防災科学技術研究所 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2016年01月28日(木) 12:45~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 機械
1)蓄電池を用いた補助モータ付パワーアシストレスキューシステム
防災科学技術研究所 減災実験研究領域 兵庫耐震工学研究センター 領域長兼センター長 梶原 浩一
新技術の概要
災害時、倒壊した家屋から迅速に人命救助するには様々なアプローチが必要です。本システムは、僅かな力で重量物を吊り上げる新しい救助ツールである。人間の繊細な感覚を生かし、より安全に瓦礫等の除去を行う。
従来技術・競合技術との比較
揚重用の救助ツールはバールやジャッキなど簡便なものが中心である。本システムは吊上げ方式と簡易架台の組み合わせにより、新しい救助のバリエーションを提供する。
新技術の特徴
・蓄電池を用いたアシスト式
・補助モータの回転速度を制御装置により制御可能
・素早く、わずかな力で荷物の吊り上げが可能
想定される用途
・緊急時・災害時の救助支援治具(人命救助、瓦礫撤去、物資運搬等)
・工場や建設現場など一般産業用、トラック等に搭載して物流の省力化機器
・医療、介護現場などの省力化機器
関連情報
・展示品あり(実機により模擬瓦礫揚重のデモを実施)
- デバイス・装置
2)積雪層の物理特性を複合的に計測できるデジタルスノーゾンデ
防災科学技術研究所 観測・予測研究領域 雪氷防災研究センター 主任研究員 山口 悟
新技術の概要
デジタルスノーゾンデ(DSS)は雪面上からプローブを積雪に差し込むだけで、光学的、力学的および電気的性質の垂直分布が得られ、複合的に積雪層構造を取得可能な装置である。特に表層雪崩の発生予測における弱層検知に威力を発揮する。これを小型軽量化し、さらに通信機能を持たせることにより、誰でも何処でも弱層を含む積雪層構造のデータを取得可能とするとともに、取得データを速やかに共有できるようにする。
従来技術・競合技術との比較
米国やスイスでは力学的、電気的性質のそれぞれ単独に積雪層構造に関するデータを取得するゾンデはあるが、複合センサーをもつものはこのゾンデのみである。
新技術の特徴
・センサー技術による小型軽量化
・無線通信によるデータ共有化
・積雪層の性質(光学的、力学的、電気的性質)を一度に把握可能
想定される用途
・表層雪崩の要因となる弱層の検知
・屋根雪荷重の判定
- デバイス・装置
3)上空から要救護者等の位置情報の計測と伝達を行うシステム
防災科学技術研究所 社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニット 研究員 内山 庄一郎
新技術の概要
レーザ計測・高精度姿勢検出・GNSS観測により上空から地表にいる要救助者の位置(緯度・経度・高度・住所)を計測し、要救助者のリストを生成し、地上救助部隊と共有し、迅速な救助活動に資するための技術。
従来技術・競合技術との比較
災害後などの上空からの捜索は、捜索隊員の目視と経験によって行われている。発見後、直ちに降下して救助できる場合もあるが、被災域が広域の場合、捜索者と救助者が同じであるため捜索効率が低下し、救える人命を危機にさらす可能性が排除できない。
新技術の特徴
・上空から要救助者の位置(緯度・経度・高度・住所)を計測できる。
・位置情報を計測した要救助者のリストを生成し、地上救助隊と共有できる。
・可視光では見分けが難しい場合でも人間の存在を発見できる。
想定される用途
・捜索救助従事者による捜索救助活動
- 計測
4)圧力センサと地震データの時刻同期を可能にする信号処理技術
防災科学技術研究所 観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット 強震観測管理室長 功刀 卓
新技術の概要
近年、津波と地震を同時に観測するアプリケーションが増えており、地震・津波データの時刻同期の必要性が高まっている。津波計測で多く使われる周波数出力方式のデータと地震計データを高精度に時刻同期する信号処理技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
津波計等の高精度な圧力計測には周波数方式圧力センサが多く使われる。周波数方式センサは、等間隔に出力を得られないために、地震データなどの高精度に時刻同期することが難しい。新技術では圧力センサと地震計をmsの精度で時刻同期することが可能である。
新技術の特徴
・周波数方式センサとAD変換出力の時刻同期が可能。
想定される用途
・高精度津波計への応用
・高精度気圧計への応用
・高精度温度計への応用
- 計測
5)地震警報の信頼性・迅速性の向上に役立つデータ処理方法
防災科学技術研究所 観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット 強震観測管理室長 功刀 卓
新技術の概要
プラント停止等に用いる地震警報装置には、信頼性と迅速性の両方が求められる。複数のセンサの組み合わせによる信頼性の確保、計算精度を維持しながら小規模システムでの震度・長周期地震動の警報処理を可能にする技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
地震警報の信頼度を高めるため、従来は3つの地震計の多数決処理を行う必要があったが、新技術では一つの地震計内での処理が可能になりシステムのコンパクト化に役立つ。少ない計算リソースで震度・長周期地震動のリアルタイム演算が可能になり迅速な警報処理が可能になる。
新技術の特徴
・地震センサの計測誤りの補正が可能。
・震度をいち早く概算することが可能。
・長周期地震動を少ない計算リソースで計算することが可能。
想定される用途
・プラント緊急停止用地震検知装置等への応用
・震度・長周期地震動の早期検知装置への応用
・建築物のヘルスモニタリング等への応用
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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