関西10私大 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2016年03月03日(木) 10:55~16:30
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 通信
1)SDN技術を活用したスケーラブルなPub/Sub通信基盤
京都産業大学 コンピュータ理工学部 ネットワークメディア学科 准教授 秋山 豊和
新技術の概要
SNSやIoTなど様々なアプリケーションでPub/Sub通信モデルが広く活用されている。本技術は、多数のクライアントが接続する複数Broker(サーバ)Pub/Sub環境において、OpenFlow技術を用いたBroker間通信の最適化による通信量削減を実現するPub/Sub通信基盤技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来のPub/Sub基盤として、Broker間通信は単純なブロードキャストを活用しているものや全く新しいネットワーク基盤を想定したものが提案されているが、本技術では普及が進みつつあるOpenFlowと、必要なBrokerのみに配信するアプリケーション層マルチキャストを併用した効率的なBroker間通信を実現する。
新技術の特徴
・アプリケーション層とネットワーク層のハイブリッド利用により、異なるISPにまたがるPub/Sub配信にも対応。
・Pub/Sub配信網を部分的に最適化することも可能なため、OpenFlowスイッチのハードウェア制約を受けずに利用可能。
・非常に広域にまたがるPub/Sub配信網でも、必要最小限の範囲で配信が可能。
想定される用途
・Smart Energy(IoTアプリケーション)におけるメッセージング基盤
・Smart Shopping(IoTアプリケーション)におけるメッセージング基盤
・SNSにおけるデータセンター内メッセージング基盤
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
2)歯周病予防を目指した米糖からのプロリルトリペプチジルペプチターゼ阻害剤
摂南大学 薬学部 薬学科 教授 伊藤 潔
新技術の概要
歯周病菌のP.gingivalisは糖を栄養源にできず、歯肉のコラーゲンを分解し栄養にしている。プロリルトリペプチジルペプチターゼ(PTP)が歯肉コラーゲン分解キー酵素であることに注目し、米ぬかに高い阻害タンパク質を見出した。更にこの阻害剤がP.gingivalisの生育を抑えることを確認した。
従来技術・競合技術との比較
歯周病は成人の60%が感染しており社会的問題となっている。年齢とともに罹患率は高まり、高齢化の進行とともにこれまで以上に有効な予防策や治療方法が求められている。米ぬかを用いた安価で安心な原料からの歯周病予防剤は、様々な応用が期待される。
新技術の特徴
・口腔衛生分野:歯周病予防商品の開発
・食品加工分野:歯周病予防を目指した機能性食品の開発
・美容分野:口臭除去などの製品開発
想定される用途
・歯科用歯周病予防薬
・家庭用口腔衛生品(歯磨、うがい液)
・健康保健食品
- アグリ・バイオ
3)制御可能なナノ構造を利用した高感度センサーと抗菌素材の創出
関西大学 システム理工学部 機械工学科 准教授 伊藤 健
新技術の概要
ウエットプロセスに基づくナノ加工技術を利用して独自のナノ構造を持つ高感度バイオセンサーを提案する。また、同様の技術を利用した新しい抗菌素材についても提案する。
従来技術・競合技術との比較
ナノ構造を作製する技術は多々あるが、本技術はウエットプロセスを多用することで一般的なドライプロセスと比べて設備が簡便で大面積・一括処理が可能であるため製造コスト面で優位であり、実用性に優れる。
新技術の特徴
・規則的な高密度ナノ構造の作製
・ナノ構造による比表面積の増大
・分散性の高いナノ柱、ナノ孔
想定される用途
・食品トレー、食品工場の壁材、食中毒防止シートなど
・イムノロジーに基づくバイオセンサー
・環境、食品(味、におい)、ガス分析
関連情報
・展示品あり(ナノワイヤーアレイを持つ抗菌素材)
- 医療・福祉
4)骨の形態・荷重支持機能の変化の予測に基づく骨粗鬆症の骨折リスク評価
龍谷大学 理工学部 機械システム工学科 講師 田原 大輔
新技術の概要
骨の医用画像を基に計算機上に構築したモデルに対し、骨粗鬆症の重篤度に対応する骨の再構築のバランスを設定した形態変化のシミュレーションと、生体アパタイトの配向性を反映した応力解析を基に骨折リスクを評価する技術である。
従来技術・競合技術との比較
現状の骨密度診断法に比べ、骨粗鬆症の重篤度を考慮した将来的な骨形態の変化の予測、転倒時等の非日常荷重作用時の骨折リスクの増大の評価、骨の強度の異方性を考慮した荷重支持特性の変化の解明ができる点に新規性がある。
新技術の特徴
・骨粗鬆症の重篤度を考慮した骨形態の力学的・時間的変化の予測ができる。
・機能的に適応していない方向からの荷重に対する骨の脆弱性の評価と可視化ができる。
・力学的な適応構造を提示可能な骨の再構築理論により、一般的な構造物への形状最適化等への技術応用が期待できる。
想定される用途
・現状の骨密度診断に代わる患者別の将来的な骨折リスクの変化の予測・診断
・積極的な力学刺激付与により骨形成を促進するための新しい治療法・機器・デバイスの開発
・機械・構造物における形状・位相最適化、設計指針探索への応用
- 情報
5)二次元コードを用いた三次元自己位置推定と移動制御
大阪工業大学 工学部 ロボット工学科 准教授 小林 裕之
新技術の概要
本技術は、二次元コードをカメラで撮影し、そのカメラの世界座標系における位置と姿勢を求めるものです。さらにコードに仮想壁情報等を埋め込むことでロボット等の移動制御もできます。
従来技術・競合技術との比較
カメラとコードの相対的な位置関係のみがわかる従来技術と比較して、絶対的な位置姿勢もわかるという本質的な優位点があります。さらに必要な情報はすべてコードに内包されるため、サーバ等との通信が不要です。
新技術の特徴
・カメラとコンピュータを搭載したデバイス等(例:スマートフォン)であればなんでも利用可能。
・インフラ側は紙に印刷した二次元コードなので低コスト、エネルギーも消費なし、サーバも不要。
・GPSと違い、屋内でも利用可能で姿勢も取得可能。
想定される用途
・移動ロボット全般(家庭内のお掃除ロボット、ドローン、工場の搬送ロボット、工事現場や鉱床の自律重機)
・スマートフォンアプリ(道案内連動型看板広告、拡張現実式情報提示)
- 情報
6)Webから漫才台本を自動生成し,演じる漫才ロボット
甲南大学 知能情報学部 知能情報学科 教授 灘本 明代
新技術の概要
ユーザの入力したお題(キーワード)に対するWebニュースからおもしろおかしい対話文からなる漫才台本をリアルタイムに生成し、その漫才台本を2台のロボットが掛け合いで演じる漫才ロボットを構築する技術。
従来技術・競合技術との比較
ユーザーと対話をするロボットは種々あるが、漫才台本を自動生成しそれを演じることにより、ユーザに笑いと癒しを与えるロボットはこれまでにない。
新技術の特徴
・対話文自動生成
・概念の違いに基づくユーモラスな対話文生成
・パーソナライズした漫才台本生成
想定される用途
・介護分野でのコミュニケーションロボット
・玩具
- 材料
7)人工ナノ欠陥制御による超電導線材の臨界電流改善技術
関西学院大学 理工学部 先進エネルギーナノ工学科 専任講師 尾崎 壽紀
新技術の概要
発電機や変圧器などの電力機器の軽量・小型化に向け、超電導薄膜にイオン照射し、形成される欠陥の形態およびサイズを制御することで流すことのできる超電導電流の最大値(Ic)を向上させる技術について説明する。
従来技術・競合技術との比較
従来、超電導薄膜に人工的に欠陥を導入するためには、薄膜の結晶成長を制御する方法が主流であったが、作製後の超電導薄膜へのイオン照射により欠陥を導入し、臨界電流を改善できることを実証した。
新技術の特徴
・数MeVの比較的低エネルギーのイオン照射を使用。
・イオン種及びエネルギーを変化させることで高品質薄膜に導入する欠陥を制御。
・薄膜の超電導特性を大きく低下させない。
想定される用途
・送電ケーブル
・超電導発電機や変圧器などの電力機器の小型化・大出力化
- エネルギー
8)リチウムイオン電池の稼動時劣化診断
同志社大学 理工学部 電気工学科 教授 長岡 直人
新技術の概要
リチウムイオン電池の劣化を、診断用充放電装置を用いることなく稼動時の電池電圧電流波形から推定する。時系列解析法を適用して計算負荷を低減し、組み込みシステムにも導入可能な計算アルゴリズムとした。
従来技術・競合技術との比較
従来法と異なり、電池を機器から取り外すことなく、機器稼動時の電圧電流波形から電池の等価回路を導出し、等価回路定数の変化から劣化を診断。また、等価回路から、従来診断法に用いる周波数特性も導出可能。
新技術の特徴
・稼動時情報からの特徴抽出・予防保全
・太陽光・風力発電などの自然エネルギー有効活用、電池廃棄物低減などの、再生可能性エネルギーの総合的有効利用
・周波数変換法(複素計算)を用いることなく、周波数特性の導出
想定される用途
・電力系統・電気鉄道等の大容量蓄電システムの予防保全
・ハイブリッド・電気自動車等の電池寿命(交換時期)指示計
・電池リサイクル等で必要となるバッテリーチェッカー
- デバイス・装置
9)歩調の0.5倍成分に着目した片麻痺歩行の定量的評価手法
近畿大学 理工学部 社会環境工学科 教授 米田 昌弘
新技術の概要
従来全く知られていなかった歩調の0.5倍成分に着目した評価手法で、左右腰部に設置した加速度波形のスペクトル解析結果から、0.5倍成分がほとんど現れない場合は正常歩行、大きな値を呈する場合は片麻痺歩行と判断する。
従来技術・競合技術との比較
加速度計を用いた歩行分析は臨床医療への応用という観点からすでに実施されていたが、従来技術は波形の定量化やパターン分析を試みる程度であり、片麻痺歩行(歩行異常)を定量的に評価できるレベルには達していなかった。
新技術の特徴
・歩調の0.5倍成分に着目した歩行評価
・スペクトル解析結果の適用
・左右腰部2箇所への加速度計設置(従来の設置方法:第2腰椎部位のみの一箇所)
想定される用途
・リハビリテーション医療(脳卒中片麻痺歩行患者のリハビリテーション)
・美容・健康分野(一流モデルの歩行評価;理想的な歩き方評価)
・靴業界(歩行特性から見た靴かかと部のへり方;歩行にやさしい理想の靴)
- 電子
10)サーモパイルアレイセンサ対応アナログフロントエンド回路
大阪産業大学 工学部 電子情報通信工学科 教授 熊本 敏夫
新技術の概要
アレイ状に並べた赤外線センサで人物の動きを検知する監視システムを想定し、サーモパイル型赤外線センサ出力の読み出し回路を開発している。センサの出力電圧が非常に小さいため(1mV以下)回路上の対策を施した。
従来技術・競合技術との比較
従来はオペアンプのオフセット電圧(製造上のばらつき等に起因する誤差電圧)に信号が埋もれてしまい、特殊なプロセスあるいは複雑な構成の回路でこれを低減し信号を読みだす必要があった。本研究では、この対策として二重積分型読み出し回路にオートゼロ機構を導入し簡単な構成で実現する。
新技術の特徴
・出力電圧が微小なサーモパイル赤外線センサ等の読み出し回路
・素子ばらつきに起因するオフセット電圧をキャンセル
・回路構成がシンプルで扱いやすい
想定される用途
・赤外線センサを用いた人物検知システム
・その他のセンサ出力を読み出す回路
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