豊橋技術科学大学 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2015年06月25日(木) 12:55~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)マルチチップ実装に適したGaN LEDとその製造方法
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 電気・電子情報工学専攻 准教授 関口 寛人
新技術の概要
サファイア基板に形成するGaN LEDにおいて、n型埋込層へのコンタクト形成のために、深さ0.5um程度まで不純物をドーピングする技術である。最上層に電極が形成でき、平坦な構造を有するLEDが実現できる。
従来技術・競合技術との比較
深い領域まで不純物をドーピングするために、イオン注入チャネリング現象を用いる。これにより、n型埋込層へのコンタクト面に施していたエッチング加工(開口プロセス)が不要となり、電極形成面が平坦にできる。
新技術の特徴
・チャネリング現象およびノックオン効果を積極的に利用した浅い層から深い層までの不純物ドーピング技術
・LED素子の電極高低差の解消
・浅い層から深い層までの半導体材料特性を制御したデバイス開発
想定される用途
・シリコン集積回路とのマルチチップ実装
・励起光源を集積化したバイオセンサチップ
・チップ内光通信のためのLED光源
関連情報
・サンプルの提供可能(基板はご提供ください。)
- 環境
2)ポリ乳酸を原料とするメタン生産と嫌気性有用微生物培養技術の開発
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 環境・生命工学専攻 テニュアトラック講師 山田 剛史
新技術の概要
本技術は、嫌気性消化プロセスにおいてメタン生成が困難であったポリ乳酸廃材の有効な処理方法を提供する。また、好気的微生物の分離・培養は当然ながら、これまで発見されていない嫌気性有用微生物を獲得するための培養システムについて紹介する。
従来技術・競合技術との比較
本技術では、高温・高圧蒸気分解処理法によって、ポリ乳酸の分子特性と高次構造を最適化することで効率的なメタン生成を可能とした。また、新たな培養装置を発明することで、これまでに利用されていない嫌気性有用微生物の獲得・有用物質の生産を容易にした。
新技術の特徴
・ポリ乳酸を土壌の有機塩素化合物の処理資材として活用する。
・ポリ乳酸を生物学的脱窒処理における外部電子供与体供給剤として活用する。
・これまで発見されていない嫌気的有用微生物の分離・培養を可能とする。
想定される用途
・ポリ乳酸やその廃材を原料とするメタンガス生産
・嫌気性有用微生物の分離・培養
・嫌気性微生物を利用した、有用物質の生産・抗菌薬効果の試験
関連情報
・展示品あり
- 通信
3)多モード共振現象を利用した基地局用帯域通過フィルタ
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 電気・電子情報工学専攻 准教授 田村 昌也
新技術の概要
疑似LC(インダクタ・キャパシタ)型共振と分布定数線路型共振を混在させる多モード共振現象に着目し、これを利用した基地局用帯域通過フィルタを提案する。提案するフィルタは低背であり、基地局機器の小型化に有効である。
従来技術・競合技術との比較
従来の基地局用帯域通過フィルタはキャビティ構造が主流であり、共振周波数がキャビティの高さ等で決まるため、理論上、その低背化は難しい。提案するフィルタは同様の構造であるが、動作原理(共振現象)を工夫して低背化を実現した。
新技術の特徴
・低背なフィルタを実現(例:44 mm @1.9 GHz)。
・低損失(高Q値:Q≒2,000 @1.9 GHz)。
・キャビティ型のため金型成型が可能(低コスト)。
想定される用途
・スモールセル用基地局
・移動式無線基地局
・ワイヤレス大電力伝送
- 機械
4)実用的トルクを発生できる1mm角のマイクロ超音波モータ
豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所 テニュアトラック助教 真下 智昭
新技術の概要
1㎜角サイズの超音波モータでステータとロータの構造を最適化することで実用的なトルク(10μNm以上)を発生し、回転ムラも低減する技術を提供する。
従来技術・競合技術との比較
同種構造のマイクロ超音波モータの先行事例に対して200倍以上のトルクが発生できる。この超音波モータは電磁波ノイズがなく、発熱が小さい利点がある。
新技術の特徴
・単位体積当たり高トルク:1mm程度のモータとして、世界トップレベルの実用的なトルクが得られる。
・高角度分解能:ステッピングモードで、1°以下の角度分解能を実現可能。
・その他:ダイレクトドライブモータで高い静粛性。無通電時に保持トルクを有する。駆動用リードの細線化可能。
想定される用途
・カテーテル先端の駆動
・内視鏡の駆動
・携帯電話など小型カメラのオートフォーカス、ズーム
関連情報
・展示品あり(超音波モータ試作品)
- アグリ・バイオ
5)多孔質材料(紙製)流体デバイスにおける迅速送液法
豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所 特任講師 三澤 宣雄
新技術の概要
本技術は、ろ紙のような多孔質材料を流路に用いた流体素子の新規送液手法に関するものである。毛細管現象のような受動的な浸潤のみに頼らず、能動的に吸引もしくは注入する簡易な冶具および方法を確立した。急速な送液が可能となることで免疫測定法、マイクロ反応等の迅速化が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
免疫測定を原理とした従来の簡易検査キットの例のように、多孔質材料をベースとした流体素子では、試料液の十分な液展開には一定の時間を要する。本技術は、吸引等の強制的な力をデバイスにかけることにより、従来法に比べ短時間での液輸送を実現する。
新技術の特徴
・マイクロリットルオーダーでの液体試料の調製ができる。
・紙製流体デバイスで迅速な液輸送ができる。
・これまでにない長い/幅広い紙製流体デバイスでの液輸送を可能とする。
想定される用途
・試薬等のマイクロ混合の迅速化
・免疫測定法(イムノアッセイ)の迅速化
・難溶性物質の効率的な溶かし込みの迅速化
- 医療・福祉
6)医療介護支援ロボットLucia(ルチア)と歩行訓練の支援技術
豊橋技術科学大学 人間・ロボット共生リサーチセンター 特任准教授 三枝 亮
新技術の概要
医師や患者と協調して歩行訓練を支援するロボットLuciaを開発した。歩行経路の教示再現、環境認識と歩行計測、映像投影による歩行指示、表情生成と情報管理の機能を搭載し、病院や介護施設での安全な支援を実現する。
従来技術・競合技術との比較
好みの場所への歩行を支援するため、固定された装置よりも訓練が楽しくなる。装置と患者が独立しているため、装着の手間や負担がなく既存の支持器具との併用もできる。患者より先行して歩行経路を案内するため安全である。
新技術の特徴
・現場において指押しで移動経路を教えることができ、学習後は自動で移動経路を再現する。
・ロボットの搭載センサと歩行者の装着センサの情報を組み合わせて、歩行を多面的に評価する。
・足形などのパターンを足元に投影して、足運びの位置やタイミングを分かりやすく指示する。
想定される用途
・医師、看護師、理学療法士と協調した歩行訓練支援
・介護施設入居者の安否確認や所在を確認する見守り支援
・認知症患者への映像音響による働きかけや表情生成による癒やし
関連情報
・実演・デモは別途相談可能
・展示品あり(資料映像やPC上での一部機能の実演)
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
豊橋技術科学大学 研究推進アドミニストレーションセンター
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