広域多摩地域の大学発 新技術説明会
日時:2012年08月21日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)太陽光発電システムにおける部分影時のための外付MPPT補正ユニットの開発
神奈川工科大学 工学部 電気電子情報工学科 教授 板子 一隆
新技術の概要
パワーコンディショナのMPPT制御には通常山登り法と呼ばれるアルゴリズムが用いられているが、パネルの部分影時などで出力が大幅に低下する場合があるという欠点がある。そこで、従来のパワーコンディショナの入力側に接続するだけで動作点を常に最大電力点に補正できる外付けユニットを新たに発明した。
従来技術・競合技術との比較
従来の山登り法を搭載したパワーコンディショナでは部分影時、異方位設置時ならびに混成使用時に出力が大幅に低下する場合があるが、本発明技術を用いた装置を挿入するとこの問題点をクリヤーできる。このような最大電力点補正装置は現在存在しない。
新技術の特徴
・最大ポイントを探すアルゴリズムとして山登り法を用いている場合に、極大点が複数存在する場合に確実に最大ポイントに導くことができる
想定される用途
・系統連系型太陽光発電システムにおける最大電力点補正ユニット
・独立型太陽光発電システムにおける最大電力点補正ユニット
- 医療・福祉
2)携帯電話によるユビキタス医療
法政大学 理工学部 創生科学科 教授 渡辺 嘉二郎
新技術の概要
コンデンサマイクロホンに空気圧的工夫を施し、低周波マイクロホンを実現する。このマイクロホンを携帯電話マイクロホンに搭載し、通話用と生体計測用として用いる。マイクロホン受圧面を含む空間に体の一部を接触させることで脈波等の生体信号が計測される。
従来技術・競合技術との比較
携帯電話マイクロホンに低周波マイクロホンを使用することで特別なセンサを携帯端末につけることなく生体計測をする方式はなかった。低周波マイクの生体計測法は携帯電話とは別に我々により多くの研究成果がある。これらは睡眠段階の判定と高度な方法も実証されている。
新技術の特徴
・見守りなどのセキュリティーシステムの構築
想定される用途
・防犯セキュリティー
・火災報知システム
・地域見守りシステム
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり 低周波マイクロホン(講演終了後1時間ほど展示予定)
- 医療・福祉
3)感度が高く、多様な応用が可能な、形状認識用の画像処理
神奈川工科大学 工学部 電気電子情報工学科 教授 武尾 英哉
新技術の概要
特定の閾値で2値化処理を行い、2値化処理に基づき領域分割し、領域分割に基づき特徴量を計算し、特徴量に基づき、条件判定を行い候補領域を抽出する。これを閾値を順次変えながら行い、個々の候補領域毎に最適な閾値での認識結果を選択し1画像上に統合することで、条件に最も合う領域を自動抽出する。
従来技術・競合技術との比較
従来の領域抽出では、微調整が必要であったり、使用範囲が限定されていた。本手法では、対象の大きさ、形状等の特徴を記述するのみで、サーチの最適化は自動で行われ使いやすい。しかもロバストで高精度の認識が可能である。
新技術の特徴
・調整が直観的で容易、熟練を要しない、調整なしでも高い認識性能を実現する
・高精度、高感度である
・構造がシンプルで理解しやすい、その為、種々の処理への応用が容易である
想定される用途
・細胞培養中の監視や病理画像の解析
・非破壊検査
・仕上がり製品の外観検査
関連情報
・画像処理デモ可能 画像をご提供いただければ認識結果をお返しします
・展示品あり(ノートPCと、その上で動くデモ用アプリケーション)
- 医療・福祉
4)重症心身障害者用自立的移動支援システムの開発
明星大学 人文学部 福祉実践学科 准教授 横倉 三郎
新技術の概要
重症心身障害者にとって移動装置の操作や目的地までの経路の認識が難しく、電動車椅子などで自立走行することは困難である。本研究では、重症心身障害者が自ら操作することにより知能的発達を促進し、その意思決定で目的地まで自動運転にて移動できる支援システムである。
従来技術・競合技術との比較
従来の移動装置は、導線などの情報を基に走行している。これらの技術では、走行路や経路変更などに制約が生じていた。本システムは、光マーカーより得られる位置情報と壁面との距離から自動的に走路や経路の設定を可能とした装置である。
新技術の特徴
・簡便に部屋の出入り口方向の認識が可能
・光マーカーによる位置認識
・光マーカーによる経路情報の認識
想定される用途
・自動搬送装置
- 環境
5)高メタン回収率・高負荷処理を達成する生ごみメタン発酵処理技術
創価大学 工学部 環境共生工学科 学科長/教授 戸田 龍樹
新技術の概要
本技術は、メタン発酵槽内の消化汚泥内に、従来技術の少なくとも10倍以上濃度で微生物を集積することが可能な新しい微生物集積法である。本法によって一般的な生ごみメタン発酵処理の5倍近い超高負荷運転(15kg-COD/m3/day)での生ごみ処理が安定的に可能になる。
従来技術・競合技術との比較
近年、ヨーロッパを中心に急激に普及している乾式あるいは半乾式メタン発酵処理法は、7kg-COD/m3/day程度の有機物負荷と200ml-CH4/g-VS程度のメタン回収効率で運転されている。これに対し本法は、有機物負荷とメタン回収効率において、共に2倍以上の効率化を達成することが可能である。
新技術の特徴
・既存技術の10倍以上の密度で嫌気性の微生物を消化汚泥内に集積が可能で高負荷運転でも安定的な処理が可能である
・既存技術の2倍~10倍に相当する15kg-COD/m3/dayの超高負荷運転が可能である
・生ごみのメタン発酵処理において、500ml-CH4/g-VS程度の高いメタン回収効率を得ることができる
想定される用途
・安定的で効率的な生ごみメタン発酵処理の実施
・安定的な処理が実施できていない既存設備にも利用が可能である
・生ごみ以外のメタン発酵処理においても、利用できる可能性がある
- 材料
6)古代紫染料(6,6'-ジブロモインジゴ)の現代社会への蘇りを目指して
明星大学 理工学部 総合理工学科(生命科学・化学系) 准教授 澤田 忠信
新技術の概要
古代紫染料(6,6'-ジブロモインジゴ)は忘れられた染料となってしまった。この染料を現代社会に蘇らせたい。合成法に関しては改良法を見いだし、天然染料よりずっと安価に入手できるようになった。またこの染料は染色中に藍化(青変)という現象が起きやすいがこの対策を見いだした。この技術の応用で本来の赤紫色から藍色まで自由に染めることができるようになった。そして皮革への染色法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
染料を安価に提供できるようになった。染色の際に藍化(青変)の心配がいらなくなった、同時に意識的に赤紫と藍の中間色をも染めることが可能となった。弊害が多く商品に不向きとされていた皮革への建て染めが可能となった。
新技術の特徴
・古代のロマンを思い起こさせる作品の制作
・建て染めをした皮革製品の登場
・一染色液での多色染め
想定される用途
・布への建て染めとその作品化
・糸への建て染めとその作品化
・皮革への建て染めとその作品化
関連情報
・展示品あり(染料(粉末)そのものと布、糸、皮革へ染めた各小サンプル)
- 計測
7)ミクロな視野で高分子材料表面を種類ごとにイメージングする新技術
工学院大学 工学部 電気システム工学科 教授 坂本 哲夫
新技術の概要
高分子材料は複数の素材を混合して用いることにより新機能が実現する。しかし、従来の表面分析法では実際にどのように混合しているのかを可視化することは難しかった。本技術では、イオンビームとレーザー光を高度に組み合わせ、高分子の種別に応じた信号を得ることができ、混合状態を明らかにすることができる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術においても、複数の種類の高分子表面からの信号を得ることはできるが、信号同士の干渉により個々の高分子を見分けるのが大変困難である。本技術では、高分子の種別に固有のモノマー信号を得ることで、このような問題を回避することができる。
新技術の特徴
・高分子材料を高感度に分析可能
・質量スペクトルと高分子の種類の選択性が高い
想定される用途
・有機EL、有機太陽電池などの有機エレクトロニクス素子の評価・解析
・トナー粒子など、高分子微粒子の組成評価・解析
・二次電池材料の微小小域における評価・解析
関連情報
・本技術を用いた分析装置によるデモ分析(試料提供)を受付ます
・外国出願特許あり
- 材料
8)金ナノロッドアレイ膜の作成方法と応用展開
東京工芸大学 工学部 生命環境化学科 准教授 山田 勝実
新技術の概要
ポリカーボネート多孔質膜を鋳型にして、太さ50nm、長さ5μmの金ナノロッドが導電基盤上に林立する形状の膜を作成した。導電性ポリマーのエレクトロクロミズム、酸化物半導体の光電変換、SERS基盤などへの応用について説明する。
従来技術・競合技術との比較
本技術はアスペクト比100の金ナノロッドを導電基盤上に立てて並べることを可能とした。大面積で無電解メッキまたは電解析出により容易に作成でき、低コストの製造にも向いている。
新技術の特徴
・二次電池、キャパシター
・メタマテリアル
・MEMS
想定される用途
・色素増感、有機太陽電池
・エレクトロクロミック表示
・SERS基盤
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
9)自立型3次元導電性高分子のマイクロ構造の造形技術
東京工芸大学 工学部 コンピュータ応用学科 教授 曽根 順治
新技術の概要
導電性高分子は、3次元造形が可能となってきているが、導電性高分子だけで3次元マイクロ構造体を形成することは難しかった。本提案は溶融可能なサポート剤と温度制御を行うことにより、導電性高分子だけの構造体を形成することが可能となった。
従来技術・競合技術との比較
従来は、溶融が難しいサポート剤の中に導電性高分子の3次元マイクロ構造を形成していた。本提案はサポート剤が残らないため、柔軟なマイクロ構造を形成可能であり、かつ動作させるための電解質も複数の種類を使用できるため、応用範囲が広い。
新技術の特徴
・ミクロン精度の3次元マイクロ構造
・導電高分子による導電構造
・導電高分子のよる変位構造
想定される用途
・マイクロアクチュエータなどのMEMSデバイス
・変位可能なマイクロ立体配線
・メタマテリアル
関連情報
・試作可能
- 情報
10)手の三次元位置・形状に基づくプロジェクタを用いたPCの操作システム
創価大学 工学部 情報システム工学科 准教授 今村 弘樹
新技術の概要
kinectセンサにより取得した手の3次元的な位置と形状に基づきプロジェクタに表示されたコンピュータグラフィックスなどを3次元的に並進、拡大・縮小、回転を直感的に操作可能なシステムの構築を行った。
従来技術・競合技術との比較
ipadやiphoneに代表されるタッチパネルによって、直感的にPCを操作するデバイスが一般的に普及している。これらのデバイスは、入力が2次元であるため2次元的な操作は可能であるが、3次元的な操作は、直感的に実現するのは難しい。これに対して、本システムは、入力が3次元であるため、直感的な3次元操作が可能となる。
新技術の特徴
・手の3次元的な位置・形状に基づく3次元的で直感的なPCの操作
・プロジェクタを用いているため、出力が比較的小規模な投影から大規模な投影が可能
想定される用途
・新商品の説明におけるプレゼンテーション
・製品の組み立て作業の直感的な説明
・ゲームなどのエンターテイメント
- 通信
11)簡易な小規模光ネットワーク用ノード装置
成蹊大学 理工学部 情報科学科 教授 小口 喜美夫
新技術の概要
簡易な構成で低コストかつ小型化が可能な光ノードを実現可能で、次世代ホームネットワークやキャンパス内、事業所内、の光LANを構築できる。
従来技術・競合技術との比較
波長多重(WDM)システムを実現するため、ノード、基地局等の行き先別に異なる波長からなる複数の光信号を合分波する光合分波器が利用される。そのため、プリズム、干渉膜フィルタ、或いは回折格子といった光部品を有するが従来構成では、光信号の各波長別に光フィルタ等を備える必要がある。そのため、混在する光信号の波長数が増加するほど光フィルタ等の種類も増加し、構成も複雑になる。また、これに伴い、製造コストも割高になる。
新技術の特徴
・簡易化ノード構成
・小型化ノード構成
想定される用途
・家庭内ネットワーク
・小規模ネットワーク
・光LAN
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