広島大学 新技術説明会
日時:2014年05月16日(金)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)亜リン酸をリン源とした選択的無蒸煮発酵技術
広島大学 大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻 教授 黒田 章夫
新技術の概要
無蒸煮発酵は、熱源コスト及び発酵阻害物質の低減を可能とするキーテクノロジーである。しかし、他菌種によるコンタミネーションの可能性が高くなる。多くの生物が利用できない亜リン酸をリン源とする培地を使い、亜リン酸酸化酵素をマーカーとすることで、無蒸煮発酵が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
抗生物質を用いれば選択的無蒸煮発酵は可能である。しかし、抗生物質はコストと抗生物質耐性菌の出現などの問題で、実用規模では難しい。本技術では、亜リン酸をリン源とし、亜リン酸酸化酵素を選択マーカーとして用いることで、この問題を解決するものである。
新技術の特徴
・新しい微生物大量培養技術
・植物の選択培養、栽培
想定される用途
・微生物による生産現場
・バイオエタノール生産
・微生物による生産現場
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
2)接触面画像のみから指先力を推定するモバイル向け入力インタフェース
広島大学 大学院工学研究院 電気電子システム数理部門 准教授 栗田 雄一
新技術の概要
接触面画像のみを使って、指先からデバイス面に与えられた印加力を推定できます。タッチ面のどこでも計測可能で、複数点同時計測も可能です。接触面を取得できる様々なモバイル機器の入力インタフェースに利用できます。
従来技術・競合技術との比較
従来のひずみ式力覚センサは幅や厚みがあるため多数を並べることは難しく、高い空間解像度を確保できない。本手法は、接触面変化情報を利用することで、多軸・高空間解像度・多点同時取得可能な力覚センサを実現する。
新技術の特徴
・接触面積変化情報から指先印加力を推定します。
・モバイルデバイスが多軸・高空間解像度・複数点同時計測が可能な力覚センサになります。
想定される用途
・タッチスクリーン/モバイルデバイス用ヒューマンインタフェース
関連情報
・デモ機をお持ちする予定
- 創薬
3)アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を増強する医薬組成物の開発
広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 治療薬効学研究室 教授 小澤 光一郎
新技術の概要
Flurbiprofenが新たに、アルデヒドデヒドロゲナーゼに結合してその活性化を促進することを発見した。従ってflurbiprofenがアルデヒド代謝を促進する結果、アルコール中毒や関連疾患の治療薬として適用できる可能性が考えられる。
従来技術・競合技術との比較
アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を上昇させる薬物として、Alda-1が報告されている。しかし、ヒトへの適用の可能性に関しては現段階では不明である。一方、flurbiprofenは、現在使われている薬物であり、安全性は確立されている。
新技術の特徴
・flurbiprofenはアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を上昇させることを見出した
・flurbiprofenはケミカルシャペロン活性も有していた
想定される用途
・肥満・糖尿病の治療薬
・神経変性疾患、癌、循環器疾患、疼痛、骨粗鬆症の治療薬
・その他、アルデヒドデヒドロゲナーゼが関わる疾患の治療薬
- 医療・福祉
4)SPRイメーングを利用した即時型アレルギー診断法
広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 統合健康科学部門 助教 柳瀬 雄輝
新技術の概要
表面プラズモン共鳴(SPR)イメージングとマルチウェルSPRチップ、ヒトIgE受容体発現RBL細胞を組み合わせることにより、患者由来血液に含まれるIgE抗体を結合させた細胞の各種アレルゲンに対する応答を可視化できる方法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来の即時型アレルギー診断法では、血液中にアレルゲンと結合することができるIgE抗体の量を調べる方法が主流であったが、本技術では、実際にアレルギー原因細胞である好塩基球・肥満細胞を活性化し得るIgE抗体の有無を調べることができ、より信頼性の高い診断が期待できる。
新技術の特徴
・1細胞イメージング
・リアルタイム解析
・非標識
想定される用途
・アレルギー診断
・薬剤スクリーニング
・細胞機能の解明
- アグリ・バイオ
5)光フェントン反応を用いた植物病害防除技術
広島大学 大学院生物圏科学研究科 環境循環系制御学専攻 教授 佐久川 弘
新技術の概要
うどん粉病などの病原菌による病害防除には化学農薬に頼ることが多い。しかし、化学農薬の環境中への残留性などの悪影響が懸念されている。そこで、光フェントン反応(過酸化水素、鉄イオン)により、自然太陽光下でOHラジカルを発生させ、その高い酸化力により、病害治療や予防に役立てる。
従来技術・競合技術との比較
従来の化学農薬は、環境中への残留、環境ホルモンとしての作用、薬剤耐性などの問題を発生させるのに対し、光フェントン反応で用いる過酸化水素は環境中で速やかに分解し、鉄も環境中に広く存在する物質なので、悪影響を与える恐れがない。発生するOHラジカルは極めて反応性が高いので薬剤耐性が起こりにくい。
新技術の特徴
・光フェントン試薬は安価で無害化処理が容易である
・超音波加湿器などを用いて光フェントン試薬を空気中に噴霧してインフルエンザウイルスなどを撃退することも可能である
・光フェントン反応は反応試薬を工夫することで、酸性溶液のみでなく中性溶液でも効率的に起こるので生体への有害性は低い
想定される用途
・イチゴやキュウリうどん粉病などの病害防除
・農作物の収量増加
・空気清浄化技術への応用; ; ・
- 創薬
6)新規作用機序による抗C型肝炎ウィルス薬
広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 消化器・代謝内科学 講師 越智 秀典
新技術の概要
不死化ヒト肝細胞の立体培養系やヒト肝細胞キメラマウスを用いてアラキドン酸カスケードに関与するCOX1阻害剤、PGI2受容体アゴニスト、TXA2合成酵素阻害におけるC型肝炎ウィルス粒子の感染性低下作用を発見した。
従来技術・競合技術との比較
近年、C型肝炎ウィルス感染に対して従来のインターフェロン及びリバビリンによる治療から核酸アナログ製剤の併用療法の導入によりウイルス排除率は著明に改善したが、副作用や耐性変異の出現等の問題点は依然残されている。
新技術の特徴
・アラキドン酸カスケードに影響する化合物による新しい機序に基くC型肝炎ウィルスの感染性抑制作用の発見
・C型肝炎に感染した細胞・組織のex vivo処理やウイルス感染モデル(培養細胞、モデル動物)においても感染を抑制
想定される用途
・従来のC型肝炎ウィルス感染治療薬との併用治療
・C型肝炎等、C型肝炎ウィルス感染に起因する各種疾患の予防および治療
関連情報
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
7) C型肝炎に関連する肝細胞癌への進展を予測する遺伝子マーカー
広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 消化器・代謝内科学 講師 越智 秀典
新技術の概要
総計約3千例の日本人C型慢性肝炎症例によるゲノムワイド関連解析で、C型肝炎ウィルスに起因する肝癌発症と関連するDEPDC5遺伝子上のSNPを同定した。多変量解析ではこのSNPは性別、飲酒歴についで3番目に強いリスク因子であることが判明した(オッズ比1.9)。
従来技術・競合技術との比較
日本人の死亡原因中で肝癌は癌の中では4番目で、8割はC型肝炎に起因する。C型肝炎関連肝癌のリスク因子として、肝線維化、男性、糖尿病、飲酒等が挙げられている。遺伝的要因ではB型肝炎関連肝癌についてKIF1Bが海外で、C型肝炎関連肝癌についてMICAが国内で同定されている。
新技術の特徴
・大規模サンプルによるゲノムワイドSNP解析によって同定された肝癌の遺伝子マーカーである。
・C型肝炎に起因する肝癌を選択的に予測するマーカーである。
想定される用途
・C型慢性肝炎患者の将来の肝癌発症リスクの評価
- 医療・福祉
8)ポリマーアクチュエータ及びそれを備えた人工肺装置
広島大学 HiSIM研究センター 特任助教 宮本 秀範
新技術の概要
本発明は、メカニカルなポンプの代用となるポリマーアクチュエータ、及びそれを備えた人工肺装置である。互いに対向して配置された一対のポリマーフィルムを伸縮させることにより、血流を制御する。ポリマーフィルムは、電圧を印加することにより伸縮することを特徴とする。
従来技術・競合技術との比較
従来の人工肺装置は、メカニカルポンプを使用して血流を制御している。そのため、小型化が困難である。現在、携帯可能な人工肺装置の要望が高まってきている。ポリマーアクチュエータを用いることで、コンパクトな人工肺装置を提供することができる。
新技術の特徴
・高層階への液体の輸送
・携帯性に優れたポンプ
・真空中での液体輸送
想定される用途
・心臓手術等の際における患者の呼吸機能及び循環機能の代行
・小型化による、移植待機患者におけるブリッジ使用の向上
関連情報
・外国出願特許あり
- 情報
9)デジタルペンを用いたハイブリッド型トリアージタグシステム
広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 救急医学 助教 貞森 拓磨
新技術の概要
災害時には限られた医療リソースを適切に配分する必要があり,現行のトリアージタグでは様々な課題が存在し必要な情報が共有されているとはいい難い。我々はデジタルペンの仕組みを応用することで現行の運用をほぼ変更することなく、災害負傷者情報を共有するシステムを開発した。
従来技術・競合技術との比較
国内外でNFCやRFID、バーコードを利用した患者の情報の共有、トラッキングシステムが開発されている。これらを導入知るためには運用の変更、専用端末の配備などクリアしなければならない数々のハードルが存在する。
新技術の特徴
・手書きの情報をデジタル化することで、紙面上に文字記録を残すとともに、入力情報のデジタル化によってこれまで想定されなかった情報共有の方法を構築することが出来る。
- 医療・福祉
10)大動脈瘤の血管内治療(EVAR,TEVAR)における術前シミュレーションシステム
広島大学 大学病院 心臓血管外科 講師 黒崎 達也
新技術の概要
大動脈瘤の治療として、TVEAR、EVAR等の血管内治療が広まっている。この分野は発展途上で、今後も新しい治療法やデバイスが登場すると考えられる。本研究では患者の動脈瘤と全く同じモデルを作製し、シミュレーションできるシステムを開発する。
従来技術・競合技術との比較
大動脈瘤の血管内治療に関するシミュレーションシステムは未だない。我々は数年前から光造形技術を用いて大動脈瘤モデルを作り実験してきたが、血管と同じ硬さの素材での実験は不可能であった。この技術は実際の血管の硬さも再現可能である。
新技術の特徴
・これから治療を行う動脈瘤と全く同じモデルが作成可能
・実際の血管と同じ硬さで作成可能
・そのため、実際にステントで押さえた場合どのようになるのか予測可能
想定される用途
・術前のシミュレーション
・新しく実施医や指導医になるためのトレーニング
・新しいデバイスの評価
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
広島大学 産学・地域連携センター 国際・産学連携部門
TEL:082-424-4302FAX:082-424-6189Mail:techrdhiroshima-u.ac.jp
URL:http://www.hiroshima-u.ac.jp/techrd/index.html
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp