豊橋技術科学大学 新技術説明会
日時:2014年07月15日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)バイオ磁気マーカーなどに用いられる磁性ナノ粒子の高感度検出法
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 環境・生命工学専攻 教授 田中 三郎
新技術の概要
磁気ナノ粒子(MNP)にその飽和磁化程度の直流バイアス磁場を印加して、第二調波を検出することで、従来法よりも小さい交流磁場で磁気ナノ粒子の磁化応答を検出する方法。
従来技術・競合技術との比較
磁気ナノ粒子の検出では従来は第三調波を検出することが一般的であったが、直流バイアス磁場を印加して、第二調波を検出することで、従来法よりも小さい交流磁場で磁気ナノ粒子の磁化応答を検出することができる。そのため省電力、小規模装置での検出が可能となる。
新技術の特徴
・バイオマーカーの超高感度検出
・磁気ナノ粒子分析装置の小型化
・高感度2次元イメージング
想定される用途
・バイオマーカーの定量分析
・ハイパーサーミアでの磁気微粒子の位置同定
・2次元イメージング(MRIに似ているがより高感度)
- アグリ・バイオ
2)微生物による汚染化学物質分解活性のリアルタイム蛍光検出
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 環境・生命工学専攻 教授 平石 明
新技術の概要
テトラゾリウム塩の一種CTCの還元反応を利用して、環境中の汚染物質や有機物の微生物分解活性をリアルタイムで検出する。すなわち、微生物分解過程で生じる蛍光性フォルマザンの生成をリアルタイムPCR装置の検出装置を利用して測定する。
従来技術・競合技術との比較
CTCの還元反応は細胞の酸化還元活性の検出に古くから利用されているが、その検出はもっぱら蛍光顕微鏡、共焦点レーザ顕微鏡,分光光度計などを利用した終反応産物の解析である。本技術ではこのCTC還元反応をリアルタイムPCR検出装置を用いることで短時間連続的に検出できるようにしたものであり、汚染化学物質やさまざな有機物の分解過程を基質特異的にリアルタイムでモニタリングできる。
新技術の特徴
・基質特異的な微生物分解活性の検出
・CTC還元活性のリアルタイム検出
・微生物の酸化還元反応の迅速検出
想定される用途
・環境修復のモニタリング
・廃水処理系における微生物活性診断
・土壌の微生物活性診断
- エネルギー
3)無機-有機コンポジット電解質を用いた中温無加湿作動燃料電池
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 電気・電子情報工学専攻 教授 松田 厚範
新技術の概要
ヘテロポリ酸-硫酸水素塩複合体をPBI樹脂に分散した燃料電池電解質膜を開発し、低リン酸ドープ量、低白金使用量、中温無加湿で世界トップレベルの発電に成功した。
従来技術・競合技術との比較
現行の燃料電池は湿潤状態での運転が必須であるが、本発明の電解質膜を用いれば、100℃を超える中温領域において無加湿で運転できる。また、従来の「リン酸ドープポリベンズイミダゾール(PBI)」電解質のようなリン酸溶出は殆どなく、出力性能低下・周辺機器腐食の問題を解決する。
新技術の特徴
・中温域(100℃以上)・無加湿で高出力発電→白金被毒解消、加湿器、改質器不要
・低リン酸ドープ量→リン酸溶出抑制による長期安定運転、腐食防止
・低白金触媒使用量→低コスト化
想定される用途
・家庭用(定置型)燃料電池
・自動車用燃料電池
関連情報
・サンプル提供については要相談
・電解質膜、膜・電極複合体、関連論文別刷など
・外国出願特許あり
- 材料
4)近紫外および青色励起による白色LED用赤色蛍光体の創成
豊橋技術科学大学 研究基盤センター 教授 中野 裕美
新技術の概要
Eu3+赤色蛍光体の新規母体材料の技術である。賦活剤を変えることにより、同一母体材料でGBY発光色の蛍光体を創成することができ、固相法、液相法により作製可能である。
従来技術・競合技術との比較
窒化物蛍光体に比べ低い温度での合成が可能で、硫化物蛍光体に比べ耐湿性に優れ、酸化物として経時変化が少なく安定性が高い。結晶が透明(白色粉)であり、赤色蛍光体については高い内部量子効率を示す。
新技術の特徴
・発光スペクトルが深い赤色(625nm)でそれ以外(700nm)のスペクトルロスが小さい
・励起スペクトルがブロードではないため、可視光では白色(透明)蛍光体である
・温度特性が比較的良好であり温度上昇に伴う輝度低下が小さく耐湿性があり経時変化が少なく蛍光体として安定性が高い。
想定される用途
・LED用の演色性向上のための赤色蛍光体として
・近紫外(400nm)や青色の狭い波長で感知するようなセンサーとして
・植物工場の青色光と赤色光のスペクトルバランス調整用光源として
関連情報
・後日サンプルを送付可能
・サンプル
- アグリ・バイオ
5)RNA分解酵素に対して抵抗性を示す短鎖RNA配列
豊橋技術科学大学 研究推進アドミニストレーションセンター 特任教授 菊池 洋
新技術の概要
RNA分解酵素による分解を受けにくい性質を持つ44塩基のRNA配列を23塩基以下に短縮することに成功した。本RNAは、天然のリボヌクレオチドのみで構成されるが、RNA分解酵素を多く含むヒト血清中において安定である。また、本RNAをshRNA配列に組み込むことで、安価かつ簡便なshRNAのRNA分解酵素耐性化が実現される。
従来技術・競合技術との比較
本RNA分子は、短鎖長のため通常の転写反応で簡便、容易、安価に合成ができる。さらにRNA分解酵素に対して耐性を持つことから、その製造工程において、一般的なRNA分子製造のような分解抑制対策が不要である。本RNA分子を用いることで、これまでRNA分解酵素感受性であるために医薬品への応用がためらわれてきた様々な天然型の機能性RNAを、安価かつ簡便にRNA分解酵素耐性化することが期待できる。
新技術の特徴
・天然型のリボヌクレオチドのみを用いたRNA医薬品のデザイン
・RNAの生体内半減期を制御する手法
・試験管内での転写合成が可能であり、非天然型RNAに比べ製造コストが安価
想定される用途
・RNA医薬
・DDS(ドラッグデリバリーシステム)
・バイオセンサー
- 製造技術
6)鋼製円筒容器構造物の炭素繊維強化樹脂による補強技術
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 建築・都市システム学専攻 准教授 松本 幸大
新技術の概要
大規模地震後に液体貯蔵タンク等の座屈損傷が報告されており,耐震性や設備継続運用の観点から重大な社会的課題である。本技術は,鋼製円筒容器構造の象の脚座屈に対する拘束と耐力向上を目的とした,炭素繊維強化樹脂による軽量で迅速な補強技術である。
従来技術・競合技術との比較
薄肉鋼製円筒容器の補強は極めて困難で,鋼板の取り換えや溶接による補剛等で対応する場合があるが,施工が極めて大規模となるが,本技術を用いることで施工性も向上する。また,火器を殆ど使用しない工法であるため,各種タンクへの適用も期待できる技術である。
新技術の特徴
・火器の使用が制限される構造物・設備等への補強
・円筒形構造物・設備等の軽微な損傷等への早急な補修・補強
想定される用途
・各種の円筒形鋼製容器構造物の補強
・圧力管等の設備配管の補強
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp