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大阪府立大学・大阪市立大学 新技術説明会(2)

日時:2012年10月19日(金)

会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 創薬

1)薬剤耐性を抑制する薬剤

大阪市立大学 大学院理学研究科 生物地球系専攻 准教授 藤田 憲一

新技術の概要

我々は植物由来成分フェニルプロパノイド類が、真菌、細菌、癌細胞等の薬剤排出ポンプ亢進による薬剤耐性化を抑制し、当該治療剤の薬効を増強あるいは持続させることを見いだした。効果減弱した薬効を植物由来成分で復活できる臨床医学的な意義は大きい。

従来技術・競合技術との比較

本植物由来成分が薬剤排出ポンプ遺伝子群の発現を抑制し、薬剤耐性を抑制するという報告は我々が初めてである。薬剤排出ポンプに作用する薬剤耐性化抑制剤は、医薬のみならず、食品や化粧品などの防腐剤・抗菌剤に応用できるポテンシャルがある。

新技術の特徴

・産業用防腐剤(木材等)
・農薬
・家庭用除菌剤

想定される用途

・創薬
・農薬
・食品保存料(食品添加物)

  • 医療・福祉

2)慢性疲労改善を目指した食生活改善サポートシステムの構築

大阪市立大学 大学院医学研究科 疲労医学講座 特任講師 福田 早苗

新技術の概要

食生活の改善サポートすることにより、うつ病や慢性疾患に関連する慢性疲労を取り除くシステムを構築することを目指す。

従来技術・競合技術との比較

従来、メタボリック症候群改善には食事制限や運動不足解消といった生活習慣改善が必要であったが、本研究では、「疲れケア」という別の視点からの生活習慣改善アプローチを行う。

新技術の特徴

・疲労改善による身体疾患(肥満、メタボリック症候群等)の抑制
・疲労改善による精神疾患(うつ病等)の抑制

想定される用途

・健康増進機器
・メンタルヘルスケア
・健康診断

  • 創薬

3)生活習慣病予防に寄与する新規糖質素材1,5-アンヒドログルシトール

大阪市立大学 大学院生活科学研究科 生活科学専攻 教授 小西 洋太郎

新技術の概要

1,5-アンヒドログルシトール(AG)は、自然界に広く分布しているが低濃度であるため、その物理化学的性質や体内動態についてはよくわかっていない。本技術は、高濃度のAGを含む生薬オンジ(イトヒメハギ科植物の根)に注目し、AGの高純度・大量精製法を確立した。AGを用いた体内動態の研究から、AGは低カロリー新甘味料として注目される。また、酵素転換法でAGから、生活習慣病予防効果のある機能性糖1,5-アンヒドロフルクトース(AF)を生産できる。

従来技術・競合技術との比較

(1)試薬として市販されているAGは化学合成品である。(2)生体内で澱粉・グリコーゲンからα-1,4-グルカンリアーゼによってAFが生成され、その後AF還元酵素によってAGがつくられる。しかし、この方法ではα-1,4-グルカンリアーゼとAF還元酵素を精製しなければならない。(3)本技術において、酵素転換法によるAGからAFをつくる方法は、生体内の代謝の流れとは逆の新しい方法である。

新技術の特徴

・生薬オンジからの1,5-アンヒドログルシトールの高純度・大量精製法
・1,5-アンヒドログルシトールの結晶化

想定される用途

・糖尿病診断指標である血中1,5-アンヒドログルシトールの定量の標準試薬
・生活習慣病を予防する新甘味料としての1,5-アンヒドログルシトール
・酵素的転換法による多機能性糖1,5-アンヒドロフルクトースの調製

  • 医療・福祉

4)マクロファージ活性化抑制剤による臓器線維化進行抑制と治療

大阪市立大学 大学院医学研究科 肝胆膵外科学 講師 竹村 茂一

新技術の概要

肝硬変や肺線維症など臓器線維化病変の進行を抑制しうる新規物質としてS-アリルグルタチオンを発見した。本物質は、遷延する過剰なマクロファージの活性化を抑制することにより線維素産生細胞の活性化を抑制する。さらに肝硬変などすでに線維化した臓器に対しても線維素溶解の促進(治療)効果を有することを確認している。

従来技術・競合技術との比較

線維化抑制効果を有する物質は数種、上市されているが、長期投与の安全性、臨床効果は十分ではない。本物質は、グルタチオン修飾物質でありその安全性は確立され、線維化抑制効果も確認できている。さらに線維化の進行した臓器の線維素溶解促進効果を有する物質は類をみない。

新技術の特徴

・マクロファージの関与する慢性炎症を基盤とする病態の予防および治療・回復促進
・関節リウマチや膠原病の治療
・健康補助食品

想定される用途

・肺線維症、肝硬変、腎硬化症など臓器線維化の進展抑制ならびに治療
・肝保護作用を有する抗糖尿病薬
・動脈硬化の進展抑制ならびに改善の促進

  • アグリ・バイオ

5)多能性幹細胞を利用した毒性の判定方法

大阪市立大学 大学院医学研究科 基礎医科学専攻 教授 森田 隆

新技術の概要

我々はES細胞中の標的遺伝子を任意に改変できる技術を利用して、遺伝子改変ES細胞を用い、環境に存在する化学物質によるおよび健康への毒性を、微生物や動物を用いないで評価する系を開発した。

従来技術・競合技術との比較

微生物を用いた化学物質の毒性評価は、ヒトとの差が大きい、また動物を用いた系は動物愛護の面、コストの面からむずかしい。本細胞を用いればよりヒトに近い細胞での試験が可能となり、安価かつ正確な毒性情報を得ることができる。

新技術の特徴

・マウス、ヒト万能細胞を用いた評価系であること
・遺伝子を改変した万能細胞も用いて、化学物質などの影響をその機能と対応づけることができること
・化学物質以外のストレスも評価できること

想定される用途

・化学物質の影響評価
・放射性物質の影響評価
・宇宙放射線の影響評価

  • 医療・福祉

6)超音波速度変化を利用した血管プラークの非侵襲診断装置

大阪府立大学 大学院工学研究科 電子物理工学分野 教授 堀中 博道

新技術の概要

脂質コアを含む血管プラークは剥がれやすく、脳梗塞や心筋梗塞の原因になる可能性が高い。超音波速度変化の物質依存性を利用することで血管プラークの非侵襲診断が可能な方式を提案し、有効性を示した。

従来技術・競合技術との比較

従来の方法は血管プラークの形状や形状の変化を基に診断するものであったが、本方法は、超音波速度の温度変化が水と脂肪では符号まで異なることを利用して、プラークの物質の違いを直接画像化するものである。

新技術の特徴

・体外から検出できる
・プラークの形状だけでなく構成物質に対する情報も得られる
・小型・簡易な装置

想定される用途

・脳梗塞、心筋梗塞予防のための健康診断
・体内の脂肪分布の検出
・食品の検査

  • 分析

7)小型イオンモビリティ分析計の開発

大阪府立大学 大学院理学系研究科 分子科学専攻 助教 岩本 賢一

新技術の概要

イオンモビリティ分析計(IMS)は移動度の違いにより物質を分離する技術であり、イオンの構造情報を取得することができる。今回、質量分析計と同程度の感度と高い分解能を有する、小型の周回型イオンモビリティ分析装置を実現した。

従来技術・競合技術との比較

従来型の高分解能イオンモビリティは、数mサイズの大型装置である。今回、周回型の技術を用いることで、手のひらサイズの小型化が可能となった。質量分析計と容易に接続することができるため、質量情報に加えて、構造情報が付加できる。

新技術の特徴

・少量の測定試料濃度(質量分析レベル)による分離分析
・リアルタイム(ミリ秒オーダー)の構造分析
・その場観察に適した小型装置

想定される用途

・タンパク質の構造解析
・質量分析計に接続するための混合物の分離
・診断応用

  • 情報

8)手ぶれ写真を撮影後の1枚から補正する手法

大阪府立大学 大学院工学研究科 電気情報系専攻 教授 吉岡 理文

新技術の概要

ピントボケや手ぶれ等で劣化した画像復元を復元するためには、劣化過程を示すPSFが必要となるが、本研究では、画像から得られるケプストラムとGAを用いてPSFを推定することにより復元を行う。

従来技術・競合技術との比較

従来より劣化画像復元の手法は多数あるが、PSFの推定を同時に行うこと、1枚の画像から復元を行うこと等が特徴である。

新技術の特徴

・PSFが不明でも劣化画像の復元が可能
・1枚の画像から復元,複数枚の画像は不要
・復元精度が高い

想定される用途

・ボケ画像の復元
・手ぶれ画像の復元
・CT等への応用

  • 情報

9)類似画像検索において検索結果のランキングを改善させる方法

大阪市立大学 大学院工学研究科 電子情報系専攻 教授 鳥生 隆

新技術の概要

類似画像検索において検索結果のランキングの妥当性を向上させるための基礎技術として、2枚の画像の類似度を適切に定義する新しい手法と、ランキング結果を基にさらにランキングすることを繰り返すことで結果を向上させる方法について述べる。

従来技術・競合技術との比較

類似画像検索において検索結果のランキングの妥当性を向上させるための従来技術と比較すると、新しく提案する方法はデータベース内のそれぞれの画像を仮りにクエリとして事前にランキングして置き、その結果を利用するので高速処理が可能である。

新技術の特徴

・画像をクエリとした検索において、高速にランキング性能を向上させる
・検索結果に対するユーザ満足度を向上させる
・より適切な画像間の類似度算出法を提供する

想定される用途

・インターネットにおける画像をクエリとした検索
・個人のパソコン内に蓄えた写真の検索(電子アルバムソフトの付加機能)
・著作権侵害調査

関連情報

・サンプルの提供可能(処理例の提供可能)
・展示品あり(処理例を講演中に紹介)

  • 情報

10)個人情報の匿名化と安心・安全な高精度推薦システム

大阪府立大学 大学院工学研究科 電気・情報系専攻 知能情報工学分野 准教授 本多 克宏

新技術の概要

通販サイト・アマゾンの「おすすめの提示」を購買可能性の予測精度と推薦器構築のコストの面で凌駕する、0-1型の購買履歴に有効な協調フィルタリング手法である。履歴情報の分類・併合による匿名化を通して、個人情報の保護を同時に実現する。

従来技術・競合技術との比較

嗜好の類似したユーザの履歴をクラスター化(匿名化)し、個人情報を保護することで、アマゾンなどで活用されている協調フィルタリングを、より安全で気軽に運営できる。プライバシーを保護した情報選別のための欠測値予測の精度を、従来の情報匿名化法に対して54%向上できた。

新技術の特徴

・情報要約によるパターン識別性能の向上
・情報のコード化によるサーバ負荷の軽減
・履歴情報の匿名化によるユーザ保護

想定される用途

・ネット通販での商品推薦(広告提示)
・特許検索の支援インタフェース(関連性の自動検索)
・携帯型ナビゲーションシステム(掘出し物への自動誘導)

関連情報

・サンプルの提供可能(ホームページで実装事例を紹介中)
・展示品あり(講演中に実装事例を紹介)

  • 情報

11)印刷物や映像を撮影するだけで情報を取得できる電子透かし技術

大阪府立大学 大学院工学研究科 電気・電子系専攻 知能情報工学分野 助教 岩田 基

新技術の概要

電子透かしを用いて、透かしが埋め込まれた画像を印刷した印刷物や、液晶モニタなどに流れる透かし入り映像から透かしを読み取り可能とする。専用の装置を必要としないため、入力機器としてスマートフォンなどを用いれば、フライヤーやプロモーション映像などから直接スマートフォンなどへ情報を伝達することができる。

従来技術・競合技術との比較

類似の目的を持つQRコードに比べて、見た目の品質を損なわないという利点がある。画像検索を使うと、印刷物の特徴をサーバに送信して対応する情報を取得することが可能ではあるが、本技術では同じ見た目の印刷物に別々の情報を埋め込んで活用したり、多くの情報を埋め込めることによってオフラインでも利用可能という利点がある。

新技術の特徴

・印刷物や映像から携帯端末へ直接データを伝達することが可能となる
・情報を埋め込む対象の見た目を損なわない
・専用の装置を必要としない

想定される用途

・フライヤーやプロモーション映像を介した携帯端末への関連情報配信
・紙媒体やテレビ映像とホームネットワーク・インターネットをつなぐ

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

大阪府立大学 地域連携研究機構 シーズ育成オフィス

TEL:072-254-7943FAX:072-254-7475
Mail:seedsアットマークao.osakafu-u.ac.jp
URL:http://www.osakafu-u.ac.jp/

大阪市立大学 産学連携推進本部 新産業創生研究センター

TEL:06-6605-3550FAX:06-6605-3552
Mail:sangaku-ocuアットマークado.osaka-cu.ac.jp
URL:http://www.osaka-cu.ac.jp/ja
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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