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大阪大学 新技術説明会~阪大と協働イノベーションを! <新技術概要【当日資料PDFあり】>

日時:2015年07月14日(火) 09:45~16:15

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 創薬

1)遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法によるエピジェネティック創薬

大阪大学 微生物病研究所 感染症学免疫学融合プログラム推進室 准教授 藤井 穂高

新技術の概要

分子間相互作用を保持したままゲノムDNA上の任意の領域を単離して、その領域に結合している蛋白質・RNA・他のゲノム領域を同定できる技術である遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法(遺伝子座特異的ChIP法)を用いて、難治疾患の病態発現に関与しているエピジェネティック創薬標的を同定し、難治疾患の治療薬の開発を目指す。

従来技術・競合技術との比較

従来技術として、クロマチン免疫沈降(ChIP)法、Chromosome Conformation Capture (3C)法、Proteomics of Isolated Chromatin (PICh)法などがある。ChIP法は任意の特定ゲノム領域の単離はできない。3C法は、特定ゲノム領域に結合する蛋白質やRNAの同定はできない。PICh法は、現状では多コピー遺伝子座の単離しか成功例がないほか、特定ゲノム領域結合RNAやゲノム領域の同定に使用することは難しいと考えられている。低コピー数特定ゲノム領域結合蛋白質・RNA・ゲノム領域の同定に使用できるのは、今のところ遺伝子座特異的ChIP法のみである。

新技術の特徴

・分子間相互作用を保持したまま任意の特定ゲノム領域を単離することができる。
・予備的な知見無しに特定のゲノム領域に結合する分子(蛋白質・RNA・他のゲノム領域等)を同定することができる。

想定される用途

・難治疾患(癌、線維化、中枢神経疾患(認知症、自閉症など)など)の原因遺伝子プロモーター結合分子などを標的としたエピジェネティック創薬
・新規抗生物質の標的分子の同定
・新規ヒストン修飾等のエピジェネティックマーカーの同定

関連情報

・外国出願特許あり

  • 創薬

2)mRNAの5’および3’末端を標的とした翻訳抑制技術の開発

大阪大学 大学院工学研究科 生命先端工学専攻 特任教授 和田 忠士

新技術の概要

標的mRNAに対して2つ以上のアンチセンス核酸を同時に作用させ、mRNAの分解を伴わない遺伝子発現抑制効果を達成する。異なるアンチセンス核酸を用いることにより、低濃度で遺伝子発現抑制効果が発揮された。

従来技術・競合技術との比較

従来のアンチセンスでは網羅的試験で有効な配列を探す必要があるが、5’端と3’端に対する二つ、またはそれらを連結したアンチセンスを用いることであらゆる遺伝子を効率的に抑制できる本発明は、疾患に関連するあらゆるmRNAに適応できることから、従来の低分子医薬品・タンパク質製剤では治療不可能であった疾病の原因遺伝子のmRNAも標的として含まれ、成長性が見込まれる。

新技術の特徴

・アンチセンス核酸の分子設計の簡略化。
・mRNAの分解を伴わない新規メカニズムによる翻訳抑制。
・標的分子mRNAの端と端を捕まえるいう、単純ではあるが、これまで誰も試さなかった方法。

想定される用途

・核酸医薬品の開発研究
・分子設計のヒント
・基礎科学研究成果の発展のさせ方

  • 計測

3)蛍光プローブ、一重項酸素検出剤、又は 一重項酸素検出方法

大阪大学 産業科学研究所 励起分子化学研究分野 教授 真嶋 哲朗

新技術の概要

光線力学的療法において細胞内小器官のターゲットであるミトコンドリアに浸透し、その内膜で共存している光増感剤から発生する細胞内一重項酸素を場所選択的に検出可能な赤色蛍光プローブの開発に成功した。

従来技術・競合技術との比較

従来の一重項酸素の燐光測定では、低強度のため特殊な検出器が必要であり空間分解能も一細胞レベルにとどまること、また、一重項酸素との反応によって発光する蛍光プローブは、細胞内への透過性が悪く、また自己酸化して分解するなどの問題がある。

新技術の特徴

・光線力学的療法の主要な細胞内小器官のターゲットであるミトコンドリアに浸透し、ミトコンドリアの内膜で共存している光増感剤から発生する一重項酸素を場所選択的に検出可能な赤色蛍光プローブを開発した。
・細胞内一重項酸素を検出することができる初めての蛍光プローブである。
・細胞内でPDT療法の光増感剤との高い場所選択性を持っている蛍光プローブである。

想定される用途

・一重項酸素の高感度検出
・細胞内一重項酸素の高感度検出
・光線力学的療法の視覚化と、手術の高度化

関連情報

・外国出願特許あり
・サンプルの提供可能

  • 製造技術

4)耐熱性酵素を用いたニコチンアミド補酵素の安定化技術の開発

大阪大学 大学院工学研究科 生命先端工学専攻 准教授 本田 孝祐

新技術の概要

酸化還元補酵素であるNAD+は、水溶液中での安定性に乏しく、診断・分析、化学品合成などの分野で各種の酵素反応を利用する際の足かせとなってきた。本技術は、NAD+の生合成に関わる耐熱性酵素群を用いて、NAD+をその熱分解産物より再合成させることにより、水溶液中での見かけ上の安定化を可能とするものである。

従来技術・競合技術との比較

競合技術のひとつとして、安定性に優れたNAD+のアナログ化合物を合成し、それらを補酵素代替物質として使用する方法が検討されている。しかし、これまでに開発されたアナログ物質の天然型酵素による利用効率は十分ではない。一方、本技術は天然型補酵素の安定化技術を提供するものであり、酵素の持つ触媒能力を十分に発揮させることが可能である。

新技術の特徴

・環境・食品試料中の微量物質のモニタリング
・研究用試薬製造(各種分析のための位置特異的ラベル化合成などを含む)

想定される用途

・酵素を用いた診断・分析試薬開発
・酵素法による有用化学品合成
・各種代謝産物のオンデマンド生産

  • 製造技術

5)摩擦攪拌プロセスを用いた鋼溶接部疲労寿命増加

大阪大学 接合科学研究所 教授 伊藤 和博

新技術の概要

摩擦攪拌プロセス(FSP)により鋼溶接部表層組織を微細化・強化し、溶接部疲労寿命を増加させる。高張力鋼の母材強度増加に伴い、特定の疲労寿命での負荷応力を増加できる。また、表層部のみの加工のためFSPツールの損耗が少ない。

従来技術・競合技術との比較

種々のピーニングにより鋼溶接部の疲労寿命改善がなされている。疲労寿命増加への極表層(0.2mm程度)加工硬化(強度増加)の影響は小さく、その下部(1mm程度)への圧縮残留応力付加の影響が大きいが、本技術と比較してその要因は限定的である。

新技術の特徴

・摩擦攪拌プロセスにより高強度化した鋼組織の付加と引張残留応力の低減(圧縮残留応力の付加)。
・鋼溶接部表層(1 mm厚程度)のみの組織改質でよく、WCツールの磨耗がほとんど無い(490 MPa級鋼板)。
・鋼母材強度の増加に伴い、特定の疲労寿命での負荷応力を増加可能。

想定される用途

・箱型構造物の溶接部補強
・隅肉溶接部の補強
・突合せ継手の溶接部補強

関連情報

・サンプルの提供可能(対象物への摩擦攪拌プロセス可能)
・展示品あり(鋼溶接部へ摩擦攪拌プロセスを施した鋼板と疲労試験用試験片)

  • 計測

6)非線形誤差を低減した電圧計測(絶縁アンプ・振幅圧縮)

大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻 助教 桂 誠

新技術の概要

高精度な電圧ソースを使用する事なく、電圧計測における非線形性誤差を低減する全く新しい方法を提供する。これにより、スパイクノイズが無く高精度なフォトカプラ式絶縁アンプや、簡単な回路構成による高精度な振幅圧縮回路(もしくはコンパンディングシステム)が実現する。

従来技術・競合技術との比較

非線形性誤差を校正するのに必要な高精度な電圧源や電圧計は数10万円程度と高価格である。これは主にドリフトの少ない電圧リファレンスを要する事に起因していると思われる。本技術では安価な電圧源と簡単な抵抗分圧器をベースに10ppmまでの非線形誤差低減を実現する。

新技術の特徴

・高精度な電圧ソースを用いた多点校正とは異なり、計測と同時に非線形性誤差を低減する事が可能。
・特定の計測手法や対象に限定されない(光強度の高精度な計測にも適用可能)。
・高精度な振幅圧縮により、低分解能、低消費電力のAD変換器でも広いダイナミックレンジの計測が可能になる。

想定される用途

・白金測温抵抗体による高精度な温度計測にも耐えられるような線形性の高い絶縁アンプ
・広いダイナミックレンジによりレンジ切り替え不要な電圧ロガーやその応用としてのノイズレスハイレゾオーディオ
・振幅圧縮によるアナログ信号の低電圧伝送。(省エネルギーとデジタル回路へのEMI防止に役立つ)

関連情報

・外国出願特許あり

  • 情報

7)IoTセンサノードに適したエネルギー消費の少ないデータ圧縮手法

大阪大学 大学院情報科学研究科 情報システム工学専攻 准教授 武内 良典

新技術の概要

本技術では、特定応用分野向き命令セットプロセッサ(ASIP)を用いることにより、少ないエネルギーでデータを圧縮する手段を提供する。IoT(Internet of Things)センサノードを用いて情報をセンシングする場合には、データセンターに送信されるデータ量を削減できるので、データの送受信に必要なエネルギーを削減できる。また、無線通信を行う場合には、同一のバンド幅でより多くの情報を転送できる。

従来技術・競合技術との比較

指数ゴロム符号に基づく圧縮率の高いデータ圧縮アルゴリズムを、符号化・復号に適した命令セットを持つプロセッサで実行することにより、ソフトウェアによる実装方法よりも高速に、かつ、より少ないエネルギー消費でデータの圧縮・伸長が行える。

新技術の特徴

・データの性質に応じた適応的な圧縮アルゴリズムの採用。
・ASIPの利用による高速データ圧縮。
・低エネルギー消費。

想定される用途

・低消費電力IoTノードでのデータ圧縮エンジン
・体内インプラント可能な医療機器でのデータ通信の低レート化エンジン(低発熱化)
・ウェアラブル端末でのデータ通信の低レート化エンジン(周波数帯の有効利用)

関連情報

・サンプルの提供可能(ASIP(専用プロセッサ)のハードウェア記述言語による設計記述例を評価用に提供可能)
・展示品あり
(実際の生体情報および生体への刺激情報の圧縮と伸張を例とした、ASIP(専用プロセッサ)の設計事例を示す。また、シミュレーションを通じて設計結果の面積、動作周波数、実行サイクル数、消費エネルギー(電力量)の評価結果を図表を用いて示す。)

  • デバイス・装置

8)高出力・高応答の小型ハイブリッドアクチュエータ技術

大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 助教 仲田 佳弘

新技術の概要

空気圧による力と電磁気力の両方を動力源とする小型直動アクチュエータ技術である。空気の圧力と電磁相互作用を出力軸へ伝達する要素と空間を一体化する独自の構造を有し、空気圧による高出力、電磁気力による高応答、高位置決め精度が可能で、外力に対して柔軟に応答する力制御を実現する。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では、複数のアクチュエータ要素をリンクやギアを用いて単純に組み合わせており、用いた機構によって応答性や堅牢性が損なわれていた。本技術では,空圧と電磁それぞれのアクチュエータの共通要素を一体化することで、同体積の高効率の電磁アクチュエータに比べて約10倍の出力を確保できる。

新技術の特徴

・空気圧による力と電磁気力の両方を動力源とすることで、高出力と高応答性が両立できる。
・独自の一体化構造により、小型軽量化に加え、特別な部品の追加無しに既存の空気圧シリンダの置き換えが可能。
・外力に対して柔軟に応答できることから、接触を伴う動作のように、機械の柔軟性が要求される分野に応用できる。

想定される用途

・人と接触することが想定される産業用ロボット・生活支援ロボットの安全な駆動源
・災害救助ロボット、リハビリテーション分野で人をサポートする際に柔軟性を調整できるパワーアシスト装置
・柔軟性と高位置決め精度が要求される手術ロボットや液晶パネルの搬送装置

関連情報

・外国出願特許あり
・展示品あり(空電ハイブリッド直動アクチュエータ試作機)

  • デバイス・装置

9)液晶デバイスによる可動部を用いない焦点制御・手振れ補正技術

大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 特任研究員 澁谷 義一

新技術の概要

液晶レンズの波面制御技術を光偏向素子へ応用して、平板ガラスのみで鋸歯波形状の屈折率分布を持つ、フレネル型ウェッジプリズムの開発に成功し、小型カメラの手振れ補正が可能なレベルにまで入射光のチルト角を向上しました。

従来技術・競合技術との比較

液晶の特性を応用した本技術は、小型カメラに必要な焦点制御や手振れ補正機能を、レンズを移動させることなく可能にするものです。可動部分を有するアクチュエータに比較して、低消費電力や高信頼性等、多くの利点があります。

新技術の特徴

・電圧を印加するだけで、レンズの極性や焦点距離を変化させることができます。
・電圧を印加するだけで、入射光を自在の角度に傾けることができます。
・入射光の波面を高速で変化させることができ、電力を殆ど必要としません。

想定される用途

・スマホ用カメラの手振れ補正
・内視鏡用小型ズームレンズ
・各種小型カメラの焦点制御、ズーム機能

関連情報

・外国出願特許あり
・サンプルの提供可能(試作可能)
・展示品あり

  • 材料

10)紫外領域(380nm)で高感度なZnO結晶を活用した高速シンチレータ

大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授 猿倉 信彦

新技術の概要

ZnO 結晶は、紫外領域での高感度、380nmでの高速応答性など、優れたシンチレータ向け材料である。ZnO結晶への1)不純物元素ドーピング、2)放射線照射により光学特性を変化させ、高度な実用化(EUV等)のために必要とされるサブピコ秒程度の時間分解能の向上を実現した。

従来技術・競合技術との比較

既存のものより大型の高品質結晶が作成可能である。また、不純物ドープZnOによる超高速応答シンチレータは従来のものを大きく超える時間分解能を実現している。さらに、かつてない手法として放射線照射による高速化も行っており、結晶成長後でも時間応答特性をコントロール可能な点が革新的である。

新技術の特徴

・InドープZnOによる超高速応答シンチレータ(発光寿命3.1ピコ秒)の実現。
・放射線照射による高速化は、結晶成長後でも可能な点がかつてない手法。
・大型の高品質結晶が成長可能 。

想定される用途

・EUV光源診断シンチレータ
・X線自由電子レーザー同期用シンチレータ
・LED・エンジン用圧力センサ・PET用シンチレータ

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり(酸化亜鉛結晶インゴット、製作工程動画)

  • 製造技術

11)ワンランク上のハロゲンフリーエポキシ化合物の製造方法及び製造装置の開発

大阪大学 産業科学研究所 医薬品化学研究分野 助教 山口 俊郎

新技術の概要

高性能電子部品製造に求められるワンランク上のハロゲンフリーエポキシ化合物の製造方法及び製造装置を開発した。ノンハライト®(触媒/アパタイト粉体)、原料、過酸化水素水を、専用の反応器中に加えて放置するだけで、簡便に繰り返し製造できる。

従来技術・競合技術との比較

既存のハロゲンフリ―エポキシ化合物製造技術は、界面活性剤を用いる液-液二相反応系で、基質の適用範囲が狭く、また高性能電子部品にとって大きな欠点となる金属触媒の混入の可能性がある。

新技術の特徴

・ワンランク上のハロゲンフリーエポキシ化合物の製造
・簡便な操作性
・環境に対して低負荷加水分解されやすいエポキシ化合物にも適用可能
・加水分解のために合成が難しかったエポキシ化合物の合成
・広い基質の選択可能性

想定される用途

・電子部品(半導体/LED)用封止材
・光学用接着剤

関連情報

・外国出願特許あり
・サンプルの提供可能
・展示品あり(ハロゲンフリーエポキシ化合物(反応性希釈剤))

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

大阪大学 産学連携本部 総合企画推進部

TEL:06-6879-4206FAX:06-6879-4208
Mail:contactアットマークuic.osaka-u.ac.jp
URL:http://www.uic.osaka-u.ac.jp/
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〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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