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九州大学 新技術説明会

日時:2013年10月08日(火)

会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • デバイス・装置

1)筐体電圧印加によるタッチパネルの雑音低減と透過率向上

九州大学 産学連携センター プロジェクト部門 教授 服部 励治

新技術の概要

本技術は、タッチセンサ付携帯型装置においてその筐体(ケース)に交流電圧を印加することにより、タッチパネル検出回路を簡略化すると共にディスプレイからの雑音による影響を低減させるものである。また、これにより今まで必要であったディスプレイとの空隙やシールド電極が不要になり、デバイスの薄型化や透過率向上に寄与する。

従来技術・競合技術との比較

自己容量式タッチパネルはパネルに触らず指を近づけるだけで認識できるホバーリング機能を持たすことが可能であるが、その為にはディスプレイとの間に透明電極を設ける必要があった。そのため透過率が低下しコストが上昇する問題があった。この技術はこれら問題を解決し、さらに検出回路の簡略化と新機能を付加することが可能となる。

新技術の特徴

・固体認識機能付きゲーム機器
・タンジブルPC
・センサー応用

想定される用途

・タブレットPC、スマートフォンなどのタッチパネル
・電子黒板、電子案内板などの大型タッチパネル
・Windows8用タッチパネル付きディスプレイ

関連情報

・デモ可能の見込み
・展示品あり(評価機を試作中)
・外国出願特許あり

  • デバイス・装置

2)ナノ磁石の多彩な物性を用いたデバイス応用の可能性

九州大学 大学院理学研究院 物理学部門 物性物理学 教授 木村 崇

新技術の概要

近年、ナノ磁石に関連する様々な物理現象が発見され、それらを用いた新奇で魅力的なデバイス応用が提案されています。講演では、スピン注入、位相同期発振、磁気渦をキーワードとした現象を紹介します。

従来技術・競合技術との比較

発振現象では、GHzを優に超える高周波発振を超小型素子で実現する技術を紹介します。スピン注入では、電気の流れを伴わないスピンの流れ純スピン流を用いたスピンデバイスを、磁気渦構造を用いた再構成可能な高周波デバイスなどを紹介します。

新技術の特徴

・マイクロ波の周波数を広範囲に制御できます
・熱を利用した発電が可能です
・再構成可能な高周波受動回路が設計できます

想定される用途

・ナノエレクトロニクス
・通信機器
・センサー

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

3)原子レベルで固溶されたFe族ナノ合金触媒

九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 触媒的物質変換研究部門 准教授 山内 美穂

新技術の概要

液相還元および水素還元によりFe、Co、Niなどの鉄族金属やその他の遷移金属が原子レベルで固溶されたナノ合金触媒を作製する技術を提供する。作製されたナノ合金触媒はアルカリ燃料電池のアノード触媒や化成品の合成触媒として活性をしめす。

従来技術・競合技術との比較

鉄族金属からなる合金触媒において、その構成原子の混合状態や粒子径を制御することが困難である。本技術では、構成金属が原子レベルでよく固溶されている鉄族ナノ合金を提供する。作製されたナノ合金は金属原子間の協同効果により単純金属触媒とは異なる触媒活性をしめす。

新技術の特徴

・白金などの貴金属を用いず、安価な鉄族金属で高い触媒性能を実現した
・触媒の粒径がナノオーダーなので、表面積が大きく、触媒効果を向上させている
・水溶性ポリマーを混合し、ナノ粒子の凝集を防いでいる

想定される用途

・燃料電池
・低級オレフィン合成
・アンモニア合成

関連情報

・試作可能
・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

4)バターオイルの非酵素的ラクトン富化技術の開発

九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 食料化学工学 教授  下田 満哉

新技術の概要

バター油脂のミルク臭は、4-又は5-ヒドロキシ脂肪酸グリセリドの加水分解とそれに続く分子内エステル化反応(ラクトン化反応)によって生成すると考えた。バター油脂の水分含量を最適化すると、自動的かつ選択的にラクトン富化が進行することを見出し、甘いミルク臭を強化するのに成功した。

従来技術・競合技術との比較

リパーゼによりヒドロキシ脂肪酸グリセリドを加水分解すると、圧倒的に多量の脂肪酸が同時に遊離する。低級脂肪酸に起因する刺激臭や、中級および高級脂肪酸に起因するワックス臭の発生が問題となる。さらに、80℃、20分間程度の熱処理により酵素の失活を行うが、それによる風味劣化も問題となる。

新技術の特徴

・非酵素的ラクトン生成反応
・香料無添加でおいしい食品の製造
・おいしいミルク風味の増強

想定される用途

・香料無添加で食品の高付加価値化を実現
・おいしいバターおよびマーガリンの製造
・風味豊かな洋菓子の原材料としての利用

関連情報

・サンプルの提供は状況により、対応可能
・外国出願特許あり

  • 製造技術

5)非共溶性混合媒体を用いた革新的高性能沸騰冷却

九州大学 大学院工学研究院 航空宇宙工学部門 宇宙システム工学 教授 大田 治彦

新技術の概要

非共溶性混合媒体の自己圧縮作用を沸騰冷却に利用することにより、?超高熱流束・?A大面積冷却・?B冷却面温度の低減・?C正圧作動による不凝縮気体の混入防止・?D沸騰開始時の冷却面温度の安定化などを同時に実現する。

従来技術・競合技術との比較

従来、限界熱流束の増大には高サブクール度設定や冷却面の化学的物理的加工等による方法しかなく、冷却システムの複雑化や長期間作動に対する信頼性低下を回避できなかった。一方、限界熱流束の大きな水では減圧作動にしないかぎり、冷却面温度の上昇を抑えられず、空気混入による凝縮阻害が生じ、さらに水では沸騰開始時の冷却面温度も不安定となる。

新技術の特徴

・沸騰冷却を適用する際に従来生じた問題点をことごとく改善できる方法である
・特定の組合せの非共溶液体を所定量加えるだけという非常に簡便な方法で沸騰性能を著しく改善できる
・密閉容器内のプール沸騰だけでなく、若干の工夫により強制流動沸騰にも適用でき、発熱体の冷却部と最終放熱部とを分離することにより広範囲の適用が可能となる点

想定される用途

・ハイブリッド自動車用などのインバータ冷却(⑤の効果も重要)
・Si半導体を使用した小型電子機器の冷却
・その他、沸騰冷却の適用対象のすべてに有効

関連情報

・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

6)リグノセルロース由来糖からL-乳酸を高効率・収率で製造する産業用乳酸菌

九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 分子微生物学・バイオマス資源化学 教授 園元 謙二

新技術の概要

自然界から分離した乳酸菌 Enterococcus mundtii QU 25株は、リグノセルロース由来の様々な糖から高効率・収率で、光学純度99.9%以上のL-乳酸を生産する産業微生物である。

従来技術・競合技術との比較

セルロースやヘミセルロースを酵素的に処理してできるC6糖やC5糖のオリゴ糖や混合糖から成る混合物を原料として、副産物がほとんど生成せず、基質阻害・生成物阻害のないL-乳酸発酵に適した産業用の乳酸菌である。これらの特性は、これまで報告されてきた優れた遺伝子組換え株や変異株を上回っており、“スーパー乳酸菌”と名付けても過言ではない。

新技術の特徴

・キシロースなどC5糖から酢酸などはほとんど生産しない
・リグノセルロース由来の混合糖・オリゴ糖を用いても発酵阻害・発酵遅延などがないため、リグノセルロースの糖化酵素が節減できる
・高濃度の基質でも発酵阻害がなく、高濃度のL-乳酸を生産できる
・高温発酵菌であり、非殺菌・繰り返し発酵ができる

想定される用途

・生分解性・循環型のプラスティックであるポリ乳酸の原料
・リグノセルロースなどの未利用バイオマスからのグリーンケミカル生産
・非殺菌・非冷却・繰り返し発酵ができるため、省エネルギー型のL-乳酸発酵

関連情報

・外国出願特許あり

  • 情報

7)音声信号の騒音、残響に対する耐性を増す:聴覚の特性を考慮したアルゴリズム

九州大学 大学院芸術工学研究院 デザイン人間科学部門 教授 中島 祥好

新技術の概要

公共空間において、さまざまなアナウンスや信号が混じりあい、聴きとりにくいことがある。しかし、個々の信号の音量を上げると、互いに邪魔になる程度も増すうえ、歪みによる音質の劣化を招く。このような悪循環を避けるために、音声の騒音に隠れやすい部分、残響下の聴きとりに役立つ部分を強調する。

従来技術・競合技術との比較

聴覚、音声コミュニケーションに関する長年の基礎研究に基づき、コストがかからず、実時間性の高いアルゴリズムを導いた。音声の自然性が損なわれないので、ユニバーサル・デザインにも適している。また、音環境を全体として改善するための技術である点が新しい。

新技術の特徴

・録音音声を加工することにより、コスト面で厳しいところにも使える
・複数の独自技術を併用することによって、さまざまな要求に対応することができる
・音声の情報圧縮にも、簡便で効率の良い手段を提供する

想定される用途

・空港、駅などにおけるアナウンス、警告信号の改善
・極限環境における音声通信技術の効率、信頼性の向上
・語学教育における独自の音声教材開発

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり(音声デモンストレーション)

  • アグリ・バイオ

8)ナノ空間の構造制御による機能化と生体適合性材料としての応用

九州大学 特定大型研究プロジェクト 先端融合医療レドックスナビ研究拠点 准教授 村田 正治

新技術の概要

ナノスケールのカプセル構造をもつタンパク質を合成することに成功した。粒径は10?50nmに制御することができ、表面修飾によって標的細胞・組織へ送り込むことが可能である。さらに内孔には造影剤や抗癌剤、タンパク質あるいは遺伝子を内包することが可能である。特にMRI造影剤を封入すると感度が10数倍に向上した。

従来技術・競合技術との比較

遺伝子操作によってアミノ酸配列の厳密な制御ができるタンパク質ベースのナノカプセルは、リポソームなど従来のDDSキャリアよりも構造制御が容易である。したがって標的細胞へ標的化が容易であり、また平均粒径も小さいため膵癌など血流の乏しい癌へも浸透可能である。さらにカプセル内部の環境を制御することにより、造影剤の感度向上等も可能である。本ナノカプセルはウイルスカプシドと違って動物実験においても毒性・免疫原性は確認されず、標的組織や癌細胞へ効果的に集積することが確認されている。

新技術の特徴

・ナノ構造と機能の厳密な制御が可能
・毒性が低く、カプセル内部の環境を制御することによって造影剤の感度向上等が可能
・タンパク質でありながら100℃の加熱にも耐えることができるためナノ触媒への展開

想定される用途

・ライフサイエンス研究分野
・診断薬の開発
・触媒化学分野

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

九州大学 産学官連携本部 知的財産グループ

TEL:092-832-2128FAX:092-832-2147
Mail:transferアットマークimaq.kyushu-u.ac.jp
URL:http://imaq.kyushu-u.ac.jp/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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