琉球大学 新技術説明会
日時:2013年07月05日(金)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)玄米有効成分 を活用したアンチメタボ 健康補助食品の開発
琉球大学 大学院医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座(第二内科) 教授 益崎 裕章
新技術の概要
マウスおよび細胞を用いた検討にて、玄米に高濃度かつ特異的に含有されるγ-オリザノールによる高脂肪食敬遠効果およびグルコース応答性インスリン分泌の促進をする糖尿病予防(改善)効果を世界で初めて実証した。
従来技術・競合技術との比較
玄米による抗メタボリックシンドローム効果は疫学的に国内外で注目されてきたが基盤となる分子メカニズムが解明されたのは今回が初めてである。食の安全性が担保されている天然食品をベースにした高機能サプリメントの開発が期待できる。
新技術の特徴
・(1)慢性的な高脂肪食習慣を自然な形で改善できる技術である
健康志向が高まる一方で食に関する誤った情報が氾濫し、不規則な食生活や栄養の偏りなど「食」の乱れがクローズアップされている。ジャンクフード、ファストフードに代表される高脂肪・高カロリーの人工的食が現代人に深く浸透している。その理由の一つに、習慣的高脂肪食が中毒性をもたらし、脂肪への依存・耽溺に陥ることが注目される。
・(2)食の安全性が担保されている食品技術である
脳に作用する抗肥満薬(人工的な低分子化合物)の多くが重篤な副作用により頓挫した経緯を鑑み、天然食品成分の活用によって食生活の乱れを改善するという試みは安全性が担保された画期的なアプローチである。自然なかたちで食行動を変容させることで食事コントロールに伴う精神的ストレスを緩和し、国民医療費の削減、幸福感の増加にも大きく貢献できる。
想定される用途
・高脂肪食敬遠効果や高血糖改善効果が発揮される用量のγ-オリザノールを含有する菓子、飲料、サラダ用ドレッシング(ふりかけ)など
- アグリ・バイオ
2)低栄養要求性および耐熱性を兼ね備えた乳酸菌によるスクロースの高速発酵
琉球大学 工学部 機械システム工学科 教授 柴田 信一
新技術の概要
新規好熱性Bacillus coagulansを発見し、これを利用したスクロース直接発酵による経済的な乳酸発酵条件を検討した。Bacillus coagulansは高熱性乳酸産生菌であることが知られており、乳酸発酵速度も高速である.しかしながら、スクロースを資化するBacillus coagulansはこれまで報告されていない.本研究では、スクロース陽性であり、栄養要求性の低いBacillus coagulans F6-2を単離し、乳酸発酵条件を最適化した結果を報告する。実験結果より、無滅菌培地を使用し、酵母エキス5g/L、スクロース100g/Lの条件下、平均乳酸発酵速度4.94g/LH、発酵時間19時間を得た。この時、スクロース転換率は98.79%、乳酸92.9gを得た。
従来技術・競合技術との比較
従来のBacillus coagulansはスクロースを直接資化できなかったが、本株菌では直接、資化することができる。また、栄養要求性も極めて低く、同程度のパフォーマンスを達成するために、酵母エキスの使用量を20%~40%程度に低減することができる。
新技術の特徴
・非滅菌培地で乳酸発酵ができるために、発酵設備の簡略化ができる
・スクラーゼなどを使用せずに、直接スクロースを発酵することができる
・菌株の保存が容易である
想定される用途
・食品用乳酸発酵
・健康食品用乳酸菌
・ポリ乳酸合成用乳酸発酵菌
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
- デバイス・装置
3)大気圧低温プラズマ生成装置の開発および滅菌への応用
琉球大学 工学部 電気電子工学科 教授 米須 章
新技術の概要
本技術では、マイクロ波放電と低周波放電を組み合わせた新しいプラズマ生成法により大気圧下においてガス温度の低いプラズマを生成する。さらにそのプラズマを用いて、大気圧下において低温での表面滅菌処理を行なう。
従来技術・競合技術との比較
マイクロ波放電と低周波放電を組み合わせることにより、大気圧下においてガス温度が低く、電子温度の高いプラズマを生成することが可能。さらに、プラズマ中に生成されるラジカルにより、滅菌処理や表面処理を行なうことが可能。
新技術の特徴
・大気圧下において安定してプラズマ生成可能
・ガス温度が低く、低温でのプラズマ処理が可能
・高活性で多くのラジカルを生成可能
想定される用途
・食品・飲料容器滅菌
・医療機器滅菌
・プラズマ表面処理
関連情報
・外国出願特許あり
- エネルギー
4)蓄電池能力を最大利用可能な最適充放電計画
琉球大学 工学部 電気電子工学科 教授 千住 智信
新技術の概要
本技術は、予測手法を用いて再生可能エネルギー等の発電電力予測と需要電力を精度良く予測し、メガソーラー等の売電利益の最大化を達成できる最適運用技術です。また、スマートハウスやスマートビルの電気料金を蓄電池の最適運用により最小化可能な技術です。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、再生可能エネルギーの発電電力予測が正確に行うことが困難でしたが、本技術は高精度の発電電力予測が可能になると共に、発電電力予測誤差が発生する場合でも売電電力価格(電気料金)を大きく低下(増加)させない技術です。また、大きな発電電力や消費電力の変動に対しては、再予測と再計画を多数回導入することにより対応可能です。
新技術の特徴
・蓄電池能力の有効利用
・発電機等と蓄電池の協調による全体最適化
・スマートグリッド、マイクログリッドの最適運用
想定される用途
・離島電力システムの運用コスト最小化
・メガソーラー、ウインドファームの売電利益最大化
・HEMS、BEMSの最適エネルギーマネージメント
- 情報
5)知的情報処理:音響・音楽信号の分析・認識・検索、医用画像処理
琉球大学 工学部 情報工学科 准教授 姜 東植
新技術の概要
時系列信号に対して所定のサンプリング値との前後差分を、各々、第1及び第2振幅差として算出する。そして、予め定められた座標系に写像し、得られた分布に基づいて紙葉類の疲労状態を判別する。
従来技術・競合技術との比較
本研究では時系列信号に対し、直接特徴を抽出することが可能であるが、従来の手法ではフィルタリングやスペクトル分布を求める工程が必要であり、計算時間を要する。
新技術の特徴
・組み込みが容易
・低コストで実現可能
・処理過程の高速化
想定される用途
・音による機械の異常診断
・音響・音楽信号の認識
・生体信号の分析
関連情報
・サンプルの提供可能
- デバイス・装置
6)青色半導体レーザによるフレキシブルパネル上Si結晶化薄膜の製法と機能デバイスへの応用
琉球大学 工学部 電気電子工学科 教授 野口 隆
新技術の概要
青色半導体レーザーによるガラスやプラスチック上Si膜の結晶化法とその機能素子への応用、製法を提案している。この方法では、薄膜機能素子(TFTや光電素子)を高性能化でき、省資源型高効率太陽電池や高機能フレキシブル基板上のディスプレイが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
現在、ガラス上Si膜の結晶化法として紫外光のエキシマレーザーが使われているが、コストがかかり、膜の平坦性もよくない。平坦で微細な結晶粒を得ることができなかった。波長の比較的短い安定な半導体レーザによりアニールし、薄いものから厚い膜まで、Siを結晶化でき、微細な特異な(111)面方位をもつ微結晶も実現可能となる。この結晶化法、新開発装置を用いて、従来、不可能であった機能素子をパネル上にスループットよく可能にする。
新技術の特徴
・Si薄膜の平坦性、粒径の制御性に優れる
・プラスチック上の結晶化が可能
・薄いSi膜(20nm厚)から厚いSi膜(~1μm)の結晶化が、低コストでスループットよく可能
想定される用途
・TFT駆動のFPD(液晶、有機ELパネルシステム)
・ガラス上の薄膜太陽電池
・上記の生産
関連情報
・サンプルの提供可能(ご要望に応じて、別途、相談)
・展示品あり(結晶化基板、作製セル、アニールデモの様子(動画))
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
琉球大学 産学官連携推進機構
TEL:098-895-8597FAX:098-895-8957Mail:iiccto.jim.u-ryukyu.ac.jp
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