近畿大学 新技術説明会
日時:2015年01月13日(火)
会場:JST東京本部別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)養殖稚魚用自動ワクチン接種装置
近畿大学 生物理工学部 システム生命科学科 教授 栗山 敏秀
新技術の概要
近年重要さを増している日本の養殖業において、稚魚の感染症予防のために実施されているワクチン接種を自動化する試みで、熟練者の作業の高効率化や、非熟練者における作業容易性に貢献するために、稚魚が載った台に固定され、稚魚を装置に押し付けるだけで、自動的に一定量のワクチンが稚魚に接種されるものである。
従来技術・競合技術との比較
従来のワクチン接種は、ピストル型の接種装置を用い、稚魚を片手で持ち上げ、もう一方の手でピストル型注射器を稚魚に刺してワクチンを注入するもので、稚魚を持ち上げるのに時間を要していたのに対し、本装置では、両手を使った操作が可能になり、稚魚を同時に2尾扱えるなどの利点を持ち、熟練者で40%の作業時間短縮を、非熟練者で50%の作業時間短縮を実現することができた。
新技術の特徴
・稚魚を手で持ち上げてワクチン接種をしていたのを、装置に押し付けるだけでワクチンを接種できる。
・注射器が固定されているので、自分の手に誤って注射針を刺すという事故が起こりにくい。
・カウンタが容易に付加できるので、接種された稚魚の自動計数が可能である。
想定される用途
・種々の魚種の稚魚へのワクチン接種の自動化
・皮膚の弱い動物(マグロなどを含む)へのワクチン接種
・フグの歯きり作業の自動化など、現在、人手で行っている作業の自動化
- アグリ・バイオ
2)科学的根拠に基づく畜産農家経営に資する肉用牛の枝肉形質早期診断マーカー
近畿大学 生物理工学部 遺伝子工学科 教授 松本 和也
新技術の概要
安定的な肉用牛生産を達成するための明確な肥育管理の指標が確立されていないため、実際には肉用牛生産農家はそれぞれ自身の経験・勘を頼りに農業経営をすることが多くなっている。我々の技術シーズを基盤に、農家が求める肥育管理の科学的根拠となる肥育過程で個体毎に枝肉形質を予測する診断指標(バイオマーカー)測定キットの開発とその数値化データに基づく予測診断技術が開発できれば、各農家はこの予測診断技術を用いた予測診断マニュアルに従って、品質の良い肉用牛を計画的に生産することが可能となることで、肉牛の生産性向上と安定的な肥育農家経営が図られるとともに、次世代の畜産産業基盤が構築される。
従来技術・競合技術との比較
肥育期間中に肥育牛の枝肉形質を予想する診断指標(バイオマーカー)の開発とキット化、さらにそれらを利用した予測診断技術シーズは、申請者らの研究シーズ以外に認められない。特に、申請者らの技術シーズは、肉質の良さから世界的に注目され日本で最も多く飼育されている品種である黒毛和種肥育牛を対象としているため、畜産農家や消費者の普遍的要求に応えることのできる技術革新と判断している。
新技術の特徴
・農業生物資源において、最終生産物の品質を予測するバイオマーカーの開発
・畜産農家の経験値の見える化
想定される用途
・経験に基づく畜産農家経営から科学的根拠に基づく安定化した畜産農家経営への転換
・システム化された畜産農家の確立
・大規模畜産農業の確立による計画的牛肉の輸出―TPP対応
関連情報
・外国出願特許あり
- 製造技術
3)自律型ロボットによる環境保全型農業の実践
近畿大学 工学部 機械工学科 准教授 樹野 淳也
新技術の概要
環境保全型農業の実践は、24時間作業可能な自律型ロボットのほうが適していると考え、ロボットによる局所耕うん栽培の実践を目指し、移動ロボットや耕うん、定植、雑草管理等を行う作業機の開発に取り組んでいる。
従来技術・競合技術との比較
人間が操作していた農業機械の自動化に関する研究は多くあるが、それらは自動化のアドバンテージが充分でない。本技術は、農作業の観点や機構の観点からも「ロボットならでは」の要素を多く持つものである。
新技術の特徴
・河川緑地の雑草管理
・法面の雑草管理
想定される用途
・最小耕うん向けの苗移植技術
・低価格な位置計測技術
- アグリ・バイオ
4)水産未利用資源の医療・美容分野への有効活用
近畿大学 農学部 水産学科 水産利用学研究室 講師 伊藤 智広
新技術の概要
水産物の加工に伴う副産物から、抗腫瘍、抗炎症、抗アクネ、美白などの機能を示す生理活性物質を探索し、医療・美容素材としての開発に向けてそれらの作用機序についても明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
これまで水産加工場における副産物は、魚油、魚粉、貝殻粉末などとして再利用されることが多く、その他の未利用資源の有効活用は盛んに行われていない。
新技術の特徴
・材木への塗布などを施すことによる建築用抗菌資材への活用
・染料
想定される用途
・各種疾患に対する治療薬またはリード化合物
・美容素材の開発
・健康サプリメントの開発
関連情報
・展示品あり(イシクラゲおよびウニ殻乾燥品、ウニ殻色素抽出液)
- アグリ・バイオ
5)植物高含有天然物(ゼルンボン)を用いた医薬品・機能性分子開発
近畿大学 農学部 バイオサイエンス学科 教授 北山 隆
新技術の概要
有用機能性物質の開発のためには、様々な骨格をもつ出発物質の化学変換によって得られた誘導体を用いて、それらの機能を探索することが重要である。我々は植物が生産する反応多様な物質に着目し、ゼルンボンを出発物質に用いて反応検討した結果、これまでに得られなかった多くの新規化合物の構築に成功した。
従来技術・競合技術との比較
第一ステージではゼルンボンの直接的な反応によって特徴的な位置選択的物質を得ることができ、第二ステージではこれらに対して反応条件を僅かに変えるだけで多様な構造を有する新規化合物に変換できる。このように基礎的な物質変換を体系的に達成した例はほとんどない。
新技術の特徴
・多様な骨格をもつ低分子
・分子認識
・光学活性体
想定される用途
・医薬、農薬開発
・香料開発
・その他機能性材料開発
関連情報
・サンプルの提供可能(簡単ではありませんので、要相談とさせて頂きます)
- アグリ・バイオ
6)新規ストレス耐性化(耐熱化)微生物の作出方法
近畿大学 生物理工学部 食品安全工学科 准教授 東 慶直
新技術の概要
発酵産業においては発酵生産時に温度管理に多大なエネルギーを消費している。今回の技術を用いることで、発酵菌の生育限界温度を2-5℃上昇させることができ、温度管理を簡素化できる。また、発酵の効率向上にも繋がる。
従来技術・競合技術との比較
遺伝子組換え技術が許可される分野では、より汎用的な熱耐性遺伝子の導入により耐熱化が可能である。一方、遺伝子組換えを避けるべき分野では、ストレス耐性を相補する細胞融合によりストレス耐性菌の確立が可能となる。
新技術の特徴
・広く微生物を利用する分野での有微生物の対ストレス耐性改良
・生物農薬の対環境ストレス耐性化
想定される用途
・発酵食品分野での有用微生物の対ストレス耐性改良
・バイオ燃料や医薬品、生分解性プラスチック生産において工業的に利用される微生物の改良
・微生物農薬の対環境ストレス耐性化
- アグリ・バイオ
7)自然素材と微生物農薬の可能性
近畿大学 生物理工学部 生物工学科 教授 阿野 貴司
新技術の概要
植物病を抑制する種々の微生物を単離した。これら微生物の組合せと自然素材の有効利用による安価な培養により、土壌を肥沃にし、かつ発病抑制能を持たせるように改変できることが可能な資材が開発できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の微生物農薬は、PseudomonasやBacillus属細菌を中心とした、高栄養を望む微生物が中心であるが、今回単離した低栄養微生物は培養が安価であり自然界への適応力が高いことや、燻炭による増殖促進効果を有するものなど従来とは異なる性質を持つものが中心である。
新技術の特徴
・食品加工業の食品製廃棄物残渣を用いた培養
・未利用有機資源を用いた微生物農薬の培養
・ハウス内散布による環境向上
想定される用途
・農業用土壌改良剤
・発病抑制土壌の誘導
・植物生長促進土壌
関連情報
・サンプル提供可能(ただし条件有り)
- 環境
8)太陽発電併用サツマイモの空中多層栽培
近畿大学 生物理工学部 生物工学科 教授 鈴木 高広
新技術の概要
三角棚多層栽培システムは、サツマイモの収量を通常耕作法と比べ5倍~10倍に高めることができる。課題は設備コストである。そこで、栽培棚の通路にソーラーパネルを設置し太陽光発電を併用するシステムを開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来のソーラーシェアは架台設備が高コストとなる上、露地作物に限られていた。本システムは、野菜やイチゴなどの園芸作物に適した多層栽培棚を脚部として太陽電池を設置し、パネルの下の日陰で楽な姿勢で、数倍の収量を得る。
新技術の特徴
・農業の六次産業化
・低炭素社会システムの構築
・農業を核としたスマートエネルギーシステム
想定される用途
・福島や土壌汚染地域における空中栽培農法の普及
・バイオガス発電用バイオマスの大量栽培法
・耕作放棄地等における高収益農事業
関連情報
・展示品あり(事例資料:福島県川俣町山木屋地区仮設住宅設置システム(3kW・50㎡))
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
近畿大学 リエゾンセンター
TEL:06-4307-3099FAX:06-6721-2356Mail:klckindai.ac.jp
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