九州工業大学 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2015年12月18日(金) 10:00~16:15
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)外部からの加湿が不要な固体高分子形燃料電池
九州工業大学 大学院工学研究院 機械知能工学研究系 助教 谷川 洋文
新技術の概要
空気(酸素)極側のガス流路を高い調湿性を持つ珪藻土のような素材で製作し、固体高分子形燃料電池の発電時に生成した水を貯めずに排出または電解質膜の保湿に利用するものであり、空気の供給排出を一定時間毎に正逆切り替えることにより発電効率が安定して高く維持できる。
従来技術・競合技術との比較
電解質膜の保湿にガス流路の切り替えを利用するものが提案されているが、水分を含んだ排出空気を再度供給して利用するものである。
新技術の特徴
・ガス流路が調湿性の高い素材(珪藻土等)で出来ている。
・ガス流路が調湿性の高い素材であるため、必要な加湿と余剰生成水の除去の機能をガスの入口出口の切り替えのみで達成することができる。
・加湿が必要な場合も内部の反応で生成される水分を利用することで加湿器を省くことができる。
想定される用途
・定置用燃料電池
- エネルギー
2)リチウムイオン電池電極の評価法
九州工業大学 大学院工学研究院 先端機能システム工学研究系 准教授 孫 勇
新技術の概要
リチウムイオン電池の電極に対して、その機械的特性評価を通じて、電極アーキテクチャーと電池特性との相関を確認し寿命を求める。高性能電池の開発や中古電池の残寿命特性評価への応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
電池セルの作製が必要なく、長い充放電サイクルを経ずに電池の特性や寿命などに関するデータが得られる。
新技術の特徴
・リチウムイオン電池セルを作製しなくても電極の寿命が分かる。
・電池のサイズと関係なく電極寿命が評価できる。
・中古電池の残寿命が評価できる。
想定される用途
・次世代リチウムイオン電池電極の開発
・中古電池再利用における特性評価
- エネルギー
3)非白金触媒を用いた高性能低コスト燃料電池及びその製造方法
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生体機能応用工学専攻 教授 馬 廷麗
新技術の概要
燃料電池の電極用触媒は従来白金を使用している。しかし白金は高価であり、また希少な資源である為、燃料電池の実用化及び普及の障害となっている。今まで、いくつかの非白金触媒が開発されていたが、触媒活性は低いことと安定性が問題となった。
従来技術・競合技術との比較
酸素欠陥が豊富なサブタングステン酸化物及びグラフェン複合触媒の簡単な合成法を開発し、微細構造を制御した触媒を担持させた電極を作製した。得られた触媒を燃料電池へ応用し、高い触媒性能が有することを実証した。
新技術の特徴
・製造プロセス簡単で環境にやさしい。
・高性能
・低コスト
想定される用途
・燃料電池
・太陽電池
・車廃棄物浄化
- 計測
4)放電やスパークなど電気絶縁異常の非接触評価法
九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 准教授 大塚 信也
新技術の概要
本技術は、電力機器や電気設備などの電気絶縁異常を信頼性高く非接触で検出、評価する際に必要となる基盤技術です。検出電磁波は直達波か回折波であるかを識別したり、放電やスパークのエネルギーなどを発光計測で評価したりできます。
従来技術・競合技術との比較
検出電磁波による発生源の位置標定や状態評価が行われているが、その電磁波が回折波であるかどうかの判定や評価をする技術は皆無である。同様に、放電電荷量や放電エネルギーを非接触で光学的に評価する従来技術もない。
新技術の特徴
・内燃機関や燃料タンク、水素/炭化水素ガス雰囲気中での放電やスパーク現象の非接触で安全な検出、評価
・電波発生物体の位置評価
・風車ブレードへの落雷現象評価への適用
想定される用途
・電力機器や電気設備の絶縁異常や静電気放電現象の電磁波による評価
・電磁波放射源の評価
・放電やスパークなどの放電電荷量や放電エネルギーの評価
関連情報
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
5)円筒凸レンズを応用した高精度点滴量計測法
九州工業大学 大学院情報工学研究院 機械情報工学研究系 助教 カチョーンルンルアン パナート
新技術の概要
薬液点滴の流量制御のために、落下中の液滴に平行光を照射して、円筒凸レンズで縮小された液滴影画像をイメージセンサで取得して、液滴の形状から液滴流量或いは送液速度を高精度(1%程度)に算出する液滴量測定方法である。
従来技術・競合技術との比較
現在市販の汎用輸液システムでは、落下した滴液の滴下数をカウントし、液滴量を測定しているため、薬液の粘性係数、薬液ボトルの高さ等の違いにより、10%程度の流量誤差が発生する。それに対して、本手法では各液滴の体積を測定するため、誤差1%以内の液滴量計測法を提供する。
新技術の特徴
・落下中液滴量センサ
・落下液滴形状観測
・液滴粒子の観測
想定される用途
・高精度点滴量の汎用輸液システム
・バイオ医薬品開発のための液滴センサ
- 医療・福祉
6)読唇技術を利用した肢体不自由者向けテキスト入力システム
九州工業大学 大学院情報工学研究院 システム創成情報工学研究系 准教授 齊藤 剛史
新技術の概要
本技術では、利用者の口の形状を基に、文字の母音成分を検出し、一つのキーのみで操作可能にすることで利用者の負担を抑制して文字列を入力する文字列入力装置を提供する。
従来技術・競合技術との比較
競合技術は、子音の文字を入力する際、複数のキー操作や1文字ごとのキー操作、あるいは頭部の動きなどが必要であり負担が多い。本技術は一つのキーのみで操作可能であり、利用者の負担を抑制可能である。
新技術の特徴
・読唇技術を用いた口形に対応する母音認識
・母音成分からなる辞書の利用
・一つのキーのみによる操作
想定される用途
・音声認識用インタフェースの代用
・手指に障害を持つ人(肢体不自由者)のテキスト入力装置
関連情報
・展示品あり(デモムービー)
- 製造技術
7)グラフェン層積層ダイヤモンド基板の製造方法
九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 准教授 坪田 敏樹
新技術の概要
ダイヤモンド基板の上にグラフェン層を製造する方法を提案する。またダイヤモンドの微細加工にも応用できる。
従来技術・競合技術との比較
基板のダイヤモンドを炭素源として、直接グラフェン層に変換する。化学反応を利用したダイヤモンドへの微細加工にも応用できる。
新技術の特徴
・基板のダイヤモンド自体を炭素源としてグラフェン層の回路を直接ダイヤモンド基板の上に作製できる。
・化学反応を利用してダイヤモンドを微細加工することでマイクロ流路を作製できる。
・ダイヤモンド基板上に、グラフェン層回路とマイクロ流路を組み合わせた構造を作製できる。
想定される用途
・電子回路基板
・マイクロリアクタ基板
関連情報
・場合によってはサンプルの提供可能
- 情報
8)パーティクルフィルタによる複数対象同時推定とあいまい測度による異種情報の融合
九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 准教授 生駒 哲一
新技術の概要
センサ信号から対象の状態を最適推定するパーティクルフィルタにて、対象の検出処理を明示的に行わない「検出前追跡」での、複数対象を同時に推定する方法論と、抽出し得る複数異種の情報をあいまい測度の枠組みで融合する方法論とを紹介する。
従来技術・競合技術との比較
センサ信号の時系列処理を逐次ベイズ推定にて最適かつ実時間性も高くに実施でき、モデルが順向きな為設計も容易である。検出前追跡の利点を生かした複数対象同時推定が可能となり、複数異種情報の融合で生じる困難を緩和できる。
新技術の特徴
・動画像をはじめとするセンサ信号時系列からの最適かつ実時間の状態推定が可能で、モデル設計も順向きで容易である。
・信号からの対象の検出処理に伴う困難を回避できる「検出前追跡」の枠組みにて、複数対象を同時に推定できる。
・複数異種の情報が抽出し得る状況にて、可能性と必然性から成る「あいまい測度」で多様な情報を効果的に融合できる。
想定される用途
・車載カメラ動画像における複数歩行者の検出と追跡およびその実時間での実施・実装
・天井カメラ動画像における複数人物の追跡と行動把握およびその実時間での実施・実装
・自律移動ロボットや自動運転車における複数異種センサ信号からの動的環境及び動的状態の実時間での把握
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
9)複合酸化物厚膜を用いたインピーダンス検出型高性能一酸化炭素ガスセンサ
九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 教授 清水 陽一
新技術の概要
La-Cu-O系複合酸化物厚膜型素子が、400℃付近の中温域において、高いCO応答を示すことが分かった。インピーダンスの抵抗成分、容量成分の分離測定より、本センサはNO2に対しても選択的分離検知が可能なことを見出した。
従来技術・競合技術との比較
従来のCOセンサは、電気化学方式、半導体式、固体電解質を用いた混成電位型が市販、報告されているが、メンテナンスや加熱クリーニング、動作温度等の問題がある。一方、本センサは、水蒸気などの影響の少ない400℃付近において高いCO感度を得ている。また、NO2の分離検知も可能である。
新技術の特徴
・新規CO(及びNO2)検知用複合酸化物材料を見出した。
・400℃程度の中温域で、CO(NO2)ガスを検知可能
・素子のインピーダンス(抵抗・容量)変化を利用し、さらに選択性を付与した。
想定される用途
・特に、不完全燃焼防止用COセンサ
・NO2検知用センサ材料への展開
・排気ガス測定用ガスセンサ
- 機械
10)超伝導援用による浮上工具を利用した中空加工技術に関する研究
九州工業大学 大学院情報工学研究院 機械情報工学研究系 准教授 鈴木 恵友
新技術の概要
超伝導状態においてピンニング効果を利用し、切削工具を一定位置に空中に浮上させ回転させることで、工具の干渉なしに中空切削加工や内面研削などが実現可能な新規加工法について提案する。
従来技術・競合技術との比較
従来の切削および研削は、工具をスピンドル上に固定し、回転運動や振動を与えることで加工を行なう方法が一般的である。この時、工具との干渉が発生するため、加工形状の制約があることが問題視されている。
新技術の特徴
・複雑な形状をもつ中空加工技術
・内面研削・研磨技術
想定される用途
・自動車分野への応用
・医療分野への応用
・金型分野への応用
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連携・ライセンスについて
九州工業大学 イノベーション推進機構 産学連携・URA領域 知的財産部門
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