広域多摩地域の大学発 新技術説明会
日時:2014年08月26日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)広く大きな六自由度の可動範囲を持つ平面運動形三脚パラレルメカニズム(新たな用途を目指して)
法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 教授 田中 豊
新技術の概要
従来の運動機構に比べ、極めて広い可動範囲の運動性能をコンパクトに実現できる、新発想の平面運動型三脚パラレルメカニズムの運動機構と、その機構を用いた運動シミュレータ装置の技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来の運動シミュレータ装置は、長年にわたりスチュワートプラットフォーム型六脚パラレルメカニズムが用いられ、構造上、装置構成が大きく、主に大規模な研究開発用に特化した、非常に高価な装置となるのに比べ、本技術は高い運動性能を小型で簡易な装置構成で実現できる。
新技術の特徴
・広い平面運動範囲(前後:1.6倍、左右:1.3倍)
・大きな傾斜角度(ロール、ピッチ角:3倍)と全周方向(ヨー角:360度)の回転運動
・設置面積を従来の3分の1まで低減
想定される用途
・フライトシミュレータや遊戯装置などの運動シミュレータ用モーションプラットフォーム
・印刷・塗装・研磨用ヘッドの可動機構
・ロボットマニピュレータ
関連情報
・試作可能(小型の試作機有り)
- エネルギー
2) 安全な水素ガス漏洩を検出する光ファイバセンサ
創価大学 工学部 情報システム工学科 講師 西山 道子
新技術の概要
本研究で提案する光ファイバセンサは、容易に伝播光を外部に漏洩させ相互作用させる構造を有し、ガス濃度の変化を鋭敏に検出が可能です。燃料電池や宇宙機等の水素燃料利用装置からの水素ガス漏洩の有無、漏洩個所の特定ができるため、発火や爆発を未然に防ぐことができ、従来は、信号伝送のための電気線を用いており、引火、爆発の危険性を有しているのに対して、その安全性を高める上で重要な技術といえます。
従来技術・競合技術との比較
電気式のセンシング技術に比べて、スパークフリー、電磁ノイズに強く、電源供給不要である特徴があります。また、表面プラズモン共鳴という光学現象に基づくセンサ原理で、水素ガス漏洩を即時に検出でき、リアルタイム性を高められます。さらに、センサ部だけでなく、伝送路も光ファイバで実現できるため、センシング信号を安定して長距離伝送可能となっています。
新技術の特徴
・スパークフリー、電磁ノイズに強く、電源供給不要な光ファイバセンサ
・光学現象に基づくセンサ原理で、水素ガス漏洩を即時に検出できる
・光ファイバを伝送路とでき、センシング信号を安定して長距離伝送
想定される用途
・水素燃料を使用する宇宙航空機、または地上設備
・水素燃料を利用した自動車、また水素ガスステーション
関連情報
・展示品あり
- 情報
3)3Dプリンタ用デジタルコンテンツの著作権保護技術
神奈川工科大学 情報学部 情報ネットワーク・コミュニケーション学科 教授 上平 員丈
新技術の概要
3Dプリンタにより造形される物体のオリジナルデータとなるデジタルコンテンツの著作権を保護する技術を紹介する。造形物体の表面あるいは内部に、知覚されない状態で情報を存在させるようにデータを生成することを特徴とする。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、3次元形状データ内の著作権情報を検出し、不正な造形を装置で制御しているが、その検出機能がない装置を用いた場合は防げない。本技術では、造形物に情報を秘密裏に付加できるので、著作権侵害の立証が容易になり、違法コピーが抑制される。
新技術の特徴
・造形物表面あるいは内部に、視認できない態様で所望の情報を付加でき、外観を損ねない。
・造形過程および造形後に、エンドユーザーに気付かれずに情報を物体内に存在させることができる。
・物体の表面に表示したくない情報を内部に埋め込みせ、必要に応じて専用リーダで読み出して活用できる。
想定される用途
・サプライヤーがユーザに対して商品を造形するための3次元形状データを供給するという商取引形態
・サプライヤーがオリジナルへの依拠性を要件とする著作権侵害(違法コピー)の立証
・デザイン性が重視される造形物への著作権情報等の付与
- エネルギー
4)光軸がずれても高集光率の太陽光集光用フルネルレンズ
東京工芸大学 工学部 メディア画像学科 教授 渋谷 眞人
新技術の概要
太陽光集光用のレンズの設計にフレネルレンズを用いた。従来のフレネルレンズでは、片面だけであるので、正弦条件が近似的しか満足できず、コマ収差の発生が見られた。それを改良するために両面をブレーズした。基本的な形状の決定法を提案した発明である。
従来技術・競合技術との比較
従来の太陽光集光フレネルレンズは、片面だけがブレーズした(ギザギザした)球面上のフレネルレンズであるが、太陽の位置が光軸からずれた時に発生するコマ収差が大きい。また、DOEの設計において、高屈折率法からの実形状を求める最適設計法は示されていなかった。
新技術の特徴
・太陽光集光工学系の、それ自体のアライメント許容量を大きくできる。
・太陽光追尾精度を小さくできる。
・高屈折率法によるDOE設計から実形状を定めるための最適な指針となる。
想定される用途
・太陽光集光の後のそのエネルギーを活用する装置
・様々なDOEの設計
・画角の広くない結像レンズ
- 通信
5)光波長多重方式による光通信ネットワークのための集積型・低消費電力光スイッチ
神奈川工科大学 工学部 電気電子情報工学科 教授 中津原 克己
新技術の概要
半導体により形成された導波路を用いた、新規な光スイッチを提供する。複数の異なる波長の光信号が同時に伝送されるネットワーク内で、特定の波長チャネルに対して分岐、挿入および切替を行う機能を、超小型かつ低消費電力で実現する。
従来技術・競合技術との比較
導波路に装荷した液晶の屈折率変化を電界で制御するため、従来の熱光学効果や電流注入を利用する技術とは異なり、消費電力は非常に少ない。また、本技術の前段では、1入力1出力であったため反射光を取り出すことが難しかったが、今回この課題を解決した。
新技術の特徴
・低消費電力で動作するため、素子間での熱干渉の心配がなく高密度集積化に有利
・シリコンフォトニクスによる光配線を採用することで光軸調整が不要
・CMOSプロセスを用いた光導波路形成が利用でき、量産プロセスへの展開も可能
想定される用途
・光波長多重の通信網内でのスイッチング
・光波長多重の通信網内でのルーティング
- 製造技術
6)食品加工や医療関連等の高い耐食性を要求される機械設備用の高耐食性リニアガイド
明星大学 理工学部 総合理工学科機械工学系 教授 石井 友之
新技術の概要
各種機械製品の直線運動部に用いられるリニアガイドにおいて、食品加工設備や医療関連設備等の特に高い耐食性を要求される機械設備用のリニアガイドについて、レール側の転動面にオーステナイト系ステンレス鋼を用い、該転動面にバニシング加工を施して高硬度化して耐食性を高めた。
従来技術・競合技術との比較
一般のリニアガイドに使われる焼入れ鋼は焼入れ処理をすることにより高硬度化が図れるが、腐食性の高い環境で使用されるオーステナイト系ステンレス鋼製のリニアガイドは焼入れ処理により高硬度化することができないため、耐荷重性能(定格荷重)が焼入れ鋼製リニアガイドの数分の一と低い。本発明では、オーステナイト系ステンレス鋼製のリニアガイドの転動面にバニシング加工を施すことによって高硬度化して耐荷重性能を高め、従来品と比べて小型化、軽量化を図ると同時に耐食性を高めている。
想定される用途
・食品加工設備や医療関連設備等の特に高い耐食性を要求される機械設備
・耐久性、耐荷重性を同等に保つのであれば、小型・軽量化が図れるので、ほとんどすべての機械設備に利用できる。
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(講演後、希望する聴講者へ見せる。)
- アグリ・バイオ
7)開閉を制御可能なタンパク質性ナノカプセルのDDSへの応用
神奈川工科大学 応用バイオ科学部 応用バイオ科学科 教授 小池 あゆみ
新技術の概要
シャペロニンは、生体内で変性タンパク質が凝集しないようその空洞内に閉じ込め、一定時間後に放出する機能を持つタンパク質である。この、生体適合性、均一サイズ、開閉能力を兼ね備えたカプセル素材としてのシャペロニンをDDSに応用するため、閉じ込めから放出までの時間を改変した人工変異体を作製し、評価した。
従来技術・競合技術との比較
タンパク質製剤における重要な課題は、タンパク質の失活・凝集抑制と徐放であるが、シャペロニン本来の機能を利用することでこの問題を解決できる。また、局所送達のための生体内シグナル配列の付与が遺伝子工学的手法により容易な、優れた機能性DDS素材と考えられる。
新技術の特徴
・タンパク質性のカプセル構造を持つ。
・タンパク質や化学物質、半導体粒子など空洞内(直径45Å)に入る大きさのものならば閉じ込めることができる。
・人工変異体の作製により比較的容易に放出時間を改変でき、除放あるいは任意放出が可能である。
想定される用途
・薬物担体
・生物応答デバイス
・ナノ材料
関連情報
・試作可能
- アグリ・バイオ
8) 植物の効率的な育成方法と装置構成
成蹊大学 理工学部 情報科学科 教授 小口 喜美夫
新技術の概要
制御可能な環境下に置かれた植物に対して、複数の光源と電磁波源から選択した光及び電磁波のいずれか一つ又は組合せを照射し、環境情報及び植物の成長状況を感知し、感知された環境の状態及び植物の成長状況に合わせて、前記光及び電磁波の照射状況及び環境条件の少なくとも一つを制御する。
従来技術・競合技術との比較
植物育成方法及び装置に係り、特に、少ないエネルギーで植物の育成を促進して早く出荷することが可能な植物育成方法及び装置に関する。従来は、各種要因を制御して総合的に効率良く植物の成長を促進する技術は提案されていなかった。
新技術の特徴
・成長促進
・省エネ
想定される用途
・植物工場
・環境制御
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