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農研機構 新技術説明会

日時:2014年03月04日(火)

会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • エネルギー

1)小型ソーラーパネルで日射量に対応した自動灌水を実現!

農研機構 近畿中国四国農業研究センター 営農・環境研究領域 主任研究員 渡邊 修一

新技術の概要

小型のソーラーパネルでモータポンプを直接駆動して、水の貯留と貯留量に応じた貯水・配水を連続的に繰り返す点滴灌水技術を開発した。本技術を用いれば日射量に対応して自動灌水が行われるため、省力的である。また、商用電源や大規模灌漑設備のない農地でも効果が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

従来、利用困難であった流量の少ない農業用水路や沢水などの小水源を有効に活用して、大面積への点滴灌水を可能にする技術である。大型のソーラーパネルとポンプ、日射センサなど、高額な機器を用いずに作物の要求量に応じた灌水が可能である。

新技術の特徴

・日射量に対応した灌水が行われるため、植物の水要求量に応じた節水的な灌水が可能である
・商用電源や大規模灌漑設備の無い農地に対する灌水による収量増加が期待できる
・自動的に灌水するため、灌水作業の省力化が図られる

想定される用途

・家庭菜園、公園、屋上緑化など農地以外での低価格な節水型の灌水装置として
・太陽光エネルギー、水資源、植物・食品(農業生産)を結ぶ技術として、教育現場向けの環境教育教材として
・送電設備や水資源の乏しい国や地域における活用など国際協力技術として

関連情報

・展示品あり(小型ポンプなどの装置部材の展示、聴講者への披露など)
・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

2)生長促進と土壌伝染病防除効果を同時に誘導できる育苗法

農研機構 東北農業研究センター 生産環境研究領域 主任研究員 今崎 伊織

新技術の概要

作物の育苗培土に、病害発生を軽減させる微生物、プラントアクティベーター(病害抵抗性誘導物質)、土壌pH矯正資材を組合せて施す方法である。本法により、定植後の生長促進と土壌伝染病の防除効果を同時に誘導できる。

従来技術・競合技術との比較

育苗培土への施用のみであるため、従来の技術を個々に用いるより省力的で、圃場の土壌消毒及び接ぎ木苗との併用も可能である。本法によって育苗すると栽培期間中の生長が著しく促進されるため、従来の育苗方法に比べて収量増加が期待できる。

新技術の特徴

・慣行の育苗培土に微生物、プラントアクティベーター、土壌pH矯正資材を追加するだけで生長促進と土壌伝染病防除効果が誘導できる
・プラントアクティベーターを施用するため茎葉に発生する空気伝染病の被害軽減にも有効である
・本法に有効な新規微生物、プラントアクティベーター、土壌pH矯正資材をスクリーニングする方法も開発済みである

想定される用途

・作物苗の生産
・既存の微生物農薬、プラントアクティベーター、土壌pH矯正資材等の用途拡大
・新規な微生物農薬、プラントアクティベーター、土壌pH矯正資材等の開発

  • アグリ・バイオ

3)実類の酵素剥皮法 -刃物を使わない皮むき加工-

農研機構 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域 主任研究員 野口 真己

新技術の概要

カンキツの果皮を酵素処理で分解・除去する技術がカットフルーツ製品等に利用されている。酵素処理と果皮成分への処理を組み合わせることで、カンキツ限定的であった酵素皮剥技術の適用範囲をカキ等の樹種に拡大し、各樹種に応じた剥皮処理条件を解明した。本法により、カキ等の果実の丸ごとで平滑な形状を生かした加工が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

通常のナイフ剥皮では、剥皮面の果肉細胞が損傷に起因して、果汁漏出、変色、栄養成分の酸化等の品質劣化が不可避であった。酵素剥皮は果肉細胞の損傷を最小限に抑えた加工法であるため、品質劣化を従来法よりも抑制できる。また、酵素剥皮では化学的剥皮のように劇物を使用しないので、作業の安全性、排水処理、消費者イメージ等の点で優位性がある。

新技術の特徴

・果実の丸ごとで平滑な形状を生かした加工が可能
・剥皮残渣から果肉細胞を分離除去し、クチクラ膜を回収して素材として有効活用可能
・剥皮残渣に含まれ、単細胞様になった果皮組織細胞を栄養成分のマイクロカプセルとして利用可能

想定される用途

・フルーツ盛り合せ、ドライフルーツ(干柿)、シラップ漬け等の加工品の剥皮工程への導入
・果肉入り加工品で通常利用されるシラップ漬け加熱殺菌保存果肉から酵素剥皮果肉への代替による、品質向上と差別化

関連情報

・展示品あり(①真空包装した酵素剥皮カキ果実、②酵素処理で外皮分離が容易なブンタン果実)

  • アグリ・バイオ

4)天敵コウモリと同様な超音波を出力して害虫ヤガを防除

農研機構 生物系特定産業技術研究支援センター 生産システム研究部 主任研究員 吉田 隆延

新技術の概要

ヤガ類の天敵であるコウモリの発する超音波と同様な超音波を出力してヤガ類を防除する装置を開発した。本装置を果樹園や露地栽培圃場等に設置することにより、ヤガ類の被害を低減できる。

従来技術・競合技術との比較

夜間に飛来するヤガ類は農薬による防除が困難であるが、本装置は昼夜を問わず活用できる。また、防ガ灯は圃場条件により十分な防除効果が得られなかったり、他の作物の生育に影響を与える場合があるが、本装置ではこれらの問題点を解消できる。

新技術の特徴

・コウモリの発する超音波の周波数を解析し、ヤガの超音波に対する慣れを防止するパルスパターンを解明
・コウモリの発する超音波と同様な超音波を出力する防除装置を開発
・本装置の利用により、果樹園や露地栽培圃場等で問題となっている難防除害虫のヤガ類による被害を低減することが可能

想定される用途

・果樹園におけるヤガ類の防除
・ハウス内におけるヤガ類の防除
・露地栽培圃場におけるヤガ類の防除

関連情報

・展示品あり(超音波防除装置)

  • アグリ・バイオ

5)酵素処理により風味と食感が改善されたバレイショ食品素材

農研機構 北海道農業研究センター 畑作研究領域 主任研究員 石黒 浩二

新技術の概要

加熱したバレイショにアミラーゼ等の酵素処理を施すことで、適度な甘みと滑らかな食感を有するバレイショ素材(マッシュ、フレーク、パウダー)を開発した。本素材は、スープ等の調理品の他、菓子類、デザート類等に使用できる。

従来技術・競合技術との比較

酵素の種類や組合せによりバレイショの風味や食感を変化させることができるため、従来あまり利用されてこなかった菓子類やデザートにも用途を広げることができる。紫、赤、黄色の肉色を有するカラフルポテトを利用すると、色鮮やかな商品も開発できる。

新技術の特徴

・バレイショのボソボソした食感改善
・いも臭さの風味改善
・餡(あん)やフィリング(ケーキ・サンドイッチ・パイなどに詰めたり、はさんだりするもの)など調理具材としても利用できる

想定される用途

・ビシソワーズ(じゃがいもの冷製スープ)、シリアル製品など調理品
・ケーキ、菓子類
・ジュース、ピューレ

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり(マッシュ、フレーク、パウダー)

  • 機械

6)コンバイン収穫時に稲わらを乾燥しやすくする技術

農研機構 中央農業総合研究センター 作業技術研究領域 上席研究員 重田 一人

新技術の概要

自脱コンバインの排わらカッタの回転歯を鋭利でない回転円盤と交換することにより、稲わらを切断しないで数箇所で折れ曲がった状態でコンバイン後方に落下させ、折れ曲がりのない長わらよりも1日程度早く乾燥できる。本技術は、装置の一部を置き換えるだけで稲わらの乾燥を促進でき、低コストの稲わら回収装置として活用できる。

従来技術・競合技術との比較

自脱コンバイン用の立体放出装置で4束程度ずつ縛って立ちわらとして乾燥させる方法では、乾燥に日数が多くかかり降雨の影響を受けやすい。汎用コンバインで収穫すると稲わらが折れ曲がり乾燥しやすくなるが汎用コンバインでの稲収穫は普及していない。

新技術の特徴

・互いに逆方向に回転する2軸の間を通過する際に稲わらを折れ曲がらせることができる
・折れ曲がった稲わらはお互いの空間距離が広まることで、乾燥しやすくなる
・折れ曲がりのない長わらよりも、ロールベーラで拾い上げる際のロスが少なくなる

想定される用途

・稲収穫後のわらを圃場にすき込みしないで回収するのに役立つ
・飼料用稲の籾とわらの両方を利用する場合に活用できる

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

農研機構 本部 連携普及部 連携広報センター

TEL:029-838-8641FAX:029-838-8982
Mail:fukyuアットマークnaro.affrc.go.jp
URL:https://www.naro.affrc.go.jp/inquiry/sangaku.html
新技術説明会について

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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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