関西大学・中央大学 新技術説明会
日時:2013年11月19日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 機械
1)多様な形状をした物体を把持できる真空吸着グリッパの開発
関西大学 システム理工学部 機械工学科 助教 高橋 智一
新技術の概要
1つのグリッパにより様々な形状・姿勢をした物体を把持する。 吸盤をもつ柔軟な構造により、物体に倣って吸着できる。 グリッパの構造および吸脱着の制御が単純である。
従来技術・競合技術との比較
真空吸着グリッパに比べ、外気を吸うことなく吸着でき、ごみによる吸着力低下を防ぐことができる。また一般的な吸盤型グリッパに比べ吸脱着の制御がバルブ1つと単純にできる。またジャミング転移効果を用いたグリッパでは把持できなかった、グリッパよりも寸法の大きな物体でも把持できる。
新技術の特徴
・最大吸着力は34N(こぶし大のグリッパで3.5kgの物体を把持できる)と大きく、把持するときの押付力は6N(0.6kg)と比較的小さい
・曲面をもつ物体、たとえば瓶(0.8kg、曲率半径38mm)や球(0.1kg、曲率半径15mm)を把持できる
・グリッパにある吸盤のうち、一部だけを使い物体を把持できるので、段差や凹凸があっても吸着できる
想定される用途
・食品の箱詰め作業、工場内での搬送
・壁のぼりロボットによる外壁診断
・水中における物体把持、搬送
関連情報
・展示品あり(試作したグリッパ)
- 機械
2) 高出力な空気圧ゴム人工筋の開発とロボット・メカトロニクス機器への応用
中央大学 理工学部 精密機械工学科 教授 中村 太郎
新技術の概要
出力/重量比が非常に高い空気圧ゴム人工筋を開発した。本人工筋はわずか重量が100g以下で1800N(180kgf)の出力が可能である。また、本人工筋をハンドや細管内移動機構、ポンプ等様々なメカトロニクス機器への応用例も紹介する。
従来技術・競合技術との比較
空気圧ゴム人工筋として広く知られているMcKibbn型人工筋にくらべて、2倍程度の収縮率と3倍以上の収縮力を実現している。また構造上、長寿命も期待できる。また超細型形状でも高い出力を得ることができる。
新技術の特徴
・軽量かつ高出力なハンドやマニピュレータ
・工場等のシリンダの代替
・超細管内移動ロボットや蠕動運動ポンプ
想定される用途
・医療用アクチュエータ
・パワーアシスト、歩行アシストデバイス
・リハビリテーション・トレーニング
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(人工筋肉)
・外国出願特許あり
- 材料
3)セシウムをはじめとする金属イオンを吸収する有機機能性材料の開発
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 准教授 工藤 宏人
新技術の概要
t-ブチルカリックス[n]アレーン(n = 4,6,8)(Anタイプモノマー)を主鎖に有するポリマーを簡便な方法により合成する技術を確立した。また、合成したポリマーは様々な金属イオンを吸収することが判明した。
従来技術・競合技術との比較
カリックスアレーン骨格を主鎖に有するポリマーを一段階で合成する方法を初めて見出すことに成功した。無機材料とは異なり、溶解性や製膜性に優れる有機材料であり、応用範囲が広い。
新技術の特徴
・主鎖に固定された分子内空孔を有するポリマーの一段階合成法
・各種金属イオンの包接
・高透明性材料
想定される用途
・金属イオン吸着膜や透過膜
・放射能除去材料
・レアメタル回収材料
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(粉末状のポリマーとポリマーの薄膜)
- 材料
4)金属との錯形成により感光波長を調節できる光酸発生剤の開発
中央大学 理工学部 応用化学科 助教 小玉 晋太朗
新技術の概要
金属配位部位を持つ光酸発生剤を合成した。この光酸発生剤は可視光にほとんど吸収を示さず、紫外線にのみ感光するが、ルテニウムを配位させることにより可視領域に強い吸収を示すとともに、可視光照射により分解して酸を発生した。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、配位させる金属の種類を変えて一種類の光酸発生剤からさまざまな波長の光に感光する光酸発生剤を迅速に提供できる可能性を提案するものであり、光酸発生剤を都度設計し多段階工程を経て合成する従来法よりも時間とコストの削減が期待できる。
新技術の特徴
・用いる光源に合わせて光酸発生剤の感光波長を迅速に変更できる
・可視光に感光する光酸発生剤が調製可能
想定される用途
・塗料、コーティング剤、光接着剤、フォトレジストなどに利用される光開始剤
・有機合成に用いる脱保護剤
- 環境
5)メカノケミカル法を利用した多孔性金属錯体製造技術の開発
関西大学 環境都市工学部 エネルギー・環境工学科 准教授 田中 俊輔
新技術の概要
本技術では、酸化亜鉛を出発原料とし、イミダゾール類と常温・常圧で機械的に粉砕混合することで、非多孔性の酸化亜鉛を多孔性金属錯体に転換できる。副生成物は水のみであり、大量生産に適したクリーンな製造技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来技術において必要とされる有機溶媒、高温・高圧条件を必要とせず、機械的エネルギーで多孔性金属錯体の合成が可能である。多孔性金属錯体の階層構造化、コアシェル型の複合化が可能である。
新技術の特徴
・難溶性の原料を利用した多孔性金属錯体の合成
・環境負荷・コストを低減した微粒子合成
・実用化にあたり従来の装置設計、プロセス設計を適用可能
想定される用途
・吸着分離材(飽和炭化水素/オレフィンの分離)
・圧電センサ、光エネルギー変換材料
・触媒担体、電荷輸送材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- 環境
6)自己発熱機能を有する固体型CO2吸収材の構造とその作製方法
中央大学 理工学部 応用化学科 教授 大石 克嘉
新技術の概要
金属線の表面上にCO 2 吸収能をもつリチウム複合酸化物を形成させた吸収材料であり、またBTO(Built to Order)式の製造工程をもつ吸収材である。まず、吸収材の形状を決め、次にCO 2 吸収層の面積を決めてから、吸収材の作製に移行するという点が新しい技術の1つと言える。この報告では、本吸収材の構造について述べるとともに、具体的な作製方法について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来の粒子形状の吸収材料は、表面のみがCO 2 と反応(吸収)するため、内部は未反応のまま残ってしまう。また、繰り返し利用するためには、高温の電気炉中で加熱し放出する必要があった。本技術では反応性を高く保ち、放出も容易としている。また、製造工程も比較的単純である。
新技術の特徴
・下地の金属がいかなる形状をもっていても、金属表面上に金属酸化物層とCO2吸収材層を形成することが可能
・CO2吸収層が薄いため、CO2を含む混合ガスとの接触状態が非常に良い
・自己発熱型のため、CO2放出用の電気炉が不要で、電源さえあれば使用場所が限定されない
想定される用途
・常温で、低濃度(400~500 ppm)のCO2を除去する用途として、電気自動車用金属-空気バッテリー用CO2吸収材料
・火力発電所の排出口用CO2吸収材(吸収層を厚く形成させることにより)
・鉄工所の排出口用CO2吸収材(吸収層を厚く形成させることにより)
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
関西大学 社会連携部 産学官連携センター・知財センター
TEL:06-6368-1245FAX:06-6368-1247Mail:syakairenkeiml.kandai.jp
URL:http://www.kansai-u.ac.jp/renkei/
中央大学 研究支援室
TEL:03-3817-1600FAX:03-3817-1677Mail:k-shientamajs.chuo-u.ac.jp
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