芝浦工業大学 新技術説明会 【豊洲開催】
日時:2014年12月18日(木)
会場:芝浦工業大学 交流棟501室
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)水蒸気を利用したマグネシウム合金上への耐食性皮膜形成技術
芝浦工業大学 工学部 材料工学科 准教授 石崎 貴裕
新技術の概要
密閉容器内にて、中低温、高圧下の条件でマグネシウム合金を水蒸気に晒すだけで耐食性皮膜を形成することができる。本プロセスの特徴としては、①前処理工程が少ない、②低環境負荷型のプロセスである、③次元的な複雑形状を有する材料に処理ができる、④有害な廃液が出ない、⑤密着性の高い皮膜を形成できる、等が挙げられる。
従来技術・競合技術との比較
本技術の優位性は、ナノ結晶層の利用による皮膜の緻密性と層状複水酸化物(LDH)のアニオン交換能による腐食反応抑制機構を兼ね備えていることである。皮膜の緻密性により、材料表面への腐食を誘発する水分とマグネシウムの接触を大幅に低減できる。また、アニオン交換能を有するLDHを利用するため、腐食反応を促進するアニオン類(Cl-やSO43-等)をLDHのナノ空間内に捕捉することができる。
新技術の特徴
・皮膜の緻密化による水分やアニオン類の基板到達への抑制効果
・腐食反応を促進するアニオン類を結晶層内で捕捉することによる腐食促進の遅延効果
・大型部材へ適用可能
想定される用途
・輸送機器の部材
・電子機器類の筐体
・車いす等のパイプ
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(耐食性皮膜を被覆したマグネシウム合金)
- 材料
2)フレキシブルエレクトロニクス用高性能フレキシブル基板の開発
芝浦工業大学 工学部 応用化学科 教授 大石 知司
新技術の概要
高ガスバリア性・高透明性・フレキシブル性を有するフレキシブルエレクトロニクス用基板を開発した。本基板は、超薄板ガラスとTACフィルムを新規に開発した有機無機ハイブリッド化合物を接着剤として接合したものである。極めて高いガスバリア性を持ち、透明性及び柔軟性も十分なものである。
従来技術・競合技術との比較
従来のフレキシブル基板として有機フィルムが使用されているが、ガスバリア特性が低くデバイス作製には適さない。有機フィルム上に無機系緻密膜を多層コーティングしたものがあるが、製造プロセスが複雑なため高コストであり、またガスバリア特性も十分なものではない。
新技術の特徴
・高ガスバリア性・高透明性・フレキシブル性の両立
・簡便な作製プロセス
想定される用途
・フレキシブルエレクトロニクス用基板
・フレキシブルディスプレイ・フレキシブル照明
・フレキシブル太陽電池
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
3)ナノカーボン素材をゲル化し、種々の樹脂等に混ぜ込み複合素材とする技術
芝浦工業大学 工学部 共通学群 准教授 小西 利史
新技術の概要
ナノチューブ、グラフェン等のナノカーボン、マイクロカーボン材料を一旦ナノ分散ゲルとし、ゴムや樹脂に混合することで、簡便に複合化樹脂を得る技術をご紹介します。
従来技術・競合技術との比較
本技術では、フィラー(導電性や熱伝導性等を賦与する機能性添加材)として用いたナノカーボンが、ナノスケールで樹脂内で分散し、三次元ネットワーク構造を形成した状態で複合化されます。
新技術の特徴
・化学センサー、太陽電池等の分子デバイス材料
・赤外線発光体
想定される用途
・導電性樹脂
・熱伝導性樹脂
・透明電極材料
関連情報
・外国出願特許あり
- 環境
4)強酸分離用無機逆浸透膜の開発
芝浦工業大学 工学部 応用化学科 教授 野村 幹弘
新技術の概要
新規な気相蒸着法により、硫酸など強酸を効率的に分離可能なシリカ系逆浸透膜の開発を行っている。膜原料にフェニル基を導入することで、硫酸阻止率92%、全透過流束5.8kg m-2 h-1と世界トップの性能を得た。
従来技術・競合技術との比較
これまで工業化されている高分子型の逆浸透膜は、分離効率も良く、海水淡水化などへ応用されている。しかし、酸など過酷な分離系には利用できない。今回開発したシリカ系の逆浸透膜は、硫酸分離も可能であり、過酷な分離系への応用が期待される。
新技術の特徴
・酢酸製造工程(石油化学)
・小規模廃液処理システム
想定される用途
・酢酸水溶液分離
・硫酸水溶液分離
・廃液処理
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(分離試験のデモンストレーション可能)
- 環境
5)廃棄FPD・CRT・蛍光管等からの有用金属リサイクル技術
芝浦工業大学 工学部 電子工学科 教授 本間 哲哉
新技術の概要
本技術は、FPD・CRT・蛍光管・PWBなどの廃棄物を、粉砕、または粉末化して、室温程度の低消費エネルギーで、HF水溶液、あるいは、HF/H2O2の混合水溶液に溶解する。H2O2は、HF水溶液に不溶の金属の酸化剤として用い、ガラス・金属酸化物と同時に溶解する。この水溶液は各種金属イオン、フッ化物イオン、沈殿物を含む。沈殿物は、酸性水溶液に溶解して金属イオン化する。各水溶液中の金属イオンは、電気分解・還元して回収する。
従来技術・競合技術との比較
従来、溶液から分離・回収する湿式法と合金形成による乾式法がある。湿式法では、金属濃度が数100ppm以上の高濃度水溶液の場合には沈殿分離法が有効であり、金属濃度が数10ppm以下の低濃度水溶液の場合には吸着法が有効である。また、スクラップなど希少金属量が少ない場合には乾式法が有効であるが、高温溶融であるため、エネルギー消費が多い。本技術は、溶液中の金属イオン濃度によらず、室温程度での処理が可能である。
新技術の特徴
・室温程度(~40℃) での処理が可能
・シリカ系ガラスと同時処理、シリカ系ガラスリサイクルが可能
・解体工程の簡略化、各種廃棄物の同時処理が可能
想定される用途
・小型電子機器からの有用金属リサイクル
・蛍光管、ブラウン管などからの鉛の分離・回収
・各種誘電体・磁性体材料からの有用金属の分離・回収
関連情報
・外国出願特許あり
- 建築・土木
6)色つき点群データの透過効果問題と遠近問題を高速に解決する技術
芝浦工業大学 工学部 土木工学科 准教授 中川 雅史
新技術の概要
3Dスキャナで取得できる色つき点群データは一般に大規模データであるため扱いづらいうえに、透過効果問題と遠近問題がある。提案技術は、ポイントベースドレンダリング技術に空間フィルタリング技術を組み合わせることで、これらの課題を解決している。
従来技術・競合技術との比較
色つき点群の可視化における透過効果問題と遠近問題に対して、従来技術ではメッシュモデリングとテクスチャマッピングにより可視化を実現するが、手作業が多く、自動処理コストも極めて大きく、大規模データへの対応が困難である。
新技術の特徴
・実測データを直接扱うため、手作業で3DモデリングされるCADやCGデータと比較して高い臨場感を得られる
・膨大な点群データを高速に処理できる
・モデリング作業やテクスチャマッピング作業が不要なので、短期間かつ低コストで処理ができる
想定される用途
・構造物の施工・維持管理支援、BIM(Building Information Modelling)、3Dプリント
・考古・環境・景観調査
・3D画像地図(空間情報基盤,自律移動ロボット)
関連情報
・展示品あり
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
7)分子を認識する高分子を用いたインスタントセンサ
芝浦工業大学 工学部 応用化学科 教授 吉見 靖男
新技術の概要
測りたい物質に材料を混ぜて、電極と反応させるだけで感度、応答速度、選択性の優れたセンサができます。
従来技術・競合技術との比較
測りたいものに対して低コスト・短時間でテーラーメード的に開発できる。分子認識素子に抗体や酵素を用いたセンサに比べて、製造コストが低く、製造時間も圧倒的に短い。操作も簡便である。
新技術の特徴
・手軽に作製可能
・微細化可能
・耐久性に富む
想定される用途
・治療中における血液中の薬剤のモニタリング
・開発薬の細胞毒性評価(分泌物の量の増減から細胞活性を評価)
・伝達物質検出に基づく脳・神経インターフェイス
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
芝浦工業大学 産学官連携・研究支援課
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