首都圏北部4大学発 新技術説明会(1)
日時:2013年06月06日(木)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 製造技術
1)アクロマティック軸対称波長板とその軸対称偏光ビームの発生技術
宇都宮大学 オプティクス教育研究センター 教授 大谷 幸利
新技術の概要
現在まで、軸対称偏光子は様々方式が提案されているが、軸対称波長板の提案数は極めて少ない。本技術は、軸対称波長板、特に波長依存性のない軸対称波長板である。フレネルロムを光軸方向に回転させたすり鉢状の光学素子を2つ向かい合わせることによって、同軸の軸対称波長板を構成している。
従来技術・競合技術との比較
従来の技術は、高価な半導体プロセスによる製造技術や液晶変調器等が用いられていた。そのため波長依存性があリ、特定の波長しか使うことが出来なかった。これに対して、本技術は、波長の依存性がほとんどなく、可視光からテラヘルツまで広範囲に用いることが出来る軸対称位相板である。また、製造も機械加工で済み安価に大量生産が可能となる。
新技術の特徴
・アクロマティック軸対称位相板
・軸対称偏光ビームの発生
想定される用途
・光ピンセット、光トラッピング
・レーザー加工装置
・共焦点顕微ラマン装置など超解像顕微鏡技術、偏光解析技術
関連情報
・サンプルの提供可能、展示品あり
・外国出願特許あり
- 製造技術
2)土壌中の重金属分析装置の開発
群馬大学 理工学研究院 環境創生部門 准教授 森 勝伸
新技術の概要
重金属を含む土壌試料の洗浄、土壌試料からの重金属の抽出及び分析を連続的に行うことができる重金属分析装置及び重金属の分析方法を提供するものである。
従来技術・競合技術との比較
公定法は回分式で行うため、試料を他の容器に移すとき試料の汚染が生じやすい。また、従来の自動分析装置は、オンラインで抽出から分析を行う方法になっているものがなかった。本発明はこれらの問題を解決した方法として従来技術とは競合しないものと言える。
新技術の特徴
・少量の測定試料量、少量の抽出試薬において重金属を抽出し分析できる
・抽出から分析までオンラインであるため、試料の汚染がほとんどない
・扱える試料は土壌以外に、焼却灰、畜産廃棄物、食物等の固体試料にも対応可能である
想定される用途
・土壌汚染対策法で施行されている溶出試験法及び含有試験法への導入
・食品、焼却灰、土壌等に含まれる放射性セシウムの抽出、回収、測定
・工業用樹脂の不純物(共存重金属)の測定、品質管理等
- 製造技術
3)ベクトル波の性質を利用した並列アクセス体積光メモリシステム
宇都宮大学 大学院工学研究科 学際先端システム学専攻 助教 茨田 大輔
新技術の概要
光はベクトル波であるため、二つの独立したスカラー波の重ね合わせ表現することが可能である。そのベクトル波に含まれる情報を体積的に記録可能にした。その記録技術よって、アクセス速度と記憶容量の向上が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
CD、DVD、ブルーレイディスクのような従来の光メモリはのアクセス速度と記憶容量の向上の方法として、ホログラフィックメモリが期待されているが、本技術はそれに対してさらにアクセス速度と記憶容量の向上が期待できるものである。
新技術の特徴
・光波の二ベクトル成分を記録する情報に応じて独立に空間的変調
・光波の二ベクトル成分に含まれる情報を同時記録
・偏光感受性記録媒体を用いた光情報記録
想定される用途
・光メモリシステム
・光学異方性を有するサンプルを対象とした、光計測装置
・セキュリティ偏光ホログラム
- 製造技術
4)大気圧低温プラズマによる表面改質と最新応用技術
群馬大学 理工学研究院 環境創生部門 教授 黒田 真一
新技術の概要
近年になって大気圧下で低温のプラズマを発生させる技術が進んでいる。我々も独自に大気圧低温プラズマ発生装置を開発し、プラスチックや金属の表面改質、各種コーティング、さらには殺菌などに応用展開を図っている。
従来技術・競合技術との比較
プラズマを用いた表面改質技術は、環境負荷が少ないクリーンなドライプロセスであるが、従来は真空を必要とし、設備費が高額になり、被処理体の大きさや形状にも制限があった。大気圧低温プラズマは、低コストで処理の自由度が大きいのが特徴である。
新技術の特徴
・FPD等の大型画面や太陽電池パネル等のピンポイント処理
・ナノ金属粒子の低温焼結
・香辛料などの食品および食品容器の殺菌
想定される用途
・プラスチック・ゴムの表面処理、CVDコーティング
・金属材料表面のクリーニング(溶接・はんだ付けの前処理)
・金属材料へのDLC等のコーティング
関連情報
・受託処理可能、デモ機あり
・展示品あり(市販化装置(デモ機)の展示)
・外国出願特許あり
- 製造技術
5)広い波長帯域の偏光解析用の簡便高精度光学系
宇都宮大学 オプティクス教育研究センター コーディネータ/客員教授 小野 明
新技術の概要
材料歪み計測、環境計測等には広い波長帯域の偏光解析は欠かせない。そこで複屈折特性を持つ結晶方位に沿って台形に切り出した水晶片とダブルライン光センサと回折格子からなる簡便で高精度の解析光学系を発明した。
従来技術・競合技術との比較
回折格子で分光した被解析光を結晶で作られた2つのプリズムを張り合わせたウォラストンプリズム等でP成分の偏光とS成分の偏光に分離する。それぞれの偏光を2つのラインセンサで検出する。部品点数が多く、相互の精密な位置合わせが必要となる。
新技術の特徴
・高い精度の偏光解析が可能である
・部品点数が少なく小型化できる
・ほとんど部品間の精密調整が要らない
想定される用途
・目の網膜三次元断層映像法に本発明を導入すると緑内障、加齢黄斑の早期発見が可能となる
・材料の歪測定等材料の特性測定が簡便に行える
・植生や環境汚染度用の偏光解析装置をポータブルかつ堅固にすることができる
関連情報
・外国出願特許あり
- 情報
6)クラウド・ストレージ・サービス向け情報セキュリティ技術
茨城大学 工学部 情報工学領域 教授 黒澤 馨
新技術の概要
キーワード検索機能を有するクラウド保管サービスにおいて、サーバがファイルを改ざん、削除等した場合、クライアントがそれを検出できる手法を開発した。各ファイル、キーワードを共に暗号化するシステムにも対応化。
従来技術・競合技術との比較
ファイル、キーワードを共に暗号化したままキーワード検索を行う方式(検索暗号システム)は知られている。しかし、暗号化する、しないにかかわらず、サーバの不正を検出できる方法は知られていない。
新技術の特徴
・キーワード検索においてサーバの不正を検出できる
・どのような検索暗号システムにも適用化
・デジタル署名を利用すれば裁判での証拠能力も有する
想定される用途
・有料オプションとして既存のストレージサービスに組み込む
・自治体クラウド
・Webメール・サービス
- 情報
7)写真を下敷きにして描いたスケッチに自動的に彩色するシステム
宇都宮大学 大学院工学研究科 情報システム科学専攻 教授 東海林 健二
新技術の概要
カラー写真等の参照画像を下敷きにしてユーザが描いた線画に自動的に彩色する線画彩色手法を提案する。これにより、絵画の初心者でも非常に短時間で絵を完成させることができる手書き線画彩色システムを実現できる。
従来技術・競合技術との比較
写真を絵画風に自動変換する画像エフェクトを利用すると、誰でも絵画風画像を短時間で作ることができる。しかし、その絵画風画像にはユーザの個性はない。一方、提案手法による彩色線画はユーザの個性が表れた作品とみなすことができる。
新技術の特徴
・彩色原理の簡単さ
・稚拙な線画でも完成度の高い絵が得られる点
・線画は、参照カラー画像を下敷きに描かれたものである必要はない点
想定される用途
・絵手紙制作
・美術教育での教材
・抽象的な線画と風景写真等の組み合わせで、テキスタイルデザインも可能
関連情報
・当日、デモシステムを利用可能
- 情報
8)時間と共に変動する雑音にも効果的な音声強調手法
埼玉大学 大学院理工学研究科 数理電子情報部門 教授 島村 徹也
新技術の概要
周波数の領域で音声スペクトルは振幅スペクトルと位相スペクトルに分解できる。このとき、振幅スペクトルは一般化されたガンマ分布に従うと仮定すると、音声強調のためのフィルタ設計がより正確となり、従来にはできなかった時変雑音環境下でのスムーズな音声強調を実現できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、音声スペクトルはガウス分布に従うと仮定されていたが、これは不正確である。より実際の音声に近いモデルとしてガンマ分布を見出し、それを利用することで、音声強調の精度を大幅に改善する。また、ガンマ分布を2次元に拡張し、一般化することで、確率的に最適な音声強調手法を与える。
新技術の特徴
・出力が雑音低減された自然の音に聞こえる
・各種雑音に適用可能
・リアルタイム処理も可能
想定される用途
・各種雑音処理系
・計測のための雑音低減フィルタ
・セキュリティ・認識システム
- 情報
9)真の強化現実の実現に向けて
宇都宮大学 工学研究科 情報システム科学専攻 准教授 青木 恭太
新技術の概要
強化現実の多くの提案では現実を映した映像上に情報提示を行っている。本発明は、現実世界に直接情報提示を行うことで、その環境に属しているなんら情報処理機器を持たないすべての参加者に認識可能な情報提示を行う。
従来技術・競合技術との比較
対象物に実マークを記入する技術は、実世界の対象物を実際に改変しており、AR(強化現実)ではなく、実対象物の変更である。本技術の影響は軽微であり、マーク照射を停止すれば、それ以前の状態に実世界は復する真のARである。
新技術の特徴
・何らの機器を保持しない共同作業者にも認識可能な強化現実の実現
・対象物にほとんど影響を与えない(汚損しない)
・ヘルメットい組み込める程度の軽量小型装置による実現可能性
想定される用途
・金属加工における対象物追跡・記録・指示
・複数人作業者による組み立て作業における対象物指示
・博物館などの自動案内解説システム
関連情報
・展示品あり(模擬実験映像(予定))
- 情報
10)携帯端末向け三次元入力インターフェース
埼玉大学 大学院理工学研究科 数理電子情報部門 准教授 小室 孝
新技術の概要
スマートフォンやタブレットなどの小型情報端末の操作性向上のため、カメラで取得した手指の動きを画像認識することにより、広い空間を用いて入力操作が可能なインターフェースシステムを開発している。
従来技術・競合技術との比較
人間の身体動作により機器を操作するジェスチャーインターフェースの開発は古くから行われているが、それらの多くは機器の遠隔操作を目的としていた。本技術は携帯機器の操作性向上が目的である点が、従来技術と異なっている。
新技術の特徴
・タッチパネルよりも広い操作空間と高い位置分解能
・手指による遮蔽(オクル―ジョン)の回避
・高フレームレートカメラによる低遅延・高応答化
想定される用途
・スマートフォンやタブレットの入力インターフェース
・カーナビや家電などの入力インターフェース
・ゲーム等のアミューズメント応用
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