東海国立3大学 新技術説明会(1)
日時:2013年06月27日(木)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)遠心鋳造法を応用した難加工材用傾斜機能加工砥石の開発
名古屋工業大学 大学院工学研究科 機能工学専攻 准教授 佐藤 尚
新技術の概要
微細で母材溶湯との濡れ性が悪い固相粒子を金属母材に傾斜分散させることが可能な新規鋳造技術である遠心力混合粉末法について紹介する。本技術は、ダイヤモンド粒子がCu母相中に傾斜分散した難加工材用の傾斜機能穴あけ砥石を製造することが可能である。
従来技術・競合技術との比較
焼結法や電着法にて製造された従来の加工砥石は、強度が低いことやダイヤモンド層と台金との界面剥離が生じやすい欠点があった。本技術で製造する加工砥石は、比較的強度が高く、かつ明確な界面を持たないため界面剥離が生じにくい。
新技術の特徴
・潤滑特性に優れた軸受部材の製造が可能
・光触媒二酸化チタン粒子を金属母材に分散させた光触媒機能複合材料の製造が可能
・微細で濡れ性が悪い機能性粒子を金属母材中に複合化可能
想定される用途
・難加工材の穴あけ用砥石
・難加工材の研削砥石
・難加工材の研磨用砥石
関連情報
・展示品あり(加工砥石の試作品をお持ちします)
- 製造技術
2)組物技術を用いた連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料製造用中間材料の開発
岐阜大学 研究推進・社会連携機構 複合材料研究センター 特任准教授 大谷 章夫
新技術の概要
本発明は、複合材料の強化繊維となる連続繊維(炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維)の外側を、母材樹脂となる熱可塑性樹脂の繊維を使って組物技術を用いることにより被覆した連続繊維強化複合材料成形のための中間材料の製造方法に関する発明である。
従来技術・競合技術との比較
構造が単純であるため生産速度が速く、樹脂繊維による被覆により守られているため強化繊維の損傷が少ない。この構造を適用した従来技術は存在するが、本発明により被覆による締め付けが無くなり含浸が早くなるため、FRTPの生産性が大きく向上する。
想定される用途
・スポーツ用途(ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー用品等)
・車の構造部材
・建築用部材
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(A-MBY、A-MBYを用いた成形品(FRP))
- 材料
3)自己形成性を利用したリチウム電池電極材料の作製
名古屋工業大学 大学院工学研究科 物質工学専攻 准教授 園山 範之
新技術の概要
物質には環境を整えることにより、機能的な構造を自己形成する特性が備わっている。本発明ではこの自己形成性を利用して、より低エネルギーで機能的なリチウムイオン電池材料の探索を行った。
従来技術・競合技術との比較
従来のリチウム電池材料は主に固相法により高温焼成により合成されている。本研究では物質の自己形成性を利用してより低エネルギーで作成可能な材料および合成法の探索を行った。
新技術の特徴
・物質の自己形成性を合成に取り入れることによる合成時の省エネルギー性
・分子性を利用した高容量無機リチウムイオン電極材料
・優れた特性を有するリチウム電池正極材料ナノ粒子薄膜の作製
想定される用途
・汎用リチウム電池電極材料
・汎用薄膜型リチウム電池正極材料
・分子性リチウム電池電極材料
- 材料
4)破壊しにくい低熱膨張チタン酸アルミニウムセラミックスの製造方法
岐阜大学 工学部 化学・生命工学科 教授 大矢 豊
新技術の概要
チタン酸アルミニウム焼結体は低熱膨張材料として広く知られているが、強度が小さいという欠点がある。またセラミックスの破壊は瞬時におこることが一般的で、チタン酸アルミニウムセラミックスの強度を改善しようとすると、即時破壊するようになる。これをチタン酸アルミニウムの微構造を制御することで克服した。
従来技術・競合技術との比較
従来、チタン酸アルミニウムセラミックスの強度を向上させようとすると低熱膨張性が損なわれ、低熱膨張を維持しようとすると強度が損なわれた。このことを、添加剤をコントロールすることで制御し、低熱膨張と中程度の強度、さらに非常にゆっくりと亀裂が進展する焼成体の合成に成功した。
新技術の特徴
・耐火断熱材
想定される用途
・溶融アルミニウム用のラドル
・溶融金属用搬送容器
- 材料
5)化学気相成長法を用いたグラフェン状物質の合成
名古屋工業大学 大学院工学研究科 未来材料創成工学専攻 助教 岸 直希
新技術の概要
(1)アルコール原料を用いた簡便な熱化学気相成長法によるグラフェン合成技術、(2)プラズマ化学気相成長法を用いたシリコン基板上へのグラフェン状物質の直接合成に関する技術の提案。
従来技術・競合技術との比較
(1)熱化学気相成長法を用いたグラフェン合成では炭化水素、水素などを合成時に用いることが主流だが、本技術ではより安全、簡便なグラフェン合成を目指してアルコール原料のグラフェン合成技術を開発した。(2)これまでの高品質なグラフェン合成では触媒金属上に合成を行うことが一般的であったが、本技術ではプラズマ化学気相成長法を用いてSi基板上に直接グラフェン状物質を合成する手法の開発を行った。
新技術の特徴
・より簡易な手法によりグラフェン合成が可能
・シリコン基板上にグラフェン状物質の形成が可能
想定される用途
・透明導電膜
・トランジスタ
- 製造技術
6)CFRP成形用治具用の繰返し使用可能な離型膜技術の開発
岐阜大学 研究推進・社会連携機構 複合材料研究センター 特任教授 深川 仁
新技術の概要
熱硬化系複合材料の積層成形前に、治工具(型やカウルプレート)表面に、事前に有機溶剤系の離型剤を塗布する作業を軽減すべく、CFRP製治工具表面に繰返し利用できる離型材を生成する技術開発を行った。
従来技術・競合技術との比較
従来は有機溶剤系の離型材料を成形用治具面に毎回塗布しており、塗布と乾燥工程に作業待ち時間が生じる上に、専用の塗布エリアが必要であるが、本手法ではその作業工程や場所が削減できる。
新技術の特徴
・くり返し使える離型膜構造
・CFRP表面フッ素系フィルム(PTFEなど)を貼り付ける技術
・耐久性に優れた撥水機能材料の評価
想定される用途
・航空機・自動車・風力発電用のCFRP部品製作
・CFRPプリプレグの製造工程のローラーなど
・建築物の撥水・除雪機能付き外表面
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(プラスチックケース入りのサンプルを回覧)
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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