関西公立3大学 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2015年11月13日(金) 10:00~16:10
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)次世代遮熱性舗装体によるヒートアイランド対策
大阪市立大学 大学院生活科学研究科 居住環境学専攻 准教授 酒井 英樹
新技術の概要
夏季の酷暑環境の要因の一つである地表面からの日射照り返しを、表面凹凸方式による再帰反射という全く新しい機構で抑制することにより、快適な道路周辺環境の構築、都市型災害の軽減、及び、省エネルギー社会の実現を目指す。
従来技術・競合技術との比較
ヒートアイランド対策に地表面被覆(道路及び建物外皮)の高反射化が有効であること、さらに、高反射化に伴う日射照り返しの増加を再帰反射性の付与により回避できることが分かっているが、従来型の再帰反射材には、コスト、耐久性の問題があった。
新技術の特徴
・汚染や摩耗に強い堅牢な再帰反射材
・低コスト、易施工で大面積に適用可能な再帰反射材
・見る向きによって色彩が変化する指向性反射材の設計
想定される用途
・道路面、土木・建築物外皮向けの日射高反射塗料または外装材(日射照り返し抑制機能付き)
・ユニークな外観を持つ意匠性建材
・環境教育教材
関連情報
・展示品あり(表面凹凸方式による再帰反射の原理説明模型)
- エネルギー
2)絶縁膜積層構造と太陽電池パッシベーション層への応用
兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授 堀田 育志
新技術の概要
結晶シリコン太陽電池の薄型化と変換効率向上のためには、太陽電池セルの表面パッシベーション技術が重要になる。半導体デバイス用の汎用絶縁膜であるSiOx層と高誘電体層の積層界面構造を用いて、その界面に生じる電気双極子(界面双極子)を利用した効果的な表面パッシベーション方法を提供する。
従来技術・競合技術との比較
界面双極子はある化学的な平衡状態の結果から生じるものであり、これまではその大きさやモーメントを制御することができなかった。SiOx層と2種類の高誘電体層の積層周期を人工的に制御することで、界面構造が非対称な超構造を作製してその界面双極子の大きさや方向を制御する。
新技術の特徴
・非結晶材料膜の利用
・利用できる材料の幅が広い。
・スパッタ法等のプロセス成膜装置が利用可能
想定される用途
・結晶シリコン太陽電池の電界効果パッシベーション層
・半導体素子の界面改質(半導体-電極界面の改質など)
- エネルギー
3)ペロブスカイト系太陽電池及びその製造方法
兵庫県立大学 大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 准教授 伊藤 省吾
新技術の概要
真空プロセスを使用せず、低コストが期待できる太陽電池としてペロブスカイト化合物を光吸収層に用いる太陽電池が考えられている。ペロブスカイトの系材料の改良を行い変換効率の改善と経時劣化の少ない太陽電池を提供する。
従来技術・競合技術との比較
現状のシリコン太陽電池に比べ、安価な材料で、低価格プロセスにより、変換効率20%もの高効率の太陽電池の作製が可能となる。しかし、耐久性と鉛の使用が問題である。なお、非常に安価な電力の発生が可能となれば、原子力発電や火力発電との競合も有り得る。
新技術の特徴
・印刷製造による安価な太陽電池
・フレキシブル太陽電池
・シースルー型太陽電池
想定される用途
・大規模発電
・モバイル・ユビキタス電力用の発電
・独立電源
- アグリ・バイオ
4)ヒト再生医療の実現に向けたイヌiPS細胞の創製
大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 獣医学専攻 稲葉 俊夫
新技術の概要
ヒトと同様の生活習慣病などの自然発症例が多くみられるイヌを用いて、長期にわたり安定して継代できるiPS細胞を極めて簡単な組成の培養液を用いて作製した。この細胞を分化誘導すれば間葉系幹細胞等が製造でき、イヌの疾患治療だけでなく、ヒトの再生医療への有益な情報提供も期待できる。
従来技術・競合技術との比較
未だiPS細胞治療における長期間のリスク評価を行えるモデル動物が確立されていない。本技術では長期にわたり安定して継代できるイヌiPS細胞株の作製に成功し、iPS細胞治療の安全性を長期間にわたり評価できることが期待される。
新技術の特徴
・ヒトiPS細胞を用いた再生医療の有効性、安全性をイヌで検証
・新薬開発における動物の犠牲を大幅に減少
・伴侶動物の再生医療
想定される用途
・ヒトiPS細胞を用いる再生医療のモデル動物試験
・薬理・薬効試験、毒性試験
・動物用再生医療等製品
- アグリ・バイオ
5)特異酵素によるヒト型糖タンパク質の糖鎖工学
大阪市立大学 大学院理学研究科 生物地球系専攻 准教授 伊藤 和央
新技術の概要
特異な糖鎖遊離酵素によって、構造や機能を損なわずに糖タンパク質からヒト型のアスパラギン結合型糖鎖の除去と糖鎖の他の化合物への導入ができる。このため、ヒト型糖タンパク質の糖鎖酵素工学が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
従来の糖鎖遊離酵素はヒト型高分岐糖鎖を遊離できない。また、糖タンパク質を変性やペプチド状に分解しないと糖鎖を遊離できない。このため、ヒト型糖タンパク質糖鎖の操作は様々な制約があった。
新技術の特徴
・移植、再生医療における細胞表面糖タンパク質糖鎖抗原の改変
・糖鎖の生体認識機能を備えた新素材の開発
・糖タンパク質センサー
想定される用途
・バイオ医薬品開発における酵素的糖鎖改変
・糖鎖の酵素分析による臨床診断法の開発
・糖鎖の生体認識機能に基づく生理活性配糖体・ドラッグデリバリーシステムの設計・開発
- アグリ・バイオ
6)新しい植物細胞二次細胞壁可溶化技術を用いた農産物の高度利用
大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 生命機能化学 食品素材化学 教授 笠井 尚哉
新技術の概要
難分解性糖タンパクからなる種子・果実などの二次細胞壁を非酵素的かつ簡便に可溶化する方法を見出した。可溶化物は低粘度で良好なゲル化特性・ボディ形成能・起泡性・pH機能的乳化性・プレバイオティクス特性が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
植物細胞の約30~80%を占める二次細胞壁は難分解性であるが、一部のペクチナーゼで低分子化され可溶化できることが知られている。本法では酵素を使用しないため、低粘度で良好なゲル化特性を有する機能性素材としての活用が期待される。
新技術の特徴
・植物性残渣の減容化…食品等の製造プロセス改良、環境負荷低減
・バイオマスの効率的分解
想定される用途
・天然物由来新規食品加工用剤:ゲル化剤・増粘剤・起泡剤・乳化剤など
・新規プレバイオティクス
・機能性食品素材
- 材料
7)イオン液体を用いたエポキシセルロースの製造
兵庫県立大学 大学院工学研究科 化学工学専攻 助教 柿部 剛史
新技術の概要
2種類のイオン液体からなる混合系を用いてセルロースを溶解させるとともに比較的低温度(約60℃)領域で容易にセルロースのエポキシ化が可能となる。副生物としてハロゲン等の腐食性塩類の混入のない樹脂、接着剤等として有用なエポキシセルロースを提供する。
従来技術・競合技術との比較
イオン液体を用いることで温和な条件下でセルロースへの官能基修飾が可能である。また、従来のエポキシ樹脂製造工程では腐食性副生成物であるハロゲン化物の混入・除去が困難であったが、本製造方法を用いることにより、ハロゲン化物の生成しない反応系で合成できる。
新技術の特徴
・イオン伝導性(プロトン伝導性)固体電解質として、二次電池及び燃料電池への応用が可能
・生体適合性接着材料(骨折部位への内部固定など)として利用できる。
・エポキシ化反応後に中和する必要がなく、イオン液体を回収し、再利用できる。
想定される用途
・機能性を付与した接着材料への応用
・生分解性樹脂材料
・生体適合性接着剤
- アグリ・バイオ
8)高温殺菌処理を行う鹿肉の肉軟化処理
大阪府立大学 大学院総合リハビリテーション学研究科 栄養支援系領域 講師 黒川 通典
新技術の概要
鹿肉をレトルトパウチ食品や缶詰にする際は高温加熱(レトルト殺菌)処理を行うが、その際に肉の軟化状態を保持し、かつ肉の臭みを軽減し、冷めた状態でも食することを可能とする処理技術。
従来技術・競合技術との比較
肉の軟化剤や軟化方法は数多くあるが、レトルト殺菌を前提としたものは少ない。また、日常的に食する自然食材のみを使用する技術である。
新技術の特徴
・非常災害用備蓄食品
・アレルギー患者用の惣菜
・鳥獣害対策における鹿肉の利活用
想定される用途
・鹿肉を使った缶詰
・鹿肉を使った料理缶詰
・鹿肉を使ったレトルトパウチ食品
- デバイス・装置
9)視覚障がい者の歩行を誘導する車輪つき杖装置
大阪市立大学 大学院工学研究科 機械物理系専攻 講師 今津 篤志
新技術の概要
視覚障害者の単独歩行を誘導する車両付き杖機構を発明した。使用者は機構を押して歩くだけで方向案内を受けて歩くことができ、ほとんど訓練を必要としない。案内方向を決定するシステムは今回紹介する技術と並行して開発中である。
従来技術・競合技術との比較
方向の案内および提示を、高い分解能で確実に行うことができる。白杖の手がかりのない広場でも使うことができる。また、常時途切れること無く方向の案内および提示を行うことで、使用者に不安を与えずに案内することができる。
新技術の特徴
・車輪のついた杖を押して歩くだけで、方向の誘導を受けることができる。
・高い分解能で、常時途切れること無く、方向の誘導を受けることができる。
想定される用途
・視覚障がい者の単独歩行補助システム
・観光地などでの道案内システム
関連情報
・条件により、車輪つき杖装置を貸し出すことが可能
・展示品あり(杖に誘導された歩行を体験可能なデモンストレーションを行う)
- デバイス・装置
10)任意の場所で使用できる小型軽量ロボット用遠隔操縦システム
大阪市立大学 大学院工学研究科 機械物理系専攻 教授 高田 洋吾
新技術の概要
点検や調査のためロボットを遠隔から操縦する必要があるとき、ロボットが捉えたカメラの映像を逐次操縦者に送らなければなりません。片手サイズの小型ロボットでも高速フレームレートと低遅延で画像を送信できます。
従来技術・競合技術との比較
既に大型のブルドーザーなどの建機では既に遠隔操縦で使用されており、画像は鮮明、速いフレームレート、低遅延を実現しています。しかし、片手サイズの小型ロボット用で、高速送信を可能とするシステムは見当たりません。
新技術の特徴
・整数和減算でデータを圧縮復元する方法なので、アーキテクチャ毎で結果が不変です。プログラムが作りやすい。
・既にFPGA用VHDLでコード化済み。小型のFPGAやASICに組み込むのが極めて簡単
・通信はWi-Fiで、途中にアクセスポイントを経由します。既存の遠隔画像通信と同じく、遠く離れていても大丈夫
想定される用途
・小型化が要求される箇所を点検するロボットとして用いることが出来ます。
・老朽ビルの壁に沿って走行するロボットは軽量である必要があります。つまり、この用途に本システムは適している。
・小さいので帽子にも付けられます。ご老人の散歩中に見ている映像を受信可能です。
関連情報
・条件により、遠隔操縦システムを貸し出すことが可能
・展示品あり(遠隔操縦システムを装着した小型ロボット)
- デバイス・装置
11)キラル磁性を用いた革新的情報処理磁気デバイスの創製
大阪府立大学 大学院工学研究科 電子物理工学分野 准教授 戸川 欣彦
新技術の概要
キラル磁性体に現れる“巨視的スピン位相秩序”を用い、磁気の根源である電子スピンの位相を制御し操るための基盤技術を開発している。多値化・巨大化・広帯域化・可変性などの固有量子機能を活用した革新的情報処理磁気デバイスの基盤原理を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
高周波デバイス、磁気メモリ・センサ、論理回路などにおいて、巨大応答、広帯域、多値化、可変性などの革新的情報処理基盤技術を実現する。従来技術では、これらに対応する情報処理電子デバイスを製造することは困難であった。
新技術の特徴
・情報処理磁気デバイスの広帯域化(MHz~THz)
・磁気メモリ・センサの多値化
・再構成可能な論理回路の構築
想定される用途
・電気-光変換回路などにおける広帯域対応の導波路・センサ・発振器への応用
・情報処理の負荷に応じて瞬時に処理能力を変更する再構成論理回路を用いたマッシブコンピューティングへの応用
・極限環境下に対応した冗長性を有した情報処理デバイスへの応用
関連情報
・サンプルの提供可能
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
大阪府立大学 地域連携研究機構 URAセンター
TEL:072-254-9128FAX:072-254-7475Mail:ipbciao.osakafu-u.ac.jp
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大阪市立大学 産学官連携推進本部・新産業創生研究センター
TEL:06-6605-3614FAX:06-6605-2058Mail:sangaku-ocuado.osaka-cu.ac.jp
URL:http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/research/collaboration_office
兵庫県立大学 産学連携・研究推進機構
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URL:http://www.u-hyogo.ac.jp/research/index.html
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