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JST発 材料分野・エネルギー分野 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>

日時:2015年10月13日(火) 09:45~16:25

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 材料

1)多接合型太陽電池の汎用性向上に向けたゲルマニウム薄膜の結晶成長技術

筑波大学 数理物質系 物理工学域 助教 都甲 薫

新技術の概要

太陽電池の最高効率を更新し続けているのは、異なる材料を積層した多接合型太陽電池ですが、基板に用いられるゲルマニウムウェハが高価であり、応用が制限されています。多接合型太陽電池の汎用性向上を目指し、安価なガラスやプラスチック上にゲルマニウムを薄膜で結晶成長する技術を紹介します。さらに、受講面積を飛躍的に向上させたナノワイヤ構造も提案します。

従来技術・競合技術との比較

ガラス上の薄膜形成には、ウェハを薄くカットして張り合わせる手法と薄膜を直接的に結晶成長する手法がありますが、前者は大面積形成、後者は高品質形成に難があります。本技術は後者の手法ですが、大粒径配向成長を可能とする点に利点があります。

新技術の特徴

・ガラスやプラスチックの上にゲルマニウム薄膜を直接形成可能
・ゲルマニウムの結晶成長には金属触媒を用いるため、低温、大粒径、結晶方位制御が可能
・ガラスやプラスチックの上で均一に整列したナノワイヤを形成可能

想定される用途

・安価で高効率な多接合型薄膜太陽電池
・集積回路やディスプレイ中へのゲルマニウムデバイス(トランジスタ、受光センサ等)の集積
・本技術をバッファ層として応用した多機能材料(III-V族半導体等)の集積

  • エネルギー

2)蒸着重合による透明光触媒 g-C3N4 薄膜の作製

理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発ソフトマター機能研究グループ
基礎科学特別研究員 宮島 大吾

新技術の概要

蒸着重合という手法を用いて、2次元ポリマーであるg-C3N4からなる透明な薄膜の開発に成功した。ガラスを含め様々な基板に直接成膜が可能で、得られた薄膜は高い光触媒能を有していることが明らかとなっている。g-C3N4という材料は古くから知られた材料であったが、これまで均一な薄膜は報告されておらず、その物性は不明であった。本技術はg-C3N4の材料としての特性を最大限に引き出すことで、様々な応用展開を可能にすることが期待される。

従来技術・競合技術との比較

Graphitic carbon ntiride (g-C3N4) はグラフェンのような2次元ポリマーで、金属元素を含まない光触媒として注目を集めている。本技術はg-C3N4の薄膜化を可能にし、様々な応用展開を可能にする。

新技術の特徴

・特別な装置(真空系など)を用いない簡便な合成法
・様々な基板上に直接成膜可能

想定される用途

・光触媒コーティング
・水素製造用光触媒
・反射防止膜

関連情報

・サンプルの提供可能

  • エネルギー

3)コンピュータによるエネルギーロスの無いスーパーキャパシタ制御技術

近畿大学 工学部 電子情報工学科 准教授 中田 俊司

新技術の概要

コンピュータを用いて、電源電圧の制御を1%単位で行い、きめ細かい電力の制御を行うことにより、エネルギーロスの無いスーパーキャパシタ充放電技術を実現する。この技術により、夜間に電力を蓄電し、昼間に蓄電された電力を利用することにより、1日の電力使用量の平準化を可能とする。また、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの商用系統への接続を容易にする電力需給バランスを保つ蓄電技術を提供し、スマートグリッドの早期実現に貢献する。

従来技術・競合技術との比較

リチウムイオンバッテリが蓄電デバイスとして現在重要と位置付けられているが、充放電回数は1000回程度と短い点や、安全性の面で問題が残っている。一方、スーパーキャパシタは充放電回数が10万回以上であり100倍寿命が長い。安全性も高くスマートグリッドの蓄電デバイスとして今後市場の拡大が予想されている。

新技術の特徴

・大電流高速充電
・電力制御に適したデジタル充電

想定される用途

・スマートグリッドにおけるスーパーキャパシタへの蓄電
・電車や自動車に搭載されているスーパーキャパシタへの高速充電

  • エネルギー

4)勾玉型ブレードを装着する新しい垂直軸風車

立命館大学 理工学部 機械工学科 准教授 吉岡 修哉

新技術の概要

従来の風車用ブレードは、NACA翼型など、航空機等に用いられる翼形状を流用している。しかし垂直軸風車のブレードは、幅広い範囲の迎角と対気速度にて運用する必要がある。従来の航空機用ブレードはこれらを考慮していないため、垂直軸風車には適していない。本技術では、垂直軸風車専用に特化したブレードを新たに開発し、これを独自の手法で運用する、新しい垂直軸風車を提案する。

従来技術・競合技術との比較

垂直軸風車専用に特化したブレード新たに開発した。これを用いた風車は、従来両立不可能だった低風速起動と、風速を超える周速度での高速回転が可能である。これは、抗力型と揚力型を自律的に使い分ける独自の運用手法で実現する。

新技術の特徴

・1m/s程度の低風速で起動でき、かつ、風速上昇に伴い周速比4を超える高風回転も可能である。
・低風速モードでは、防御羽根を使用して高回転トルクを生み出す抗力型配置にてブレードを運用する。
・高風速モードでは、案内羽根を使用して高出力を生み出す揚力型配置にてブレードを運用する。

想定される用途

・小型垂直軸風車の専用ブレード
・地産地消型・分散配置型の垂直軸風車専用ブレード
・投げ込み式の小水力発電用プロペラ

関連情報

・展示品あり(風車)

  • 材料

5)ナノセルロース超緻密膜に「ナノ孔」を穿つ新技術でガス分離

九州大学 大学院農学研究院 環境農学部門 サスティナブル資源科学講座
生物資源化学分野 教授 北岡 卓也

新技術の概要

樹木ナノセルロースの超緻密なガスバリア膜をマトリックスに、ナノ多孔性金属-有機構造体を「その場合成」「密着複合化」「ナノ穿孔」の新技術により、わずか0.05 nmしか大きさが違わないメタンと二酸化炭素の完全分離に成功した。さらに、既存膜の100倍以上のガス透過流量も達成した。目的に応じて多孔体の種類を変えることで、様々なガス分離・精製・成分濃縮などが可能で、モノづくり・エネルギー分野での利用が期待される。

従来技術・競合技術との比較

無機多孔体と合成高分子の単純混合では得られない超高性能ガス分離膜原子レベルの大きさの違いを見分けることで、メタンと二酸化炭素を従来法の100倍以上のガス透過流量で完全分離

新技術の特徴

・ナノ多孔体を樹木セルロースナノファイバー上でその場合成
・超密着により界面のガス漏れを防止して選択的にガス分離
・ナノ孔のサイズは自由自在に選べて膜の形状設計も容易

想定される用途

・二酸化炭素分離・回収
・バイオガス精製・濃縮
・モノづくり・新エネルギー産業

  • 材料

6)イオン液体を溶媒とする高強度有機-無機ハイブリッドゲル(応用例:CO2選択透過膜)

神戸大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 助教 神尾 英治

新技術の概要

イオン液体中でオルトケイ酸テトラエチルの縮合重合とジメチルアクリルアミドのラジカル重合を行うことで、有機-無機相互侵入網目構造を形成させ、イオン液体を大量に含むゲルを作製した。作製したゲルは優れた機械的強度と成形性を有する。イオン液体を90wt%以上含有するゲルフィルムを作製し、500kPaの圧力場でCO2透過性を評価したところ、ゲルフィルムは破壊されることなく、理論的限界値に近いCO2透過速度を示した。

従来技術・競合技術との比較

ヒドロゲルでは数種類の高強度ゲルが報告されているが、イオン液体を溶媒とする高強度ゲルに関する報告はほとんどない。また、有機-無機ハイブリッドネットワークからなる高強度ゲルもほとんど報告例がない。

新技術の特徴

・大量のイオン液体を含有するゲル
・開発したゲルは極めて高い機械的強度を有する。
・開発したゲルは成型性に優れ、ゲルフィルムとして使用することもできる。

想定される用途

・CO2選択透過膜
・導電性材料
・アクチュエータ

  • 材料

7)シリカ系多孔質膜の開発と各種ガス分離プロセスへの応用

広島大学 大学院工学研究院 物質化学工学部門 助教 金指 正言

新技術の概要

シリカ系多孔質膜の作製法、特にガス分離のためのネットワーク構造のチューニング技術について紹介する。シリカ膜の課題である耐水性についても、近年異種金属をドープすることで大幅に水熱安定性が向上しており、水蒸気改質膜型反応器への応用が期待されている。本発表では特に、分離が最も困難であるオレフィン/パラフィン分離について、ネットワーク構造内にカチオンをドープすることで選択性が大きく向上した研究成果を中心に紹介する。

従来技術・競合技術との比較

膜分離法は、相変化を伴わない分離技術であるため、大規模な省エネルギー化が期待されている。例えば、プロパン、プロピレンといった低分子量の有機ガスの分離は、-40℃級の冷熱供給が必要であり、かつ沸点差が小さいことから、エネルギー消費量が大きい。

新技術の特徴

・シリカ系多孔質膜の製膜法
・シリカ系多孔質膜のガス分離特性

想定される用途

・ガス分離精製プロセス
・膜モジュール開発

  • 材料

8)新型ゼオライト系高性能触媒の開発

横浜国立大学 大学院工学研究院 理工学部 化学・生命系学科 教授 窪田 好浩

新技術の概要

ゼオライト系触媒には様々な骨格構造があり、三文字のコードで表される。同じ三文字コードでも、化学組成が異なると違った機能を発現する。例えば、MFI型骨格は10員環が交差した細孔構造をもち、Si、 Al、 Oから成るアルミノシリケート組成の物質はZSM-5として、Si、 Ti、 Oから成るチタノシリケート組成の物質はTS-1として知られる。前者は固体酸触媒、後者は酸化触媒として有用であるものの、嵩高い基質への対応力に課題があった。新技術では、12員環と10員環が交差した新しい細孔構造のMSE型骨格に基づく高性能なアルミノシリケートとチタノシリケートをそれぞれ得ることに成功している。これらはより嵩高い基質にも対応できるとともに生成物の種類に変化を与える。触媒材料としての将来性があるので、触媒調製の簡略化とスケールアップが課題である。

従来技術・競合技術との比較

従来型のMFI型固体酸触媒であるZSM-5を用いたヘキサンクラッキングやDTO反応では、エチレンが多く生成し、プロピレン/エチレン比が小さいが、新技術ではプロピレン収率が40%を超え、プロピレン/エチレン比も格段に向上する。従来型のTi含有MFI型触媒であるTS-1を用いたフェノール酸化では、ヒドロキノンが優先的に得られるようになるが、ヒドロキノン/カテコール=6 / 4 程度である。新技術ではヒドロキノン/カテコール= 8 / 2 ~ 9 / 1 程度にまで向上させることができる。

新技術の特徴

・新しい骨格構造のAlあるいはTi含有ゼオライト触媒
・高いプロピレン /エチレン生成比
・高いヒドロキノン/カテコール生成比

想定される用途

・プロピレンの製造
・プロピレン以外の軽質オレフィンの製造
・樹脂合成用モノマーの製造

  • 材料

9)連続的な結合生成反応を駆使した有機 EL ディスプレイ材料の創出

岡山大学 大学院自然科学研究科 地球生命物質科学専攻 助教 岩﨑 真之

新技術の概要

トリフェニレンは、ベンゼン環がアームチェア型に配列した安定な構造を有しており、高い発光効率を実現できることから、次世代の有機ELディスプレイ材料として注目を集めている。しかしながら、その一般的な合成法は未だに確立されていない。われわれはごく最近、連続的な炭素-炭素結合生成反応を利用することで、トリフェニレン骨格を簡便に構築できることを見いだした。本手法を利用すれば、高い発光効率と安定性を両立する有機ELディスプレイ材料を創出できる。

従来技術・競合技術との比較

トリフェニレンの合成には、芳香環どうしを逐次的に連結させる方法が一般的であった。一方、われわれが開発した手法では複数の結合を一挙に構築できるため、目的の分子を簡便に合成することができる。

新技術の特徴

・官能基化されたトリフェニレンを多様に提供できる。
・反応の基質一般性が高いため、分子のファインチューニングが容易
・一挙に複数の結合を構築できるため、簡便に目的の分子を合成できる。

想定される用途

・有機ELディスプレイ材料
・有機電界効果トランジスタ材料
・関連有機エレクトロニクス材料

  • 材料

10)傾斜機能性ポリマー複合絶縁材料の開発

九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 電気エネルギー部門
准教授 小迫 雅裕

新技術の概要

本技術は電気泳動法を用いた誘電率傾斜機能性ポリマー複合絶縁材料の創製手法である。誘電率を空間的に傾斜させた傾斜機能材料を、電気機器内部の固体絶縁物として用いることで、絶縁部の電界緩和に有用である。エポキシ複合材の硬化反応中に直流電場を与えて、無機粒子(アルミナやシリカ)を意図的に空間配置させた後、加熱硬化している。

従来技術・競合技術との比較

ポリマー材をベースとした傾斜機能材料の作製には遠心力を用いた実施例があるが、遠心力は一方向にしか与えられないため、複雑で任意なフィラー配置は困難である。本技術は樹脂成型と同時にフィラー配置の任意制御が可能である。

新技術の特徴

・一対の電極に直流電圧をかけると、間にある樹脂溶液中の荷電粒子がある位置まで移動する技術を応用した材料開発
・ポリマー内の無機粒子を空間的に配置制御することで、誘電率を空間的に制御し、周囲の電界を緩和することが可能

想定される用途

・電力機器の電気絶縁材料
・パワーモジュールなどの高密度機器の電気絶縁材料

関連情報

・サンプルの提供については要相談

  • 材料

11)電気泳動する非イオン性高分子を活用した中性電着塗料

名古屋工業大学 大学院工学研究科 未来材料創成工学専攻 教授 高須 昭則

新技術の概要

我々は独自手法により合成した『非イオン性の高分子(ポリエステル)』が電気泳動する事実を発見した。中性のポリマーが陽極選択的に電気泳動する要因は、スルホニル基の分極と貧溶媒として用いたアルコールの電荷分離にあると推測し、実験的に仮説を立証できた。また、用いる溶媒が泳動機構にどのように影響を与えるかも検討した。

従来技術・競合技術との比較

古くから自動車等の防錆を主な目的として広く使われている電着塗装は、原理上、塗膜の色や被塗物の材質に大きな制限がある。本成果により、従来の電着塗装の宿命的欠点を克服し、防錆とカラー塗装工程を兼ねる革新的な電着塗装技術の構築が期待できる。

新技術の特徴

・中性電着塗料
・省エネコーティング
・ポリエステル

想定される用途

・中性電着塗料
・絶縁コーティング
・傾斜材料(太陽電池、骨再生材料など)

関連情報

・サンプルの提供可能

お問い合わせ

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