くまもと発 新技術説明会
日時:2013年08月09日(金)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 機械
1)親水性素材をつかったシールシステムおよびアクチュエーションシステム
熊本大学 大学院自然科学研究科 産業創造工学専攻 教授 中西 義孝
新技術の概要
親水性素材を使うことにより水層と気相の分離を低摩擦かつ低漏れ量で実現する回転軸用シールシステムに関する技術、および油漏れなどにより環境汚染を引き起こさない水圧シリンダー開発のための基礎技術。
従来技術・競合技術との比較
同等の部品にオイルシールやメカニカルシールがある。オイルシールにおいては本来油漏れを防ぐための装置であり、水層の分離に適しておらず、またメカニカルシールには水層を分離するものもあるが、摩擦トルクが大きく、回転力を伝達するためのエネルギーロスが大きい。
新技術の特徴
・液密性に優れ、摩擦抵抗が少なく、しかも高い耐摩耗性を有するシール部材を備えた軸封装置
・気体と水系液体の分離に有効
・機械部品の防水に有効
想定される用途
・河川流や潮流発電などで利用する回転軸部分のシール(効率よくエネルギーを回収するため)
・水中に没して利用する機器の防水シール(潜水マシンの回転軸部分のシール)
・水中ブルトーザーなどのへの利用を想定したオイルレスな水圧シリンダーシステム
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(既存の製品と本技術を適用した試作品)
- 製造技術
2)大気圧成膜による高均一酸化亜鉛単結晶薄膜の形成技術
熊本大学 大学院自然科学研究科 情報電気電子工学専攻 教授 中村 有水
新技術の概要
本形成法は、大気圧成膜が可能なミストCVD法により、酸化亜鉛を用いた高効率・低コストLEDの基盤技術を供与する。さらに、新型装置では膜厚分布±5%以内の高均一成膜も実現しており、透明導電膜にも応用可能である。
従来技術・競合技術との比較
他の成膜法に比べ、ミストCVDでは大気圧で成膜できるため、格段の低コスト化が可能であるが、本形成法では、ミストCVDを用いて、高効率発光が期待される非極性面の単結晶形成や、膜厚分布の高均一化を実現した。
新技術の特徴
・大気圧で、かつ溶液を原料にして成膜できるため、装置が極めて低コストとなる
・形成される単結晶薄膜の膜厚分布が±5%以内と、大気圧成膜では極めて高均一である
・大気圧成膜では初めて、非極性面の酸化亜鉛単結晶が形成できており、高効率発光が可能である
想定される用途
・照明用発光素子(LED)
・ディスプレイ用発光素子(LED)
・透明導電膜
関連情報
・サンプルの提供可能
- 建築・土木
3)複合材料にて構成された固体物の選択的破砕法
熊本大学 パルスパワー科学研究所 准教授 浪平 隆男
新技術の概要
複合材料にて構成された固体物を、各材料の電気的性質及び音響インピーダンスの差異を利用して選択的に破砕する方法である。例えば、コンクリート塊におけるセメント部分の破壊や鋳造過程で生産される中子砂を有する鋳物における中子砂の破砕、樹脂表面に化粧された金属メッキの剥離などが挙げられる。
従来技術・競合技術との比較
現状、擦りもみや振動等、もの同士を接触させることで破壊は進められていくが、本技術では電気伝導率や絶縁破壊強度などの電気的性質や密度やインピーダンスなどの音響的性質の差異を利用して、ものの破壊や分離を行う。
新技術の特徴
・コンクリート塊からの素材分離
・樹脂表面金属メッキの剥離
想定される用途
・鋳物中の中子砂の破壊
- 電子
4)気象観測を目的とした自転制御による自律飛行体
熊本高等専門学校 情報通信エレクトロニクス工学科 教授 葉山 清輝
新技術の概要
垂直上昇・下降に特化した自律飛行体を開発する。自転式の制御を組み込むことで、機体構造の簡略化や,故障に対するフェールセーフとなる。計測対象は、特定地点・高度における温度、湿度、特定ガスや微粒子密度が考えられる。
従来技術・競合技術との比較
従来の回転翼機はプロペラの反力を打ち消して操縦性を確保していたが、地磁気センサ等を使って機体が自転したままでも姿勢制御が可能となった。この制御方法を二重反転ヘリコプターに組み込めばフェールセーフになる。
新技術の特徴
・自機がプロペラの反力で自転したままで位置制御できる独自の機体制御
・GPSによる自律飛行
・環境情報の自動計測
想定される用途
・特定地点・高度における温度、湿度、CO2、NOXなど特定ガス濃度、微粒子密度、風向の計測
・ヒートアイランド現象など特定地点上空の温度分布観測
・特定地点の気象短期予想
関連情報
・展示品あり(飛行体の小型試作機の展示)
- 材料
5)有機/無機コアシェル複合微粒子からの光散乱効果による色素増感太陽電池の光変換高効率化
熊本県産業技術センター 材料・地域資源室 研究主幹 永岡 昭二
新技術の概要
高屈折無機微粒子が表面担持されたコア・シェル型のポリマー複合粒子を調製した。これを光散乱層として、光電変換層の後部に成膜し、特性を評価した結果、光変換効率が1.9倍程度向上することが確認された。
従来技術・競合技術との比較
ナノインプリント技術による、凹凸構造による光閉じ込め技術は、金型の作製などを考慮すると最先端の半導体技術で用いられるリソグラフィ技術などを必要とし、現在のところ極めて高価になってしまう。微粒子技術は並べることができるので、高価なプロセスが不要となる。
新技術の特徴
・OLED 光取り出し材料
・化粧品
・光拡散フィルム
想定される用途
・太陽電池
・有機EL
・化粧品
関連情報
・複合微粒子を提供可能
・展示品あり
- 材料
6)酸化グラフェン-鉄フタロシアニンハイブリッド酸素還元触媒の作製
熊本大学 大学院自然科学研究科 産業創造工学専攻 助教 谷口 貴章
新技術の概要
安価で大量生産可能な酸化グラフェンと酸素還元触媒活性を有する鉄フタロシアニンを自己組織化的にハイブリッド化させることにより酸素還元触媒活性が向上し、その活性が、従来使用されている白金をベースとした酸素還元触媒に匹敵することを発見した。
従来技術・競合技術との比較
現在、固体高分子形燃料電池の空気極の触媒として白金や白金合金が用いられているが、白金は資源量も少なく高価であり、酸素還元触媒能も十分ではない。今回発見した技術を用いることで、安価かつ高い酸素還元触媒能を有した酸素還元触媒を作製できる。
新技術の特徴
・白金を使用せず、高活性な酸素還元触媒を製造することができる
・簡便な方法で大量に酸素還元触媒を製造することができる
・本技術を適用することにより、さらに低コストで酸素還元触媒を製造することができる
想定される用途
・本技術の特徴を生かすことにより、固体高分子形燃料電池のさらなる発電効率の向上が期待される
・白金を使用しない安価な固体高分子形燃料電池の製造が期待される
・自己組織化的に反応が進行する点に着目すると、ナノデバイスの材料分野への応用も期待される
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
熊本大学 マーケティング推進部 産学連携ユニット
TEL:096-342-3277FAX:096-342-3239Mail:liaisonjimu.kumamoto-u.ac.jp
URL:http://www.kumamoto-u.ac.jp/syakairenkei/sangakukan
熊本高等専門学校 総務課
TEL:096-242-6433FAX:096-242-5503Mail:sangakukumamoto-nct.ac.jp
URL:http://www.kumamoto-nct.ac.jp/
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