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九州大学 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>

日時:2015年10月16日(金) 10:25~15:20

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 材料

1)バンドギャップを有する新規グラフェンナノ構造体

九州大学 大学院工学研究院 エネルギー量子工学部門応用物理学 教授 田中 悟

新技術の概要

ナノカーボンであるフラーレン・カーボンナノチューブ・グラフェンに次ぐ新規ナノ構造としてサブ2次元構造を提案し、従来にない特異な(新規な)電子物性やキャリア輸送特性(半導体・室温バリスティック伝導性)を見出した。

従来技術・競合技術との比較

半導体利用される従来のグラフェン(例えばグラフェンナノリボン)がもつ課題であったエッジ構造から生じるキャリア移動の阻害を新規の構造により解決した。SiC基板上の自己形成により大量生産も可能である。

新技術の特徴

・バンドギャップを有する新規グラフェン構造体
・高いキャリア移動度の実現
・高感度(電子デバイスに用いた際の高い応答速度)

想定される用途

・超高移動度トランジスター(パラボナアンテナなど)
・超高感度センサー(放射能センサー、ガスセンサーなど)

関連情報

・外国出願特許あり
・サンプルの提供可能

  • 材料

2)ナフチルメトキシメチル:穏和な条件で導入・除去可能なヒドロキシ保護基

九州大学 大学院理学研究院 化学部門有機・生物化学 助教 鳥飼 浩平

新技術の概要

極めて穏和な塩基性条件(例えばNAPOMClをルチジンとともに室温で作用させる)で導入でき、さらに穏和な酸化的条件(例えばDDQやCANを室温で作用させる)で除去可能な新規ベンジルオキシメチル系保護基として、ナフチルメトキシメチル基を開発した。

従来技術・競合技術との比較

似た性質を持つ保護基導入剤としてp-メトキシベンジルオキシメチル(PMBOM)クロリドが知られているが、PMBOMClは不安定で保存できないのに対し本導入剤は1年以上保存可能。また似た性質を持つ保護基との外し分けが可能である。

新技術の特徴

・穏和な酸化的条件(例えばDDQ、室温;CAN、室温)および酸性条件(例えばCBr4、MeOH、加熱)下除去可能
・NAPOM保護体をDDQやCANで処理することでナフタレン環のα位にカルボカチオンを発生させることが可能
・加水素分解条件に付すとベンジル基やp-メトキシベンジル基よりも早く反応する。

想定される用途

・アルコール、チオール、カルボン酸、フェノールの保護
・医薬品、化成品の合成原料
・一電子アクセプター(一電子を受け取った瞬間にナフタレニルメチルラジカルを生成しながら分解すると予想される)

関連情報

・外国出願特許あり
・サンプル有償提供可能

  • 材料

3)最新ナノテクノロジーによる硫黄臭除去~日本酒の劣化臭(ひねか)を例に~

九州大学 大学院理学研究院 化学部門複合領域化学 教授 徳永 信

新技術の概要

日本酒を室温からやや高い温度で貯蔵すると老香(ひねか)と呼ばれる劣化臭が発生する。老香の原因物質はジメチルトリスルフィド(DMTS)という硫黄化合物であるが、今回、我々が開発した新規金属ナノ粒子を用い、老香の成分だけを選択的に取り除くことに成功した。

従来技術・競合技術との比較

通常、酒造会社では活性炭による吸着で老香を取り除いているが、香気成分全般が薄くなり商品価値が低下する。特に吟醸香の成分であるヘキサン酸エチルなどの低極性のエステル成分は吸着されやすい。

新技術の特徴

・担持金ナノ粒子により、数ppbオーダーのDMTSをほぼ完全に除去できる。
・金ナノ粒子の担体としてシリカなどの酸化物を用いると、低極性の有機化合物は吸着されない。
・数ナノメートル程度の大きさの金ナノ粒子を、シリカなどに担持した状態で、安価に製造する方法も開発した。

想定される用途

・劣化臭(硫黄化合物)除去
・醸造段階、流通段階、及び家庭(最終消費者)等、様々なシーンにおける老香除去
・ビール、ウイスキー、その他の飲料からのDMTSの除去

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり(担持金ナノ粒子の持ち込みは可能
 老香が発生している日本酒、およびそれを除去した日本酒も不可能ではないかも)

  • デバイス・装置

4)プラズマによる農産物および食品の低温・ドライ殺菌技術

九州大学 大学院総合理工学研究院 エネルギー理工学部門高密度エネルギー理工学 准教授 林 信哉

新技術の概要

食品を腐敗させたり品質を劣化させたりする細菌や真菌、バクテリアなどの微生物にプラズマを照射することで微生物を化学物質などの残留性なく殺滅できる。プラズマを用いて農作物や食品をドライ・低温(≧60℃)で殺菌する技術を紹介する。

従来技術・競合技術との比較

食品に用いられる高温殺菌は品質劣化が起こりやすく、農産物の殺菌においては、いわゆるポストハーベスト農薬が禁止されているため、収穫後に殺菌・消毒を行う有効な手段がない。本技術は、低温かつドライプロセスでの殺菌処理が可能であることから、従来手法の適用が難しかった対象への施用が可能となり、新しい殺菌技術として期待される。

新技術の特徴

・低温(≦60℃)・ドライ・低湿プロセスで処理可能
・病原体に対するプラズマの高い殺菌力
・化学物質などの残留性がなく、耐性菌を作らない殺菌が可能

想定される用途

・食品(農作物、畜産物、水産物、加工品など)の殺菌・消毒処理
・青果物、生鮮品などの輸送や貯蔵時の殺菌・消毒処理
・穀物や種子、紛体の殺菌・消毒処理

関連情報

・ご希望の処理対象(持込)に対するプラズマ殺菌試験が可能

  • アグリ・バイオ

5)加熱や化学薬剤によらない腸管出血性大腸菌O157の殺菌法

九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門食料化学工学 教授 宮本 敬久

新技術の概要

本技術は、腸管出血性大腸菌O157特異的なバクテリオファージを利用し、生食用食材(肉、臓器および野菜、果実)および調理器具、装置、環境などを低温下で殺菌する方法である。

従来技術・競合技術との比較

加熱や化学薬剤を用いた生食用食材の殺菌法があるが、加熱による殺菌法では食材のロスが大きく、また化学薬剤を用いた殺菌法では薬剤の残留が問題であった。本技術は低温下で安全かつ簡便に大腸菌O157を殺菌することが可能である。

新技術の特徴

・大腸菌O157を低温下で殺菌することが可能
・他剤・他方法との併用可能
・様々な使用形態・使用方法に適用可能

想定される用途

・生食用食材の大腸菌O157殺菌
・手指、調理器具、装置および施設の大腸菌O157殺菌
・家畜の大腸菌O157保菌抑制

  • 医療・福祉

6)体内に挿入可能な極小5指ロボットハンドと低コストデータグローブ

九州大学 先端医療イノベーションセンター 手術支援システム開発部門 助教 中楯 龍

新技術の概要

体内に挿入可能な断面径12mm程度のロボットハンドを実現した。各指3関節x5指の滑らかな動作が可能である。これを操作するためのグローブ式センサを既製品と異なる手法で実現し、低コスト化を達成した。

従来技術・競合技術との比較

従来のロボットハンド開発は人の手と同サイズが多く、同じ自由度を直径12mmに収めたものは無かった。グローブ式センサは検出軸数の多いものは数百万円で市販されていたが、本技術によりこれを数万円で実現した。

新技術の特徴

・1/10スケールで人の手と同様の動きを実現したロボットである。
・微細な作業を行わせることが可能
・操作用のデータグローブは低コストを生かし、生体計測の研究用途にも使用可能

想定される用途

・研究用手指モーションキャプチャ
・低侵襲手術用ロボット

  • デバイス・装置

7)フェムト秒レーザーを用いた半導体表面欠陥の非接触光検出技術

九州大学 大学院工学研究院 機械工学部門加工プロセス 准教授 林 照剛

新技術の概要

フェムト秒パルスの回折光をレンズで結像させた時、光の結像位置と光波の周波数が一対一に対応することを利用し、半導体基板表面で反射される光波の周波数位相変化を測定し、半導体表面の表面構造変化(欠陥,ナノ加工形状)を非接触光計測する技術。

従来技術・競合技術との比較

半導体表面のナノスクラッチの検出は、AFMや白色干渉計、SEMなどを用いて検出が可能だが、検出に長い時間を有する。本技術は、ナノ表面欠陥やナノ周期構造など測定できる構造の制約はあるが、特定の特徴のある形状を高速、高精度に計測する。

新技術の特徴

・平坦なプロファイルを持つ光学基準面に存在するナノメートルオーダーの特異領域(ナノスクラッチ,ナノ周期構造)を発見できる。
・フェムト秒レーザーの周波数-時間-強度プロファイルの測定から、周波数-時間-位相分布を測定する。
・光パルスの時間、周波数、分布の広がりを観察するだけでもナノ表面欠陥の有無が検出できる。

想定される用途

・半導体基板やガラス基板などの平滑面の表面検査
・平滑な基板表面に形成されるナノ周期構造の形状評価

  • デバイス・装置

8)50µm級磁性異物,医用磁気マーカ検出のための新技術

九州大学 大学院総合理工学研究院 融合創造理工学部門電気理工学 教授 笹田 一郎

新技術の概要

1pTが計れる室温動作磁界センサをベースに、センサヘッド近傍の磁場の乱れしか見えないよう勾配型センサに発展させた。磁気シールド無しで磁化された50µm鉄片の検出や、1 µg程度に希釈された磁気ナノビーズマーカを検出できる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術に高温超電導SQUIDを用いるものがあるが、強力な磁気シールドと窒素冷却が必要となる。また、室温動作センサに磁気抵抗素子やGMR素子があるが、本技術の方が100倍高分解能である。

新技術の特徴

・地下埋設物(金属)検出
・資源探査
・セキュリティセンサ

想定される用途

・電極活物質中の微小金属異物検出
・食品中金属異物検出
・医用磁気マーカ検出(磁気アッセイ,センチネルリンパ節)

関連情報

・外国出願特許あり
・貸し出しは可能
・展示品あり(微小金属異物検出デモ)

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

九州大学学術研究・産学官連携本部 総括企画調整グループ

TEL:092-832-2127FAX:092-832-2147
Mail:coordinateアットマークairimaq.kyushu-u.ac.jp
URL:http://imaq.kyushu-u.ac.jp/
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