国立六大学連携コンソーシアム 新技術説明会
日時:2014年11月14日(金)
会場:JST東京本部別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 分析
1)電気透析による分析のための前処理とpH緩衝溶液の生成
熊本大学 大学院自然科学研究科 理学専攻化学講座 准教授 大平 慎一
新技術の概要
溶存イオン分析のための前処理(夾雑物との分離や濃縮)をインラインで施して測定器へ直接導入する技術および任意のpHや濃度をもつ緩衝溶液をインラインで高精度に調製する技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来、溶存イオンの分析では、1つ1つの試料にバッチにより夾雑物を取り除いて行く前処理を施していたが、本法では、試料から測定対象である溶存イオンを抽出溶液中に取り出すダイナミックな手法である。緩衝溶液も試薬の混合により調製されるが本法では、任意の濃度・pHの緩衝溶液を設定により容易に得ることができる。
新技術の特徴
・測定対象試料やイオンを問わないダイナミックな前処理法
・試料の前処理から分析、データ処理までを全自動で可能なシステム
・オンデマンドで高精度なpH緩衝溶液や塩の溶液を調製可能
想定される用途
・多くの環境試料・生体試料中の溶存イオンを分析する環境影響評価や医療診断、品質管理
・血液試料のモニタリングによる投薬量のフィードバック制御
・pHやイオン強度の調節が重要な化学・バイオ製品の製造現場
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 環境
2)塗装鋼材構造物欠陥の非接触・非破壊検査方法
長崎大学 大学院工学研究科 技術職員 出水 享
新技術の概要
鋼製の道路橋(鋼橋)は表面が塗装されており、き裂などの欠陥は外 新技術の特徴観では検知できない。本技術は、誘導加熱法により内部の鋼材のみを直接加熱して、き裂を強制的に開口/閉口させ、その歪み変化を塗装膜上から画像処理(デジタル画像相関法)によって検出するものである。システムとしては、非接触加熱を行う加熱装置、カメラ、ノートPCから成り、可搬性および記録性に優れている。
従来技術・競合技術との比較
従来の磁粉探傷試験(MT)、浸透探傷試験(PT)では一旦、塗装を除去して対象部位を観察している。塗装膜上から検査できる方法として、超音波探傷試験(UT)があるが、欠陥の種類によっては検知できない、欠陥判定に熟練を要する、記録性に乏しいという問題がある。
新技術の特徴
・検査のための塗装の除去(及び再塗装)が不要で、検査時間が短い
・欠陥の種類の判断が容易(熟練を要しない)
・記録性がよくデータベースの構築が可能
想定される用途
・①鋼橋、鉄塔、道路照明等などの維持管理のための定期点検
・②化学プラント、パイプラインなどの鋼製設備の点検
・③製造業における鉄製品のインライン検査
関連情報
・外国出願特許あり
- 計測
3)チェレンコフテラヘルツパルスを利用した広帯域分光装置の開発
千葉大学 大学院工学研究科 電気電子系コース 准教授 森田 健
新技術の概要
位相整合条件を必要としないパルス面傾斜法を利用したチェレンコフテラヘルツパルスを発生し、高感度でかつ幅広い周波数帯で分光できる汎用性の高いテラヘルツ波分光装置を開発する。
従来技術・競合技術との比較
従来のTHz分光装置に用いられている光伝導スイッチは,励波長と出力THz周波数の領域が決まっている。本課題で提案するTHz発生・分光装置は、励起波長と出力THzパルスの周波数を変えられ、高感度でかつ小型・簡易な装置として期待できる。
新技術の特徴
・高強度なパルス面傾斜法を利用したチェレンコフTHzパルスを発生
・幅広い周波数帯のTHzパルスを発生可能
・高感度・小型・簡便なTHz分光装置に利用可能
想定される用途
・新規な材料の評価・新規物性現象の発見
・バイオ・ケミカル・セキュリティー
・THzイメージング
- エネルギー
4)振り子の流体励起振動を利用した水流発電機
岡山大学 大学院環境生命科学研究科 環境科学専攻 准教授 比江島 慎二
新技術の概要
水流中の円柱や角柱などの柱状物体に生じる流体励起振動で発電する方式である。柱状物体の片端を回転軸とすることによって振り子を構成し、その振り子をカルマン渦による変動流体力によって振動させて発電する。柱状物体一本だけの極めてシンプルな構造で低コストである。エネルギー取得効率76%の高効率を達成した。
従来技術・競合技術との比較
従来の潮流発電で用いられるプロペラに比べ、形状が単純で製造しやすく、漁場の魚を傷つける心配のない円柱などの柱状物体をゆっくり振り子振動させて発電する。鉛直に立てた振り子の振幅は小さいためプロペラに比べ占有面積が小さく、複数の振り子を近接設置してもエネルギー損失がほとんどないため、海峡などの狭い海域に多くの振り子を設置できる。また,プロペラに比べて水流から受ける抵抗も小さい。
新技術の特徴
・落差を必要としない小水力発電としても利用可能である
・柱状物体であるため省スペースで、狭い場所に多く設置できる
・鋭利な形状のプロペラと異なり、円柱などの表面形状が滑らかな柱状物体を用いるため、魚などを傷つけない
想定される用途
・潮流発電(Tidal current power generation)
・海流発電(Ocean current power generation)
・小水力発電(Small hydro power generation)
関連情報
・外国出願特許あり
- 電子
5)De Bruijn系列に属するCR系列の実現と次世代シーケンサーへの応用
金沢大学 理工研究域 電子情報学系 准教授 藤崎 礼志
新技術の概要
Fredricksenは、長さ2nのde Bruijn系列に対するCR(complement reverse)系列を定義し、nが偶数のときにはそれが存在しないことを指摘した。さらに、n=3,5の場合にその存在例を示し、nが一般の奇数の場合にCR系列が存在するか否かを問うた(1982年)。本発明では、このFredricksenの問題を完全に解決し、その応用、特に次世代シーケンサーへの応用を提案する。
従来技術・競合技術との比較
DNA/RNAシーケンサーを利用して遺伝子解析を行う際、CR系列は決定的な役割を果たす。しかしながら、これまで、上記Fredricksenの問題(1982)は未解決であったため、アド・ホックな方法でしかCR系列を生成することができなかった。新技術はこの問題を完全に解決し、高効率な遺伝子解析の基盤技術を提供する。
新技術の特徴
・任意のm(≧1)に対して,長さ2^{2m+1}のde Bruijn系列に属するCR系列を全て実現する。
・任意の長さの相異なる擬似乱数を多数生成することができる。
想定される用途
・DNA/RNAシーケンサー
・CDMA用拡散符号
・擬似乱数生成
関連情報
・外国出願特許あり
- 情報
6)円筒面で利用可能なARマーカ
千葉大学 大学院融合科学研究科 情報科学専攻 教授 眞鍋 佳嗣
新技術の概要
現実環境に仮想情報を提示する拡張現実感(AR)において、従来のARマーカでは安定した認識が困難であった円筒面でも使用可能なARマーカを開発した。このマーカでは、マーカの一部が隠蔽されていても認識が可能である。
従来技術・競合技術との比較
様々なARマーカのデザインがこれまでに提案されているが、平面での使用しか想定されておらず、本技術のように円筒面で安定して認識可能なものはない。また、貼付されている円筒面の曲率も高速に推定が可能である。
新技術の特徴
・様々な円筒面で利用可能(凸でも凹でも可能)
・マーカの一部が見えなくても認識が可能
想定される用途
・缶やビンの表面に動画コマーシャルの表示
・薬品などの管理への利用
・エンターテイメント
関連情報
・展示品あり(デモ)
- 情報
7)洗練されたスケーラビリティと高度な安全性を有するペアリング暗号
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 助教 五百旗頭 健吾
新技術の概要
ICカードから無線通信機器、スマートメータ、自動運転自動車まで幅広い製品への最適実装可能な次世代暗号技術。暗号強度を損ねることなく、あらゆる回路規模に最適化可能なスケーラビリティを持つ。加えて、電磁波を利用した暗号解読攻撃への耐性評価技術を提供する。
従来技術・競合技術との比較
従来の暗号技術である楕円曲線暗号に比べて解読が難しく、他のペアリング暗号回路に比較して20倍のスケーラビリティを実現している。さらに、電磁波攻撃に対する耐性評価提供により、ソフトウェアおよびハードウェア両面の安全性を実現する。
新技術の特徴
・次世代ユーザ認証技術
・安全性とコストのバランスする回路規模最適化
・EMC、イミュニティ対策技術に基づく電磁波攻撃への安全性
想定される用途
・無線通信機器(スマートフォン、無線ルータ、タブレットPC等)
・クラウドサーバ、ATM、スマートメータ
・自動運転自動車における運転者認証、航空機内WiFiにおけるユーザ認証
関連情報
・展示品あり
・外国出願特許あり
- 環境
8)土壌・廃棄物中の重金属に対する低環境負荷型キレート抽出技術
金沢大学 理工研究域物質化学系 応用化学コース 教授 長谷川 浩
新技術の概要
土壌や廃棄物を対象とした湿式抽出法として、キレート剤を主成分とする洗浄液を用いて含有金属を抽出分離する技術を開発した。本技術は、環境・資源分野における低エネルギー低コスト型の新しい要素技術である。
従来技術・競合技術との比較
キレート抽出では、洗浄後の残留薬剤による汚染を防ぐために、アミノ酸型生分解性キレート剤を活用した。また、従来困難であったキレート溶液中金属の分離技術として、超分子型固相抽出材の新しい機能を発掘した。
新技術の特徴
・土壌・廃棄物中に含まれる金属に対して水による湿式洗浄よりも洗浄効果が高い。
・強酸を必要とせず、弱酸性からアルカリ性の条件で洗浄効果が期待できる。
・生分解性薬剤を用いているため、環境にやさしい化学抽出である。
想定される用途
・有害金属に汚染された土壌の無害化
・廃棄物中に含まれるレアメタルの資源化
・有害金属廃棄物の減容化
- 医療・福祉
9)コンピュータ支援診断のための新たな医用画像処理技術
熊本大学 大学院自然科学研究科 情報電気電子工学専攻 教授 内村 圭一
新技術の概要
医用画像から大きさの異なる粒状成分や線状成分を強調・抽出するための基礎技術となるモルフォロジーフィルタバンクについて紹介する。眼底画像からの血管抽出や胸部CT画像から結節状陰影の検出等へ応用可能となる。
従来技術・競合技術との比較
ヘッセ行列を用いた先行類似研究は、分解のみを行う技術であるため、粒状成分や線状成分を強弱した画像を再構成することはできない。また、本技術では粒状成分や線状成分をそれぞれ単独に検出が可能である。
新技術の特徴
・粒状成分や線状成分を強弱した画像の再構成
・粒状成分や線状成分をそれぞれ単独検出
想定される用途
・コンピュータ支援診断システム
・部品外観検査システム
- 計測
10)半導体・MEMSを用いた近接覚・触覚コンボセンサ
新潟大学 工学部 機械システム工学科 助教 寒川 雅之
新技術の概要
物体の接触による透明弾性材料の変形を、それに埋め込んだMEMS構造上のひずみゲージ薄膜の直流電気抵抗変化として検知する。また、同じセンサを用いて、物体の近接による反射光の変化を、半導体の光導電効果による電気回路の交流インピーダンス変化として検知する。
従来技術・競合技術との比較
これまで、個々の近接および触覚センサとしては様々な方式があり、それらを組み合わせた計測システムの提案もあるが、本技術では直流と交流での計測を切り替えることで、単一のセンサ素子および計測回路でそれらを複合的に計測できる。さらにMEMS技術と半導体を用いているため、大幅な小型化および信号処理回路との集積化が期待できる。
新技術の特徴
・接触力をベクトルとして(力の大きさと方向を)検知可能
・プローブ光を用いることで50mm以下の物体の近接距離が検知可能
・同一センサ素子による接触・近接コンボ計測
想定される用途
・ロボットハンド・マニピュレーションにおける接触、把持力検知
・物体の表面テクスチャ(質感)計測
・皮膚と環境(ベッド、装着用具等)との接触状況モニタリング
関連情報
・展示品あり(触覚・近接覚センサのサンプル)
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長崎大学 産学官連携戦略本部 知的財産部門
TEL:095-819-2188FAX:095-819-2189
Mail:chizaiml.nagasaki-u.ac.jp
URL:http://www.ipc.nagasaki-u.ac.jp/
熊本大学 マーケティング推進部 産学連携ユニット
TEL:096-342-3145FAX:096-342-3239
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URL:http://www.kumamoto-u.ac.jp/organizations/kico
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