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信州産学官連携機構 新技術説明会

日時:2012年08月07日(火)

会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 材料

1)Unusualなナノ炭素材料の放射線吸収とその応用 ~従来の常識を覆した炭素ナノ構造~

信州大学 エキゾチック・ナノカーボンの創成と応用プロジェクト拠点 特任教授 鶴岡 秀志

新技術の概要

物質のX線吸収量は一般的に原子番号に依存するX線質量吸収係数で表されてきたが、ナノ炭素構造うち、中空筒状構造を持つものは係数が通常の炭素より大きいことを発見した。ナノ物性として新たな側面を開拓する。

従来技術・競合技術との比較

カーボンナノチューブは電磁波吸収による発熱、完全黒体、ステルス性等が次々に報告されている。X線の異常吸収はこれらの現象を統一的に説明する端緒となる可能性がある。また、未発見の機能を予想する手段となり得る。

新技術の特徴

・ナノ構造の全く新しい機能
・放射線領域の電磁波制御
・微粒子ドープによるナノ機能素材

想定される用途

・放射線遮蔽、制御
・標識・タグ
・電子材料

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

2)高齢者食に応用可能な酵素処理による親芋ペースト食品の製造法

信州大学 工学部 物質工学科 教授 天野 良彦

新技術の概要

里芋の親芋は食用とされず廃棄されている現状にある。これを酵素処理によりペースト化することにより、その物性を活かして麺やパンのつなぎ剤や嚥下障害用のとろみ剤のとしての使用が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

里芋はムチン、ガラクタンやマンナンなどの増粘剤が豊富に含まれており、これを使い易い粘度に調整することが困難であった。本発明では、これらの成分を低分子化する酵素により、好みの粘度に調整することが可能となった。

新技術の特徴

・酵素処理技術
・物性制御(粘度調整)
・食品成分調整(機能性糖質増強)

想定される用途

・高齢者食用の天然増粘多糖類の製造
・米粉パンや米粉麺のつなぎ剤としての使用

  • 環境

3)半導体の熱活性を利用したFRPの完全分解と強化繊維のリサイクリング

信州大学 繊維学部 特任教授 水口 仁

新技術の概要

“軽くて強い”を旗印に開発されたFRPはその安定生が故に廃棄物処理に問題を抱えている。半導体を加熱すると突如として出現する触媒効果をFRPの分解に利用し、ガラス繊維や炭素繊維を10分程度で完全回収・リサイクルする技術を開発した。

従来技術・競合技術との比較

これまで超臨界や溶剤によるFRP分解や解重合が報告されているが、プロセスが複雑で実用的ではなかった。本技術は100%乾式法で、10分程度でFRPを完全分解し、強化繊維をほぼ無傷で回収・リサイクルすることができる。

新技術の特徴

・前処理が不要で、しかも短時間で強化繊維の完全回収ができる
・半導体の熱活性を利用した100%乾式技術である
・処理プロセスが簡便で採算性が取れるシステムである

想定される用途

・ガラスならびに炭素繊維FRPの完全分解と強化繊維のリサイクル
・携帯電話、モールド・モーター、回路基板等からの金属回収

関連情報

・展示品あり(触媒担持ハニカムならびに回収した強化繊維の展示)
・外国出願特許あり

  • 建築・土木

4)RCはりの補強方法

長野工業高等専門学校 環境都市工学科 教授 遠藤 典男

新技術の概要

本技術は、はり軸直角方向の引張力を作用させた高強度のシートを、RCはりに接着することにより、曲げに加え、せん断に対する抵抗力を向上させることを目的とするものである。

従来技術・競合技術との比較

従前、高強度のシートに引張力を作用させたうえで接着し補強する技術は、はり軸方向の場合が多かったが設備や施工が大規模になるのに対し、本技術は簡便な方法により、引張力の導入が可能となる。

新技術の特徴

・強度と施工性の向上
・FRPの強度向上
・耐震補強

想定される用途

・RC-T桁橋主桁の曲げおよびせん断に対する予防保全
・断面修復、剥落防止
・耐震壁に対する予防保全

  • 創薬

5)新しい骨吸収シグナルを標的にした骨吸収阻害薬の開発

松本歯科大学 総合歯科医学研究所 硬組織解析学 准教授 小林 泰浩

新技術の概要

骨を作る骨芽細胞は、骨を吸収する破骨細胞の形成と活性を調節する。骨芽細胞から分泌されるシグナル伝達タンパク質Wnt5aは、破骨細胞前駆細胞のRor2受容体に結合し、破骨細胞への分化を促進する。Wnt5aの活性を阻害する組み換えタンパク質GST-sRor2を作製し、関節リウマチモデルマウスにGST-sRor2を投与したところ、破骨細胞の形成が阻害され、骨破壊が抑制された。

従来技術・競合技術との比較

破骨細胞の形成阻害薬として、破骨細胞分化に必須なサイトカインであるRANKLに対する抗RANKL抗体が利用されている。しかし、RANKLは免疫系細胞の機能にも重要なため、抗RANKL抗体の投与により、免疫システムも抑制される可能性が危惧されている。骨芽細胞と破骨細胞の間で作用する分子を標的にしたGST-sRor2は、副作用を軽減した骨吸収阻害薬となる可能性がある。

新技術の特徴

・組み換えタンパク質の作製
・組み換えタンパク質で表面処理した材料の生体親和性の向上
・組み換えタンパク質を利用した結合因子の探索
・組み換えタンパク質を利用した診断キットの開発

想定される用途

・骨吸収阻害薬
・骨粗鬆症治療薬

関連情報

・外国出願特許あり

  • 機械

6)極めて緩み難い二重ねじボルト締結体の転造加工と性能評価

諏訪東京理科大学 システム工学部 機械システム工学科 教授 竹増 光家

新技術の概要

一本のボルトにピッチの異なる2種類のねじをもち、ピッチが異なるナットは同時に回転移動できないという機械的ロックにより極めて緩みにくい機構となっている二重ねじを、通常のシングルねじと同じ単一の転造工程により量産するための製造方法と製造装置。

従来技術・競合技術との比較

二重ねじは複雑なねじ部の構造からこれまでは主に切削により加工されていたため非常に高価であった。本技術はそれを通常のシングルねじと同じ単一の転造工程により量産化することに成功し、製造コストの大幅な低減と、ねじ強度の向上が可能となった。

新技術の特徴

・複雑構造をもつ各種ねじ・ボルト、ボールねじ、リードスクリュー、ウォームなどの成形転造加工
・上記製品を精密加工するための転造用ダイス工具の設計・製作
・各種ねじ製品の成形転造および性能評価数値シミュレーション

想定される用途

・大型構造物(鉄骨構造物、橋梁、鉄塔、各種プラント構造物、高速道路、鉄道)
・振動を発生する機械装置(建設機械、産業機械、風車、遊戯装置、昇降装置、破砕機、航空宇宙機器)
・乗り物(船舶、鉄道車両、大型バス、トラック、クレーン、各種エンジン機器)

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり(二重ねじのサンプル)
・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

7)青色光刺激を利用するキノコ菌糸からのシキミ酸の製造方法

信州大学 農学部 応用生命科学科 教授 小嶋 政信

新技術の概要

暗所培養したヒラタケ菌糸に、青色発光ダイオードを用いて光刺激を与えると、鳥インフルエンザ特効薬・タミフルの製造原料として知られるシキミ酸の生合成量が、暗所培養菌糸と比較して200倍以上に増加する。

従来技術・競合技術との比較

シキミ酸は、主に中国で植物のトウシキミ(八角)から抽出精製されているが、生長に時間がかかる・含有量が一定でない・供給が不安定等の課題がある。他の代替先行技術も多段階工程・コスト高等の課題を有している。

新技術の特徴

・光刺激により微生物の代謝経路を制御する
・一段階でシキミ酸を製造できる
・製造原料が安価であり、年間100回以上の繰り返し製造が可能である

想定される用途

・多数の医薬品開発原料(例:抗生物質の製造原料)
・易分解性農薬の開発原料(除草剤)
・園芸種の品種改良試薬の開発原料

  • 建築・土木

8)雪下ろし不要の屋根に応用可能な超滑水性表面評価手法

長野工業高等専門学校 機械工学科 講師 柳澤 憲史

新技術の概要

水が滑り落ちる性質である滑水性の表面をもつシートを住宅の屋根などに貼ると雪はつもる前に滑り落ちるため、雪下ろしの必要がない。本技術は、雪の付着しない超滑水性のシート表面を開発するための評価手法である。

従来技術・競合技術との比較

水の吸着力のような非常に小さい力が測定できる摩擦力測定装置は存在しない。本技術は摩擦力伝達・検出機構に関する技術を応用し様々な表面の着雪・着氷の防止開発技術に係わる超滑水表面評価システムが実現できる。

新技術の特徴

・水滴が固体表面に付着する力を測定でき、マイクロマシンなどの水の吸着による摩擦増大防止に効果がある
・はっ水性だけでなく水の流動性(滑水性)についての考察が可能であり、実用化の可能性が高い
・従来なかった機構を提案しているため、摩擦力検出の高精度化、省スペース化が可能である

想定される用途

・雪下ろし対応の求められる地域の住宅の屋根や外壁の着雪防止
・東京スカイツリーのような高層タワーの外壁の着氷防止
・飛行機や船舶、自動車の窓や外壁の着氷防止技術

  • アグリ・バイオ

9)新規キチン分解酵素の一段階反応によるN-アセチルグルコサミンの生産

信州大学 繊維学部 応用生物科学系 教授 下坂 誠

新技術の概要

新属新種の細菌から見出した新規キチン分解酵素を用いて、幅広い需要のある有用糖質N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を、自然界に豊富なキチン質バイオマスから一段階反応で効率的に生産できる技術。

従来技術・競合技術との比較

従来、キチンからN-アセチルグルコサミンを生産するためには、エンド型酵素により2量体を作り、さらにエキソ型酵素で単量体まで分解する二段階反応が必要であった。本発明の酵素は、より単純で制御が容易な一段階反応を可能とした。

新技術の特徴

・新属新種の強力なキチン分解細菌の利用による、環境高負荷な化学分解法への代替法の提案
・15個という多数かつ多様なキチン分解酵素遺伝子による、新たなタイプの酵素生産
・従来酵素とは異なるアミノ酸配列を持ち、新たなかつ有用なキチン分解活性を示す酵素の活用

想定される用途

・サプリメント用GlcNAcの供給(変形性膝関節症等)
・化粧品用GlcNAcの供給(乾燥予防・美肌効果等)
・食品用GlcNAcの供給(甘味料・増粘安定剤等)

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

株式会社信州TLO

TEL:0268-25-5181FAX:0268-25-5188
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