山梨大学 新技術説明会
日時:2012年12月14日(金)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 計測
1)空気、ガス、液体の温度分布の非接触3次元計測技術
山梨大学 工学部 機械工学科 助教 舩谷 俊平
新技術の概要
省エネ機器等の開発において有用な、気流温度分布の3次元可視化計測を行う計測システムの提案です。グリコール系溶剤を用いて蛍光染料を溶解・噴霧し、この雰囲気中にレーザーを照射することで温度分布を可視化することができます。
従来技術・競合技術との比較
従来技術の場合、温度計測範囲が常温?千数百度と広いものの、温度計測精度があまり高くありません(数℃の誤差)。また、数千万円の装置を必要とします。本技術では、温度計測誤差が従来技術の数分の一で、装置の価格も1/100以下となります。
新技術の特徴
・気流の温度分布を簡易に可視化計測できる
・低価格なダイオードレーザーを用いることができ、可視化計測装置の低価格化を実現
・PIV計測法による速度分布の計測も可能であり、従来品よりも低価格
想定される用途
・自動車、自動車部品等の性能評価
・各種プラント、配管内の温度分布、速度分布計測
・空調機器等の性能評価
- 機械
2)布を用いた小型軽量ERFアクチュエータの開発
山梨大学 工学部 情報メカトロニクス工学科 助教 丹沢 勉
新技術の概要
ERFアクチュエータに布を用い、布の目の粗さ、電極表面の粗さと電極素材に着目した。これらと抵抗力の関係について実証実験を行った結果、従来よりも大きな抵抗力を発生させることができた。
従来技術・競合技術との比較
従来のERFアクチュエータは二重円筒の構造が多く、大きい力を得るためには装置が大きく、重くなってしまった。本技術では布を用い、布の目を通って構成されたER粒子のクラスタを切断する力を用い、かつ、電極表面を工夫することにより、小型で軽量で大きな力を発生することができた。
新技術の特徴
・抵抗力の制御
・安全・受動アクチュエータ
・小型・軽量・構想が簡単
想定される用途
・バーチャルグローブ
・アクティブダンパー
・ロボット制御
- 医療・福祉
3)音響信号によるヘルスモニタリング装置(病変、欠陥、故障診断支援システム)
山梨大学 総合分析実験センター 助教 鈴木 裕
新技術の概要
医療では古くより聴診が用いられているが、これを代替する、もしくは支援するシステムが求められている。本発表では主に腎不全患者の内シャントの血流音による血管狭窄診断支援装置について紹介する。また。工業分野においての欠陥・故障診断への適用例を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
熟練者による診断は未だに医療・工業分野等で広く行われている。そのいくつかについてはセンシング技術と信号処理による解析が行われているが、個々の分析に留まっている。本研究では機械学習を取り入れ包括的にデータを分析する手法を用いており、その応用範囲は広い。
新技術の特徴
・時系列信号による病変診断(生体音、心電図、胃電図等、脳波、血圧変動等)
・時系列信号による欠陥・故障診断(振動、回転運動、摺動信号等)
・熟練者の判断に頼っている品質診断
想定される用途
・生体音による病変診断
・異音による欠陥診断
・異音による故障診断
- 材料
4)環境負荷の少ない酸化物の新規低温窒化手法
山梨大学 クリスタル科学研究センター 助教 三浦 章
新技術の概要
250℃程度の低温で酸化物を窒化する新規手法である。ナトリウムアミドをフラックスとして用いることで、毒性のあるアンモニアガスの使用量を最小限に抑えられ、毒性の強い有機溶媒の使用もなく、低温で酸窒化物及び窒化物のナノ結晶が得られる。
従来技術・競合技術との比較
これまでの酸窒化物や窒化物の合成には、500℃以上の高温や毒性のあるアンモニアガスや有機溶媒の使用、また反応性の高い塩化物等を用いる必要があった。本技術では、ナトリウムアミドを用いることで、低温で毒性の物質の使用を最小限に抑えた酸化物の窒化を可能にする。
新技術の特徴
・酸窒化物及び窒化物ナノ粉末の合成
・光触媒、磁性材料、電波吸収材量などの機能性材料
・酸化物の表面窒化処理
想定される用途
・高結晶性III族窒化物粉末
・遷移金属酸窒化物及び窒化物粉末
・酸窒化物蛍光体
- 材料
5)熱電変換材料の高効率化へのアプローチ -イオン引き抜きと還元による原子価制御-
山梨大学 クリーンエネルギー研究センター 教授 入江 寛
新技術の概要
タングステンブロンズ型酸化物やスピネル型酸化物材料を熱電素子材料として開発を行った。還元処理条件を制御することおよび構成金属イオンを引き抜くことで、熱電素子として良好な熱電特性が得られた。
従来技術・競合技術との比較
従来では強誘電体として用いられてきたタングステンブロンズ型材料の還元処理を行うことによって熱電特性を向上したこと、また多結晶体を用いることにより中低温域100?200℃での使用の可能性を見出したこと従来にない新しい技術である。
新技術の特徴
・還元処理による物性向上
・金属イオン引く抜きによる物性向上
想定される用途
・熱電変換材料
・導電材料
・誘電体材料
- 材料
6)n型シリコン単結晶の低コスト化を目指した単結晶育成技術の開発
山梨大学 クリスタル科学研究センター 准教授 綿打 敏司
新技術の概要
n型シリコン単結晶の育成過程でのコスト削減を目指した技術。偏析係数の小さなドーパントでも均一に固溶させた長尺単結晶を育成することが原理的に可能な帯域溶融法の特長を生かした技術。育成単結晶の大口径化を目指した技術。
従来技術・競合技術との比較
現在主流の引き上げ法では、均一組成のn型シリコンの長尺単結晶を育成することができない。これは、同法では偏析制御が難しいためである。本技術は、偏析制御が可能な帯域溶融法の特長を生かし、その工業化を目指したものである。
新技術の特徴
・偏析制御が可能で坩堝がいらない単結晶育成技術
・赤外線を吸収し、共存可能な液相線が存在すればほぼ単結晶化可能な育成技術
・加熱溶融する体積が小さな単結晶育成技術
想定される用途
・n型シリコンなどの半導体単結晶の育成
・偏析制御が必要な機能性結晶材料の工業化
・単結晶育成に高価な坩堝材等を必要とする結晶材料の低コスト化
- デバイス・装置
7)炭酸ガスレーザー超音速噴霧法によるポリマー微粒子の作製
山梨大学 工学部 応用化学科 教授 鈴木 章泰
新技術の概要
超音速流中で炭酸ガスレーザーを繊維に照射することで、ポリマー微粒子を作製できる炭酸ガスレーザー超音速噴霧法を開発した。本方法は、溶剤などを含まず、真球度の高いポリマー微粒子を効率良く作製できる新規な方法である。
従来技術・競合技術との比較
微粒子製造方法にはポリマー重合や粉砕法がある。前者は生成された微粒子から溶剤等を完全に除くことが困難であり、後者は真球度の低い微粒子しか生成できず、その生成効率は低い。一方、本方法は溶剤を使用せずに、真球度の高い微粒子を効率良く作製できる。
新技術の特徴
・微粒子作製に溶剤を使用しないため、微粒子および作業環境の安全性は高い。
・本方法はブレイクダウン法であるが、微粒子の真球度は高い。
・本方法は、ほとんどの熱可塑性高分子に適用できる。
想定される用途
・薬物送達システム(DDS)や検査・診断などの医療材料
・化粧品
・電子・情報産業
関連情報
・展示品あり(作製した微粒子をサンプル瓶に入れて展示予定)
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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