山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会
日時:2012年07月13日(金) 10:30~17:00
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)遺伝子配列の一塩基の違いを見つけ出す人工遺伝子
鳥取大学大学院 工学研究科 化学・生物応用工学専攻 准教授 櫻井 敏彦
新技術の概要
生体内で1塩基認識能を誘起する人工核酸を設計・合成した。得られた人工核酸は、生体条件下において1塩基の違いを認識した遺伝子発現制御が可能であることがわかった。
従来技術・競合技術との比較
従来の人工核酸と比較して、溶解性、酵素的安定性が高く、かつ生体温度領域で1塩基認識能を有する人工核酸のため、生体内へ投与できる人工遺伝子として用いることができる。
新技術の特徴
・従来の人工核酸よりも溶解性・生体適合性の高い人工核酸を合成可能。
・人工核酸がアンチセンスとして作用する。
・従来困難とされていた“生体条件下おける”1塩基に依存した遺伝子発現を制御することに成功した。
想定される用途
・遺伝子治療薬
・遺伝子診断薬
・遺伝子操作技術
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
2)分子相互作用のリアルタイムな視覚化
島根大学 医学部 医学科 助教 加藤 太陽
新技術の概要
蛍光標識された遊離の分子とビーズに固定化した分子との相互作用をリアルタイムに可視化することで、相互作用の程度を高感度に短時間で評価できる。
従来技術・競合技術との比較
古典的な手法であるプルダウン法に比べて短時間かつ高感度でタンパク質相互作用を検出できる。表面プラズモン共鳴現象を用いた高価な機器と技術的に競合するが、本技術は極めて安価に設備を整えることができる。
新技術の特徴
・相互作用をリアルタイムに、視覚的に感じることができる
・既存の蛍光顕微鏡を利用することにより、設備投資を抑えることができる
・大腸菌で発現させることにより、試料となる蛍光標識タンパク質を安価に大量に生産できる
想定される用途
・分子間相互作用の評価
・タンパク質の機能を阻害あるいは促進する化合物のスクリーニング
・分子の相互作用を短時間で実感できる実習教材
関連情報
・展示品あり(顕微鏡による蛍光イメージングに利用するマイクロ流露をご覧いただく予定です。
- 創薬
3)診断目的に採取したサンプル中の標的検体有無の判別方法
鳥取大学 医学部附属病院 消化器内科 助教 松本 和也
新技術の概要
本新技術は、従来検索が困難とされている超音波内視鏡下生検で採取したサンプルの中に、目的とする検体細胞が含まれているかを、単波長LEDの透過光を用いることにより迅速かつ正確に判別できる方法を開発したものである。
従来技術・競合技術との比較
従来は、悪性疾患(肺癌・膵癌・胆嚢癌・大腸癌など)の鑑別のために、生検で採取したサンプルの中に目的とする検体細胞が含まれているかを、迅速に判別することが困難であった。そのため、検査に時間がかかったり、誤診の原因となったりしていた。本技術によって検体細胞の有無を迅速に判別することが可能となり、これらの問題が解決される。
新技術の特徴
・獣医学領域での生検診断にも有用
・単波長光を用いたコントラスト増強による検体明瞭化法
・超音波内視鏡下生検の普及および用途拡大への貢献
想定される用途
・ヒトの悪性疾患鑑別(肺癌・膵癌・胆嚢癌・大腸癌など)
・動物の悪性疾患鑑別
- アグリ・バイオ
4)刺激伝達物質処理による沈香の人為的な生産促進
鳥取大学 農学部 生物資源環境学科 教授 山本 福壽
新技術の概要
Aquilaria属樹種の樹幹の傷害部に対して刺激伝達物質3種(ジャスモン酸メチル、エスレル、およびサリチル酸ナトリウム)の組み合わせ処理を行うことにより、沈香成分を含む傷害心材形成を促進させる。
従来技術・競合技術との比較
伝統的な幹に傷を付ける沈香生産方法や、近年開発されたFusarium属の菌を接種することによる沈香生産技術に比べ、病害・傷害部で生産される刺激伝達物質を直接、処理することによって生産促進を図るものであり、最適な沈香生産環境を樹体内に現出させることが可能となる。
新技術の特徴
・沈香、ウルシなどの樹種成分の生産促進。
・ナラ枯れに関連するコナラ属樹木の傷害心材形成を促進するため、ナラ枯れ予防効果が期待できる
・Aquilaria属プランテーションの樹木の節減が可能となり、過剰伐採の防止および労働の効率化をもたらす。
想定される用途
・沈香、ウルシ等の樹脂生産促進
・ナラ枯れ防止のためのカシノナガキクイムシ加害の軽減効果
・Aquilariaプランテーションにおける土地生産性、労働生産性の向上
- アグリ・バイオ
5)放射性セシウムを吸収しない作物や野菜の研究・開発
島根大学 生物資源科学部 生物科学科 助教 秋廣 高志
新技術の概要
放射性セシウムを吸収しない作物を作出するために、セシウム輸送体の探索を行い、候補となる輸送体の単離・同定に成功した。この輸送体を欠損した作物はセシウムを吸収できないものと考えられる。
従来技術・競合技術との比較
セシウムの吸収メカニズムは未だ不明な点が多く、汚染土壌で栽培しないことが最良の方法であると考えられている。しかし、それでけでは風評被害を無くすことはできず、農業復興の妨げとなっている。
新技術の特徴
・セシウムの輸送体を特定できれば吸収しない作物だけでなく、高吸収する環境浄化植物を作ることもできる。
・セシウム輸送体を特定することでセシウムを吸収しない栽培技術の開発にも応用できる。
想定される用途
・DNAマーカーを用いたマーカー育種
・植物を用いた土壌の浄化技術(ファイトレメディエーション)への応用
・セシウムを吸収しない作物を原発保有国の安全保障として開発し、保有する。
- 材料
6)酸化亜鉛・酸化チタン系透明導電膜の低抵抗化技術
島根大学大学院 総合理工学研究科 総合理工学専攻 物理・材料科学領域 教授 山田 容士
新技術の概要
酸化亜鉛(ZnO)系透明導電体とNbドープの酸化チタン(TiO2)を複合化させることで、単体よりも低抵抗の膜が得られる。これにより、ITO代替材料としてのZnO膜の低抵抗化や過酷使用条件への適応がはかれる。
従来技術・競合技術との比較
高特性を得るために作製条件の制御が必要なZnO系透明導電膜を、厳密なチューニングなしに低抵抗化することが出来る。また、ITOなどの透明導電膜と比べて、高温・酸化雰囲気でのプロセス耐性にすぐれる。
新技術の特徴
・ZnO系・TiO2系透明導電膜の低抵抗化
・高い化学的耐性
・作製プロセスチューニングの簡便性
想定される用途
・一般的な透明電極(タッチパネル、太陽電池など)
・過酷環境下での透明電極(溶液中)
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(ガラス基板上に形成した透明導電膜の小片)
- 材料
7)アセトニトリルをシアノ化剤として利用した反応
島根県産業技術センター 技術部 環境技術グループ 科長 田島 政弘
新技術の概要
電子線と触媒を利用し、常温・常圧においてアセトニトリルを活性化し、アセトニトリルの2量体およびフェニルアセトニトリルの合成に成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来、シアノ化剤として有害な青酸化合物を使用していたが、無害化処理や漏れ対策が必要であった。しかし、無害なアセトニトリルをシアノ化剤に利用することにより、より安全な製造方法が確立できる。
新技術の特徴
・常温・常圧によるアセトニトリルの活性化
・電子線を励起源として利用
・アセトニトリルをシアノ化剤として利用する
想定される用途
・医薬品の製造
・化学薬品の製造
・農薬の製造
- 情報
8)時系列テキストデータからの派生情報の取り出し
鳥取大学大学院 工学研究科 情報エレクトロニクス専攻 教授 村田 真樹
新技術の概要
本技術は、時系列のテキストデータから概念の変遷情報を既存技術よりも性能高く取り出すことができる。例えば、論文のタイトルや著者名の情報から、研究者の先輩後輩関係や研究分野のルーツの情報を取り出せる。
従来技術・競合技術との比較
時系列データから概念の変遷情報を既存技術よりも性能高く取り出せることを、研究者の先輩後輩関係や研究分野のルーツの情報の取り出しにおいて確認している。
新技術の特徴
・時系列のテキストデータに類する形のデータがあれば、本技術を適用可能である。
・時系列のテキストデータから、どういう概念からどういう概念が生まれたかの情報を取り出せる。
・時系列のテキストデータにおける、概念間の因果関係を把握できる。
想定される用途
・テキストマイニング・情報抽出・自然言語処理
・社会動向調査(新聞において出現した概念の派生関係を把握)
・社内問題調査(社内において生じたトラブルにおける原因結果関係を把握)
- 情報
9)水とのふれあいが実現する新しいコミュニケーション -魅せる対話型インタフェース-
島根大学大学院 総合理工学研究科 総合理工学専攻 情報システム学領域 教授 平川 正人
新技術の概要
これまでにない新しい情報付加価値型機器として、水を蓄えた容器に挿入された手指足等の3次元位置を取得し、検知内容に応じてコンテンツを表示させる一連の対話機能を有した装置を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
マイクロソフト社のKinectなど、3次元動作認識装置は急速に普及しつつあるが、本研究では触覚を通して身体へのフィードバックが提供されるという点で優位である。また、水を媒体とする対話装置の実現は、楽しさや驚きといったこれからのシステム開発に欠かせない要素を提供する。
新技術の特徴
・水中での物体(手指足等)の3次元位置や動きを獲得することが可能
・空中でのジェスチャ操作と違い、触覚を通したフィードバック提示による高リアリティの達成
・水中での身体動作は利用者に適度な負荷を課したり、また伝熱効果をもたらすことも可能
想定される用途
・エンターティンメント/観光
・風呂(足湯)、水周り機器
・リハビリテーション
- 情報
10)蛍光灯代替白色LED、カラーLEDを用いた光る衝立の試作開発
鳥取県産業技術センター 機械素材研究所 副所長 草野 浩幸
新技術の概要
高輝度、省エネルギー、長寿命のLED照明器を光源として用い、アクリル等の透明樹脂と、0.2mm厚の木材薄板と紙の組み合わせにより大面積均質発光面を有する大型面発光照明装置。
従来技術・競合技術との比較
1枚のアクリルの両面に異なる素材の薄板(例えば木と紙)を接着した場合、外光の入射により、片側の薄板の模様が対側に映り込むことを課題とした。2枚のアクリル板の両内面に直線偏光シートを接着させることで、LED発光は透過し、外光のみ選択的に減少させる特長を有する。
新技術の特徴
・LED点灯時に任意の発光パターンが浮き上がる
・杉薄板を透して、LEDから発する光が柔らかな魅力的な光に変化する
想定される用途
・広告ディスプレイ
・インテリア照明
・建材
関連情報
・サンプルの提供可能
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
鳥取大学 産学・地域連携推進機構 知的財産管理運用部門
TEL:0857-31-6000FAX:0857-31-5474Mail:chizaiadm.tottori-u.ac.jp
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島根大学 産学連携センター 知的財産創活部門
TEL:0852-60-2290FAX:0852-60-2395Mail:crcenteripc.shimane-u.ac.jp
URL:http://www.crc.shimane-u.ac.jp/
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島根県産業技術センター 企画調整スタッフ
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