海洋研究開発機構 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2015年09月29日(火) 12:55~14:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 製造技術
1)深海熱水噴出孔にヒントを得た新しいフリーラジカル重合プロセス
海洋研究開発機構 海洋生命理工学研究開発センター 研究開発センター長 出口 茂
新技術の概要
深海熱水噴出孔の温度環境を再現したリアクターを用いたフリーラジカル重合プロセスを確立し、ポリアクリル酸を重合時間1分、モノマー転化率90%で合成することに成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来プロセスとは比較にならないほどの短い反応時間で、分子量が比較的揃ったポリマーを合成可能。触媒等を用いず、従来の組成のまま適用することが可能。さらに流通型プロセスのため、スケールアップも容易。
新技術の特徴
・極短時間で反応が完結
・スケーラブル
・既存の原料・組成のまま適用可能
想定される用途
・高分子合成
・分散・乳化(安定剤)
・バイオマテリアル
- 情報
2)リアリスティックな雲シミュレーション映像の高速作成技術
海洋研究開発機構 地球情報基盤センター 先端情報研究開発部 地球シミュレーション総合研究開発グループ グループリーダー 大西 領
新技術の概要
計算機性能の向上に伴い、気象予測計算の高解像度化が進んできた。それに伴い、計算結果データは膨大になってきた。本技術を用いれば、膨大なデータを高速に処理して、リアリスティックな雲画像を得ることができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の描画手法では、雲を鳥瞰し(上空から地上を見下ろし)、雲を単純に白色で表現することが多かった。一方、人目線(地上から空を見上げる)では、雲はその状態に応じて白~灰~黒色に見える。その色を再現するためには、光の散乱過程を考慮した、負荷の高い描画計算が必要であった。
新技術の特徴
・雲分布と短波放射量から、高速に、雲の色と濃さをリアリスティックに表現できる。
・リアリスティック描画により、雨雲かどうか直観でわかるので、文字情報に頼らない気象予測情報の発信が可能になる。
・Google Earthなどと組み合わせれば、現実の都市街区の中から見上げたリアリスティックな雲描画が得られる。
想定される用途
・【防災】画像情報による迅速な気象・防災予測情報の配信・伝達
・【生活】個人の移動スケジュールと連動した、人目線の気象予測情報の配信(例:ナビゲーションとの連携)
・【観光・経済】観光地、興行イベント向けの高付加価値気象予測情報の配信
関連情報
・外国出願特許あり
・展示品あり(PCとモニタがあれば、説明用動画を再生しておくことができます。)
- 環境
3)透明電極を用いた生きた環境微生物の回収法
海洋研究開発機構 海洋生物多様性研究分野 技術副主幹 小山 純弘
新技術の概要
電極基板に微生物が好む微弱なマイナス電位を印加することで、生きた微生物を土壌堆積物や、すりつぶしたカイメン組織中から、電磁石で砂鉄を吸い付けるように回収する技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
環境中から微生物由来のDNAを回収解析するメタゲノム技術が研究されている。しかし、生きた微生物を回収していないため、単離培養や各種オミックス解析に研究展開出来なかった。
新技術の特徴
・人工海水やリン酸バッファのような非栄養培地に生きた微生物を分散させ、微弱マイナス電位を印加した電極に付着回収する技術
・32門のバクテリア、3門のアーキア、パン酵母を含む幅広い微生物を、微弱マイナス電位を印加した電極に付着回収する技術
・電極基板上に強固に付着した微生物を、高周波共振周波数による微弱変動電位で剥離する技術
想定される用途
・生物サンプルや土壌堆積物中から、有用微生物を選択的に回収する技術
・水溶液中から微生物を除去する技術
・微小電極上に単一細胞レベルで微生物を付着培養後、各種オミックス技術解析に供する技術
関連情報
・外国出願特許あり
・サンプルの提供可能(手作りの3電極チャンバーでしたら、提供可能です)
- 機械
4)小口径ツール(Φ100mm以下)3方向高圧制御ピストンバルブ機構
海洋研究開発機構 事業推進部 産学連携課 課長代理 加藤 和政
新技術の概要
ピストン制御用バルブとしては、蒸気機関や空気制御機関にいくつか存在する。しかし、高温(150℃)・高圧流体(<150MPa)を遠隔操作で3方向に送るバルブ機構が無かった。速やかな流路切替えの為のピストンバルブ開閉を行う小型ギアードモーターを本機構に用いている。
従来技術・競合技術との比較
従来のピストンバルブ制御は蒸気機関や圧縮ガスモーター駆動等の大型な物で、かつ媒体も気体である。液体を用いる高圧制御ピストンバルブシステムには適さない。高圧流体を制御する為、小型ギアードモーターと高圧シール用いたシリンダーピストンで、3方向への高圧流体を制御可能な物とした。
新技術の特徴
・高圧力流路変更を制御するピストンバルブ構造
・ピストンシリンダーが前後に動き流体の流れ方向を変え流路構造
・高温高圧環境下での利用(150℃、150MPa)
想定される用途
・科学調査を目的とした海底掘削孔や陸上掘削孔にて、高圧破砕を用いた圧力測定に利用
・石油精製プラントや原子力プラントなどの流体の流れを瞬時に制御するシステムが必要とされる分野
・半導体等の製造システム分野
関連情報
・外国出願特許あり
・展示品あり(実物(長さ300mm、外径100mm)が置ける台 )
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
海洋研究開発機構 事業推進部 産学連携課
TEL:046-867-9309(共同研究)/9246(ライセンス・知財)FAX:046-867-9195Mail:sanrenjamstec.go.jp
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