東京理科大学 新技術説明会
日時:2012年07月20日(金) 10:30~16:40
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)機能性ナノ材料を用いる有機-無機ハイブリッド材料の合成
東京理科大学 理工学部 工業化学科 教授 郡司 天博
新技術の概要
フラーレンや金属ナノ粒子、かご型シルセスキオキサンなどのナノ材料について、官能基を簡便に導入する機能化と、それらを用いるシロキサン系ポリマーハイブリッド材料の合成と物性を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
有機-無機ハイブリッド材料を調製するには、有機成分や無機成分の構造設計や官能基の導入が必要になる。官能基の導入が困難な無機ナノ材料について、簡便に官能基を導入し、有機-無機ナノハイブリッド材料を調製する方法に特長がある。
新技術の特徴
・低相溶性材料の溶解性改善技術
・ナノハイブリッド材料の調製技術
・簡便な方法による官能基の導入技術
想定される用途
・光吸収性材料
・気体分離材料
・耐熱性多孔性材料
関連情報
・展示品あり(白金ナノ粒子を分散した水溶液)
- 材料
2)新規な光塩基発生剤および光潜在性チオールの開発 ~UV硬化材料の高感度化と硬化不良対策~
東京理科大学 理工学部 工業化学科 准教授 有光 晃二
新技術の概要
これまでのチオール/エン硬化系は樹脂の保存安定性が悪く、硬化させる直前にチオール化合物を添加しなければならなかった。そこで本研究では、チオール化合物を光潜在化し、光照射によりはじめてチオール化合物を発生させることに成功した。これにより1液で保存可能なチオール/エン反応型のUV硬化材料が実現した。さらに、アウトガスの発生を伴わず高効率で強塩基を発生する新規な光塩基発生剤を開発し、これまで困難とされていた高感度アニオンUV硬化系の構築に成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来のチオール/エン硬化系はチオール化合物とアクリレート樹脂を別々に保存し、使用する直前に混合しなければならなかったが、本発明の光潜在性チオールを用いることにより1液で保存し使用することが可能になった。さらに、これまでの光による強塩基発生反応ではアウトガスの発生を伴い、UV硬化材料への応用が限定されていたが、本発明の光塩基発生剤を利用するとアウトガスが発生しないアニオンUV硬化系が実現する。
新技術の特徴
・光で塩基触媒を発生させる為、従来の酸触媒のような腐食の問題を回避できる。
・揮発生成分を副生しないため、ボイドの無い硬化物を得ることができる。
・光の作用で初めてチオール化合物を発生するため、1液で保存できるチオール/エン型UV硬化材料を提供する。
想定される用途
・エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの硬化触媒
・接着剤、シール剤、封止剤への用途
・塗料、インキなど
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
3)表面・界面制御による機能性ダイヤモンドの創製
東京理科大学 理工学部 工業化学科 助教 近藤 剛史
新技術の概要
ダイヤモンドの表面ナノ構造制御および表面化学修飾などの技術を駆使し、高感度電気化学センサー、固体酸触媒、電気二重層キャパシタなどの機能性材料への応用を目指しています。
従来技術・競合技術との比較
ダイヤモンドは物理的・化学的に極めて安定な材料であるため、従来材料と比較して耐久性に優れた多孔質材料や、感度に優れた電気化学センサー、電位相の広い電気二重層キャパシタなどを作製することができます。
新技術の特徴
・共有結合によりダイヤモンド表面に機能性分子を固定化させることができます。
・比表面積の大きなダイヤモンド材料を提供できます。
・導電材料としてダイヤモンドを広く利用できます。
想定される用途
・高感度電気化学センサー等、各種電極材料
・固体酸触媒、触媒担体
・吸着・分離などに用いる多孔質材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- 製造技術
4)ガス化プロセスによるバイオマス資源からの燃料製造
東京理科大学 理工学部 経営工学科 教授 堂脇 清志
新技術の概要
バイオマスガス化プロセスの1つであるBlue Towerプロセスにより、これまで高効率水素製造システムを確立してきたが、さらに、合成ガスの特性から、低圧下でのメタノール合成の可能性もあり、分散型システムの特性を生かした開発を行う。
従来技術・競合技術との比較
メタノール合成は、これまで合成温度250℃、数MPaで製造されており、その他のパスとして、CO2固定化を目途した合成方法もある。また、バイオマスについても部分酸化や熱分解方式、あるいはメタン発酵等のプロセスがあるが、最終的にはCO2排出原単位のより低い製造方法を目指す
新技術の特徴
・バイオマスをからのガス化により、合成ガスのH2:CO=2:1の触媒による調整を行う。
・プラント全体の熱バランスを勘案したシステム開発を行う。
・低圧・多段システムによる合成方法を検討する。
想定される用途
・自動車用燃料
・ポータブル用燃料電池としての燃料
・DME(ジメチルエーテル)合成への原料
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
5)界面化学的手法を用いたナノ形態制御機能性材料の開発
東京理科大学 理工学部 工業化学科 教授 酒井 秀樹
新技術の概要
界面活性剤が形成するナノメータースケールで構造制御された分子集合体を鋳型とした、シリカ・チタニアを壁材とするナノポーラス粒子、中空粒子、コアシェル型粒子、ナノチューブなどの調製法とその応用について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
界面活性剤が形成する分子集合体を「自己組織化触媒」として用いることにより、様々な形態のナノ組織構造をシリカ・チタニアなどの金属酸化物に転写することが可能となります。
新技術の特徴
・高い吸着能と光触媒活性能を兼ね備えたアナターゼ結晶性ナノポーラス酸化チタン
・ソフトテンプレート法を利用したシリカナノ中空粒子、シリカチューブの調製
・イオン液体を溶媒とした、酸化チタンナノシート、ナノワイヤーの調製
想定される用途
・高活性高比表面積光触媒(結晶性ナノポーラス酸化チタン)
・反射防止フィルム(シリカ中空粒子)
・可視光応答光触媒(チタニア/色素融合シート)
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
6)機能性界面制御剤によるグリーンな乳化物調製
東京理科大学 総合研究機構 講師 酒井 健一
新技術の概要
機能性界面制御剤(AIM)は通常の界面活性剤(あるいは乳化剤)と異なり、共存する二相にそれぞれ親和性を有するが、いずれの相にも実質的に分子溶解することはないという両親媒性物質の総称である。本セミナーでは、AIMにより安定化を図られた乳化物の調製法について説明する。
従来技術・競合技術との比較
AIMは互いに混ざり合わない油と水の界面に独立した第三相を形成し、望まれる界面制御を最大効率(必要最少量)で実現する両親媒性物質である。すなわち、省資源、省エネルギーといった社会的要請に適った乳化物を調製するにあたり、AIMは最適な乳化剤である。
新技術の特徴
・油水界面の性質を最大効率で制御可能(省資源)
・強力な外力なくしても安定な乳化物を調製可能(省エネルギー)
・高い分散安定性、低粘度など付加価値の高い乳化物を調製可能(高機能)
想定される用途
・乳化剤(化粧品・インク製剤・エマルション燃料)
- 材料
7)ビスマス系非鉛強誘電体セラミックスの圧電ハイパワー特性
東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 講師 永田 肇
新技術の概要
本技術は、超音波デバイスなどの圧電ハイパワーデバイスに用いられている圧電材料を、現在の主流である鉛系圧電セラミックスから環境にやさしいビスマス系非鉛圧電セラミックスで実現しようとするものである。
従来技術・競合技術との比較
本技術で提案するビスマス系非鉛圧電セラミックスは、現行の鉛系圧電セラミックスに比べて、ハイパワー駆動時の機械的品質係数の低下が抑えられているため、発熱が小さく、共振周波数変動が小さいなどの特長をもつ。
新技術の特徴
・周波数追従回路が不要
・高温動作可能(~400℃)
・大きな振動速度が発生可能(~3 m/sec)
想定される用途
・周波数追従回路が不要な超音波モータや超音波発生素子
・高温下でも使用可能な超音波センサー素子
・大きな振動速度を必要とする超音波素子(例えば超音波カッター)
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
- 材料
8)コンビナトリアル科学技術を利用した多元系機能性材料の高速探索
東京理科大学 理工学部 工業化学科 講師 藤本 憲次郎
新技術の概要
電池材料、環境浄化材料、熱電変換材料などの新物質探索において、従来の材料探索スピードを凌駕したコンビナトリアル材料科学技術は今後の多元系機能性材料の探索競争において必要不可欠になります。我々は世界に先駆けて湿式プロセスに基づいた粉末・薄膜ライブラリーの高速合成・評価する装置開発を進めており、エネルギー材料の探索では成果が現れています。
従来技術・競合技術との比較
機能性材料の探索において扱う元素が増えるにつれて、合成のパラメータは指数関数的に増大します。我々の技術は合成プロセスおよび評価プロセスを自動化し、膨大なデータから新規機能性候補材料を見出すまでのスピードを迅速化させています。
新技術の特徴
・堆積させたい物質の噴霧面積・形態を自在に制御できる静電噴霧装置
・材料探索の高速化
・材料探索のコストダウン
想定される用途
・セラミックス材料の高速探索(多元系エネルギー・環境材料など)
・電解液、めっき液など液体試料のライブラリー作製
・塗料や建築材料などの探索ツール
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京理科大学 科学技術交流センター
TEL:03-5225-1089FAX:03-5225-1265Mail:tloadmin.tus.ac.jp
URL:http://www.tus.ac.jp/tlo/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp