炭素材料 新技術説明会
日時:2014年01月24日(金)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)竹を原料とした活性炭の製造
九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 准教授 坪田 敏樹
新技術の概要
竹からリグニンを溶出させた後、難燃剤を付与してから賦活処理を行い、活性炭を製造する技術を提案する。竹由来の微細構造をある程度保持した前駆体に、一般の薬品賦活で使用される水酸化カリウムや炭酸カリウムは使用しないこと、またこれらの薬品よりも添加量が大幅に少ない条件で難燃剤を添加する。
従来技術・競合技術との比較
使用する難燃効果剤の使用料は、水酸化カリウムや炭酸カリウムで薬品賦活する際の使用料より大幅に少なく安全である。難燃効果により収率が増加する。
想定される用途
・吸着剤
・電気化学キャパシタ電極材料
・脱臭剤
関連情報
・サンプルの提供可能(電気炉等の容量の制約で一度に作製できる量は多くはない)
・展示品あり(粉末の試料を小型の試薬瓶に入れて展示)
- 材料
2)リサイクル炭素繊維強化プラスチック原料の製造
八戸工業高等専門学校 物質工学科 教授 杉山 和夫
新技術の概要
新型飛行機の製造において、その燃費向上のために炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のような炭素複合材料が多量に使われている。同時にCFRPスクラップが多量に排出される。われわれはこのスクラップから炭素繊維を回収する技術を開発した。この繊維を用いると低価格でハイパフォーマンスなCFRPを再び製造することができ、新たなエンジニアリングプラスチックの世界が出現した。
従来技術・競合技術との比較
CFRPリサイクル技術は、これまでにもいくつか開発されているが、特別な設備が必要であることや、分離工程のコントロールが難しく、実用化には至っていない。本事業における処理法は従来の方法に比べて、樹脂の種類を選ぶことなく、高品質の炭素繊維を低コストで分離回収することが可能である。
想定される用途
・汎用エンジニアリングプラスチック
・自動車軽量化部材
・航空機内装材
関連情報
・展示品あり(プラスチック加工用ペレット)
- 材料
3)固体炭素源を用いた単結晶グラフェンの製造方法とタッチパネルへの応用
名古屋工業大学 若手研究イノベータ養成センター 未来材料創成工学専攻 テニュアトラック助教 カリタ ゴラップ
新技術の概要
固体炭素源を用いた化学気相合成(CVD)法によるグラフェンの合成で、炭素源とキャリアガスの種類、供給量を制御することによって、さらには基板配置にも工夫を加えることで、ドメイン形状が6角形状や多角形状の孤立グラフェン、複数の触媒金属粒にまたがる単一ドメインのグラフェン、および連続膜のグラフェンなど、層数制御された良質のグラフェン膜を提供することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の炭化水素ガスを用いる気体炭素源に比べ、固体炭素源を用いる本法では、大気圧CVDで簡便に良質のグラフェン単結晶の合成が可能となる。比較的大きいドメインのグラフェン連続膜の形成が可能である。
想定される用途
・タッチパネル
・ディスプレー
・太陽電池
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(サンプル品の展示)
・外国出願特許あり
- 材料
4)オートクレーブなしのナノ細孔超高圧効果による大量物質合成
信州大学 エキゾチックナノカーボンの創成と応用プロジェクト拠点 特別特任教授 金子 克美
新技術の概要
活性炭あるいはナノチューブなどのナノ細孔空間が分子に対してもつ数万気圧圧縮効果を利用すると、本来オートクレーブによる高圧反応が必要な物質創製を、大気圧以下で行うことができる。予めナノ細孔に反応物を導入し、所定の時間あるいは温度にすることで高圧反応生成物の結晶核をナノ細孔中に創製し、その結晶核を利用して大量に目的とする物質を得ることができる。
従来技術・競合技術との比較
オートクレーブを用いる高圧反応は反応収率の向上、反応速度の向上などのために広く利用されている。反応温度上昇のエネルギーだけでなく、高圧に用するエネルギーさらには耐高圧に対する安全対策、オートクレーブのための余剰スペースなどの課題を全て解決できる。
想定される用途
・特殊な薬の製造
・極めて有用な物質の製造
・人工宝石の製造
関連情報
・展示品あり
- 材料
5)自己穿孔リベットによるCFRP同士またはCFRPと金属との低コストかつ瞬間的な機械的接合法
日本大学 理工学部 機械工学科 専任講師 上田 政人
新技術の概要
繊維強化プラスチック(FRP)は金属と比較して軽量でありながら強く、また、腐食しない材料であるため、様々な分野で使用されている。特に、自動車産業においては、軽量化のために金属からFRPへの材料置換が進められている。しかしながら、金属におけるスポット溶接のように簡易かつ短時間で接合する方法が存在しないことが問題となっている。そこで、FRP用の低コストかつ瞬間的な接合方法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
CFRPは優れた強度と軽量性を併せ持つ素材であるが、スポット溶接のような簡易かつ短時間な接合法がないことが、材料置換を妨げている要因である。航空機では既に接着と穴あけ加工後のリベット接合が用いられているが、生産性を重視する自動車産業には不向きである。
想定される用途
・FRPを使用するすべての分野(自動車、航空機、鉄道車両、船舶、土木建築、生活用品)
関連情報
・試作での接合可能
・展示品あり(CFRPとCFRPの接合(一か所接合と二か所接合)、CFRPと鋼板の接合(一か所接合))
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
九州工業大学 産学連携推進センター 助教(専門職) 荻原 康幸
TEL:093-884-3485Mail:ogihara-yccr.kyutech.ac.jp
八戸工業高等専門学校 総務課 地域連携係
TEL:0178-27-7239Mail:renkei-ohachinohe-ct.ac.jp
URL:http://www.hachinohe-ct.ac.jp/
信州大学 研究推進部 産学官地域連携課
TEL:0263-37-2099Mail:ken-suishinshu-u.ac.jp
URL:http://www.shinshu-u.ac.jp/cooperation/
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〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
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