岡山大学 新技術説明会
日時:2013年01月11日(金)
会場:JST東京本部別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)設計自由度が高く低コストなレーザ光点位置検出方法
岡山大学 大学院自然科学研究科(工)産業創成工学専攻 助教 永井 伊作
新技術の概要
レーザスポットの2次元位置の検出を新たな方式で実現した。試作装置は、スクリーン、暗箱、4つの光センサから成る簡単な構造の受光部とパルス駆動された光源を用いて光点の位置を計測する。
従来技術・競合技術との比較
PSDより検出面積が広く、製造コストは低い。カメラより構造が単純で、高速な計測レート。センサアレイ方式と異なり座標出力は非分割型であり、広い入射角特性を持つ。強い背景光に対する安定性もあり、無調整で暗闇から屋外まで対応する。
新技術の特徴
・検出領域の寸法、計測精度、計測速度について設計の自由度が大きい
・背景光、光源の強さ、入射角、距離、スポット径の変化に対する安定性がある
・製造コストが低いため多数のセンサを使用し、連携動作させることも可能
想定される用途
・崖崩れの検出や構造物のゆれ・たわみのモニタリング
・長距離間におけるずれ、たわみ、ねじれの検出
・移動ロボットの制御・誘導
関連情報
・サンプル提供(試作可能)
・展示品あり(講演後、試作物をご覧いただけます)
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
2)新しいバイオイメージングツール:テラヘルツ波ケミカル顕微鏡
岡山大学 大学院自然科学研究科(工)産業創成工学専攻 准教授 紀和 利彦
新技術の概要
テラヘルツ波ケミカル顕微鏡は、我々が独自に開発したバイオ観察用顕微鏡です。その観測対象は、タンパク質、イオン濃度分布、抗原抗体反応、触媒反応など多岐にわたります。
従来技術・競合技術との比較
タンパク質・抗原抗体反応に関しては、従来のSPR技術に比べ低分子の試料を高感度で計測可能。イオン、触媒反応に関しては、センサ技術では困難なミクロンオーダーの空間分解能を実現可能。
新技術の特徴
・溶液中の低分子タンパク質の相互作用を高感度で検出可能
・イオン濃度分布布をミクロンオーダーで検出可能
・材料の仕事関数計測など触媒表面状態の計測が可能
想定される用途
・抗原抗体反応・RNAハイブリッドのラベルフリー計測
・化学反応の可視化・制御,細胞膜観察
・燃料電池・センサー電極反応の可視化
関連情報
・サンプル提供(提供試料に対する依頼計測)
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
3)光ファイバを用いた低コスト・超高感度屈折率センサの開発
岡山大学 大学院自然科学研究科(工)産業創成工学専攻 教授 深野 秀樹
新技術の概要
大きい径のコアのみのマルチモードファイバを小さいコア径のファイバで挟んだ構造では、入射光は入力側でコア径の違いによる回折現象によって複数のモード光に分かれ、外部界面で全反射を繰り返しながら伝搬し、出力側ファイバの入口でマルチモード干渉を起こします。その結果、出力光に波長に依存した光強度の凹凸が起きます。この現象を利用して、超高感度な屈折率センサを実現しました。
従来技術・競合技術との比較
従来技術の装置としてアッベ屈折率計が市販されています。この装置の動作原理は、半球状プリズムとプレートの間に屈折率を測定したい液体をはさみ、光を斜め入射し、その界面で全反射現象を引き起こす限界となる光の入射角(臨界角)を測定することによって、被測定物の屈折率を見積ります。本報告の屈折率計は、典型的なアッベ屈折率計に比べ、約10倍の超高感度特性を得ました。
新技術の特徴
・通信用光ファイバは、石英系のガラスで出来ており、化学的に極めて安定であり、極めて細い(直径0.125mm)
・微弱光が通るだけですので、可燃性物質中におきましても使用可能であり、超高感度
・光は電磁誘導の影響を受けませんので、激しい電気ノイズの出る環境下でも高精度な測定が可能
想定される用途
・飲料、食品の糖度や塩分測定、油脂の屈折率測定、水溶液の屈折率・濃度測定
・バイオエタノールの濃度測定、水溶性切削油の濃度測定(工場や自動車のエンジン周囲など場所を選ばない)
・血液や体液中のタンパク質(抗原)検出(各種の医療応用)
関連情報
・展示品あり(細さを実感していただくための光ファイバと動作原理を説明するためのデモ品)
- デバイス・装置
4)磁気を用いたスポット溶接部検査装置
岡山大学 大学院自然科学研究科(工)産業創成工学専攻 教授 塚田 啓二
新技術の概要
スポット溶接は、自動車をはじめ多くの構造物の接合方法として使われている。その接合強度を計測する方法として、磁気を用いて内部構造を推定できる磁束透過法とうず電流法を組み合わせた新しい方法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
スポット溶接の検査には超音波がよく使われているが、多層鋼板では各層の接合状態評価が困難であった。本検査法はそのような場合にも適用でき、接合強度を非破壊で評価できる。
新技術の特徴
・金属接合部の信頼性(強度)検査
・溶接部内部構造検査
・構造物内部欠陥検査
想定される用途
・自動車、電車等の車体検査
・筐体の検査
・橋梁検査
- 医療・福祉
5)装着者の体重を利用した空気式歩行支援シューズ
岡山大学 大学院自然科学研究科(工)産業創成工学専攻 准教授 高岩 昌弘
新技術の概要
高齢者の歩行において躓きを能動的に予防する機能を備えたシューズを開発する。具体的には、空気圧をエネルギー媒体とし、装着者の体重を、足首部のコイルバネの位置エネルギーに変換する。そして遊脚になる瞬間にバネの復元力により爪先を上に持ち上げる動作を支援する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術はどれも電気エネルギーを使用するためエネルギー供給源を別途用意する必要があり実用上の妨げとなっていた。本技術は装着者の体重(位置エネルギー)の一部を機械的な仕事に変換するもので電気エネルギーを一切使用しない特徴を有する。
新技術の特徴
・装着者の位置エネルギーを機械的仕事に変換する、電気エネルギーを一切利用しない駆動方法の提案
・ベローズを内含した小型かつ軽量な空気式揺動型アクチュエータの開発
・靴底収納可能な小型フットポンプの開発
想定される用途
・一般高齢者を対象とする歩行支援シューズ
・リハビリテーションにおける歩行支援
・膝等の支援装置への応用展開
関連情報
・展示品あり(試作した歩行支援シューズを持参し説明)
- アグリ・バイオ
6)動的受精卵培養システムの臨床応用展開
岡山大学 異分野融合先端研究コア 助教 松浦 宏治
新技術の概要
卵細胞の培養に好適な物理的刺激を負荷することのできる簡易構成の培養装置及びこの培養装置を用いた培養方法を提供する。これまでに、マウス・ブタ・ヒト受精卵を培養した際に、受精卵の質が静置培養時よりも上昇するケースがあったことを確認している。当技術を臨床試験に適用している。
従来技術・競合技術との比較
競合技術として、マイクロ流路内の受精卵培養システム、超音波照射培養システムが挙げられる。前者は受精卵の操作が煩雑となる短所がある。後者は装置の仕様や電力状況によって培養成績が変わる可能性がある。当技術の場合は使用が簡単であることが利点の一つである。
新技術の特徴
・受精卵を移動させながら培養できる点
・数十マイクロリットルの液滴、シャーレ内の細胞を移動させながら培養できる。そのため、誰でも簡単に使用可能
・アポトーシスを起こさない受精卵移動速度で培養中の物質拡散を促すことにより受精卵の発育を向上できる。
想定される用途
・ウシ・ブタの受精卵発育(畜産分野)
・ヒト受精卵発育(不妊治療)
・人工子宮用駆動装置
- 医療・福祉
7)再生医療薬としての心筋芽細胞分化誘導因子の開発
岡山大学 大学院自然科学研究科(工)化学生命工学専攻 教授 室長/准教授 妹尾 昌治
新技術の概要
ヒト好酸球塩基性タンパク質が生理活性として心筋芽細胞を心筋細胞へ分化を促進する活性を有する事が新たに見出された。この因子は胚性奇形腫由来細胞株P19細胞や仔ラット由来心筋芽細胞の心筋細胞への分化を促進する。
従来技術・競合技術との比較
心筋芽細胞を心筋へ分化誘導するヒト由来因子として早い段階で発見された因子でユニークである。遺伝子組換えで大腸菌により大量に生産する事が可能である。細胞毒性は低く抗原性の懸念も無いので、応用に期待が持てる。
新技術の特徴
・ヒト好酸球研究用試薬
・レクチン研究用試薬
・細胞生物学研究用試薬
想定される用途
・再生医療用心筋細胞シート作成の効率化
・心筋分化誘導因子としての心筋梗塞治療
・心筋再生を促す医薬
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
8)電荷揺らぎにアシストされる新たなナノ触媒のデザイン
岡山大学 大学院自然科学研究科(理)数理物理科学専攻 講師 狩野 旬
新技術の概要
我々は強誘電体が持つワイドバンドギャップ半導体特性と、コヒーレントな電荷揺らぎ現象に着目した、誘電体を母体とする新しいデザインスキームを提案して、さまざまな新貴金属フリーナノ触媒を適材適所に合わせた設計にチャレンジしている。
従来技術・競合技術との比較
従来の触媒設計は、半経験的な手法を用いて現実的に最適解を見つけ出すものだった。一方、我々は強誘電体のもつ半導体特性、分極揺らぎに注目し、誘電体を母体とする新しいデザインスキームを提案している。
新技術の特徴
・高価な元素を使わない。
・合成手法が簡便。
・適材適所の触媒設計が可能。
想定される用途
・水素ガス製造、石油化学用触媒
・電池電極
・石油化学用触媒、排ガス浄化
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 材料
9)実用化を見据えたカーボンナノホーンの応用開発:環境やエネルギー産業分野への展開
岡山大学 大学院自然科学研究科(工)産業創成工学専攻 教授 林 靖彦
新技術の概要
水中アーク放電法により、直径20nm程度の球状をした高品質なカーボンナノホーン(CNH)を、安価で大量に合成する方法を確立した。開発したCNHは、高比表面積で分散剤を使うことなく分散が可能で、高性能な電極材料やガス貯蔵材料などへの応用開発が期待される。
従来技術・競合技術との比較
カーボンナノチューブ(CNT)は、大量合成設備は開発されているが未だ製造コストが高く、製品開発レベルの汎用ナノ材料になり得てない。一方CNHは、独自技術の水中アーク放電法を開発し、高品質なCNHを安価で大量に合成する技術を確立した。これにより、大量生産を見据えた環境やエネルギー産業分野での用途開発が可能となった。
新技術の特徴
・エネルギー関連
・機能性素材・複合材料
・バイオテクノロジー
想定される用途
・燃料電池やスパーキャパシタの電極
・導電性素材
・ドラッグデリバリーシステム
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
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