山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会 【大阪開催】
日時:2013年07月12日(金)
会場:グランキューブ大阪(大阪市北区中之島)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)微生物由来アセチルコリンエステラーゼの大量発現とその利用
鳥取大学 農学部 生物資源環境学科 教授 森 信寛
新技術の概要
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は動物の神経組織に存在し、神経伝達物質アセチルコリンをコリンと酢酸に加水分解する。微生物由来のAChE遺伝子を同定し、酵素の大量発現に成功した。AChEは残留農薬の分析などへの利用が可能です。
従来技術・競合技術との比較
大腸菌を用いた大量発現系の構築により、本酵素の生産性を従来の技術と比べ、約2千倍に高め、1リットルの培養液から約3万ユニットの酵素活性が得られた。小さい培養スケールで多量の酵素(AChE)を獲得することができます。
新技術の特徴
・酵素(AChE)の大量調製が可能
・残留農薬を分析できる
・農薬センサーに応用できる
想定される用途
・残留農薬分析キットに利用
・コリンエステラーゼ阻害剤の探索に利用
・カルニチンの光学分割に利用
- アグリ・バイオ
2)小型魚肉を短時間で大型成型化する通電加熱接着促進技術
鳥取県産業技術センター 食品開発研究所 副所長 小谷 幸敏
新技術の概要
可食性接着剤を用いて魚肉を接着させる際に、接着面を選択的に通電して加温し、短時間で接着させる方法。また、前述の魚肉を凍結状態のまま、接着を行う方法。
従来技術・競合技術との比較
従来の可食性接着剤を用いた魚肉接着には長時間を要したが、当技術は、接着部に選択的な通電を行うことで、約10分間という短時間での接着を可能にした。また、この技術は凍結魚肉にも応用可能であり、凍結状態での接着は当技術によってのみ達成される。
新技術の特徴
・異種の畜肉等を組み合わせたデザイン性に富んだ加工食品
・生の魚肉と畜肉を組み合わせた調理素材
・生の接着ブロック肉を薄くスライスしたシート状調理素材
想定される用途
・加工残滓等から回収された生の魚肉の大型成型ブロックおよびその加工品
・小型魚を用いた大型成型生魚肉ブロック及びその加工品
・色調、食感、栄養成分等の異なる魚肉を組み合わせたデザインフード
関連情報
・展示品あり(チェック模様魚肉ブロック、調理用ハタハタシートを展示予定)
- アグリ・バイオ
3)世界遺産「石見銀山遺跡」内の梅の花から単離した新規酵母の特性とその利用
島根県産業技術センター 技術部 食品技術科 科長 土佐 典照
新技術の概要
世界遺産石見銀山地区の梅花から酵母の分離を行った。この梅花酵母は、 Saccharomyces cerevisiae であること、パン、酒造用の既知酵母とは栄養要求性などが異なること、パン製造試験を行った結果既製酵母のパンとは異なる風味があること、また特に米粉パンの製造に適していることなどを確認した。
従来技術・競合技術との比較
近年パン製造を目的として製品化や報告されている花や土壌などの自然界から分離されたいわゆる「天然酵母」は数種類あるが、米パンを具体的な対象とした酵母は本酵母だけである。
新技術の特徴
・化粧品の製造原料
・農業用肥料の製造
・機能性食品原料
想定される用途
・パンの製造
・日本酒などの発酵食品の製造
・家畜用飼料原料の製造
関連情報
・サンプルの提供可能(ご相談ください)
- 医療・福祉
4)新生児・乳児用新型喉頭鏡
鳥取大学 医学部附属病院 総合周産期母子医療センター 助教 三浦 真澄
新技術の概要
新生児や乳児は、口腔の大きさに比べて舌が大きいという解剖学的特徴を有する。そのため気管挿管の際に視野を確保することが難しい。舌を速やかに圧排し、視野を確保できるブレードを有する喉頭鏡を考案した。
従来技術・競合技術との比較
従来の喉頭鏡は口腔内に挿入するブレードを変化させることはできない。ブレードに舌を圧排する機能を持たせ視野の確保を容易にした。これにより従来の喉頭鏡に比べ迅速に手技を完了でき、患者への侵襲を軽減できる。
新技術の特徴
・成人とは異なる新生児・乳児の口腔の解剖学的特徴に対応
・新生児・乳児に対する気管挿管の経験の少なさをカバー
・速やかな気管挿管による患者の負担軽減と予後の改善
想定される用途
・新生児・乳児蘇生
・気管チューブ交換
・全身麻酔に伴う気道確保
- 医療・福祉
5)リアルタイムPCR法による24種類の食品媒介病原菌標的遺伝子の網羅的迅速検出法
島根県保健環境科学研究所 保健科学部 細菌科 主任研究員 川瀬 遵
新技術の概要
本法は、患者糞便DNAに含まれる24種類の食中毒媒介病原菌の標的遺伝子を数時間で検出することが可能である。食中毒発生時に、本法で原因と推定された細菌のみの培養検査を行うことにより、検査費用の節減や労力の削減等につながる。
従来技術・競合技術との比較
従来の遺伝子検査法において、数時間で24種類の食中毒媒介病原菌の標的遺伝子を網羅的且つ、一度に検出できる方法はなかった。本法は安価なインターカレーター法の採用、PCR内部増幅標準の添加により正常なPCRが行われたか確認可能である。
新技術の特徴
・24種類の食中毒原因菌の病原遺伝子等を検出するMultiplexリアルタイム SYBR Green PCR法により数時間で結果判定が可能
・PCR内部増幅標準を添加しているので、PCRが正常に行われたかどうか確認することが可能である
・食中毒発生時に速やかに原因菌を推定し、原因推定菌のみの培養検査を行うことによって、労力の削減等につながる
想定される用途
・細菌性食中毒発生時の原因菌の推定
・ウイルス性食中毒発生時に並行して行われる細菌検査であって、細菌性食中毒を否定する目的で使用
関連情報
・サンプルの提供可能
- 環境
6)大気浮遊粒子状物質(黄砂・汚染物質成分)の簡易判別装置の創出
鳥取大学 医学部 医学科 健康政策医学分野 助教 大西 一成
新技術の概要
黄砂・大気汚染物質は、健康な人の自覚症状も上昇させることが明らかになった。健康影響を及ぼす成分の特定は非常に困難であるが、予防行動を取る指標として不可欠である。一般の人が簡単に大気成分を判定できる簡易判別装置のアイデアを提案する。
従来技術・競合技術との比較
従来は、コストと手間のかかる専門的な採取と分析を行わないと飛来状況・成分が分からなかったが、本技術では簡単に飛来状況や成分を知ることが出来る。家庭での採取は、実際の曝露状況をよく反映しているため優位である。
新技術の特徴
・空気中浮遊粒子状物質の判定
・自身に影響を及ぼすアレルゲンの特定
・フィルター・空気清浄機の効果評価
想定される用途
・一般家庭における空気中浮遊粒子状物質の把握
・自身に影響を及ぼすアレルゲンの特定
・フィルター・空気清浄機の効果評価
関連情報
・展示品あり(小型粉じん採取機を用いてイメージしやすくする)
- 材料
7)希土類-ゲル複合材を用いた可視光発光カラーチューニング材料の開発
島根大学 教育学部 自然環境教育講座 准教授 西山 桂
新技術の概要
紫外線励起により、任意の可視域波長で発光する、希土類ソフトマテリアル発光体を創製した。この発光体は、希土類錯体を、オルガノゲル(小さな有機分子が自己組織化によりスタックしたゲル)中に、従来材料よりも高濃度(?8倍)で分散させることにより実現できた。
従来技術・競合技術との比較
発光体の分散媒体には、希土類錯体を高濃度で配列でき、しかも成型が容易なオルガノゲルを使用した。錯体とゲルとが相互作用しないので、色純度の高い、シャープな色合いの発光体を開発できた。もともとの輝線の中間色は、カラーチューニングにより任意の発光波長を実現した。
新技術の特徴
・従来の無機発光体(LED等)では到達していない波長で発光
・ソフトマテリアル発光材料 ~ゼリーのように柔らかくて、可視光の任意の波長で光る材料~
・低負荷な合成プロセス ~穏和な条件下(圧力・温度)にて合成可能なゲル~
想定される用途
・発光素子・装飾品・照明素材
・塗布型の発光材料
・偽造防止発光材料(太陽光のもとでは透明で、紫外線照射時のみに発光)
関連情報
・展示品あり(説明会当日サンプル展示予定)
- 材料
8)バイオマスリファイナリー技術による生理活性バイオポリマー製造
鳥取大学大学院 工学研究科 化学・生物応用工学専攻 教授 簗瀬 英司
新技術の概要
セルロース系バイオエタノールを原料とした医薬・化成品製造事例として、ガン細胞増殖抑制作用、抗菌活性、抗ウイルス作用、および抗炎症作用を示す新規なバイオポリマー(多糖体)製造を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
木質・稲わらバイオエタノール連続製造は独自に開発した高速発酵細菌の利用により可能とした。生産するバイオポリマーは新規な糖鎖構造が抗ウイルス活性や抗炎症効果を示す要因であり、新規性を認めている。
新技術の特徴
・粘性を利用した増粘多糖体としての食品添加物として有望である
・粘性を利用した流動性コンクリート添加剤として有望である
・バイオポリマー粉末の吸水性を利用した吸水ゲルとして有望である
想定される用途
・消炎効果が抗ショック剤として有望である
・各種ガン細胞増殖抑制作用が抗ガン剤として有望である
・抗ウイルス作用が抗ウイルス剤として有望である
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
9)低コスト酸化亜鉛ナノ粒子塗布型発光ダイオード
島根大学大学院 総合理工学研究科 機械・電気電子工学領域 教授 藤田 恭久
新技術の概要
p型酸化亜鉛ナノ粒子をn型酸化亜鉛上に塗布することにより低コスト紫外線発光ダイオードを作製できる。これに異なる光学特性をもつナノ粒子を加えることにより可視光発光を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
単結晶を用いた従来の発光ダイオードに比べ、蛍光体が不要で大面積化も容易であるなどの利点があり、低コスト照明装置として利用できる可能性が高い。
新技術の特徴
・単結晶やエピタキシャル成長技術、蛍光体が不要であり、従来に比べ低コストな発光ダイオードである
・基板を選ばす大面積化やフレキシブル化が可能である
・指向性がなく、透明な発光体とすることも可能である
想定される用途
・照明装置
・バックライト
・表示灯
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
10)ネオジム磁石廃材からのネオジムを選択的に回収できる非加熱回収技術の開発
島根大学大学院 総合理工学研究科 物理・材料科学領域 准教授 笹井 亮
新技術の概要
本技術は、各種小型高機能モーターに必要不可欠なネオジム磁石の製造に必須となるネオジム資源を、加温脱磁したネオジム磁石廃材に湿式ボールミル法を適用することで、非加熱でネオジムを工業利用可能な化学形態であるシュウ酸ネオジムとして回収できることを明らかにしたものである。
従来技術・競合技術との比較
ネオジム磁石廃材からのネオジム等の回収技術としては、塩化物揮発法などの冶金的な手法、水熱処理法やキレートを用いて化学処理法などが従来より報告・提案されているが、これらはすべて消費エネルギーや処理コストの面で問題を抱えている。それに対して本技術は加熱を必要としないため、これらの問題点を解決できる可能性持っている。
新技術の特徴
・反応溶媒を用いた湿式ボールミル処理による非加熱型レアメタル回収技術
・添加する溶媒により素材の溶解と目的とする金属の選択的析出を制御
・素材の粉砕のみではなく力学的エネルギー印加による化学反応の促進
想定される用途
・ネオジム磁石廃材からのネオジムなどレアメタル回収
・有価資源含有廃材からの選択的有価元素回収
関連情報
・希望の廃材の処理を試験的に行うことは可能
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
鳥取大学 産学・地域連携推進機構 知的財産管理運用部門
TEL:0857-31-6000FAX:0857-31-5474
Mail:chizaiadm.tottori-u.ac.jp
URL:http://www.cjrd.tottori-u.ac.jp/
島根大学 研究機構 産学連携センター 知的財産創活部門
TEL:0852-60-2290FAX:0852-60-2395
Mail:crcenteripc.shimane-u.ac.jp
URL:http://www.crc.shimane-u.ac.jp/
地方独立行政法人鳥取県産業技術センター 企画総務部 企画室
TEL:0857-38-6205FAX:0857-38-6210
Mail:tsgckikakupref.tottori.jp
URL:http://www.tiit.or.jp/
島根県産業技術センター 総務調整課 業務調整係
TEL:0852-60-5141FAX:0852-60-5144
Mail:sangisenpref.shimane.lg.jp
URL:http://www.shimane-iit.jp/
島根県保健環境科学研究所 企画調整・GLPスタッフ
TEL:0852-36-8181FAX:0852-36-8171
Mail:hokankenpref.shimane.lg.jp
URL:http://www.pref.shimane.lg.jp/hokanken/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp