中部地区医療・バイオ系シーズ発表会 【名古屋開催】
日時:2012年12月04日(火)
会場:ウインクあいち10階(愛知県・名古屋市)
参加費:無料
発表内容一覧
- 24時間心拍変動モニタリングによる敗血症性ショック発症の予知
- MRIを用いて組織性状を計測・可視化する技術の開発と応用
- 相同組換え可能なレトロウイルスベクター
- 自然発症肺線維症のヒト化マウスモデルの開発
- 皮膚に対する色素沈着毒性を鋭敏に評価できるマウスの開発
- 光学活性β-アミノニトリル化合物の効率的合成
- 制がんのための新規ドラッグデリバリー技術に応用可能な腫瘍ホーミングペプチドの開発
- 樹状細胞標的化バイオナノカプセルを用いる高免疫原性ワクチン
- 脳出血や炎症性大腸炎を誘因・増悪する虫歯菌の検出方法
- セロトニントランスポーターの代謝を標的としたうつ病の診断・治療薬開
- 強力な免疫抑制作用を有する脂肪組織由来幹細胞の新規調整法
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)24時間心拍変動モニタリングによる敗血症性ショック発症の予知
岐阜大学 工学部 応用情報学科 教授 横田 康成
新技術の概要
ICUに入院していた約160名の患者に対し、データベース化されている心電図から心拍変動(HRV)を算出し、その変化と敗血症発症の有無との関係を調査した。これより、敗血症性ショック発症の12-36時間前からHRVが徐々に減少し、その後、一転して上昇に転じる傾向を捉えた。リアルタイムに心拍変動(HRV)を算出し、こうした変化のパターンを常時モニタリングすることにより、敗血症発症の予知が可能になると期待される。
想定される用途
・生体情報モニタ
・診断支援
・携帯HRV計
- 医療・福祉
2)MRIを用いて組織性状を計測・可視化する技術の開発と応用
岐阜大学 大学院医学系研究科 医科学専攻 教授 /大学院連合創薬医療情報研究科 紀ノ定 保臣
新技術の概要
MRIを用いて組織の病変・異常を早期に、かつ定量性を持って診断することを可能とする新しい撮像手法を開発した。技術的にはOff Resonanceの照射パルスを印加して得られた画像データと、印加しない通常画像データの信号強度を提案する計算式(ECR:等価交差緩和比として定義)に代入することによって得られる画像は、組織性状を敏感に反映した定量画像になり得ることを示したものである。臨床現場での有用性は既に実証済みである。
想定される用途
・日常臨床での画像診断
・日常臨床での治療計画
・病変組織の全身3D化
- 医療・福祉
3)相同組換え可能なレトロウイルスベクター
富山大学 大学院医学薬学研究部 免疫学 准教授 岸 裕幸
新技術の概要
近年、相同組換えによりを用いて、目的遺伝子をベクターに導入する方法が開発され、迅速かつ効率的な方法として、その使用が広がっている。レトロウイルスベクターは遺伝子治療等で使用されているが、ベクター自身の内部に相同な配列を有するため、これまで、相同組換えを用いて、目的遺伝子を導入することができなかった。本発明は、相同組換えを用いて、目的遺伝子を導入できる、レトロウイルスベクターを提供する。
想定される用途
・遺伝子クローニング
・遺伝子治療
- 創薬
4)自然発症肺線維症のヒト化マウスモデルの開発
三重大学 大学院医学系研究科 生命医科学専攻 教授 ガバザ エステバン
新技術の概要
今まで、TGF-β1遺伝子の一部をマウスの肺に導入した報告はあるが、本発明はヒト全長TGF-β1遺伝子の発現により生体内での活性化を含めた自然発症モデルである。マウスsurfactant protein Cのプロモーター領域に配置されているヒトtransforming growth factor(TGF)-β1の全長遺伝子が導入されたトランジェニック(TG)マウスである。本TGマウスでは肺特異的にTGF-β1遺伝子が発現され、生後10週齢から自然発症的に肺線維症を認める。
想定される用途
・肺線維症、肺高血圧症、気道リモデリング、COPDなどのヒト慢性肺疾患の新規治療薬の開発
・TGF-β1による肺がんの発がん機序の研究と新規治療薬の開発
・肺組織におけるTGF-β1過剰発現による免疫系の異常の研究
- 医療・福祉
5)皮膚に対する色素沈着毒性を鋭敏に評価できるマウスの開発
中部大学 生命健康科学研究所 研究員 飯田 真智子
新技術の概要
紫外線は、肝斑(シミ)・日光黒子等の過剰なメラニン沈着を伴う慢性障害を誘発する。さらに、外用で使用する石鹸や化粧品等の製品も、紫外線と同じように皮膚の色素異常を誘発することがある。我々は、紫外線等の外的刺激に対して感度よく反応し、短時間で肝斑や日光黒子を発症する新規モデルマウスを新規に樹立した。本発表では、開発したモデルマウスを対象として、外用製品等の皮膚毒性評価等に応用する方法を紹介する。
想定される用途
・紫外線を介した色素沈着への影響を評価できる
・紫外線を介した皮膚障害(肝斑・日光黒子)への影響を解析できる
・皮膚に外用する製品に対する色素沈着の影響を評価できる
- アグリ・バイオ
6)光学活性β-アミノニトリル化合物の効率的合成
名古屋工業大学 大学院工学研究科 未来材料創成工学専攻 准教授 中村 修一
新技術の概要
光学活性β-アミノニトリル化合物は、多くの天然物や生理活性物質を合成する上で重要な化合物である。我々は、パラジウムによってシアノ基を活性化し、種々のイミン類と反応させることにより、広範囲の光学活性β-アミノニトリル化合物が合成できると考えた。そこで、以前に我々独自で開発してきた光学活性パラジウム触媒を用いて検討を行ったところ、幾つかの光学活性β-アミノニトリル化合物の効率的合成法の開発に成功した。
想定される用途
・医薬品への展開
・化成品への展開
・光学活性物質の効率的不斉合成
- 医療・福祉
7)制がんのための新規ドラッグデリバリー技術に応用可能な腫瘍ホーミングペプチドの開発
愛知県がんセンター研究所 腫瘍病理学部 部長 近藤 英作
新技術の概要
特殊ランダムペプチドライブラリーから、特定の系統のがん細胞に対応して選択的な高吸収性を示す"腫瘍ホーミングペプチド”を数種類開発した。これらは正常の組織・細胞への非特異的吸収が低く、同時に標的とする癌組織に効率よく取り込まれる点で、副作用を最小限に抑えた生体低侵襲性のがんの検査診断技術や治療のための薬剤輸送技術に応用可能なバイオツールである。
想定される用途
・がんの画像診断・検査(低侵襲性腫瘍イメージング)
・がん治療薬剤の送達技術
・がん医学研究用試薬
- アグリ・バイオ
8)樹状細胞標的化バイオナノカプセルを用いる高免疫原性ワクチン
名古屋大学 生命農学研究科 生命技術科学専攻 教授 黒田 俊一
新技術の概要
ウイルスの感染機構を有する非ウイルス性ナノキャリアであるバイオナノカプセルの表層に、樹状細胞標的化分子を整列提示させて、抗原タンパク質及び抗原DNAを含有させた新規ワクチンプラットフォームを作製した(松尾ら、Int J Nanomedicine 2012;7:3341-50)。本ワクチンは、マウス体内の脾臓のみならず様々な箇所の樹状細胞を効率よく認識し、同種抗原を用いる従来ワクチンよりも高い免疫原性を示した。
想定される用途
・ヒト用ワクチン
・様々な抗体の製造
・動物用ワクチン
- 医療・福祉
9)脳出血や炎症性大腸炎を誘因・増悪する虫歯菌の検出方法
浜松医科大学 医学部 薬理学講座 教授 梅村 和夫
新技術の概要
発表者らは虫歯菌と脳出血や炎症性大腸炎などの全身疾患との関連性およびその発症メカニズムについて明らかにした(Nature Communicationsほか)。この高病原性虫歯菌の保菌者の割合は健常人において10%程度であるが、臨床研究において脳出血や心原性脳梗塞の患者の保菌率は40~50%(健常者の3~5倍)と高い。現在、大規模臨床研究のために虫歯菌検出法の迅速化を検討中。
想定される用途
・高病原性虫歯菌の検出キット
・高病原性虫歯菌の除菌剤
・高病原性虫歯菌が関連する疾患の予防・治療薬
- 創薬
10)セロトニントランスポーターの代謝を標的としたうつ病の診断・治療薬開
名城大学 薬学部 地域医療薬局学 教授 鍋島 俊隆
新技術の概要
うつ病ではセロトニン作動性神経機能が低下していると考えられている。我々は抗うつ薬の標的であるセロトニントランスポーター(SERT)の発現変化がユビキチン化により制御されており、うつ病様行動とユビキチン化の低下が関連していることを自ら開発した動物モデルから明らかにした。さらに、SERTのユビキチン化の低下がうつ病患者サンプルにおいても認められることから、うつ病の診断および治療薬の標的としての有用性を見出した。
想定される用途
・うつ病の診断薬
・うつ病の治療薬
・うつ病の動物モデル
- 医療・福祉
11)強力な免疫抑制作用を有する脂肪組織由来幹細胞の新規調整法
名古屋大学 医学系研究科 腎臓内科学 准教授 丸山 彰一
新技術の概要
ヒト脂肪細胞から強力な免疫抑制機能を有し、膠原病や腎炎などの自己免疫疾患に有効な細胞製剤を簡便な操作で大量に調整することに成功したので、その標準化を進めるための医療機器や製薬メーカとのパートナリングを進めたい。
想定される用途
・関節リウマチに対する細胞治療(キット、バッグ、機器など含む)
・全身性エリテマトーデスに対する細胞治療(キット、バッグ、機器など含む)
・難治性強皮症に対する細胞治療(キット、バッグ、機器など含む)
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
「中部地区医療・バイオ系シーズ発表会」実行委員会事務局
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