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JST発 医療分野 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>

日時:2015年10月09日(金) 09:45~16:50

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 創薬

1)細胞内分解性ポリロタキサンを基盤としたニーマンピック病C型治療薬の開発

東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 有機生体材料学分野 助教 田村 篤志

新技術の概要

ニーマンピック病C型(NPC病)は先天的遺伝子変異によりリソソームに慢性的なコレステロールの蓄積ならびにオートファジーの機能異常を生じる難治性疾患であるが、有効な治療法は確立されていない。我々は、多数のシクロデキストリンがネックレス状にポリマー鎖上に連なった超分子ポリロタキサン(PRX)によるNPC病治療を考案し、PRXがNPC病細胞からの優れたコレステロール除去作用、ならびにオートファジーの機能改善を示すことを培養細胞系で明らかとしている。

従来技術・競合技術との比較

Niemann-Pick病に対してシクロデキストリン誘導体による臨床試験が進められているが、投与後の排泄速度が速いことから極端に高濃度での投与が必要であり、障害性が懸念される。シクロデキストリンを超分子化することで障害性、体内動態を改善し、治療効果の改善に繋がると期待している。

新技術の特徴

・細胞内へのシクロデキストリンの輸送効率が高く、細胞内に蓄積したコレステロールの除去作用に優れる。
・シクロデキストリンに由来する障害性を回避できる。
・高分子量であるため投与後排泄を受けにくい。

想定される用途

・Niemann-Pick病C型治療薬
・脂質代謝解析用試薬
・コレステロールの異常に関連した疾患の治療薬

関連情報

・外国出願特許あり

  • 創薬

2)シャーガス病治療薬候補物質、新規キノン誘導体の既存薬との併用効果

群馬大学 大学院保健学研究科 生体情報検査科学 教授 嶋田 淳子

新技術の概要

シャーガス病は、南米型トリパノソーマ感染による疾患であるが、既存薬(ベンズニダゾール)は副作用が強く、効果も限られており満足できるものではない。抗トリパノソーマ活性が報告されているコマロビキノンの構造を基に、新規キノン誘導体を合成し、ベンズニダゾールとの併用効果を調べた。キノン誘導体を併用することにより、ベンズニダゾールが低濃度で抗原虫作用を示す結果が得られた。

従来技術・競合技術との比較

既存薬であるベンズニダゾールは現在単剤で用いられているが、新規キノン誘導体と併用することで相加的、相乗的効果が実験的に認められた。併用によりベンズニダゾールの投与量を減らし副作用を減弱できる可能性がある。

新技術の特徴

・新規キノン誘導体の合成
・抗トリパノソーマ活性
・既存薬との併用効果

想定される用途

・シャーガス病治療薬
・抗トリパノソーマ薬

  • 医療・福祉

3)糖鎖固定化蛍光性ナノ粒子を用いた抗糖鎖抗体の検出技術

鹿児島大学 大学院理工学研究科 化学生命・化学工学専攻 助教 若尾 雅広

新技術の概要

糖鎖抗原—抗体反応は自己免疫性疾患においても観察され、しばしば難治性の疾患を引き起こす。免疫性末梢神経障害症の1つであるギラン・バレー症候群では、特定の抗糖鎖抗体の有無が確定診断の材料として利用されている。特定の疾患に関連する抗糖鎖抗体の検出は、迅速な疾患診断につながる。本技術は、糖鎖固定化蛍光性ナノ粒子(SFNP)を用いた抗糖鎖抗体の検出法であり、糖鎖が関与する疾患の診断に役立てることができる。

従来技術・競合技術との比較

抗糖鎖抗体の検出はELISA法によって行われているが、特定の機関でのみ検査が行われるため比較的時間がかかる。一方、SFNPを用いた検出では、血清を調製した後、その場での検出が可能である。

新技術の特徴

・蛍光による高感度検出
・量血清での抗糖鎖抗体の検出
・短時間での検出

想定される用途

・抗糖鎖抗体の検査
・糖鎖抗体が関与する疾患の診断

  • 医療・福祉

4)うがい液からの口腔癌および発癌ハイリスク群の非侵襲的検出法

鹿児島大学 医学部・歯学部附属病院 顎顔面センター 口腔外科 助教 濵田 倫史

新技術の概要

うがい液は非侵襲的かつ安価・簡便に採取でき、医学検査の理想的な試料である。われわれは既にうがい液中の剥離細胞からバイオマーカー群(DNAメチル化異常)を同定し、それらを用いた口腔癌および前癌病変に対する診断の感度と特異度は90%以上であった。本法は癌検出のみならず将来の発癌リスクの評価へ応用しうることから、被験者に自らの発癌リスクを認識させることで生活習慣改善を促し、個人の遺伝情報に基づいたオーダーメイド癌予防医療を可能にする。

従来技術・競合技術との比較

本技術は非侵襲的、簡便、安全、安価かつ何度でも採取できる「うがい液」を試料にし、かつ従来技術より高い正診率を示す。また検出標的はDNAであるため、サンプルの保存や輸送に優れることから、本法は家庭用検査や大規模スクリーニング検査に大変適していると考える。

新技術の特徴

・非侵襲的で簡単、安全、安価な検査
・サンプルの保存、輸送に優れる。
・他疾患、他領域臓器の検査へ応用可能

想定される用途

・家庭用遺伝子診断キット
・病院内での検査
・将来の発癌リスクの判定

関連情報

・外国出願の手続き中
・サンプルの提供可能
・展示品あり(成果物、実際のサンプル採取法)

  • 医療・福祉

5)血清Galectin-3を標的とした早産の予測・診断法の開発

広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 口腔顎顔面病理病態学 准教授 宮内 睦美

新技術の概要

早産は最も一般的な新生児の罹患や死亡の原因である。我々は歯周病原細菌の歯性感染モデルで免疫調節物質であるGalectin-3が胎盤、羊水や血清中で著しく上昇し、早産発症に関与すること、ヒト早産妊婦(平均33週で出産)のGalectin-3濃度は正期出産よりも高いことを発見した。よって、胎児への侵襲性のない血清Galectin-3を標的とした新しい早産の予測/診断キットの開発を考えている。現在、検査キット作成のためのカットオフ値の設定と早産原因別Galectin-3値の違いを検討中である。

従来技術・競合技術との比較

血清Galectin-3値と早産との関連性については我々が初めて発見したことで、既存ならびに競合技術はない。

新技術の特徴

・Garectin-3を標的としたPBの予測/診断システムの構築は初めての試みで独創的である。
・母体の血清を用いるため、胎児への侵襲性がない。
・検診時に安全に何度でも行うことが可能である。

想定される用途

・高感度ELISAを作成し、従来の血液検査システムにくわえる。
・少量の血液を用いた半定量的な簡易キットを作成する。(妊娠検査キットのようなもの)

関連情報

・外国出願の手続き中

  • 医療・福祉

6)抗菌カスタムメイドインプラントを用いた個別化医療の実現

金沢大学 大学院 機能再建学(整形外科) 医員 楫野 良知

新技術の概要

チタン合金性の生体内埋植インプラントの高機能化を目指し、抗菌化と付加製造技術によるカスタムメイド化を実現した。抗菌活性を付加する技術は、金属表面に微細な孔をもつ薄い酸化被膜を形成し、さらにその孔の中に電気化学的手法によりヨウ素化合物を含浸させるものである。カスタムメイド化には、電子ビーム溶解 (Electron beam melting: EBM)による金属積層造形技術を用いた。

従来技術・競合技術との比較

消毒薬の一種であるヨウ素による抗菌活性の付加は、抗生剤や銀などを表面にコーティングした製品と比較し、細菌・ウイルス・真菌等に対し幅広い抗菌活性を有し、アレルギー反応も少なく、耐性菌の問題も生じない。

新技術の特徴

・アレルギー反応が少なく、組織への毒性も少ない。
・抗生剤と異なり、耐性菌が生じない。
・幅広い医療機器に応用可能である。

想定される用途

・整形外科インプラント
・歯科口腔外科インプラント
・その他チタン製のインプラント全般

関連情報

・外国出願特許あり

  • 医療・福祉

7)医療・介護に用いる多目的頬粘膜保護装置の上市を見据えた研究開発

鳥取大学 医学部附属病院 歯科口腔外科 歯科技工士 中力 直樹

新技術の概要

医療・介護の現場では、意識障害等で頬粘膜を誤って咬み、裂傷や潰瘍を来している患者がおり、その対応は困難であった。頬粘膜保護装置は、頬粘膜を挟む構造を持ち、患者や医療・介護者も使いやすく、効果的な機器となる。また、本装置は歯科治療に用いて歯の切削用機器による頬粘膜の不意の切創を防ぐことが可能となる。さらに、この装置に保湿剤を塗布し口腔乾燥症の治療にも応用可能な機器となる。

従来技術・競合技術との比較

バイトブロックなど先行技術は歯の欠損で装着が不可能な場合や歯が脱落する場合がある。医療・介護者が患者に咬まれる危険性もあった。本装置は頬粘膜を挟む構造を持ち歯に過負荷を与えず、装置の着脱も容易である。

新技術の特徴

・頬粘膜の保護用具として従来にない発想による頬粘膜を挟んで固定する構造を持つ装置
・歯を固定源としていた従来の装置と異なり、歯に過負荷を与えないため歯の脱落を起こさず、医療者などによる着脱も容易
・頬粘膜の保護用として、意識障害者の頬粘膜の裂傷等の保護や、歯科治療用の頬粘膜保護装置、口腔内用保湿剤徐放用トレーなど様々に応用できる可能性がある。

想定される用途

・意識障害者等による頬粘膜の咬み傷に対する保護具
・歯科治療用の歯の切削器具から頬粘膜を保護し不意の切創の防止を図る。
・口腔乾燥症患者に対する保湿剤の徐放用トレー

関連情報

・展示品あり(サンプル並びに装着状態の模型の展示)

  • 医療・福祉

8)マイクロ流体デバイスを用いるエクソソームの迅速分離技術

東京大学 大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 特任講師 赤木 貴則

新技術の概要

小型で使い捨て可能なポリマー型マイクロフリーフロー電気泳動デバイスを用いて、体液試料からエクソソームを迅速・簡便に精製できる分離技術である。エクソソームは細胞から分泌されたナノベシクルであり、種々の難治疾患の病理解明や治療効果判定などのバイオマーカーとして期待されている。本技術を用いると、エクソソームをその表面タンパク質の発現量に基づいて分離・精製できるため、バイオマーカー開発などのエクソソーム研究での利用が見込まれる。

従来技術・競合技術との比較

エクソソームの精製に広く利用されている超遠心法は沈降係数に基づいてエクソソームを分離精製することが可能であるが、表面マーカータンパク質の発現量に基づいて分離することは困難である。

新技術の特徴

・エクソソームをその表面タンパク質に基いて分離できる。
・使い捨て可能なポリマー製デバイスを用いているため、生体試料の分離に適している。
・少量の試料の分離に適用できる。

想定される用途

・エクソソームバイオマーカーの開発におけるエクソソーム試料の精製
・エクソソームを用いる治療法の開発におけるエクソソーム試料の精製
・エクソソームを介する細胞間情報伝達の研究におけるエクソソーム試料の精製

関連情報

・外国出願特許あり

  • 創薬

9)神経ペプチドオレキシンによる新規な敗血症の治療法

筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 助教 林 悠

新技術の概要

敗血症は致死性が非常に高く、未だ確立した治療法がない。われわれは、敗血症性ショックマウスに対し、神経ペプチドオレキシンの抹消投与が治療効果を示すことを発見した。このような中枢神経系特異的ペプチドを利用したアプローチはこれまで全くなく、今後臨床応用研究につなげることで、革新的な敗血症治療法の開発につながることが期待される。

従来技術・競合技術との比較

敗血症の病態解明に伴い、免疫系を標的とした治療法の開発が多く試みられてきた。一方、オレキシンによる中枢神経系を標的とした治療法は、こうしたアプローチとは根本的に異なる極めて新規性の高い治療法である。

新技術の特徴

・内在性の神経ペプチドそのものの臨床応用の可能性
・敗血症の「血液脳関門の崩壊」という病態を逆手に取った抹消から脳へのペプチドのデリバリー
・疾患時にのみ薬効を示し、健常時は薬効を示さないので、副作用を軽減

想定される用途

・敗血症性ショックの治療薬
・敗血症性ショックの予防薬

  • 創薬

10)微量ハイスループットスクリーニング(MSHTS)法を用いたアミロイドβ凝集阻害活性物質の網羅的探索

室蘭工業大学 大学院工学研究科 環境創生工学系専攻 化学生物工学コース 准教授 上井 幸司

新技術の概要

少子高齢化先進国としての持続性確保のためには、高齢者に多く見られる認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病の予防や治療法の開発が望まれる。アルツハイマー病の発症は脳内でアミロイドβ(Aβ)タンパクが凝集蓄積することによる。我々はAβの凝集阻害物質を微量かつ効率的に評価するMSHTS法を開発し、この方法を用いて種々の植物抽出物からAβ凝集阻害物質を網羅的に探索した。その結果、シソ科植物、特にアオジソが著しく高い凝集阻害活性を示すことを明らかにした。

従来技術・競合技術との比較

MSHTS法は、従来のThT法と比べ格段に少量 (5 μL)、且つ同時に多数サンプルの解析が可能である。凝集体そのものを画像解析により定量化するため、不純物等による内部フィルター効果の影響を受けにくく、粗抽出物や加工食品等をサンプルとして用いることができる。

新技術の特徴

・MSHTS法は水滴の1/10量程度の微量でAβ凝集阻害活性を効率的に評価できる。
・数百種類の植物抽出物のなかでもシソ科のハーブ系香辛料が高い凝集阻害活性を示した。
・これまで評価したものの中でアオジソが最も高い凝集阻害活性を示した。

想定される用途

・MSHTS法を活用した網羅的な探索により、これまで以上に高い凝集阻害物質を見出す。
・シソ科植物をアルツハイマー病予防食品として活用する。
・シソ科植物含有成分をリード化合物としたアルツハイマー病予防・治療薬を開発する。

関連情報

・外国出願の手続き中
・提供サンプルの評価可能
・展示品あり(シソを利用した食品など)

  • 創薬

11)In vivo抗腫瘍活性の高いTh/CTL誘導法の開発

高知大学 教育研究部医療学系 基礎医学部門(免疫学) 教授 宇高 恵子

新技術の概要

我々はこれまでに、1)腫瘍血管がMHC class II拘束性に腫瘍抗原ペプチドを提示すること、2)それを認識するヘルパーT細胞(Th)が腫瘍組織に浸潤し、IFN-γ依存性に大量の細胞傷害性T細胞(CTL)を呼び込み、固形腫瘍を縮小させることを明らかにしてきた。今回、Th誘導性ペプチドに消化耐性を付与する修飾を加え、さらにアジュバント活性のあるliposomeに封入することにより、in vivoにおけるTh誘導活性および抗腫瘍活性を大幅に高めることができた。

従来技術・競合技術との比較

従来、ヘルパーペプチドは長めがよい経験則があったのみで、他には、キラーペプチドとタンデムにつないだlong peptideのデザインがある。本研究により、ヘルパーペプチド単独でもin vitro Th誘導活性が数百倍、in vivo Th誘導活性も向上し、任意のキラーペプチドと併用が可能になった。

新技術の特徴

・Th誘導性ペプチドに消化耐性を付与することにより、数百倍の誘導活性が得られた。
・Adjuvant活性を有するliposomeに包むことにより、腫瘍特異的Th、CTLの誘導が容易になった。

想定される用途

・悪性腫瘍に対するペプチド免疫療法

関連情報

・外国出願特許あり

  • 創薬

12)ペプチド性タグを利用したタンパク質結晶化の新技術/タンパク質結晶構造解析のための実用的な結晶化タグ

北海道大学 大学院先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門 教授 姚 閔

新技術の概要

蛋白質分子をホモオリゴマー化し、分子に2回あるいは3回回転対称を持たせるためのペプチド性タグを蛋白質に導入すること(融合発現)により、蛋白質の結晶化を促進し、結晶性の改善に寄与する技術である。

従来技術・競合技術との比較

従来の類似技術、例えばCys残基の導入、抗体の利用、タンパク質表面の残基変異などと比べ、本技術は汎用性があり、且つ合理的、効率的である。構造未知のものに適用できる。また、遺伝子工学によりタンパク質と融合するため、実施が容易である。

新技術の特徴

・対称性を持つペプチド性タグの利用のため、タンパク質の性質に影響がない。
・対称性を持つ多量体の形成により、結晶を形成する確率を上げることが期待できる。
・遺伝子工学技術を利用するため、実験が容易である。

想定される用途

・結晶化困難なタンパク質の結晶化、および結晶性の改善に利用する。
・酵素を多量体会合させ、反応効率を上げる。
・タンパク質発現状況の改善も期待できる。

関連情報

・外国出願の手続き中
・サンプルの提供可能

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