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A-STEP(医療分野・生物生産分野) 新技術説明会

日時:2014年11月20日(木)

会場:JST東京本部別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 医療・福祉

1)骨吸収可能で薬剤担体に応用可能な新規生体活性セメントの開発

大阪市立大学 工学研究科 機械物理系専攻 教授 横川 善之

新技術の概要

硬化し最大強度に到達後、体内で徐々に多孔化することで、骨に吸収可能な新規生体活性セメントを開発した。体内に吸収されるため、薬剤担体などへの応用も可能である。また、セメント粉粒径により、最大1.5倍に最大強度を増大可能である。ジカルボン酸と生分解性多糖類を用いることで、最大強度、破壊エネルギーが増大した。多糖類の分子量を変えると、硬化時間も調整可能である。本新規生体活性セメントは、人工骨や薬剤・細胞の担体として幅広い適用が期待される。

従来技術・競合技術との比較

従来のリン酸カルシウムセメントは、硬化後、骨と結合するが吸収されにくいという問題点があった。生分解性多糖類を従来より多く含むことで、硬化後骨に吸収可能とした。また、吸収されやすいため薬剤担体としても応用可能である。また、ジカルボン酸と多糖類を組み合わせて硬化液に用いることで、硬化時間の調整、非崩壊性および破壊エネルギーを向上した。

新技術の特徴

・骨と同様な非脆性を持つ新規リン酸カルシウムセメント硬化体
・硬化後、骨吸収可能な新規リン酸カルシウムセメント
・薬剤、生理活性物質を担持、徐放可能なリン酸カルシウムセメント硬化体

想定される用途

・骨充填剤
・薬剤担体
・細胞担体

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 医療・福祉

2)PMMA系レジン成形品の吸水特性制御法

岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 生体材料学分野 助教 田仲 持郎

新技術の概要

ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉材を膨潤溶解出来、且つ、高密度架橋構造が期待出来るメタクリル酸ビニルや1,4-ペンタジエン-3-オールなどのモノマー液材と混和して得られる粉液混和物を賦形後に重合することによって、PMMA粉材粒子表層に強固なセミ相互侵入網目構造(Semi-IPN)が形成されたPMMA系ポリマーアロイ成形品が創製される。その飽和吸水率(0.9質量%)は剛直なSemi-IPNにより吸水膨張が抑制され、PMMA(1.7質量%)に較べて半減した。

従来技術・競合技術との比較

ポリマー粉材とモノマー液材から構成される樹脂組成物を重合して得られる成形品には、PMMA粉材とMMA液材から成る歯科義歯床が知られている。しかしながら、粉液混和型樹脂組成物重合体の諸物性を制御する従来技術は殆どない。

新技術の特徴

・特別な装置を必要とせずに任意の形状のPMMA系レジン成形品が得られる。
・PMMA系レジン成形品に望む機能や物性を容易に賦与出来る。
・光重合、加熱重合、マイクロ波重合、常温重合など種々の重合様式を選択出来る。

想定される用途

・義歯床関連素材
・生体吸収性骨セメント用素材
・手芸用品用素材

  • 医療・福祉

3)片側装着形歩行支援装置の開発

東京工業大学 理工学研究科 機械物理工学専攻 助教 松浦 大輔

新技術の概要

本技術は、片側の腕と脚が不自由な片麻痺者の日常生活における直立歩行実現を目的とする。歩行中、常に3つ以上の接地点で使用者を保持しつつ支援を行うため、脚運動創成ユニット/杖ユニットおよび装着ユニットから成る装置の構成を示し、1台の直動アクチュエータと2台のブレーキから成る脚運動創成機構の設計と運動制御に関する検討、杖ユニットの設計、装着ユニットの製作等を行い、健常な被験者が装置を装着しつつ歩行可能であることを確認した。

従来技術・競合技術との比較

脚運動創成ユニットは1台のモータと2台のブレーキから成り、必要なアクチュエータ数が少なく軽量で安価に装置を製作できる。杖ユニットや健常側の脚・杖も併せて常に3点以上の接地点を確保でき、制御技術に依らず安定に使用者を保持可能である。

新技術の特徴

・製作に必要なアクチュエータの数が少なく(モータ1台・ブレーキ2台)、安価かつ軽量な装置を製作可能
・脚ユニットと杖ユニットを有する構造により、制御技術に依らず安定に使用者を保持可能
・リニアアクチュエータの機構を工夫し歩行の1周期間のエネルギーロスを防ぐことで、高効率な駆動を実現

想定される用途

・一般家庭内における日常生活を送る際の歩行支援
・屋外都市空間での歩行移動の支援
・機能回復訓練のための装具としての使用

  • 医療・福祉

4)黄色ブドウ球菌感染症迅速診断キットを目指したファージクロマトグラフ法の開発

高知大学 教育研究部医療学系(医学部) 基礎医学部門(微生物学講座) 助教 内山 淳平

新技術の概要

近年、細菌感染症迅速診断可能なPOC試薬の市場が急成長している。今後の更なるPOC試薬普及のためには、性能を改善可能な技術が必要である。黄色ブドウ球菌は、感染症で問題となる細菌の一つである。我々は、黄色ブドウ球菌をターゲットにし、細菌種特異的吸着能力を有するファージ分子をクロマトグラ法へ応用した「ファージクロマトグラフ法」の技術を開発した。

従来技術・競合技術との比較

本技術の競合技術は、主に、抗原抗体反応を利用した簡易迅速細菌検出キットである。既存キット技術と比較した場合、本技術は特異性、感度が優れている。

新技術の特徴

・抗体に依存しないPOC細菌検出技術。
・既存技術と比較して、感度、精度が優れている。
・基本原理は、他の細菌種でも利用可能。

想定される用途

・獣医領域における黄色ブドウ球菌感染症の診断
・食品分野における黄色ブドウ球菌検出
・ヒト感染症における黄色ブドウ球菌感染症の診断

  • 医療・福祉

5)手指の創傷に対する持続陰圧洗浄装置の開発

浜松医科大学医学部 附属病院 形成外科 病院講師 藤原 雅雄

新技術の概要

2010年4月の陰圧閉鎖療法用具の保険収載を皮切りに、陰圧閉鎖療法用具が導入され始めた。しかし、手指の創傷の頻度が高いにも拘らず、複雑な形状を有し密閉性を得にくい手指に利用可能な装置がない。本装置は手指装着部分と吸引器から構成される。前者は、吸引・廃液・洗浄チュープと袋状カバーからなる。チューブはカバー開口部を通り手指の運動を障害しない。両面テープを用いて高い密閉性を得ており、臨床試用を行っている。

従来技術・競合技術との比較

従来の陰圧閉鎖療法用具では、(1)用具装着中は手指が使用できないため、用具装着下では生活活動が制限される、(2)手指を動かすと陰圧が維持できない、(3)感染創に使用できない、という欠点があった。

新技術の特徴

・装置装着中でも手指が使用できる。
・手指を動かしながら密閉性を維持できる。
・創部洗浄する機能を追加し、感染創に使用可能である。

想定される用途

・足・足趾の創傷に対する持続陰圧洗浄装置
・頭頚部の創傷に対する持続陰圧洗浄装置

  • 医療・福祉

6)MicroRNA-31は大腸癌治療の有望なバイオマーカーとなりうる

札幌医科大学 消化器・免疫・リウマチ内科学講座 講師 能正 勝彦

新技術の概要

我々は最近、non-coding RNAであるmicroRNA-31(miR-31)が大腸癌のBRAF遺伝子変異や不良な予後と相関し、さらにEGFR下流シグナルを制御する可能性を報告している。よってこのmicroRNA-31は抗EGFR抗体薬における新たな効果予測のバイオマーカーとなると思われる。

従来技術・競合技術との比較

本来であれば抗EGFR抗体薬の効果が期待されるKRAS等の複数の遺伝子がいずれも野生型の群においてmiR-31高発現症例は無増悪生存期間が有意に短縮されたことから、その新たな効果予測因子となる可能性が示唆される。

新技術の特徴

・従来の遺伝子変異解析にmiR-31を加えることで抗EGFR抗体薬の効果予測診断の精度が更に上昇
・miR-31は一部の大腸前癌病変でも高発現していることから糞便等を利用した早期診断への応用も可能

想定される用途

・miR-31は転移性大腸癌における抗EGFR抗体薬の効果予測のバイオマーカーとして臨床応用される
・miR-31は大腸癌やその前癌病変の超早期分子診断に応用できる可能性がある

関連情報

・外国出願特許あり

  • 医療・福祉

7)次世代複合処理に基づくチタン合金の長期耐久性の改善技術

京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 機械システム工学部門 准教授 森田 辰郎

新技術の概要

上記の複合処理技術は、プラズマ窒化と微粒子衝突処理から構成される複合表面改質技術を極短時間熱処理に基づく母材部の組織制御技術と組合せたものです。この複合処理により、チタン合金の耐摩耗性、引張強度および疲労強度を顕著に改善可能です。

従来技術・競合技術との比較

チタンの耐摩耗性改善のため、従来、窒化処理や酸化処理が使用されてきた。しかし、両処理には疲労強度を大幅に低下させる問題点があった。今回提案する新技術では、耐摩耗性、引張強度および疲労強度を同時に改善可能である点に顕著な進歩性がある。

新技術の特徴

・チタン合金製品の耐摩耗性と強度の改善が同時に達成できる。
・後処理により上記改善が達成できる。
・耐食性および生体親和性に顕著な悪影響を及ぼさない。

想定される用途

・チタン合金製インプラント
・航空宇宙分野に使用される各種機械部品
・その他のチタン合金製民生品

  • 医療・福祉

8)細胞・高分子材料の超高速ナノ力学計測技術:原子間力顕微鏡

北海道大学 大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻 教授 岡嶋 孝治

新技術の概要

細胞や柔軟な高分子材料等のソフトマテリアルの力学物性(複素弾性率の周波数依存性)を高速かつ高精度に計測できる原子間力顕微鏡(AFM)技術を開発した。従来法と比べて1桁以上高速な細胞物性の定量化を実現し、細胞力学的スクリーニング・細胞力学診断技術に応用可能である。

従来技術・競合技術との比較

単一細胞力学特性の網羅計測に関する従来法として、マイクロ流路を用いた計測技術が広く用いられているが、測定対象は浮遊状態の細胞に限定されている。本技術は接着細胞の計測に適用でき、計測速度および物性の定量性の点で従来技術よりも優れている。極めて柔軟な高分子材料の計測にも適している。

新技術の特徴

・ソフトマテリアル(細胞・高分子材料等)の力学計測
・ソフトマテリアル表面の力学物性イメージング

想定される用途

・単一細胞診断技術(正常細胞・がん細胞や未分化・分化の単一細胞診断)
・単一細胞スクリーニング(例:抗がん剤によるがん細胞の力学特性の検査)
・ソフトマテリアル(高分子系・細胞系等)の定量的力学特性イメージング

  • 創薬

9)ゲノムに隠されている遺伝子の制御による予防・制御薬の開発

徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部 ライフシステム部門 生命システム工学 准教授 間世田 英明

新技術の概要

緑膿菌の多剤耐性化機構を解析している際に、ゲノムから遺伝子が生み出されてくる機構を見出した。本システムによって生み出された遺伝子によって、緑膿菌は薬剤排出ポンプを発現し、種々の抗生物質に耐性化した。我々は、本システムが他の生物にも存在すること明らかにし、また、検索した全ての生物でこの様な遺伝子が生まれ出るキー配列が存在することを独自のソフトウエアーを開発して確認した。また、このシステムのキー蛋白質の同定に成功し、その阻害剤が耐性菌出現の阻害剤になる可能性や、様々な用途への利用の可能性を見出した。

従来技術・競合技術との比較

本技術では、ゲノムから遺伝子が生まれ、その生まれた遺伝子が緑膿菌耐性の原因となっていることを見つけ出し、ゲノムプロジェクトでは見出されて来なかった遺伝子がゲノムに多数存在していること、さらには、本機構のキーとなる遺伝子を発見した。

新技術の特徴

・遺伝子レベルで感染症の原因菌が出現する現象を突き止めた。
・感染症の原因菌の多剤耐性化を抑制する。
・ゲノムの改変や育種技術に応用できる可能性が示唆された。

想定される用途

・医薬品
・育種
・新規ゲノム改変技術

  • 医療・福祉

10)胃X線検査用腹部圧迫ソフトメカニズム

岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 准教授 脇元 修一

新技術の概要

胃X線検査では明瞭な胃壁・ひだ像を得るためX線透視下で患者の腹部を圧迫する圧迫撮影が実施されている。腹臥位の検査では拳大に折りたたんだタオルを腹下に挿入する方法がとられているが圧迫量や圧迫位置の調整に苦慮し、検査技師が検査室と操作室を複数回往復する必要が生じるケースもある。本開発では圧迫量や圧迫位置を遠隔で調整可能な柔軟な圧迫メカニズムを開発している。

従来技術・競合技術との比較

腹部圧迫において圧迫する位置と量を遠隔で行えるため効率的な検査が可能となる。

新技術の特徴

・柔軟圧迫メカニズム
・胃X線検査の効率向上
・遠隔操作

想定される用途

・胃X線検査

関連情報

・試作機の貸出し可能

  • 創薬

11)次世代のバイオ医薬品、診断薬の開発を目指した画期的なタンパク質修飾法の開発

筑波大学 数理物質系 物質工学域 研究員 池田 豊

新技術の概要

病理診断システム等のタンパク質を用いたデバイス開発ではタンパク質の活性が重要であるが、従来のタンパク質修飾法ではしばしば活性が大きく失われていた。我々はこれまでに独自の技術を用いてタンパク質の活性を保持したまま修飾する技術開発に成功した。活性を保持したまま基板等に固定化する事で高感度・高選択的な診断システムの開発が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

従来のタンパク質修飾技術と比較し、タンパク質の構造及び活性を保持したまま修飾する事が可能である。さらにセンサー表面や粒子表面への固定化も可能であるため、様々な診断システムに展開が可能である。

新技術の特徴

・温和な反応条件でタンパク質修飾が可能
・タンパク質の活性を保持している
・基板等へタンパク質の活性を保持したまま固定化が可能

想定される用途

・タンパク質医薬品
・診断システム

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

12)ダイコンの生理現象に基づいた抽だい阻害剤の開発

弘前大学 農学生命科学部 分子生命科学科 准教授 高田 晃

新技術の概要

ダイコンが抽だい(急激な茎の伸長)すると、糖含量が低下するとともに繊維質となり、その食味は低下する。抽だい制御により、食味の良い易抽性品種を、四季を通じて栽培できる可能性がある。説明者らはダイコンの抽だい現象を制御する天然物を特定した。さらに、その生合成に基づいた抽だい阻害剤の開発を進めている。

従来技術・競合技術との比較

品種改良によって抽だいしにくい品種が開発され、薬剤による抽だい対策は行われていない。

新技術の特徴

・ダイコンの普遍的な生理現象(抽だい現象)のメカニズム研究成果から生み出された。
・おいしいが抽だいしやすいダイコン品種の四季を通じた栽培を可能にする。

想定される用途

・四季を通じて「よりおいしいダイコン品種」を栽培・提供するための抽だい阻害剤。
・抽だいを抑制つつ、ダイコンの食味(辛さ)も変えるオーダーメード型農薬への応用展開。
・ホウレンソウやテンサイなど葉菜・根菜への応用展開。

  • アグリ・バイオ

13)高濃度に亜鉛を含む農作物の新しい栽培技術の開発

秋田県立大学 生物資源科学部 准教授 中村 進一

新技術の概要

これまでの研究で植物の葉に部位特異的に与えたグルタチオンが植物体の地上部に蓄積する亜鉛量を増加させる研究シーズを見出している。この現象を応用展開して、新しい葉面散布剤を商品化し、植物に蓄積する亜鉛の量を増加させることができればと考えている。この葉面散布剤を利用することで、遺伝子組み換え技術を利用することなく、簡単に高濃度に亜鉛を含む農作物を栽培することができると期待している。

従来技術・競合技術との比較

栽培環境に負荷をかけることなく、遺伝子組み換え技術を利用することもなく、即効性がある植物が本来持つ物質輸送能をグルタチオンによって活性化することで植物体に高濃度に亜鉛を蓄積させる技術である。

新技術の特徴

・簡便
・即効性
・非遺伝子組み換え技術

想定される用途

・葉面散布剤

  • アグリ・バイオ

14)安心・安全・安価・簡便なオーガニック技術を用いた未利用貝の生鮮利用

東京農業大学 生物産業学部 アクアバイオ学科 准教授 松原 創

新技術の概要

東北以北に生息するビノスガイは独特のえぐみを有し、貝殻が開きにくいため食用にならないとされてきた。本オーガニック技術によれば、えぐみを除去し刺身で食すること、貝殻を開けることができ、他の地域に存在する未利用貝にも応用できると期待している。

従来技術・競合技術との比較

相当する従来からの技術はないと考えられる。

新技術の特徴

・未利用貝の生鮮利用
・オーガニック技術によるえぐみ除去
・オーガニック技術による貝殻の開け方

想定される用途

・未利用貝類の生鮮利用化
・貝殻を開けることが困難な貝の貝殻を開ける
・漁獲時の味および食感を劣化させない魚介類の飼育法

関連情報

・貝の実物の展示あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

科学技術振興機構 産学連携展開部 研究支援グループ

TEL:03-5214-8994 FAX:03-5214-8999
Mail:a-stepアットマークjst.go.jp
URL:http://jstshingi.jp/a-step2/2014/
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