電気通信大学 新技術説明会
日時:2013年05月14日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)伝播波長選択性及び発光集光性を有するサブミクロン直径のテーパ光ファイバ
電気通信大学 フォトニックイノベーション研究センター センター長・特任教授 白田 耕藏
新技術の概要
ナノ光ファイバ(直径が伝播光波長の半波長程度の光ファイバ)の光機能を飛躍的に増強する技術。技術の要点はナノ光ファイバに、ナノホール列を書き込むもしくは外部ナノ構造を組み合わせる事によりグレーティング機能を付加した事。
従来技術・競合技術との比較
ファイバーブラッググレーティングは優れた波長選択性を有し、かつ応力/温度等によりその特性が制御できる事から、情報通信やセンサー等に幅広く利用されている。本技術は、ナノ光ファイバにグレーティング機能を付与することにより、発光集光性、屈折率変化による反射波長制御、偏光による波長制御などの光学特性を改善し応用範囲を飛躍的に拡大する。
新技術の特徴
・ナノ光ファイバ上の搭載物質粒子の蛍光が80%以上、ファイバー(導波)モードとして結合可能
・ナノ光ファイバ搭載物質の屈折率変化により反射波長の制御が可能
・偏波制御による反射ピーク波長の制御が可能
想定される用途
・単一光子発生などの量子フォトニクス応用
・液体中の微量物質の検出などのバイオ応用
・情報通信分野における偏波多重、モード多重、波長多重光制御デバイスへの適用
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(ナノ光ファイバー、ナノ光ファイバー作成装置)
- デバイス・装置
2)高精度位相イメージングと細胞検査への応用
電気通信大学 先端領域教育研究センター 特任助教 渡邉 恵理子
新技術の概要
非侵襲で細胞の厚みか屈折率の計測が可能な位相計測システムを試作した。再生医療用の品質管理としての培養細胞の継代判断や、癌細胞(接着細胞や浮遊細胞)の識別へ適応し、有効である可能性を得ている。
従来技術・競合技術との比較
本システムは従来の計測では必須であった位相接続が必要ないため、高いダイナミックレンジ(数nm~数λnmまで)が実現できる。EpCAMの発現量が少ないものでも癌細胞検出の可能性が高いことが実験により確認できている。
新技術の特徴
・微小透明物体の非侵襲イメージング
・屈折率分布、厚み情報の計測
想定される用途
・透明デバイス(透明フィルムや基板等)の検査
・再生医療の品質管理への応用
・がん細胞検査への応用
- デバイス・装置
3)スマートホンのための触覚提示
電気通信大学 大学院情報システム学研究科 情報メディアシステム学専攻 准教授 野嶋 琢也
新技術の概要
本技術は、人間の触覚に対する錯覚現象などを利用することで、小型・軽量・低消費電力というスマートホンで強く求められる条件に対応した、新しい触覚の提示方法である。
従来技術・競合技術との比較
従来・競合技術としては、振動にて着信等単純な情報を提示する、電気刺激にて触感を提示する等の方法が存在する。本技術は振動や電気刺激では出すことのできない、物体の柔らかさといった力感覚の提示を可能とするものである。
新技術の特徴
・構成要素が少なく構造が単純
・新鮮な感覚、驚き、触りたくなる
想定される用途
・ショッピング
・エンタテインメント
関連情報
・展示品あり(講演中・後の短時間展示)
- デバイス・装置
4)「軟らかさ」に着目したディスプレイの拡張技術
電気通信大学 大学院情報システム学研究科 情報メディアシステム学専攻 助教 佐藤 俊樹
新技術の概要
パーティクル素材と減圧装置を用いて「軟らかさ可変」ディスプレイを開発し、タッチスクリーンを立体的に拡張する試みを行った。
従来技術・競合技術との比較
ディスプレイの「軟らかさ」に着目し、「軟らかさ」を動的に変化させることでタッチスクリーンデバイスの可能性を拡張する試みを行った。
新技術の特徴
・リハビリテーションのインタラクティブ化
・立体形状のデザイン・プロトタイピング
・子供向けの教育・エンタテインメント用途
想定される用途
タッチスクリーンへの動的な触覚フィードバックの付加
・平面映像への立体感付加
・視触覚ディスプレイ
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
5)突発的な異常信号データの検出法と心電図データへの適用
電気通信大学 大学院情報システム学研究科 情報ネットワークシステム学専攻 教授 森田 啓義
新技術の概要
省メモリでリアルタイム動作可能な反辞書確率モデルを用い、定常的なデータに突発的に出現する異常信号を自動的に検出する手法を開発した。心電図データの不整脈検出に適用し、世界トップレベルの精度を得た。
従来技術・競合技術との比較
従来手法のうち、高い検出精度で知られるものは、リアルタイム性あるいは省メモリ性のどちらかを犠牲にしている。一方、提案手法は、いずれの特性も保持しつつ、それらと同等の高い精度を実現している。
新技術の特徴
・省メモリのため電力消費が少なく、ポータブルな装置化が可能
・異常検出のための確率モデルを自動的に構築するため、フレキシブルな適用が可能
・リアルタイム動作が可能なので異常発生を瞬時に捉えられる
想定される用途
・無線センサから送られてくる生体信号における異常波形の検出
・工場内における機器の異常振動検出
・監視カメラで撮影された車・人物の異常行動の検出
関連情報
・展示品あり(アプリケーションのデモ)
- デバイス・装置
6)高距離分解能化パラメトリック音源による超音波診断システム
電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報・通信工学専攻 准教授 野村 英之
新技術の概要
パラメトリック音源を利用した超音波診断システムについて提案する。低周波数であるが鋭い指向性のパラメトリック音源へパルス圧縮技術を利用することで、超音波画像の鮮明化及び装置の小型・ワイヤレス化を実現化する。
従来技術・競合技術との比較
従来の超音波診断装置は高周波超音波(数十MHz帯)を使用するため、サイドローブによる画像の不鮮明化、大きな音波吸収のため深達度が浅い、インターフェースへの負荷が大きいといった問題点があった。
新技術の特徴
・低周波数であるが高い距離分解能
・映像化領域(深達度)の拡大
・低周波信号のため回路設計及び信号処理が容易
想定される用途
・ワイヤレス超音波診断装置
・高散逸流体中の超音波距離計測及び映像化
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