新潟大学 新技術説明会
日時:2012年06月05日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)再生神経を可視化する新しい機能抗体と新規抗体作成技術
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 分子細胞機能学 准教授 武内 恒成
新技術の概要
網羅的リン酸化タンパク質プロテオーム解析から、新規のリン酸化部位に対する抗体を作成し、再生神経特異的認識抗体を得た。これらは再生神経を選択的に認識できる。また、我々のバキュロ発現細胞を利用した新しい抗体作成技術に関しても言及する。
従来技術・競合技術との比較
リン酸化プロテオーム解析から従来知られているリン酸化部位よりも数多くヒットする領域を標的に網羅的に抗体を作成することで、組織再生などに有効な抗体を単離することが可能となった。またこれら抗体は様々な疾患等にも利用ができる。リン酸化抗体および細胞膜分子を認識する抗体をリストアップすることは非常に有効であるとともに、その技術展開は従来技術との差別化を図ることができる。
新技術の特徴
・組織、細胞系における神経再生に有効な薬剤のスクリーニング
・iPS細胞、幹細胞移植における組織再生の可視化およびその評価系
・網羅的な抗体ライブラリー作成
想定される用途
・神経再生医療
・特異的抗体作成技術
- 医療・福祉
2)低血糖に伴う脳症に対する新規神経保護薬Alda-1の検討
新潟大学 脳研究所 神経内科 准教授 下畑 享良
新技術の概要
血糖補正以外に治療のない低血糖脳症の治療薬を開発するため、ラット低血糖脳症モデルを開発し、アルデヒド脱水素酵素活性物Alda-1が有望であることを明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
低血糖脳症に対する治療として糖補充による血糖値補正が行われるが、無効な場合、神経を保護する薬剤は一切ないため、競合する技術は一切ない。
新技術の特徴
・酸化的ストレスが関与する病態(脳虚血など)への治療応用
想定される用途
・糖尿病治療薬(血糖降下剤、インスリン)誤用にともなう低血糖脳症の治療
・がんや食思不振症などの低栄養状態にともなう低血糖脳症の治療
- 医療・福祉
3)ピエゾフィルムを応用した簡便な嚥下機能評価訓練装置
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 顎顔面再建学 包括歯科補綴学分野 助教 櫻井 直樹
新技術の概要
汎用のピエゾフィルムを用いて嚥下機能評価訓練装置を開発した。嚥下機能のスクリーニング検査として多く行なわれる反復唾液嚥下テスト(RSST)を自動的に簡単に行なえ、視覚的フィードバックも可能な小型の持ち運び可能な装置である。
従来技術・競合技術との比較
嚥下機能の観察にX線TVによる透視検査は有用であるが、被曝や造影剤誤嚥の危険、撮影装置が高価等の欠点がある。これに対し、個人購入・個人利用を想定した嚥下機能評価装置として小型風船や圧センサーシートを用いた舌圧測定装置や本装置が開発されているが、咽頭期嚥下機能評価とRSSTが可能なのは本装置のみである。
新技術の特徴
・神経疾患患者治療装置に対する応用
・医療監視機器への応用
・全身的なリハビリテーション機器開発への応用
想定される用途
・在宅高齢者における嚥下機能評価
・軽度嚥下機能障害患者に対する嚥下リハビリテーション
・嚥下機能評価に対する臨床研究
関連情報
・展示品あり(嚥下機能評価訓練装置の演者自身を被検者としたデモンストレーション)
- 材料
4)希土類元素の使用低減化を目指した青色蛍光体の開発
新潟大学 工学部 無機化学 教授 佐藤 峰夫
新技術の概要
Na3Sc2(PO4)3を新規な母結晶として、これに発光中心として希土類イオンを賦活した新規青色蛍光体を開発した。本技術の特徴は、レアーメタルである希土類元素の使用量を劇的に低減したことにある。すなわち、既存の青色蛍光体の代表であるBAMに比べて30重量%の低減化を達成した。
従来技術・競合技術との比較
現在市販されている代表的な照明用蛍光体は、Y2O2S:Eu、LAP、BAMなどである。ここに使用されているEuやTbなどの希土類元素はレアーメタルであり、賦活量を低減することが求められているが、単にこれらの賦活量を減らすと、紫外線励起時の発光輝度も減少してしまうという問題があった。
新技術の特徴
・室内照明を用いた野菜等の栽培用照明への応用
・漁業における特殊集魚灯への応用
想定される用途
・ランプ用青色蛍光体
・LED用青色蛍光体
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
- アグリ・バイオ
5)高温耐性コシヒカリの開発
新潟大学 農学部 応用生物化学科 教授 三ツ井 敏明
新技術の概要
本発明は、イネ登熟期の異常高温にさらされても、米生産性の低下を抑制することができ、高品質な良食味米を供給することができる、高温登熟性に優れたイネ(特にコシヒカリ)及びその効率的な育種方法を提供する。
従来技術・競合技術との比較
我々が開発を進めている高温耐性コシヒカリはコシヒカリ遺伝子そのものを用いた培養変異系統であり、外から有用遺伝子を組み入れる従来の交配育種とは異なる。
新技術の特徴
・高温・高CO2耐性イネの開発
・培養変異技術
・米品質制御技術
想定される用途
・高品質米
・良食味米
・新品種開発
- エネルギー
6)2塔式内循環流動層ソーラー反応器を用いた二段階水熱分解による水素製造法及び水素製造装置
新潟大学 工学部 化学システム工学科 教授 児玉 竜也
新技術の概要
本発明の水熱分解による水素製造法および水素製造装置では、酸素と水素の反応を行う反応室を2つに分けることで、発生した酸素と水素を分離して回収することができ、流動層で同時に進行する反応の反応温度、反応速度、反応時間、反応領域を任意に制御でき、さらに高温熱を排熱として回収して再利用できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は、太陽光の照射によって形成される流動層の温度分布に着目し、酸素発生反応と水素発生反応をそれぞれ流動層の上部と底部で同時に進行させることを特徴とする。競合技術は、三次元網目構造のリング状焼結体が回転し、両リング間での熱交換により水熱分解を行うものである。本新技術では酸素と水素の反応を行う反応室を2つに分けることで、発生した酸素と水素を分離して回収することができ、流動層で同時に進行する反応の反応温度、反応速度、反応時間、反応領域を任意に制御できる。
新技術の特徴
・高温太陽集熱を熱エネルギー源とする水素製造
・内循環流動層を利用した熱回収
・水素と酸素の分離回収
想定される用途
・水の熱分解水素製造・二酸化炭素の熱分解によるCO転換
・天然ガスの水蒸気・二酸化炭素改質
・石炭・バイオマスの流動層ガス化
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
新潟大学 産学地域連携推進機構
TEL:025-262-7344FAX:025-262-7513Mail:onestopadm.niigata-u.ac.jp
URL:http://www.sangaku-kikou.niigata-u.ac.jp/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp