東京農工大学 新技術説明会
日時:2014年06月17日(火)
会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)広い抗菌スペクトルを有する新規抗菌性タンパク質の開発
東京農工大学 大学院農学研究院 生物制御科学部門 准教授 森山 裕充
新技術の概要
新規の抗菌活性を有するタンパク質を提供する。また、パン酵母発現系を用いた、ヒト病原性真菌に対する生育阻害活性を有する抗菌性タンパク質のスクリーニング技術についても紹介する。
従来技術・競合技術との比較
本技術の抗菌性タンパク質は、従来報告されている抗菌性タンパク質とは異なる新規のものである。また、酵母菌、糸状菌に対する広い作用スペクトルを有している。
新技術の特徴
・医薬部外品(薬用石鹸、等)
・除菌・防菌製品(除菌スプレー、等)
想定される用途
・細胞成長阻害剤
・抗真菌防腐剤
・生物防除資材
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 創薬
2)筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断法及び治療薬の開発
東京農工大学 大学院農学府 ゲノム科学人材育成プログラム 特任助教 泉川 桂一
新技術の概要
ALSの原因遺伝子産物であるTDP-43に結合する分子及びその発現量の変動によって変化する分子を指標とした診断法及び治療薬開発の方法を提供する。
従来技術・競合技術との比較
ALSの診断の指標となる分子は同定されていない。また、発症に伴い増加するグルタミン酸の量を低減させるとする原理に基づく薬剤は開発されているが、未だ有効な薬剤を探索する方法はない。
新技術の特徴
・ALSの原因遺伝子産物であるTDP-43に関連するRNAを標的とした疾病の診断と治療薬のスクリーニング
・アルツハイマー病、パーキンソン病及び前頭側頭葉変性症などTDP-43の存在量や存在形態に異常が存在する疾病の診断
・アルツハイマー病、パーキンソン病及び前頭側頭葉変性症などTDP-43の存在量や存在形態に異常が存在する疾病の治療薬のスクリーニング
想定される用途
・診断キット
・治療薬のスクリーニングキット
・実験用アッセイキット
関連情報
・有効性試験可能
・外国出願特許あり
- 創薬
3)タンパク質-磁性粒子複合体の生合成と創薬探索ツールとしての活用
東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門 准教授 吉野 知子
新技術の概要
創薬の標的となるヒト由来タンパク質と磁性粒子の複合体を簡便に合成する技術。本技術により、タンパク質の発現から精製までの工程を短縮することに成功した。タンパク質調整の迅速化、及び低コスト化が可能。
従来技術・競合技術との比較
従来法では化学架橋法により磁性粒子上にタンパク質を導入していたため、活性低下が起こることがある。本技術は、タンパク質の発現と磁性粒子への固定化を簡便に行うため、活性を保持したタンパク質‐磁性粒子複合体を調整することが可能。また、膜タンパク質やSS結合を有するタンパク質への応用も可能。
新技術の特徴
・様々な機能性タンパク質を同一の手法で磁性粒子上に導入可能(人工タンパク質も可)
・1ステップでタンパク質-磁性粒子複合体の調製が可能
・B/F分離操作が可能なナノサイズの磁性粒子(磁気分離機能を搭載したロボットとの組み合わせが可)
想定される用途
・創薬スクリーニング用の担体(医薬品候補物質の濃縮など)
・イムノアッセイに利用(癌マーカー検出など)
・磁気ラベル剤(MRIの造影剤など)
関連情報
・サンプルの提供可能。
- 創薬
4)アプタマーのヒトゲノム情報からの探索及びコンピューター内進化
東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門 教授 池袋 一典
新技術の概要
標的分子を特異的に認識するアプタマーをヒトゲノムの塩基配列から探索する方法を開発した。またこのアプタマーの阻害能や特異性といった望みの特性を、遺伝的アルゴリズム等を用いて10倍以上改良する方法も開発した。
従来技術・競合技術との比較
アプタマーは通常試験管内進化法により探索されるが、ヒトゲノムの塩基配列からアプタマーを探索すると圧倒的に時間と手間を省くことが出来る。また従来は難しかった特異性や阻害能の改良を可能にした。
新技術の特徴
・アプタマーの特異性や阻害能などの望みの特性を向上させられる。
・試験管内進化でスクリーニングするのに十分なほど、標的分子が調製できなくても、小量の標的分子での探索が期待できる。
・未同定タンパク質などに対してもアプタマーは探索可能であるので、未同定の標的分子の分子認識素子の獲得と、標的分子の同定両方が期待できる。
想定される用途
・得られたアプタマーは診断薬としての利用が期待できる。
・得られたアプタマーは創薬のリード化合物としても期待できる。
・特に未同定の疾病マーカーに対するアプタマーの取得が期待でき、新規のマーカー診断法の開発が期待できる。
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
5)環境調和型付着阻害物質の開発
東京農工大学 大学院農学研究院 応用生命化学部門 准教授 北野 克和
新技術の概要
低毒性で、最終的に分解されて無毒性のアミノ酸へと変換する、アミノ酸誘導体付着阻害物質について紹介するとともに、イソニトリル化合物の原料となるN置換ホルムアミド化合物の簡便な合成法について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来の付着防汚剤は、付着生物を殺生するコンセプトによって付着を阻害するが、本技術は、付着生物を殺すことなく、忌避的に付着のみを阻害するコンセプトに基づいているため、低環境負荷型の付着防汚剤としての利用が期待される。さらには、最終的に生分解によって無毒性のアミノ酸へと変換されることから、従来の付着防汚剤と異なり、分解物の毒性も懸念されない。
新技術の特徴
・アミノ酸誘導体イソニトリル類は忌避的に海洋付着生物の付着を阻害し低毒性
・アミノ酸誘導体イソニトリル類は最終的に生分解されて無毒性のアミノ酸へと変換
・農薬などの新規生理活性物質創製への利用が期待
想定される用途
・海洋付着生物に対する付着防汚剤(漁網防汚剤、船底防汚塗料など)
・農薬等の新規生理活性物質の創製・製造
・ファインケミカルズの原料の製造
関連情報
・サンプルの提供可能
- デバイス・装置
6)等身大裸眼立体ディスプレイ
東京農工大学 大学院工学研究院 先端電気電子部門 教授 高木 康博
新技術の概要
枠なし表示面をもつ多眼立体表示モジュールのタイリングにより、等身大表示できる大画面裸眼立体ディスプレイの実現を可能にした。これは、低コスト、省スペース、設置や移設が容易、多様なスクリーン形態が実現可能といった特徴をもつ。
従来技術・競合技術との比較
従来の大画面裸眼立体ディスプレイは、多数のプロジェクタと特殊スクリーンの組み合わせで実現されたため、高コストで、設置に手間がかかり、移設も難しいといった問題点があり、広く普及するには至っていない。
新技術の特徴
・4Kパネルとプラスチックレンズで構成できるため低価格
・スケーラブルに大画面化と高解像度化が可能
・設置・移設が容易で、現場での調整は不要
想定される用途
・デジタルサイネージ
・パブリックビューイング
・設計・デザイン、都市計画、シミュレーション
関連情報
・試作可能
- デバイス・装置
7)表面プラズモンを利用した一体集積型半導体光アイソレータ
東京農工大学 大学院工学研究院 先端電気電子部門 准教授 清水 大雅
新技術の概要
光アイソレータは半導体レーザの安定動作に必要不可欠な光部品である。本技術はこれまで別々に作製して組み立てていた半導体レーザと光アイソレータの一体集積化を可能にする。
従来技術・競合技術との比較
光アイソレータと半導体レーザは異なる材料・構造から構成されており、一体集積化が困難であるため従来は人手によって光軸を合わせる必要があった。本技術ではこれら二つの素子の一体集積化を可能にする。
新技術の特徴
・光を一方向にのみ通す光アイソレータ機能を半導体レーザと同等の大きさで実現。
・半導体レーザの光を自由空間に取り出すことなく、光アイソレータに効率よく結合可能。
・給電不要で受動型の光アイソレータ。
想定される用途
・光ファイバ通信分野における光信号送信装置用の光源。
・装置間・装置内・集積回路内の光配線における光信号送信装置用の光源。
・磁界センサー。
- 機械
8)全方向移動機構に関する新提案と簡易電動車いすへの応用
東京農工大学 大学院工学研究院 先端機械システム部門 准教授 和田 正義
新技術の概要
キャスタ形状の駆動輪(アクティブキャスタ)とその全方向移動制御技術を応用した、簡易電動化駆動システムを紹介する。また、アクティブキャスタの新機構の紹介と将来の応用可能性についても触れる。
従来技術・競合技術との比較
従来の簡易電動化装置としてはYamahaなどが販売している車いすの大車輪を駆動するものが代表的である。これは、車いすに人間が乗った状態での装置の着脱が困難で、また後方への転倒危険性がある。提案するシステムはこれらの問題を解決できる可能性がある。
新技術の特徴
・簡単な制御で全方向移動が可能
・通常の車輪によるなめらかで振動のない全方向移動
・安価なモータ、少ないセンサーでシステムが構築可能
想定される用途
・移動ロボットの走行用機構
・自律走行台車(AGV等)の駆動用機構
・自走システムの移動機構
- 機械
9)人の生活の場で活躍するロボットに関する研究
東京農工大学 大学院工学研究院 先端機械システム部門 准教授 水内 郁夫
新技術の概要
人の生活の場で活躍するロボットをめざし、ヒトに学んだ身体構成法や制御法を研究している。人工筋型アクチュエータを用いた筋骨格ロボット、弾性を活用した瞬発的動作制御法、滑り摩擦センサを用いた適応的食器操作、日向に寄って行く植木鉢ロボット、熟度判定してブルーベリー収穫を行うロボット、果樹における果実個体識別等の研究を紹介いたします。
従来技術・競合技術との比較
それぞれに従来技術・競合技術があり、それぞれに本研究の独自性があります。各独自性に基づくポテンシャルは、それぞれの技術により異なります。
新技術の特徴
・物理弾性の活用(運動、省エネ、エンターテインメント)
・滑りセンシング
・果樹・果実関連技術
想定される用途
・エンターテインメント・家庭用ロボット
・未知環境における自律行動ロボット
・農業現場におけるロボット技術活用
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京農工大学 先端産学連携研究推進センター
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