岡山大学 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2016年01月15日(金) 10:20~16:00
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 製造技術
1)透明体材料への高アスペクト比加工を容易にするレーザプロセス
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 准教授 岡本 康寛
新技術の概要
ピーク出力が大きく、広いスペクトル幅を有するレーザ光を用いることにより、各スペクトル成分の集光箇所を光軸上にならぶように形成でき、透明体材料の高速・高アスペクト比微細内部加工を可能とする手法。
従来技術・競合技術との比較
レーザプロセスにおいて集光性を阻害する誘導ラマン散乱によるスペクトル幅の増大は避けるべき課題であるが、その広いスペクトル幅を逆に活用してレーザ光軸方向に長くプロセス作用点を形成することを可能とする。
新技術の特徴
・広いスペクトル幅による光軸方向の多点同時加工
・多層構造材料への一括加工
・レイリー長の延伸によるプロセス自由度の向上
想定される用途
・透明体材料の切断、割断、高アスペクト比穴加工
・プラズマチャンネルの延伸
・レーザ切削加工
関連情報
・外国出願特許あり
- エネルギー
2)強誘電性アシストによる超高速充放電二次電池の開発
岡山大学 大学院自然科学研究科 応用化学専攻 助教 寺西 貴志
新技術の概要
強誘電体酸化物を簡便な液相法により人工界面層として導入したナノ強誘電体―活物質複合材料を開発した。強誘電体の分極アシスト効果によりキャリアイオンの円滑な挿入脱離反応を促進し、最大100Cレートでの超高速充放電を可能とする二次電池の実現を目指す。
従来技術・競合技術との比較
従来のアルミナ(Al2O3)など非強誘電体からなる人工界面層に比べ、高速充放電特性が効果的に改善できている。強誘電体BaTiO3を対活物質比1mol%被覆した複合正極において、充放電レート20Cで未処理活物質の約12.5倍、Al2O3の約3倍の放電容量を達成している。
新技術の特徴
・担持される強誘電体は粒径約50nmあるいはそれ以下のナノ粒子である。
・強誘電体人工界面層はLiイオン電池をはじめ他種多価イオン二次電池用活物質へ適用可能である。
・ソフトケミカルなゾルゲル法で作製可能であり実用化に向けたコスト面で魅力的である。
想定される用途
・高速充放電が必要とされるハイブリッド自動車/電気自動車用の主電源
・業務用電動フォークリフト、無人搬送車の主電源
・携帯電話、モバイルPC用の高速充電型バッテリー
関連情報
・サンプルの提供可能
- 計測
3)腫瘍検出のためのレーザーを用いた高空間分解能磁気ナノイメージング
岡山大学 大学院自然科学研究科 生命医用工学専攻 准教授 紀和 利彦
新技術の概要
磁気ナノ粒子を体内に造影剤として、ガンなどの体内の病原の位置を特定するバイオイメージング手法において、位置特定能力を飛躍的に向上させる技術に関するものである。
従来技術・競合技術との比較
従来主要検出するバイオイメージング手法として、造影剤を使用したPETがあるが、放射性造影剤を使用する必要があると言う課題があった。また、造影剤を使用したMRIの空間分解能は高々数ミリメートル程度であり、空間分解能向上には強力な磁気勾配が必要である。従来の磁気ナノイメージング技術は、磁気勾配の走査と粒子の磁気非線形応答を利用しているがその空間分解能は数ミリ程度で有り、ナノ粒子の磁気特性を改善しなければならないという課題があった。これに対して、本技術は、磁気ナノ粒子の特性に依存せず1ミリメートル以上の高い空間分解能を実現できるバイオイメージング手法を提供できる。
新技術の特徴
・従来技術に対して高い位置特定能力・空間分解能
・放射性造影剤を使用しない安全なバイオイメージング
・磁気特性に依存せずに高い空間分解能が実現できるため、安全性が確保された市販のMRI造影剤が使用可能
想定される用途
・病理診断・検査
・小動物を用いた生命医用研究
・磁性材料の特性分布評価
- 医療・福祉
4)IVR用針穿刺医療ロボットの開発
岡山大学病院 医学部 放射線科 講師 平木 隆夫
新技術の概要
開発中の新技術は、CT画像を見ながら行うIVR(画像下治療)の際の術者被ばくをなくすために、術者がCT装置から離れて遠隔操作できるCTガイド下IVR用針穿刺ロボットである。
従来技術・競合技術との比較
従来は術者(医師)がみずからの手で針を把持し、CT画像を見ながら針を病変部に穿刺していた。開発中のロボットでは、ロボットが針を把持し、術者はCT装置から離れた場所でロボットを遠隔操作し、針の穿刺角度を調整し、病変部に穿刺が可能である。
新技術の特徴
・ロボット
・針穿刺
・遠隔操作
想定される用途
・がん治療(アブレーション)
・がん検査(生検)
・がん手術の補助
関連情報
・資料提供可能
- アグリ・バイオ
5)微生物由来酸化鉄ナノ粒子を利用した植物病害防除技術の開発
岡山大学 大学院環境生命科学研究科 農生命科学専攻 教授 豊田 和弘
新技術の概要
鉄酸化細菌が生成する酸化鉄ナノ粒子を軸とする新しい植物保護技術
従来技術・競合技術との比較
Leptothrix sp. がつくるチューブ状酸化鉄を粉砕して調製したコロイド溶液には、植物を病気にするカビの侵入力を阻害する作用がある。野菜類の重要病害(灰色カビ病、炭疽病など)の原因となる病原菌に対して効果があることから、低コストでクリーンな微生物由来の植物保護資材として期待される。
新技術の特徴
・新規植物保護資材
・植物生長制御資材
・防カビ
想定される用途
・植物保護資材
・植物生長制御資材
・種子消毒
関連情報
・外国出願特許あり
・サンプルの提供可能
・展示品あり(鉄酸化細菌 Leptothrix sp. が生成する酸化鉄サンプル)
- 医療・福祉
6)網膜神経細胞のアポトーシスを抑制する光電変換色素分子
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 眼科学分野 准教授 松尾 俊彦
新技術の概要
網膜神経細胞のアポトーシスは、網膜色素変性や緑内障で見られる。このアポトーシスを抑制できる薬物があれば疾病の進行を防ぐことができる。生物学的安全性評価で毒性のない光電変換色素分子にアポトーシス抑制作用があることを見出した。
従来技術・競合技術との比較
低濃度から高濃度の分子を硝子体内に注射しても毒性はなく、網膜神経細胞のアポトーシスを抑制する。安全性が高いので、神経変性疾患に対する進行予防薬として長期に内服、点眼、注射を行うことができる。
新技術の特徴
・色素結合薄膜型人工網膜(岡山大学方式)OURePの部材として使用している光電変換色素分子である。
・光を遮断した条件下でも網膜神経細胞のアポトーシス抑制効果を持つ。
・網膜のみならず脳の神経変性疾患、アルツハイマー病やパーキンソン病の進行抑制にも用途が広がる可能性がある。
想定される用途
・内服薬
・サプリメント
・点眼薬、硝子体内注射薬
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(参考として色素結合薄膜型人工網膜、色素分子)
- アグリ・バイオ
7)カラム不要でシンプルな、活性のある蛋白質の究極の精製法
岡山大学 大学院自然科学研究科 生命医用工学専攻 准教授 飛松 孝正
新技術の概要
我々が見出したペプチドタグとの融合蛋白質として、可溶性蛋白質を大量発現させれば、温和な条件下で遠心分離と沈殿の懸濁という単純な操作を行うだけで、活性な蛋白質を高純度・高収率で得ることができます。
従来技術・競合技術との比較
現在、親和性カラムを用いれば、可溶性蛋白質を比較的容易に精製できるが、それでも労力や時間と高価なカラムとが必要です。本技術を用いるとそのようなカラムの工程を用いることなく、酵素や有用蛋白質を簡便・迅速に精製できます。
新技術の特徴
・化成品の合成などに用いることができる酵素を、廉価かつ短期間に調製できる。
・沈殿として生合成されるので、蛋白質分解酵素などによる分解が低減される(安定性の向上)。
・細胞質濃度が低く保たれるので、細胞への負荷が小さく、大量発現させた場合の収量の増加を期待できる。
想定される用途
・酵素や有用蛋白質の簡便な精製
・研究・検査用酵素試薬の精製
・工業用酵素の精製
- 創薬
8)トランスポーターをターゲットとしたスクリーニング系の構築
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 創薬生命科学専攻 准教授 表 弘志
新技術の概要
精製トランスポーターとリポソームを用いた輸送活性測定系の構築、MATE型薬物トランスポーターの活性検定系、小胞型神経伝達物質トランスポーターをターゲットとした新薬スクリーニング系を提供する。
従来技術・競合技術との比較
細胞を用いた系では夾雑する他のトランスポーターの影響を受ける。MATE型薬物トランスポーターは新薬開発において検定しておくべき輸送体のリストに入っている(FDA)。これまでの受容体をターゲットとした薬では治療が困難なものに対して効果のある神経疾患治療薬を開発できる。
新技術の特徴
・膜タンパク質の大量発現・精製・再構成・アッセイ技術の提供
・グルタミン酸、アスパラギン酸やヌクレオチドを用いる化学伝達が関わる疾患の治療薬の開発
想定される用途
・新薬開発における薬物スクリーニング(FDA指針により、MATE型トランスポーターの活性は検定しておくべきリストに含まれている)および、アッセイキット
・糖尿病、難治性てんかん、アルコール依存症などの治療薬の開発
・その他トランスポーターの活性検定
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
9)マッシュルーム石づき由来レクチンを応用した新規機能性食品の開発
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻 教授 高柴 正悟
新技術の概要
歯面上にある唾液タンパクの糖鎖を糖タンパクのレクチンでブロックして、う蝕原細菌を歯面に寄せ付けずバイオフィルム初期付着を抑制する方法。原料は、マッシュルームの廃棄部である石づきから抽出。キノコ風味で食品に良い。
従来技術・競合技術との比較
従来のう蝕原細菌の抑制策は,殺菌剤の使用と細菌が代謝できない代用糖の使用。殺菌剤は味、効果の持続性、耐性菌の問題あり。代用糖は消化に問題あり。新技術は付着を抑制するという新観点。さらに農業廃棄物を原料とする。
新技術の特徴
・農林産物であるマッシュルームの規格外品と廃棄部である石づき部分を利用
・むし歯菌が歯面にバイオフィルムを形成するための初期付着を抑制
・機能性食品として高齢者や幼児の間食用食品に応用
想定される用途
・機能性食品として高齢者や幼児の間食用食品に応用してむし歯菌のバイオフィルム形成抑制
・食品加工機器の表面加工によって細菌バイオフィルムの形成抑制
関連情報
・試作可能
・展示品あり(原材料と機能性食品としての応用品)
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