東京電機大学 新技術説明会
日時:2013年10月11日(金)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 情報
1)セキュリティクラウドを用いたディザスタリカバリ技術
東京電機大学 情報環境学部 情報環境学科 教授 宮保 憲治
新技術の概要
高速ストリーム暗号化技術とファイルの空間的攪拌技術を用い、重要データファイルを複数の断片に分割し、断片を異なるクラウドへ異なる暗号キーで暗号化後に超分散転送し、重要データの破損時には高速復元可能なファイルバックアップ技術。
従来技術・競合技術との比較
データの超分散技術と複製技術および高速暗号技術により、?可用性、?A守秘性が顕著に向上した。AESなど標準化暗号方式の組み合わせ暗号化も容易に実現でき、システムへのアドオンとしても利用可能である。
新技術の特徴
・(1) 高速暗号化と超分散ネットワークの融合技術
・(2)クラウドを有効に活用すると共にクラウドの有するセキュリティを向上させる技術
・(3)重要データを秘密の複数箇所に積極的に分散保管することにより機密性を向上させる技術
想定される用途
・(1)行政機関の重要データ保管
・(2)学習塾の映像配信や大学等教育機関の重要データ保管(データ保管サービスを行うバックアップ事業者等)
・(3)広域車両管理システムなどのリアルタイムで、かつセキュアーなデータ保管
関連情報
・試作可能
・展示品あり
- 情報
2)ソーシャルメディアなどを利用し社会的合意形成を支援するシステム
東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授 佐々木 良一
新技術の概要
複数の評価指標があり多様な関与者がいる社会的問題(たとえば情報フィルタリング問題)に対し、UstreamやTwitterなどのソーシャルメディアと最適化エンジンを用い対策案の組み合わせに関する合意形成を容易にするシステム。
従来技術・競合技術との比較
合意形成を支援するシステムは提案されているが、最適化エンジンにより求めた対策案の最適組合せに関し、ソーシャルメディアを利用しリアルタイムでの情報フィードバックを可能とした合意形成支援システムは従来ない。
新技術の特徴
・複数の評価指標と多様な関与者がいる中で対策案の組み合わせに関し効率的かつ合理的な合意形成を支援する機能
・Twitterなどによる関与者の有益な意見を自動的にリアルタイムで把握できるようにするための入力支援と機械学習機能
・短い文から有益な意見を選択するため、発言の種類などをあらかじめ設定させておきそれを利用し有益な意見を選定させる機能
想定される用途
・討論番組などでの有益な意見の自動的収集
・行政の施策に関するタウンミーティングでの効率的な合意形成
- 医療・福祉
3)視覚障害者のための指先指定文字読み上げシステム
東京電機大学 未来科学部 ロボット・メカトロニクス学科 准教授 中村 明生
新技術の概要
物体表面を指でなぞり、その指先の文字のみを画像処理技術で認識して結果を音声で読み上げることにより、効率的な情報獲得を目指した視覚障害者支援システムを開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来、書籍の読み上げシステムや看板上の文字の読み上げシステムなどが提案されてきた。しかし、それらのシステムは必要のない文字情報を読み上げる・様々な文字が混在する場合に認識精度が下がるといった問題があった。
新技術の特徴
・文字認識をする部分を指先で限定可能、冗長な文字認識処理を排除
想定される用途
・視覚障害者が物品判別・認識できる
・視覚障害者が通常の資料・書籍等を閲覧できる
・視覚障害者が環境中のサインボード・ボタン配置などを認識できる
- 情報
4)暗号鍵を装置の中に閉じ込め暗号文だけで認証する認証装置
東京電機大学 情報環境学部 情報環境学科 教授 鈴木 秀一
新技術の概要
情報セキュリティの問題の多くは、ネットワークを流れる通信内容にリアルタイムに署名を付けることが出来れば解決する。しかし現実にはそうなっていない。これは暗号の鍵がウィルスなどによって盗まれれば暗号は無効であるため、公開鍵暗号によるデジタル署名がリアルタイムに実行できないためである。本発明はこの問題を解決するためになされた。暗号鍵を装置の中に閉じこめ、暗号文だけで認証する装置を発明した。
従来技術・競合技術との比較
従来技術はサーバー内部に暗号鍵を保存するため、サイバー攻撃やウィルス感染によって暗号鍵が流出する。そのため「なりすまし」の可能性を排除できない。本発明はこの問題を解決できる上、不特定多数のユーザー間の通信に使用でき、世界中のユーザーが同時に使用してもネットワークに負担が架からず、高速な秘密鍵暗号を使用するのでリアルタイムに全ての通信を認証できる。暗号は何でも良く、例えばAESを用いても実現できる。
新技術の特徴
・サイバー攻撃によって暗号鍵を盗むことが出来ない
・不特定多数のユーザー間で認証が出来る
・世界中で使用してもネットワークに負担が架からない
想定される用途
・パソコン、スマフォのセキュリティ装置
・安全なクレジットカード
・世界的に使用する認証カード
- エネルギー
5)洋上風力発電に最適な複数台風力発電機の新しい相互接続法
東京電機大学 工学部 電気電子工学科 教授 西方 正司
新技術の概要
風力発電機の相互接続法として直列接続方式が提案されているが、風車台数が増加するとシステム各部の電圧が上昇する難点がある。本技術はシステム各部の電圧上昇を抑制しつつ、出力容量を増加できる風力発電システムを提供する。
従来技術・競合技術との比較
直列接続方式の風力発電システムは多くの長所をもつが、発電機台数が増加するとシステム各部の対地電圧が上昇するので、絶縁に対する配慮が必要となる。本技術の採用により、複数台風車を直列接続する場合のシステム各部の電圧上昇を抑制できる、信頼性の高い風力発電システムが構成できる。
新技術の特徴
・再生可能エネルギーを有効利用できるハイブリッド発電方式を構成できる
・低コスト、長寿命で高い信頼性を有する大規模ウインドファームが実現できる
・高次高調波除去用のフィルタを用いずに高品質の電気出力が得られる
想定される用途
・大規模風力発電システム(ウインドファーム)
・洋上風力発電
・任意の出力電力が得られるハイブリッド風力発電
- エネルギー
6)高調波注入方式による24ステップ三相電圧形インバータ
東京電機大学 工学部 電気電子工学科 教授 枡川 重男
新技術の概要
6ステップインバータに簡単な補助回路を追加して、インバータの出力端に設けた三相千鳥巻線変圧器の中性点に、補助回路から凸形交流電圧を注入すると、6ステップインバータの出力電圧は24ステップに改善できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の24ステップインバータでは、三相インバータと三相変圧器を4組必要とする。しかし、本方式は三相インバータ1台、ハーフブリッジNPCインバータ、三相千鳥巻線変圧器だけで、従来方式と同等な波形改善ができる。
新技術の特徴
・航空機用電源
・精錬所の電源(アルミなど)
想定される用途
・分散電源
・電池電力貯蔵システム
・再生可能エネルギーの出力平準化回路
- 医療・福祉
7)再生医療における3次元Scaffold作製技術、輸送用デバイス、毛細血管構築技術
東京電機大学 理工学部 理工学科電子・機械工学系 教授 舟久保 昭夫
新技術の概要
再生医療の一般化および進展のためには、工学技術によるサポートが必要不可欠である。3次元組織再生に必要な3次元足場(Scaffold)作製技術、細胞を安全に輸送するための輸送デバイス、3次元組織再生に必要不可欠な足場内への毛細血管構築技術などを紹介する。
従来技術・競合技術との比較
電界の中でナノファイバーを方向性を持たせて噴射し、3次元scaffoldを作製する技術、2層の液体中に細胞を保持する輸送方法、3次元足場で必要となる毛細血管網の構築を行う技術は見当たらない。
新技術の特徴
・ナノファイバーで3次元構造物を作製できる。中空のものを作製できる。3次元構造が必要なフィルターなどに応用可能
・酸素と栄養成分を同時に与えながらの細胞や生物の保管、輸送ができる
想定される用途
・再生医療分野、医用機器分野、フィルターなどを必要とする化学分野など
・細胞、組織の保持、輸送
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
- エネルギー
8)低環境負荷型発光性シリコンナノ粒子の開発
東京電機大学 工学部 電気電子工学科 教授 平栗 健二
新技術の概要
発光性シリコンナノ粒子の簡易合成方法の開発に成功した。さらに試料の安定化、磁気特性の付与、溶液分散性の向上、生体安定性の確保などの技術的展開を図った。
従来技術・競合技術との比較
シリコンナノ粒子は、原料にシリコンの単一元素を用いて合成できるので、従来の化合物半導体に比較して地球に優しい発光材料である。作製方法も極めて容易であり、次世代の発光材料として、工業分野から医療分野まで幅広く期待されている。
新技術の特徴
・低環境負荷発光材料
・医療用流動トレース材料
・広帯域光吸収材料
想定される用途
・発光デバイス
・太陽電池
・光-熱変換素子
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
- 医療・福祉
9)皮膚保湿に関与する酵素、カスパーゼ14の合成促進剤
東京電機大学 理工学部 理工学科生命理工学系 准教授 長原 礼宗
新技術の概要
表皮の天然保湿因子である、アミノ酸はタンパク質であるフィラグリン前駆体が分解されることにより生じる。今回フィラグリン前駆体を分解する酵素、カスパーゼ14の発現を増大させるスフィンゴイド骨格含有化合物を見出した。
従来技術・競合技術との比較
従来の皮膚保湿法である保湿成分の一部補給では効果は一時的であるが、細胞内に容易に取り込まれるスフィンゴイド骨格含有化合物類を用いてカスパーゼ14を合成促進させることは永続的に皮膚の保湿機能を改善させることができる。
新技術の特徴
・永続的な皮膚の保湿機能改善に寄与する
・肌、細胞へ浸透しやすい性質をもつ
・他の保湿成分と混ぜて使いやすい
想定される用途
・皮膚保湿クリーム
・にきび、アトピー、乾癬などの皮膚疾患治療剤
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京電機大学 研究推進社会連携センター (産官学交流センター)
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