向上させるために必要な、代謝経路改変の情報を容易に取得することができる。また、代謝経路の改変に必要な遺伝子工学技術も併せて開発した。

従来技術・競合技術との比較

アンチセンス法による遺伝子解析は、従来最もよく利用される遺伝子破壊法よりも迅速容易で、包括解析に適している。また、包括解析で得られた情報を元に代謝経路の改変をするが、それに必要な遺伝子工学技術もいくつか新規開発しており、我々のみが実施可能な遺伝子工学技術もある。

新技術の特徴

・高効率のアンチセンスRNAによる大腸菌遺伝子のサイレンシング
・新規の大腸菌のゲノム改変技術、異種遺伝子発現技術

想定される用途

・大腸菌遺伝子の大量一括解析
・バイオマスの有効利用
・カルボン酸、アミノ酸、アルコールなど様々な化合物を生産することが可能

関連情報

・サンプルの提供可能(MTAの締結により提供可能)
・展示品あり

  • アグリ・バイオ

4)高活性カタラーゼの菌体外生産

産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 環境生物機能開発研究グループ 副研究部門長 湯本 勳

新技術の概要

Exiguobacterium oxidotolerans T-2-2Tの細胞抽出液は、他の細菌の活性と比較して圧倒的に高い。本菌は細胞抽出液に見られる菌体内のみならず菌体外にもカタラーゼを産生する。培養条件を検討することにより、菌体外に菌体内の2倍以上の全活性のカタラーゼを産生させることが出来た。

従来技術・競合技術との比較

これまでの細菌を使用したカタラーゼの生産は、菌体を破壊し細胞内部に存在する酵素を精製することによって行われてきたが、本方法は菌体外に多量の酵素が産生されることから、その酵素精製のコストと労力と時間を大幅に削減することが出来る。

新技術の特徴

・菌体を破壊する必要がないので酵素の精製コストの低減化が容易
・菌体自体に活性があることから、菌体を酵素剤として活用する
・菌体外に酵素が産生されることから菌体固定化による酵素の生産

想定される用途

・半導体、繊維、食品産業における過酸化水素を含んだ排水の処理
・過酸化水素との組み合わせによる洗浄剤、発砲剤
・微生物培養用培地上の過酸化水素の除去

  • 環境

5)木質バイオマスからの連続リグニン分離技術の開発

産業技術総合研究所 コンパクト化学システム研究センター 主任研究員 川﨑 慎一朗

新技術の概要

木質バイオマスから高温高圧水条件下で連続的にリグニンを選択的に分離し、新規樹脂材料の原料として利用する環境に優しいグリーンプロセスの開発を行っている。

従来技術・競合技術との比較

木質バイオマスから高温高圧水条件下で連続的にリグニンを分離するプロセスは提案されていない。本プロセスでは、高濃度のバイオマススラリーを処理でき、樹脂原料となるリグニンの分離に有機溶媒を使用しない。

新技術の特徴

・フェノール樹脂の代替として、木質バイオマスのリグニンで樹脂を製造
・高濃度のバイオマススラリーを連続的に処理でき、経済的に有利
・有機溶媒を用いずに樹脂原料リグニンを分離可能

想定される用途

・フェノール樹脂代替の新規樹脂原料
・芳香族ケミカル原料

関連情報

・展示品あり(リグニン樹脂原料、リグニン樹脂サンプル)

  • 環境

6)セルロース系バイオマスの触媒変換による基幹化学品合成

産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門 精密有機反応制御第3グループ 研究グループ長 富永 健一

新技術の概要

レブリン酸は多種多様な化学品に変換可能な、基幹物質としての高いポテンシャルを持つ化学品である。地球上に最も多く存在する非可食バイオマスであるセルロースからレブリン酸を合成するための触媒を開発した。

従来技術・競合技術との比較

従来、セルロースからレブリン酸を合成するためには、セルロースを構成する糖ユニットに対して数当量以上に相当する多量の酸が必要であった。本手法によれば、従来法に比べて二桁以上少ない酸により反応が進行する。

新技術の特徴

・二種類の酸の組み合わせにより、効率的に反応が進行する
・蒸留残渣より触媒成分が回収可能
・従来法に比べて酸の量が圧倒的に少ないため、装置への負荷や廃酸の処理が少なく済む

想定される用途

・セルロースを含有する廃棄物の有効利用
・石油化学プロセスからの原料転換
・新規機能性化学品の合成

  • 環境

7)CRES-T法及び各種転写因子機能改変による植物形質の改良技術

産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 植物機能制御研究グループ 研究グループ長 鈴木 馨

新技術の概要

CRES-T法は植物の転写活性化因子を無力化する強力な遺伝子改変法である。CRES-T法を中心とした転写因子遺伝子の機能や発現の改変により物質生産、花の形態、発生・成長、種々のストレス耐性の強化などの種々の有用な植物形質を改良できる。

従来技術・競合技術との比較

CRES-T法は機能重複した複数の転写因子遺伝子を同時に無力化できる。転写因子遺伝子の機能や発現の改変による形質変化の網羅的な探索により、様々な有用形質を改変可能な転写因子を比較的容易に同定可能。複合的な形質改変も可能。

新技術の特徴

・CRES-T法は植物の機能重複した転写因子遺伝子を同時に無力化して、様々な形質を様々な植物に付与できる
・複合的な形質の付与が可能である
・転写因子は種を超えて機能を発揮する可能性が高く、ゲノム配列がわからない植物にも適用しやすい

想定される用途

・新しい形質を持った花きの開発
・バイオマス資源や有用物質の増産
・様々な環境ストレス抵抗性を持つ作物の開発

関連情報

・サンプルの提供可能(MTAの締結により提供可能)
・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

8)チオール化合物を高生産する酵母~医薬品・香粧品への展開~

産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 複合糖質応用研究グループ 主任研究員 千葉 靖典

新技術の概要

大腸菌のシステイン合成遺伝子を導入することにより、セレノメチオニン耐性の酵母を開発した。この酵母はシステインや還元型グルタチオンなどのチオール化合物や、いくつかのアミノ酸を高生産していた。

従来技術・競合技術との比較

従来の技術ではグルタチオン高生産にはL-システインの添加が必要であった。また遺伝子導入により、全く意外にも、L-ヒスチジン、L-アルギニン及びL-セリンの生産も増大しており、様々なアミノ酸の高生産が可能となった。

新技術の特徴

・セレノメチオニン耐性を利用し、タンパク質内にセレン原子を導入
・L-システインの添加を行わずにチオール化合物の高生産が可能
・想定外のアミノ酸についても含量も向上

想定される用途

・セレン原子含有タンパク質の生産
・医薬品の原料
・化粧品の基材

  • アグリ・バイオ

9)抗菌ペプチドナイシンを処理した放線菌による物質変換技術

産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 主任研究員 田村 具博

新技術の概要

放線菌を宿主とした発現プラットフォームの開発により、大腸菌など汎用宿主では発現できないタンパク質の生産を可能にしてきた。この特徴を利活用する新たな技術として、細胞壁を抗菌物質により加工し物質変換効率を高める手法を確立した。

従来技術・競合技術との比較

微生物変換における問題点の一つとして、細胞内への基質移行が律速になり変換効率を高く出来ない場合がある。本技術は、放線菌をナイシンで処理し、結果として形成されるナイシン孔を介した微生物変換技術である。

新技術の特徴

・ナイシン孔形成により溶菌が起こらない細胞を使用
・シクロデキストリン(CD)ほどのサイズをもつ物質の透過が可能
・ナイシン処理した細胞の再利用が可能

想定される用途

・CDに包摂可能な脂溶性物質の変換
・基質透過性の低い物質の変換
・緩衝液を使用した反応系構築

関連情報

・サンプルの提供可能(MTAの締結により提供可能)
・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

産業技術総合研究所 ライフサイエンス分野研究企画室

TEL:029-862-6032FAX:029-862-6048
Mail:life-liaison-mlアットマークaist.go.jp
URL:http://www.aist.go.jp/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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