東北大学 新技術説明会
日時:2014年06月06日(金)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)3次元位置敏感型半導体検出器と高空間分解能陽電子断層撮影装置への応用
東北大学 大学院工学研究科 量子エネルギー工学専攻 教授 石井 慶造
新技術の概要
平板の半導体検出器の片面を抵抗性電極にし、さらに抵抗回路にストライプ構造を持たせることによって2次元位置敏感型半導体検出器を構成する。これをスタックすることにより、3次元位置敏感型半導体検出器を構成し、これを高空間分解能陽電子断層撮影装置に応用する。
従来技術・競合技術との比較
陽電子断層撮影装置の検出器としては、従来、シンチレーター検出器が使われており、空間分解能として2mmFWHMまでに到達しているが、通常のものとしては4mmFWHM程度である。3次元位置敏感型半導体検出器を用いると0.7mm~1.5mmFWHMの高空間分解能が期待できる。
新技術の特徴
・陽電子断層撮影装置の空間分解能の理論的限界値に近づく値に迫られる。
・小動物の場合は、1mmFWHM以下の空間分解能が期待できる。
想定される用途
・陽電子断層撮影装置
・コンプトンカメラ
・非破壊検査装置
関連情報
・ポスターあり
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
2) 局所薬剤徐放制御システム
東北大学 大学院医学系研究科 創生応用センター 細胞治療分野 教授 阿部 俊明
新技術の概要
さまざまな薬剤を局所で徐放コントロール可能なデバイスの開発を行った。薬剤徐放コントロール、一方向性徐放、複数の薬剤を個別に徐放制御できる。さらに宇宙構造物工学が基盤のナノシートによる局所空間での展開も考慮している。
従来技術・競合技術との比較
従来の薬剤バースト、徐放分子制限(低分子のみ)、徐放期間制限を解決し、多剤徐放も可能にした。さらに宇宙構造物工学を基盤にしたナノ・マイクロシートによる局所空間での展開による徐放も考慮している。
新技術の特徴
・さまざまな(低分子、高分子など)薬剤が徐放可能
・徐放コントロールがしやすく、多剤でもそれぞれ独立した徐放を可能にする
・狭い空間(針など)を通過して局所空間で展開が可能なシートによる徐放も可能になりつつある
想定される用途
・局所での薬剤徐放が必要な疾患(網膜などの限局した病巣)
・多剤の独立した薬剤徐放が必要な疾患(局所使用の抗癌剤など)
・長期の徐放(慢性疾患を考慮した場合など)
関連情報
・ポスターあり
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
3)マイクロシステムを用いた低侵襲医療機器・ヘルスケア機器の開発
東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 教授 芳賀 洋一
新技術の概要
MEMS(微小電気機械システム)をはじめとする微細加工技術を用いることで可能となる、体内で精密な検査治療を行うための小さくとも様々な機能を持った高機能な低侵襲医療機器、体表に装着して用いるヘルスケア機器について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
現状の低侵襲医療に用いられる内視鏡やカテーテルは、サイズと形状の制約から、操作性や機能、精度に限界がある。体表に装着するヘルスケア機器も同様な制約により実現できる機能、精度に限界がある。
新技術の特徴
・小さくとも高機能、高精度、多機能な医療ツールを実現する
・MEMS技術を利用した一括大量生産による使い捨て化、低コスト化
・医療以外の用途にも役立つ技術
想定される用途
・低侵襲医療(内視鏡手術、カテーテル手術)
・ヘルスケア(健康管理)
・民生用途、安全対策
関連情報
・サンプルの提供可能
・ポスターあり
・外国出願特許あり
- 材料
4)超低消費電力シリコン光導波路スイッチ
東北大学 大学院工学研究科 ナノメカニクス専攻 教授 羽根 一博
新技術の概要
シリコン導波路を静電マイクロアクチュエータにより移動する方式の光通信用超小型カプラースイッチおよびマイクロリング波長選択スイッチを実現した。1nW以下の超低消費電力で駆動できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は、ヒーターを用いたシリコンの熱光学効果によるスイッチである。この場合消費電力は数10mWで、応答時間は100μsec程度である。本技術は消費電力1nW程度で応答時間10μsec程度である。
新技術の特徴
・消費電力がきわめて小さいので、大規模のマトリクススイッチを構成しても発熱の問題がない。
・シリコン集積回路と一緒に構成できる。
・スイッチ速度が速い(〜10μsec)
想定される用途
・光通信波長における光路切り替え用のスイッチが主な用途である。
・赤外線(>1μm)で利用できるので赤外線レーザの分岐などの用途に利用できる。
・赤外線センサの切り替えなどのセンサ用途にも利用できる。
関連情報
・スイッチサンプル、ポスターあり
- 材料
5)電極・触媒・フィルター向け3Dナノポーラス金属・半金属
東北大学 金属材料研究所 物質創製研究部 准教授 加藤 秀実
新技術の概要
金属液体中において、合金から特定成分を選択溶出する脱成分技術を見出した。数々の卑・半金属(Ti、Nb、Cr、W、Si等)やそれらの合金(βTiやステンレス)等の3Dナノポーラス化に成功した。特に、各種電池電極、触媒、フィルターへの実用化が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の酸・アルカリ水溶液中の脱成分法は、主に高価な貴金属や、電極電位が高いFeやNi等のみで、3Dナノポーラス化が可能であった。本技術は、水溶液の代わりに金属液体を使用するため、多くの安価な金属を対象とし、短時間でのポーラス体の作製が可能である。
新技術の特徴
・貴金属、卑金属、半金属など金属全般に応用可能 (applicable to noble, base and half metals)
・短時間で作製可能 (fast dealloying reaction)
・高温(数百℃程度)でも形態変化の少ないナノポーラス構造 (high thermally stable porous structure)
想定される用途
・電極(イオン電池、空気電池、燃料電池、キャパシタ)(electrodes for ion, air and fuel cells, and capacitors)
・触媒やその担持体 (catalysts and supporter)
・フィルター (filter)
関連情報
・試作可能
・ポスター、Fe-Cr合金のポーラス体シートあり
・外国出願特許あり
- 製造技術
6)陽極酸化法により創製した二酸化チタンの機能
東北大学 金属材料研究所 附属研究施設関西センター 教授 正橋 直哉
新技術の概要
チタンおよびチタン合金上に電気化学条件を制御して生成する陽極酸化膜は、基板との密着性に優れ、光触媒性能や生体適合性能を示す。この酸化物は、水や空気中の有機汚染物質や有害揮発物質などの浄化や殺菌等の利用が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の光触媒はナノ粒子かゾルゲル法により製造するが、基板との密着性に劣るために繰返し使用に難がある。陽極酸化TiO2はこれらに比べ光活性は劣るが、密着強度に優れ、超親水性や骨伝導性を有することから、チタンの高機能化やインプラントTi材の表面層に期待できる。
新技術の特徴
・チタンに環境浄化や抗菌を付与することで付加価値を高めることが可能
・基板はチタンおよびチタン合金に限られるが密着強度が高い
・可視光および紫外光下で超親水性を示す(水によく濡れる)
想定される用途
・脱臭モジュール
・抗菌フィルター
・生体適合インプラントチタン合金表面皮膜
関連情報
・小型サンプルであれば有償提供可能、また共同研究企業からの提供は要相談
・抗菌性チタン箔、ポスターあり
・外国出願特許あり
- 製造技術
7)半凝固金属スラリーを利用した超薄肉ダイカスト法
東北大学 大学院工学研究科 金属フロンティア工学専攻 教授 安斎 浩一
新技術の概要
0.5mm以下の肉厚を有する超薄肉ダイカスト製品を製造可能とする半凝固スラリーを利用したダイカスト技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来のダイカスト法は、その他の鋳造法に比較し薄肉製品の製造に適しているが、肉厚0.6mm程度が薄さの限界であった。しかし、金属の半凝固状態を利用した本法を用いれば、従来製造が不可能であった0.5mm以下の超薄肉ダイカスト製品の製造も可能となる。
新技術の特徴
・IT関連製品用超薄肉金属製品(0.5mm以下)等をダイカスト法で製造可能
・特別な装置を必要とせず、従来型のコールドチャンバ−ダイカスト機で製造可能
想定される用途
・現在亜鉛ダイカストでしか製造できない超精密部品をアルミ合金で製造可能
・湯回り不良等で成形できない薄肉ダイカスト部品が製造可能
・空気の巻き込みが少ないため高品質なダイカスト部品が製造可能
関連情報
・ポスターあり
・外国出願特許あり
- エネルギー
8)高温フォトニクス材料を用いた高度太陽エネルギー利用技術
東北大学 大学院工学研究科 機械システムデザイン工学専攻 教授 湯上 浩雄
新技術の概要
高温で利用可能なフォトニクス材料を用いて、太陽光を選択的に吸収する材物や、高温物体からの熱ふく射スペクトルを制御することにより、太陽熱光起電力発電システムや太陽熱発電システムの高効率化を実現する技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
本技術を用いることにより、これまで実現できていなかった高温域での熱ふく射の選択吸収材料や選択放射材料を、大面積に作成することができることから、エネルギー利用分野において広く利用可能と考えられる。
新技術の特徴
・構造体の周期を変更することにより、高温から室温付近までの環境で利用可能
・大面積にナノ構造を作製可能
想定される用途
・太陽熱エネルギー利用分野
・高温プラントにおける熱回収
・居住環境の熱制御
関連情報
・サンプルの提供可能
・ポスターあり
- エネルギー
9)高品質グラフェンの低コスト・量産化プロセス
東北大学 多元物質科学研究所 サステナブル理工学研究センター 教授 本間 格
新技術の概要
超臨界流体や電気化学的還元等の熱エネルギーまたは電気エネルギープロセスを用いて低欠陥密度かつ高品質のグラフェン材料の量産化プロセスの基盤技術を開発した。超臨界流体法ではグラファイト結晶からの直接剥離プロセスで作製するため、高品質グラフェンの低コスト量産化が可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来技術ではCVDなどの手法を用いて800℃以上の高温での炭化水素ガスの熱分解反応を利用して作製するため基板の選択が限られ、面積も制限される。他方、既知のHummers法では強い酸化処理を行うため欠陥密度が高く、高品質製品を得ることが出来ない。本発明は従来法より高品質製品が低コストで量産化できる。
新技術の特徴
・グラフェンの低コスト合成
・グラフェンの大面積コーティング
・グラフェンの量産化プロセス
想定される用途
・電池部材(燃料電池、二次電池、他)
・耐腐食部材
・耐摩耗性部材
関連情報
・ポスターあり
・外国出願特許あり
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