岡山大学 新技術説明会
日時:2015年01月09日(金)
会場:JST東京本部別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)耐性菌に対して適用できない抗菌薬の効力を復活させる抗菌活性増強物質
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 創薬生命科学専攻 准教授 黒田 照夫
新技術の概要
新規抗菌薬の開発速度は鈍化している。耐性菌に対して効果が失われた抗菌活性をもう一度復活できれば現状を打破することができる。この説明会では併用することで既存抗菌薬の活性を増強させる物質について報告する。
従来技術・競合技術との比較
抗菌薬耐性菌に対する抗菌薬はその種類が限られている。本化合物は、単独でもバンコマイシンに匹敵する抗菌作用を持つだけでなく、それより低い濃度でも既存抗菌薬との併用効果によって抗菌活性を示すものである。
新技術の特徴
・単独使用で強い抗菌作用を持つ
・低濃度で作用させた場合、既存抗菌薬の効力を増強
・耐性菌が出にくい
想定される用途
・抗菌薬、抗菌活性増強薬
・医薬組成物
・表面抗菌用組成物
- 医療・福祉
2)免疫複合体を利用した新しいアレルギー治療・免疫抑制剤
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 機能再生・再建科学専攻 准教授 岡野 光博
新技術の概要
今回我々は、抗アレルギー作用や免疫抑制作用を示す代表的なサイトカインであるIL-10の産生を強力に誘導する製剤として、黄色ブドウ球菌プロテインAと免疫グロブリンからなる免疫複合体を発明した。
従来技術・競合技術との比較
先行技術としては主に乳酸菌製剤を用いたIL-10産生促進剤が特許出願されているが、我々が開発した製剤はIL-10産生誘導能が飛躍的に亢進している。
新技術の特徴
・アルツハイマー病などの変性疾患にも炎症が関わることが知られており、本剤が利用できる可能性がある。
・動脈硬化や肥満などの生活習慣病にも炎症が関わることが知られており、本剤が利用できる可能性がある。
・がんにも炎症が関わることが知られており、本剤が利用できる可能性がある。
想定される用途
・花粉症や気管支喘息などのアレルギー疾患の治療薬
・関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の治療薬
・移植医療での免疫抑制剤
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 創薬
3)二本鎖オリゴDNAや改変型受容体蛋白を用いた慢性疼痛治療剤
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻 准教授 大内田 守
新技術の概要
我々は、慢性疼痛モデルラットを用いて疼痛刺激により特異的に発現する遺伝子バリアントを突き止め、その遺伝子発現を効果的に抑制するオリゴヌクレオチドと改変型受容体蛋白を作成することにより、慢性疼痛に対する新しい治療技術を開発しました。
従来技術・競合技術との比較
従来技術のような化合物ではなく、核酸製剤、蛋白製剤である。従来技術に比べて、持続時間が長い(2~3日)。
新技術の特徴
・慢性疼痛に対する核酸製剤(2本鎖ヌクレオチド)
・慢性疼痛に対する蛋白製剤
・癌性疼痛の治療剤
想定される用途
・脊椎クモ膜下への直接投与型の慢性疼痛治療剤
・DDS技術分野への応用開発、体内での安定性向上のための応用開発
・疼痛遺伝子プロモーター配列を利用した「疼痛刺激モニタリング」、「疼痛治療薬評価」、「疼痛刺激モニタリング動物」等の応用開発
- アグリ・バイオ
4)高活性・高エナンチオ選択的な不斉求核触媒の開発
岡山大学 大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻 助教 萬代 大樹
新技術の概要
我々は、1, 1' - ビナフチル基をもつ新しいN,N-4-dimethylaminopyridine (DMAP)類縁体の開発に成功した。ビナフチル基の 3,3'位に水素結合性置換基を有する触媒は、オキシインドール類の不斉ステグリッヒ反応において、極めて高い活性を示す触媒である。わずか0.5 mol %の触媒存在下、反応時間5時間で3位に不斉四級炭素をもつオキシインドール類縁体を高収率かつ高エナンチオ選択性(99:1 er)で得ることができる。
従来技術・競合技術との比較
これまで報告された同様の触媒と比べて、極めて少ない触媒量(0.5 mol %)で短時間で3位に不斉四級炭素をもつオキシインドール類縁体を合成することができる。
新技術の特徴
・極めて高い触媒活性およびエナンチオ選択性が発現する触媒
・触媒の大量合成が可能
・多様性をもつ触媒構造(30種類以上合成済み)
想定される用途
・生理活性化合物の効率的不斉合成
・キラル合成素子の効率的供給
・本求核触媒の市販
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
5)イネの病害抵抗性を活性化させる環境に優しい農薬の開発
岡山大学 大学院環境生命科学研究科 生物生産科学専攻 准教授 稲垣 善茂
新技術の概要
植物二次代謝産物であるβ-アミリンは抗炎症活性をもつが、植物に対する生理活性は知られていない。我々はβ-アミリン合成酵素遺伝子を導入した組換え体イネや野生型イネへのβ-アミリン処理の結果から、β-アミリンがイネの病害抵抗性を活性化させることを明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
従来のプラントアクティベーターはイネに特化し、純合成化合物で、防御応答シグナル物質であるサリチル酸を介した抵抗性反応を活性化させるものしか知られていない。本化合物は天然物由来で易分解性が期待でき、防御応答シグナル物質であるサリチル酸やジャスモン酸シグナルを介在しない新規のプラントアクティベーターである。
新技術の特徴
・β-アミリンはイネに対して病害抵抗性反応を活性化し、植物二次代謝産物(天然化合物)である。
・従来のサリチル酸やジャスモン酸を介した防御応答の活性化ではない、新規のシグナル伝達をもつと予想される。
・本抵抗性誘導は、いわゆるプライミングと言われる現象に似た防御応答反応を示す。
想定される用途
・イネの病害防除
・イネ以外の、例えばムギ類などに対する病害防除の可能性も予想される。
・β-アミリンはほ乳類に対しての抗炎症作用が知られており、組換え体イネはβ-アミリン含有の機能性米となる。
- 機械
6)特殊環境下での試験やその場観察を可能とする非接触式材料試験機
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 教授 多田 直哉
新技術の概要
強力な永久磁石を用いた非接触型材料試験機を開発した。本試験機を用いると、液体内やガス中、生体組織内での試験が可能となり、また、引張りや曲げ、ねじり等を組み合わせた複雑な負荷を与えることができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の試験機では、試験片を完全に密封することが困難であったため、液体中や気体中、生体組織内での試験が困難であった。また、引張り、曲げ、ねじり専用の試験機はあったが、それらを組み合わせた試験は困難であった。
新技術の特徴
・非接触で試験片に力学的負荷を与えられる。
・特殊環境下やクリーン環境下での試験が可能である。
・生体内や生体組織内での試験が可能である。
想定される用途
・液体中や気体中、高真空中等の特殊環境で用いられる材料の試験
・クリーンルーム内での材料試験を通常環境で実現
・体内に留置する生体機器や部品、生体組織そのものの試験
- 機械
7)マイクロ流路と高周波振動によるエマルション生成
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 准教授 神田 岳文
新技術の概要
金属プレートを積層し、高周波振動をプレート表面のマイクロ流路内の油相・水相に対して加えて、直径サブマイクロメートルの液滴によるo/wエマルションを生成する小型デバイスを実現する技術。
従来技術・競合技術との比較
高周波振動とマイクロ流路の使用により装置の小型化が可能である。連続プロセスの実現により無菌性の確保が可能である、小型であることから滅菌作業が容易である、騒音が小さい等の優位性がある。
新技術の特徴
・金属プレートを重ねた小型の装置によるエマルション生成
・流路プレートを使用した連続プロセスにより密封された環境でのエマルション生成
・高周波の使用により低騒音を実現
想定される用途
・エマルション製剤の生成
・食品、化粧品に使われるエマルションの生成
・電子材料等の微小粒子・粉末の生産
関連情報
・外国出願特許あり
- 機械
8)イオン液体の性質を利用した表面コーティング技術
岡山大学 大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻 教授 小野 努
新技術の概要
水や有機溶媒とも混和しないイオン液体の特性を利用して、様々なイオン液体性の官能基を材料表面へ付与することによって、親水性表面から疎水性表面、さらには撥水・撥油性を同時に示すような表面修飾を可能にした技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来、基材表面の親水化にはプラズマ処理、疎水化には有機シランカップリング剤などが用いられてきたが、両方の性質を同時に付与することは困難であった。本技術では水にも油にも混和しないイオン液体の特性を利用して、撥水・撥油表面を作り出すことができる。
新技術の特徴
・マイクロ流路内の表面修飾による乳化技術の向上
・材料表面へのイオン液体層付与による触媒担持、およびフロー型触媒反応器の開発
・新規微粒子分散技術
想定される用途
・表面処理技術
・防水・防汚コーティング技術
・防水・防汚フィルム開発
関連情報
・サンプルの提供について(少量の表面処理であれば可能な場合もありますのでご相談下さい。)
- デバイス・装置
9)低炭素社会を実現する高強度・高伝導・超軽量カーボンナノチューブ線材の開発
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 教授 林 靖彦
新技術の概要
高速で成長した長尺・高密度カーボンナノチューブ(CNT)アレーから、バインダー無しに超高強度・低抵抗 CNT線材を開発する。自動車用ワイヤハーネスに応用すると、細線化や大幅な軽量化により低燃費が実現できる。
従来技術・競合技術との比較
従来、ウエットプロセスでのCNT線材開発が先行してきたが、CNT分散技術の開発が長年の課題で実用化に至ってない。本発表のドライプロセスは、未だ開発途上であるが、岡山大学はチューブ径の細いCNTで線材化する、他の追随を許さない技術を保有している。
新技術の特徴
・超軽量配線材(高導電、高熱伝導)
・超軽量・高強度構造部材
・CNT繊維
想定される用途
・超軽量ワイヤーハーネス(自動車、航空機など)
・配線材料、構造材料、ウェアラブル・エレクトロニクス
・バイオメディカル(人工筋肉など)
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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