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JST推薦シーズ 新技術説明会(1)

日時:2013年02月18日(月)

会場:JST東京本部別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容一覧

発表内容詳細

  • アグリ・バイオ

1)黄麹菌遺伝子発現プロファイルに基づく交配不全性解決

東京農工大学 大学院農学研究院 生物制御科学部門 教授 有江 力
東京農工大学 産官学連携・知的財産センター 研究員 江口 元

新技術の概要

黄麹菌は交配不全性の子嚢菌である。黄麹菌の交配を成功に導くため、交配至適条件を、ゲノム情報と遺伝子発現に基づき、科学的根拠に基づいて明らかにすることを試みた。交配関連遺伝子の発現プロファイリングによって、交配好適条件の一部を明らかにし、それに基づいて子嚢殻原基様構造の形成をみた。

従来技術・競合技術との比較

黄麹菌は交配不全性子嚢菌であり、これまで交配が観察されたことはなく、交配好適条件の科学的根拠に基づいた推定も不可能であった。

新技術の特徴

・黄麹菌の交配
・黄麹菌以外の交配不全性子嚢菌の交配
・ゲノム情報および遺伝子発現プリファイリングに基づく交配条件探索方法の提案

想定される用途

・黄麹菌を含めた交配不全性の交配による育種
・黄麹菌を含めた糸状菌の好適交配条件の設定
・黄麹菌を含めた糸状菌の交配メカニズムの解明

関連情報

・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

2)麹菌タンパク質分解酵素を用いたモデルタンパク質であるコラーゲンからのジペプチド製造法の開発

東京農工大学 大学院農学研究院 応用生命化学専攻 准教授 山形 洋平
東京農工大学 産官学連携・知的財産センター 研究員 江口 元

新技術の概要

麹菌プロテアーゼの網羅的解析の結果得られた基質特異性データを利用し、タンパク質からジペプチドを製造する方法を検討した。本開発では、タンパク質モデルとして、最も分解が困難であろうと思われるコラーゲンを基質とした。本方法では、加熱処理することなく、コラーゲンをエンドペプチダーゼとジペプチジルペプチダーゼの組み合わせで、約50%まで分解され、その大部分がジペプチドであると考えられた。

従来技術・競合技術との比較

本方法は、コラーゲンを加熱によりゼラチン化することなく、加水分解し、ジペプチドにまで分解することが出来る方法である。同様の手法で、コラーゲン以外のタンパク質やタンパク混合物にも応用可能であると考えられる。

新技術の特徴

・タンパク質のジペプチジル化
・ペプチドド化の効率化
・天然物からのペプチド

想定される用途

・化粧品
・機能性食品
・試薬

関連情報

・サンプルの提供については要相談

  • アグリ・バイオ

3)テラヘルツ波を用いた海産物の吸光度分析

北海道立総合研究機構 産業技術研究本部 工業試験場 情報システム部 研究主査 宮崎 俊之

新技術の概要

0.1-10THzの電磁波はテラヘルツ波と呼ばれ、赤外線とミリ波、マイクロ波の中間の性質を持つ。発振と検出が難しいため、これまで積極的に利用されていなかったが、この周波数帯では分子間に働く力との共鳴現象があり、吸光度情報を見ることで、これまでは知ることが出来なかったマクロな構造の違いを見ることができる。本課題ではテラヘルツ波帯FT-IRを用い、水産物を対象に、テラヘルツ波計測の可能性を探った。

従来技術・競合技術との比較

テラヘルツ波は、赤外線と電波の両面の性質を持ち、特に水分子に対する感度が高い。生体や食品は水分が性質、品質と大きな関わりがあり、テラヘルツ波を用いることで従来は不可能であった現象を解明できる可能性がある。

新技術の特徴

・液体中の数μm~数100μm程度の個体の特徴検出
・水分子の状態変化の観察
・透過性のある、高感度な水分子の有無の検出

想定される用途

・原材料の品質安定化
・食品の品質評価
・生体計測

  • 製造技術

4)新規白色LED照明を用いた収穫後の青果物におけるビタミンC保持技術の開発

静岡大学 農学部 共生バイオサイエンス学科 准教授 加藤 雅也
静岡大学 イノベーション社会連携推進機構 特任教授 吉田 典江

新技術の概要

ブロッコリーは、収穫後、急速にビタミンC含量が減少し、鮮度が損なわれる。収穫後のブロッコリーへの青色LEDを用いた光照射は、ブロッコリーのビタミンC含量を減少し、赤色LEDを用いた光照射は、ビタミンC含量を保持することが明らかとなっている。本研究では、青色光を低減した新規の白色LEDを用いた光照射によるビタミンC保持について調査を行った。また、ビタミンC保持のメカニズムを明らかにすべく、関連遺伝子の発現を調査した。

従来技術・競合技術との比較

ショーケースや冷蔵庫の照明として、青色光や赤色光は青果物の外観色や鮮度の見分けが困難で不向きなのに対し、本技術の青色光を低減した新規の白色LEDは、外観色の保持も可能であり、使用が期待できる。また、青果物のビタミンC含量が損なわれる可能性がある白色LEDの問題点が解決できる。

新技術の特徴

・収穫後のブロッコリーなど青果物のビタミンC含量の減少を抑えることが可能
・青色光を低減させた白色LED照明を可能にした
・青果物の外観色の保持が可能

想定される用途

・スーパー、コンビニなど小売店の照明
・冷蔵庫、ショーケースの照明
・栄養成分の保持を目的とした流通システム

  • アグリ・バイオ

5)養殖や生鮮輸送に応用可能な、魚類の睡眠誘発技術導入法の開発

大阪バイオサイエンス研究所 分子行動生物学部門 研究助手 高田 陽子
大阪市都市型産業振興センター おおさかナレッジフロンティア チーフプランナー 長谷川 新

新技術の概要

有線でマダイの脳波を測定することに成功した。魚類の睡眠を、行動評価ではなく、睡眠の量や質まで正確に測定できる脳波を用いて評価する。この睡眠脳波評価系を構築し、魚類に対して自然な睡眠覚醒調節作用を持つ天然成分や環境条件の探索を行う。科学的根拠にもとづいた睡眠誘発技術を海産養殖魚の生鮮輸送や出荷処理に適用することによって、鮮度が保障された養殖魚の出荷を可能とし、安全で高品位な水産資源の安定した供給が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

従来、大型養殖魚を出荷する際には、電気銛を用いて1尾ずつ殺処理されている。脳波を用いた科学的根拠に基づく魚類の睡眠誘発技術の開発により、効率的で、魚に優しく、商品価値を失わない出荷処理が可能となる。

新技術の特徴

・海洋脊椎動物の脳波の測定、睡眠の分析が可能
・飼料効率の優れた養殖魚の生産が可能
・フグゲノムプロジェクトの睡眠研究への応用

想定される用途

・睡眠誘発飼料の開発
・新漁法・漁具の開発
・養殖魚の飼育環境の整備
・飼育魚のストレス軽減・福利向上

  • アグリ・バイオ

6)暖地の気候を活かしたジャパンブランドユリの球根生産技術

山口県農林総合技術センター 農業技術部 花き振興センター 専門研究員 光永 拓司
山口大学 大学研究推進機構 ライフサイエンス支援室 産学連携コーディネーター 殿岡 裕樹

新技術の概要

山口県が育成した、市場評価の高いジャパンブランドユリ「プチシリーズ」について、西南暖地の気候を活かした効率的な球根生産技術を開発した。本技術により、ユリ球根の短期間での増産と低コスト化が実現し、現在、外国ブランドに席巻されているユリ切り花市場において、ジャパンブランドの復興が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

従来、ユリは種球(りん片子球)から、販売用の球根の養成に2年以上かかるが、本技術は、9月に植えつけ、秋の温暖な気候下で生育させ(秋肥大)、冬に一旦地上部を枯らせ後、春から初夏にかけて再度生育させ(春肥大)、1年間で販売用球根を養成するこれまでにない新しい栽培技術である。

新技術の特徴

・ユリ球根の増殖率向上
・植えつけ、収穫作業の軽減(通常2作するところを1作でできる。)
・秋肥大のみでも活用可能。この作型は、水稲との作業競合も少なく、新たな担い手の取り組みも容易

想定される用途

・西南暖地でのユリ球根生産(秋肥大+春肥大)
・西南暖地でのユリ球根生産(秋肥大のみ) 水稲作主体の集落営農法人への導入
・他の球根類への応用

関連情報

・展示品有り(山口県育成のオリジナルユリ「プチシリーズ」の切り花を展示)

  • アグリ・バイオ

7)放射性セシウムを吸収しない作物や野菜の研究・開発

島根大学 生物資源科学部 生物科学科 助教 秋廣 高志
島根大学 産学連携センター 連携企画推進部門 准教授・産学連携マネージャー 丹生 晃隆

新技術の概要

放射性セシウムを吸収しない作物を作出するために、セシウム輸送に中心的な働きをする輸送体の探索を行った。イネの輸送体タンパク質(約1500種類)を発現する酵母タンパク質発現系を用いたスクリーニングを行い、17種類のセシウム輸送体候補タンパク質の単離・同定に成功した。この輸送体を欠損した作物はセシウムを吸収できないものと考えられることから、これらの遺伝子を欠損したイネを入手しその解析を行っている。

従来技術・競合技術との比較

セシウムの吸収メカニズムは未だ不明な点が多く、汚染土壌では作物を栽培しないことが最良の方法であると考えられている。しかし、それでけでは風評被害を無くすことはできず、農業復興の妨げとなっている。

新技術の特徴

・セシウムの輸送体を特定できれば吸収しない作物だけでなく、高吸収する環境浄化植物を作ることもできる。
・セシウム輸送体を特定することでセシウムを吸収しない栽培技術の開発にも応用できる。

想定される用途

・DNAマーカーを用いたマーカー育種
・植物を用いた土壌の浄化技術(ファイトレメディエーション)への応用
・セシウムを吸収しない作物を原発保有国の安全保障として開発し・保有する。

  • アグリ・バイオ

8)機能性化学品製造に向けた流通式酵素リアクターの開発

産業技術総合研究所 コンパクト化学システム研究センター 無機生体機能集積チーム 研究員 松浦 俊一

新技術の概要

酵素をマイクロ流路に安定に固定化した流通式リアクターを開発し、食品関連機能性化学品の連続合成における極めて高い酵素活性と繰り返し耐久性を実現した。本手法では、ナノ空孔材料に酵素を内包化することにより酵素の耐熱性・耐久性を向上できる「ナノ空孔反応場利用技術」と、反応条件の精密制御を可能にする「マイクロリアクター技術」を融合することによって、両技術の特徴を協働した協奏的酵素反応場の提供が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

本技術は、従来の発酵法による有用物質の生産技術と比較して、酵素量の低減、反応の精密制御、又、副生成物のない高効率生産を実現できるため、多品種適量生産に向けた反応プロセスの構築に寄与できると期待される。

新技術の特徴

・酵素・タンパク質の凝集体形成抑制および高密度集積化にシリカ系ナノ空孔材料を利用
・ナノ空孔内への固定化により酵素の耐熱性・耐久性向上を実現
・流通式リアクターを利用した機能性化学品合成の高効率化に期待

想定される用途

・食品関連機能性化学品および医薬中間体等の高効率合成(バイオリアクター)
・実プラントにおける酵素反応条件の評価システム
・環境物質および健康の高精度診断(バイオセンサー)

関連情報

・サンプルの提供可能(試作可能)
・展示あり(酵素固定化マイクロリアクターの実物展示)

  • アグリ・バイオ

9)酵母の長寿変異株の探索

広島大学 大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻 准教授 水沼 正樹
広島大学 産学・地域連携センター 国際・産学連携部門 産学官連携コーディネーター 榧木 高男

新技術の概要

老化・寿命メカニズムの解明は、分子生物学などの基礎学問領域のみならず、“健康寿命”の延長を可能にすることから極めて重要な課題である。長寿変異株の取得を目的に、寿命の顕著な短縮化した酵母を利用して長寿変異株のスクリーニングを実施した。その結果、ssg1変異が取得された。実際、ssg1単独変異株は野生株と比較して寿命が延長していたことから、目的の長寿変異株のスクリーニングに成功した。

従来技術・競合技術との比較

長寿変異株はこれまでいくつか報告されているが、アミノ酸代謝に関わる変異株は本研究が最初の例である。

新技術の特徴

・有用物質の高生産
・簡便
・安全

想定される用途

・サプリメント
・医薬品
・iPS技術

  • アグリ・バイオ

10)細胞膜上の集合分子を一括標識できる新規標識法(EMARS法)

高知大学 教育研究部 医療学系基礎医学部門 教授 本家 孝一
テクノネットワーク四国 技術移転部 シニアアソシエイト 安田 崇

新技術の概要

細胞膜上には、外部刺激に応答してダイナミックに集合・離散する生理学的に重要な分子集合体の存在が知られているが、動的な構造体であるために解析が困難であった。この問題を解決する新規な解析法として、EMARS(Enzyme-Mediated Activation of Radical Sources)反応という新規反応を利用した、ターゲット分子の近傍分子を一括標識する標識法開発した。

従来技術・競合技術との比較

生きた細胞において、アソシエイトする分子を一括で標識できる技術は他に無いと想定している。特許化できていることからも新規性については担保があると考えている。

新技術の特徴

・HRPで標識されたターゲット分子の近傍(約200~300nm)分子を一括標識できる
・活きた細胞で簡易な操作で標識できる
・標識された分子を質量分析装置を用いて同定できている

想定される用途

・分子間相互作用解析
・発生・分化のメカニズムの解明
・医薬品等の作用機序の解明

関連情報

・サンプルの提供可能(試薬販売中)

  • アグリ・バイオ

11)水中での音響共鳴による体積計測

京都大学 農学研究科 地域環境科学専攻 教授 近藤 直

新技術の概要

水中で遊泳中の魚介類等の体積計測を行うため、閉鎖系および開放系のヘルムホルツ共鳴器を作成し、実験を行った。その結果、鰾中の空気の体積と魚の体積とがほぼ比例する関係にあることより、体積を共鳴周波数から計測可能であった。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では主として空気中でのヘルムホルツ共鳴での計測がほとんどであったが、本技術では水中での共鳴による体積計測を可能とした。

新技術の特徴

・水中に空気あるいは泡が含まれる場合、その検出が可能
・液中での弾性率の異なるものの体積計測
・液体に含まれる不純物の体積計測あるいは検出

想定される用途

・水中での遊泳魚の体積計測
・水中での貝の身入りの計測
・ジュース等の不純物あるいは植物繊維の検出

  • 環境

12)グラフェン-酸化グラフェン還元微生物複合体を用いたバイオマス電力生産

豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所 テニュアトラック助教 吉田 奈央子
豊橋技術科学大学 産学連携推進本部 科学技術コーディネーター 田中 恵

新技術の概要

微生物を用いたバイオ電池に関し、自然環境中で電流生産菌をグラフェン上に選択的に集積させ、得られたグラフェン-微生物複合体を電流生産の場且つ電極とするものである。上記複合体は、水溶液中に分散させた酸化グラフェンを上記電流生産菌で還元して生成させる。

従来技術・競合技術との比較

本技術では、電流生産菌が導電性に優れたグラフェンに挟まれるようにして自己集積するため、既存技術に比べて電流生産菌と電子伝達物質との接触面積が格段に増大し、電力生産能力の大幅な向上がが期待できる。

新技術の特徴

・酸素供給なしに有機物を分解できるため、冨栄養環境から爆気・撹拌を行わずに電力生産を伴ったBOD除去が可能である。
・地中など酸素供給が難しい嫌気環境における重金属や油の除去または漏洩防止技術としても期待できる。

想定される用途

・生ごみ、畜産し尿、木材といった廃バイオマスからの発電に期待できる。
・自然環境の水田や湖沼といった冨栄養且つ酸化還元電位勾配のある環境で複合体を自然形成することによる発電が期待できる。

  • エネルギー

13)超臨界流体反応を利用した化合物半導体作製プロセス

東北大学 多元物質科学研究所 サステナブル理工学研究センター 助教 笘居 高明
東北大学 産学連携推進本部 産学連携課 コーディネータ 高橋 直之

新技術の概要

本研究開発において、既存の超臨界流体製膜法と、本研究チームにより開発された超臨界流体コンバージョン法を組み合わせることで、CIS太陽電池のバッファ層(CdS)/吸収層(CuInSe2)/Mo金属電極積層構造作製プロセスの、All超臨界流体プロセス化による、ワンリアクター作製を実現した。

従来技術・競合技術との比較

本成果は、従来のCIS系太陽電池の高コストの一因である乾式・湿式混在プロセスからの脱却を可能せしめるものであり、微細構造・プロセスの最適化により、高変換効率CIGS太陽電池の低コスト作製プロセスの創成が期待される。

新技術の特徴

・半導体薄膜作製プロセスの低温化
・3次元複雑構造体への製膜可能
・低コスト原料・低コスト基板の適用範囲の拡大

想定される用途

・CIS(CuInSe2/CuInGaSe2)系太陽電池作製
・CZTS(Cu2ZnSnSe4/Cu2ZnSnS4)系太陽電池作製
・MEMSデバイス作製

  • エネルギー

14)有機薄膜太陽電池のデバイスレス・迅速性能評価装置

大阪大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 助教 佐伯 昭紀

新技術の概要

キセノンフラッシュランプからの疑似太陽光パルスとマイクロ波を用いて、有機薄膜太陽電池デバイスを作製することなく、迅速に性能を予測診断できる装置および手法を開発した。素子作製には高度な装置と技術・時間が必要だが、本技術ではこれまで評価が難しく最適化が行われていない試作段階の材料でも直ちに測定でき、評価時間も従来の素子作製に比べて1/10以下になったため、有望な材料の早期選別が可能である。

従来技術・競合技術との比較

本技術は、最終的に有機薄膜太陽電池などのデバイス性能を向上させる研究において、最短の方向性を決定し、取りこぼした材料がないかどうかを判別するための、補助的な評価装置と位置づけられる。同様のデバイスレス評価法としては、フェムト秒過渡吸収分光・テラヘルツ分光があるが、装置の価格と太陽電池デバイス性能に関連する情報の質という点で、圧倒的に有利である。

新技術の特徴

・有機薄膜太陽電池材料の評価時間を大幅(1/10以下)に短縮
・不純物、界面抵抗、劣化効果に左右されない安定な評価が可能
・材料の形態(フィルム・溶液・ゲル)を選ばない評価が可能

想定される用途

・有機薄膜太陽電池の新規材料、プロセスの開発
・光触媒材料の性能評価
・太陽光エネルギー変換材料の評価

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

15)新しい吸着材料:多孔性金属錯体による光ガス吸着

京都大学 物質-細胞統合システム拠点 特任准教授 松田 亮太郎

新技術の概要

多孔性金属錯体は新しい吸着物質として15年ほど前に発見され、気体の貯蔵、分離、変換を行う材料盛んに研究されています。我々は、多孔性金属錯体の粉末結晶に紫外線を当てることによって望みのタイミングで酸素や一酸化炭素の気体を吸着し、除去する物質を開発いたしました。本材料の一般的合成から吸着機能までを紹介いたします。

従来技術・競合技術との比較

従来のゼオライトや活性炭と比較して合成方法が非常に簡便であり、様々なスケールで合成でき、様々に加工可能。吸着を光で引き起こすことができる。

新技術の特徴

・望みのタイミングで酸素をトラップ
・酸素を他の分子へ変換可能
・酸素をトラップすることにより、周りの圧力を下げる。

想定される用途

・脱酸素剤
・一酸化炭素等の有害物質の除去
・真空製品への応用

  • エネルギー

16)制御回路が無くても風車最大出力が得られる風力発電装置

富山大学 大学院理工学研究部 電気電子システム工学専攻 教授 作井 正昭
富山大学 地域連携推進機構 リエゾンオフィス 産学官連携コーディネータ 梶 護

新技術の概要

制御回路を用いなくても受動素子のみの簡素な回路構成で風車の最大出力が得られる新しい風力発電装置を開発した。本発電装置は、汎用の永久磁石形三相同期発電機に、低回転時の出力を担う新規に開発した三相三倍電圧整流回路と、高回転時の出力を担う一般的な三相ブリッジ整流回路の直流出力電圧の異なる2種類の整流回路を並列に接続することにより、システムの簡素化と低コスト化を実現しつつ、高効率で風車の最大出力が取得できる。

従来技術・競合技術との比較

本制御回路レス方式は、従来の2つの異なる巻数の巻線をもつ特殊な構造の三相同期発電機を利用した方式に比べ、一般的な構造の三相同期発電機が利用できるので、非常に実用性は高く、風力発電の普及・拡大が期待できる。

新技術の特徴

・発電システムの制御回路レス化が可能
・発電システムの簡素化、低コスト化が可能
・発電電力の高効率化が可能
・三相ダイオード整流回路のみで3倍の昇圧が可能

想定される用途

・小形風力発電装置
・マイクロ水力発電装置
・バッテリー充電器

  • 材料

17)反応性イオン液体を利用した高性能CO2分離膜の開発

神戸大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 教授 松山 秀人
神戸大学 連携創造本部 産学官民連携推進部門 特命教授・産学連携コーディネーター 大内 権一郎

新技術の概要

省エネでコンパクトな脱炭酸プロセスを実現する可能性がある高性能CO2選択分離膜を創 製した。創製したCO2選択分離膜は、反応性を有するイオン液体がCO2キャリア、及び、拡散 媒体として機能する、全く新規なキャリア輸送膜であり、世界トップレベルの迅速なCO2透過 速度と極めて高いCO2選択透過性を有している。加えて、膜のCO2透過性能は湿度にほとん ど影響されず、広範な性状のガスへの応用展開が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

化学吸収法による既存の脱炭酸プロセスはエネルギー多消費型で大規模用途には好適であ るが、中小規模の分散型プロセスとしては課題がある。創製した膜は既存の高分子膜の 1000倍近いCO2透過速度と10倍以上のCO2選択性を有しており、より省エネのコンパクト な脱炭酸プロセスを実現する可能性がある。

新技術の特徴

・極めて迅速なCO2透過速度を有する
・極めて高いCO2選択透過性を有する
・乾燥ガスから湿潤ガスまで、広範な湿度雰囲気で使用可能

想定される用途

・居住空間からの脱炭酸システム
・バイオプロセスからのガス精製システム
・化学プラント等からの脱炭酸システム

  • 製造技術

18)バイオマス由来の石油代替化製品原料の製造技術開発

愛媛大学 農学部 環境産業科学 准教授 川嶋 文人
テクノネットワーク四国 技術移転部 ライセンスアソシエイト 矢野 慎一

新技術の概要

5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を糖類から効率的に生成する方法を開発した。本方法により、グルコースなどのバイオマス由来原料から医薬品やプラスチックなどの各種化成品の原料として使用可能であり、循環型社会における石油代替原料として期待されているHMFの効率的な生成が期待される。

従来技術・競合技術との比較

本技術は水と有機溶媒による2層系の反応であり、従来の溶融塩や超臨界・亜臨界流体を使用した方法に比べて簡単でマイルドなプロセスであるため、環境にやさしく低コスト化が可能になるものと期待される。

新技術の特徴

・効率的HMF生成が可能
・環境影響の少ないプロセスが可能
・低コスト化が可能

想定される用途

・ポリエステル原料製造
・医薬原料製造
・化成品原料製造

  • アグリ・バイオ

19)緑藻を24時間稼働する工場に

名古屋大学 遺伝子実験施設 植物ゲノム解析分野 助教 松尾 拓哉

新技術の概要

地球は24時間周期で自転します。それに伴い、昼夜が生じます。昼夜変化へ適応する手段として、生物は進化の過程で「生物時計」を獲得しました。現存のほとんどすべての生物が生物時計を持っていることから推測すると、厳しい自然界で生き抜くには生物時計は必須の機構であったと考えられます。しかし、十分に栄養を与えられた人工的な環境では必ずしも必要ではなく、むしろない方が有利です。本発表では、緑藻の生物時計をコントロールすることで、緑藻をより効率的に利用する方法を提案します。

従来技術・競合技術との比較

従来の緑藻は、一日の半分しか働きません。本発表で紹介する生物時計の制御により、緑藻を24時間稼働する工場として利用できるようになると期待されます。

新技術の特徴

・緑藻の利用
・緑藻の生物時計の人為的制御
・緑藻の生命活動の活性化

想定される用途

・有用物質生産
・バイオ燃料生産
・炭酸固定

  • 環境

20)新規CO2固定促進機構の活用による植物および藻類のバイオマス生産性の飛躍的向上

岡山県農林水産総合センター 生物科学研究所 植物レドックス制御研究グループ グループ長 小川 健一

新技術の概要

私たちは、陸上植物の光合成機能を高める機構を特定し、植物のバイオマス生産性を大幅に向上させた。さらに、このメカニズムの藻類との共通点を明らかにし、藻類のバイオマス生産性や品質向上にも寄与できる技術であることを示した。本発表では、本技術の植物への適用例、特に、藻類の独特な生産系を紹介し、どの程度の効果まで期待できる技術であるかを紹介したい。

従来技術・競合技術との比較

現状の藻類や植物の生産技術は、個体レベルでの生産性については議論されるが、大幅な改善はなされていないうえ、栽培面積や使用土地面積ベースでのCO2固定促進を可能にする技術は皆無である。しかし、私たちの技術はそれを可能にします。

新技術の特徴

・熱放散を減少させ、光合成への光利用効率を高め、土地生産性を上げることが可能
・品質の改変が可能
・遺伝資源利用による分子的代謝改変によって生産能を高めることが可能

想定される用途

・土地面積ベースでの農林産物および藻類の生産性向上技術
・生産物の医薬品キャリアーや印刷加工材料等の原材料や健康食品生産のためのツール
・遺伝資源利用による分子育種ツール

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

科学技術振興機構 産学連携展開部 JST推薦シーズ技術説明会 事務局

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