先端的低炭素化技術開発(ALCA)バイオ・化学分野 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2016年03月01日(火) 12:45~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)酢酸発酵によるリグノセルロースからの先進高効率エタノール生産
京都大学 大学院エネルギー科学研究科 エネルギー社会・環境科学専攻 教授 坂 志朗
新技術の概要
加圧熱水処理、酢酸発酵及び水素化分解を組み合わせることにより、木材など非可食性のリグノセルロース資源から高効率でバイオエタノールを生産できる新規プロセスを開発した。本プロセスは酵母を用いた従来のアルコール発酵法とは全く異なり、原理的にCO2を排出しないため炭素利用効率が極めて高く、エタノール収率は従来法の2倍以上になる。さらに、本プロセスは原料を選ばず、どのようなリグノセルロース資源でも高効率でエタノールに変換できる。
従来技術・競合技術との比較
従来のアルコール発酵法では単糖の約1/3の炭素がCO2として排出されるため、エタノール収率が低く、乾物リグノセルロース1t当たり300L程度が限界である。一方、本プロセスはCO2を排出しないため、700L/t以上のエタノール生産が可能である。
新技術の特徴
・リグノセルロースの加圧熱水処理による分解物を、酢酸発酵により高効率で酢酸に変換する。
・リグニン由来物質や種々単糖、糖の分解物からも酢酸が得られるため、様々な原料に適用できる。
・得られた酢酸水溶液を、水素化分解により直接エタノール水溶液に高効率で変換する。
想定される用途
・従来のアルコール発酵法に替わる、高収率でCO2削減効果の高いバイオエタノール生産
・建築廃木材、未利用リグノセルロース資源などのバイオエタノールとしての有効利用
・CO2でさえもエタノールに変換できるため、新規CO2削減技術としても適用可能
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
2)ゼロから創製する新しい木質の開発
産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 主任研究員 光田 展隆
新技術の概要
木質を作らない変異体をベースに非天然木質を生産する研究開発を行っています。これまでに、強度が50%向上した木材や、リグニンをほとんどふくまない木質を生産させることに成功しています。
従来技術・競合技術との比較
これまで野生株をベースに木質を改変する試みは世界中で為されてきましたが、本研究ではゼロベースで新しい木質を作らせることにより画期的な木質を開発しています。
新技術の特徴
・木質生産量、木材強度が5割増し
・リグニンフリー、ヘミセルロースフリーの木質(上記との併用はできません)
・断面積が2倍になる太い茎
想定される用途
・高強度建材
・バイオエタノール、バイオマテリアル生産
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
3)木質系バイオマスの直接反応によるセルロース誘導体とリグニン誘導体の製造・分離方法
金沢大学 理工研究域 自然システム学系 教授 高橋 憲司
新技術の概要
非プロトン性有機溶媒中に微量添加したイオン液体の分子触媒作用を用いて、木質系バイオマス中のセルロース成分とリグニン成分の水酸基を短時間でエステル交換反応させて、木質成分を分離する技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来のパルプ製造プロセスに比較して極めて省エネルギーで、リグニン成分も材料として有効利用できる革新的なプロセスである。
新技術の特徴
・植物由来の複合材料への応用
・木材への難燃性付与
・フェノール樹脂の改質
想定される用途
・熱可塑性セルロース誘導体の製造
・熱可塑性リグニン誘導体の製造
・セルロースナノファイバーの修飾反応
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
4)分子育種に利用可能な植物プロモーター群とその作成方法
岐阜大学 応用生物科学部 生産環境科学課程 教授 山本 義治
新技術の概要
ゲノム情報、大規模遺伝子発現情報をもとに期待される環境応答を示す合成プロモーターを作成する技術を開発した。また、開発済みのプロモーター群(低温、UV-B、強光、塩害、酸性土壌、アルミニウムイオン、等の各種環境ストレス応答性のもの)が現在利用可能である。
従来技術・競合技術との比較
大規模遺伝子発現情報をもとにしたプロモーター因子(転写制御配列)の予測は既存の方法(Gibbs Sampler、MEME)でも可能ではあったが、正解率及び検出感度の両点で問題があり実用に耐える予測精度は出せなかった。我々が2011年に開発した方法は実用上のニーズを満たす初めての予測法である。
新技術の特徴
・合成プロモーターなので、発現量及び環境応答性のチューニングが可能
・オーダーメイドの対応可能
想定される用途
・分子育種(バイオマスを下げないストレス耐性強化)
・分子マーカー(野外での植物のストレス応答の状況を簡便にモニタリング。栽培環境のアセスメントに)
・分子マーカー(研究ツールとして。研究者をユーザーとして想定)
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 環境
5)ジルコニア陽極・溶融塩電解によるCO2分解
北海道大学 大学院工学研究院 材料科学部門 教授 鈴木 亮輔
新技術の概要
低炭素化社会の実現のために、産業炉からの高温排ガスを利用してそれに含まれる二酸化炭素を電気分解する方法を開発した。800~1000℃で電解すると炭素やCOガスに転換できる。
従来技術・競合技術との比較
隔膜を用いてCO2ガスを濃化する従来技術は本法にも適用できる。従来は低温で電気分解が模索されていたが、本法は高温で高速にCO2ガスを分解する技術である。ダイアモンドを陽極とする技術があるが本法はジルコニアを利用する。
新技術の特徴
・800℃以上の高温排ガス中の二酸化炭素の分解
・COガスへの再生と利用
・析出炭素はカーボンナノチューブやカーボンシート、球形の非晶質炭素
想定される用途
・工業炉の排出ガスからのCO2削減
・COガスとして燃料に利用
・トナーやインク、医療や食品用炭素粉末の製造
関連情報
・サンプルの提供可能(実験残量のため、1g程度しか提供できませんが。)
・実験室で用いたジルコニア陽極等
- 環境
6)ナノゲル粒子からなる二酸化炭素選択透過膜
九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 准教授 星野 友
新技術の概要
CO2吸収用のゲルがCO2分離膜として機能することを明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
安価で高い性能を有するCO2分離膜である。
新技術の特徴
・高いCO2選択透過能
・安価な原料・容易な量産性
・低コストの二酸化炭素分離、ガス精製
想定される用途
・火力発電所や製鉄所等の燃焼後排ガスからのCO2分離
・天然ガス、石油ガス、水素ガス等の燃料ガス精製プロセスにおける酸性ガスの分離
・原料ガスとしてのCO2の生産プロセス
関連情報
・サンプルの提供可能
・開催当日の展示品あり
・外国出願特許あり
お問い合わせ
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