筑波大学 新技術説明会
日時:2014年07月22日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)共役系高分子マイクロ球体による光・電子技術
国立大学法人筑波大学 数理物質系 物質工学域 准教授 山本 洋平
新技術の概要
パイ共役系高分子などの発光性高分子を用いて、球状又は略球状のマイクロ粒子を形成する。この球体は、レーザ光などを照射すると、内部で光閉じ込めと共振が起こる。この球状マイクロ粒子は、自発光型の光共振器や光増幅器などの光学素子に用いることができる。
従来技術・競合技術との比較
色素などの発光材料の添加なしに、ウィスパリング・ギャレリー・モード発振を実現することが可能な発光性球状ポリマー粒子及び光学素子を提供する。
新技術の特徴
・共役系高分子マイクロ球体の簡単な作製方法
・マイクロ球体中への発光の閉じ込めと共振
・光共振器・光増幅器としての応用。
想定される用途
・発光素子
・レーザー発振素子
・フォトニック結晶
関連情報
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
2)安全運転支援を目的にした自動車運転者の生体情報のメガネ型計測システム
国立大学法人筑波大学 システム情報系 医用生体工学研究室 教授 星野 聖
新技術の概要
自動車運転者の視覚まわりの生体データ(ビッグデータ)を収集・解析し、安全運転支援(注意不足・眠気・疲労・突然の体調不良などの検出・警告)と、道路行政(道路標識・走行速度・走行空間整備・道路作りなど)に活かすことのできるシステムです。
従来技術・競合技術との比較
眼球運動、瞳孔反応、瞬目、輻輳開散をメガネフレームに付けた超小型カメラで計測するシステムです.体や頭部の動きにより、眼球からメガネフレームがずれても大丈夫です。最大のアッピール点は、周囲の明るさや視線方向が変化しても、眼球回旋を高精度に計測できることです。
新技術の特徴
・高精度かつ高速
・体や頭部の動きにより、超小型カメラを固定したメガネフレームが眼球からずれた場合でも、安定して生体計測が続行可能
・周囲の明るさが変化したり、視線や瞳孔径が変化した場合でも、高精度で眼球計測が可能
想定される用途
・Google glassのようなsee-through型HMDに搭載し、めまい、映像酔い、コンテンツの快不快、メンタルヘルスへの利用
・めまい外来での簡易眼振計測、日常生活での眼振の長時間モニタリング、救急車搬送患者の眼球運動の簡易モニタリング
・日本発のハーディングマシーン(光感受性発作や危険コンテンツの検出装置)
- アグリ・バイオ
3)マイクロウエットミリングによる機能性食品の開発
国立大学法人筑波大学 生命環境系 教授 北村 豊
新技術の概要
マイクロウエットミリングは、原材料を水と共に摩砕する湿式の粉砕技術である。穀物や青果物をマイクロオーダー粒子のスラリー・ペーストに加工することにより、機能性のある様々な食品の加工が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
農産物や食品のマイクロオーダーでの粉砕液化を、摩擦熱の発生を抑えながら連続的かつ衛生的に行うことができる。よって食物繊維や熱破壊成分を含む食素材を原料として、機能性と官能性の両方を備えた食品が加工できる。
新技術の特徴
・硬質乾燥素材の微細粒子スラリー化に有効
・湿潤軟質素材の連続的な微細化操作に適用
・熱感受性成分を保持した粉砕液化が可能
想定される用途
・農産食品への機能性の付与および増強
・農産物の加工用途の拡大
・未利用バイオマスの再資源化
関連情報
・試作可能
・成果物(食品)の展示および試食
- エネルギー
4)ガラスを基材とした高効率太陽電池の開発に向けたIV族半導体薄膜の結晶化技術
国立大学法人筑波大学 数理物質系 物理工学域 助教 都甲 薫
新技術の概要
太陽電池の省資源化・低コスト化には、ガラス等の安価な基板上に光吸収層を薄膜で形成するアプローチが有効です。本技術は、ガラス等の上にSiやGe薄膜を大粒径配向形成するユニークな結晶成長技術です。
従来技術・競合技術との比較
ガラス上の薄膜形成には、ウェハを薄くカットして張り合わせる手法と薄膜を直接的に結晶成長する手法がありますが、前者は大面積形成、後者は高品質形成に難があります。本技術は後者の手法ですが、大粒径配向成長を可能とする点に利点があります。
新技術の特徴
・ガラス等の非晶質基板上に、SiやGeの結晶薄膜を大粒径形成および結晶方位制御が可能。
・本技術をバッファ層に応用することで、III-V族半導体等の新機能材料を非晶質絶縁体上に高品質形成することが可能。
想定される用途
・安価で高効率な薄膜太陽電池
・集積回路やディスプレイ中へのゲルマニウム受光センサ搭載による高速光通信回路応用
・本技術をバッファ層形成に活用した多機能材料の集積化
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
5)オリーブミル水からの抗酸化ポリフェノール回収技術開発
国立大学法人筑波大学・北アフリカ研究センター 生命環境系 教授 中嶋 光敏
新技術の概要
オリーブミル水に含まれるポリフェノールの効率的回収プロセスを開発した。本技術はエタノール添加による溶解特性に基づいて、ミル水の遠心分離、膜分離、エタノール沈殿の統合化プロセスによるポリフェノールの選択的分離を実現した。本法により高純度(70%以上)のオリーブポリフェノールが得られた。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、オリーブミル水からのポリフェノールの従来回収技術として報告されている酢酸エチルを用いた液液抽出法やクロマト分離法と比べて、製品であるオリーブポリフェノールの安全性、またプロセス操作性にすぐれ、コスト的にも有利に製造が可能である。
新技術の特徴
・オリーブ水からのポリフェノール回収のためのエタノール添加による溶解性制御に基づくプロセスを開発した。
・エタノール濃度を制御することにより、ポリフェノールの高回収率を実現した。
・オリーブミル水の溶解成分からのポリフェノールの高純度化(>70%)を簡便な方法で可能にした。
想定される用途
・回収オリーブポリフェノールは抗酸化性を有し、高ポリフェノール食用油の製造に貢献できる。
・オリーブポリフェノールをクリーム、ローションなど化粧品素材に添加して機能化を図る。
・オリーブポリフェノールは病気予防など医療用途への利用が想定される。
関連情報
・外国出願特許あり
- 創薬
6)低酸素環境の悪性腫瘍を標的とした抗がん剤の開発
国立大学法人筑波大学 数理物質系 研究員 池田 豊
新技術の概要
低酸素部位の腫瘍は浸潤及び転移の原因となっており、癌の悪性化に大きくかかわっている事が報告されており、これら低酸素環境下にある腫瘍細胞の治療法の開発は切に望まれている。我々は低酸素環境下の腫瘍組織に抗がん剤を集積させ、特異的に作用する低酸素環境応答性のプロドラッグの開発を試みた。
従来技術・競合技術との比較
現在低酸素環境の腫瘍組織を標的とした抗がん剤は上市されていない。もっとも進んでいると考えられる先行技術はTH302であるが、現在は使用されていない抗がん剤をプロドラッグ化している。これに対し、我々の技術は現在広く用いられている抗がん剤をプロドラッグ化する事が可能である。
新技術の特徴
・低酸素部位の悪性腫瘍を標的とした抗がん剤
・既存の抗がん剤の副作用を抑制する
想定される用途
・抗がん剤
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
国立大学法人筑波大学 産学連携部 産学連携課
TEL:029-853-2906FAX:029-853-6565Mail:tloilc.tsukuba.ac.jp
URL:http://www.sanrenhonbu.tsukuba.ac.jp/
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