筑波大学 新技術説明会 <新技術概要【当日資料PDFあり】>
日時:2015年07月28日(火) 12:45~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)太陽光利用型新規光触媒の環境・エネルギー・健康分野への応用
筑波大学 生命環境科学研究科 生命産業科学専攻 准教授 楊 英男
新技術の概要
開発した新規光触媒材料は太陽光など可視光で酸化反応が起きることによって、幅広い光波長範囲が利用可能になり、安価で高効率の環境浄化、エネルギー生産、殺菌、抗癌作用の実用化を可能にする。
従来技術・競合技術との比較
従来の光触媒材料は紫外線利用がメインのため、紫外光の限度、使用幅の限定または紫外光線を持つ有害性の制限で、応用分野が限られている。一方、可視光利用可能な新規材料の開発によって、上記の欠点を回避でき、多分野の応用が実現可能になる。
新技術の特徴
・この光触媒は、人間活動全てにインパクトを与える技術となりうるため、最も価値のある技術の一つとされています。
・難分解物質の分解、有用物質生産。
・有害バイオフィルム形成の抑制。
想定される用途
・環境浄化(水、空気)
・エネルギー生産(水分解によって、水素、酸素を得る)
・健康(殺菌、抗癌)
関連情報
・外国出願特許あり
- 機械
2)地盤および月面掘削用小型ロボットDigBot
筑波大学 システム情報系 准教授 川村 洋平
新技術の概要
本研究は小型掘削ロボット(DigBot)の掘削機構および推進機構を開発するものである。DigBotは使用目的を地球における地盤情報の収集とし、月面探査も視野に入れながら開発を進めている。要素技術として、二重反転ドリルと名付けた掘削機構および独自の推進機構を有している。本研究では同軸上で反転した回転をする重反転ドリルを開発し、小型化と反力問題を解決した。推進機構も改良を加え、地盤抵抗との平衡点からさらに掘削が可能となっている。この両者を組合せた、小型掘削ロボットのプロトタイプが完成した。
従来技術・競合技術との比較
地盤掘削分野における競合技術は存在していない。月面探査ロボットにおいては、2軸タイプや尺取虫機構が知られているが、掘削能力は比較にならないほど低い。
新技術の特徴
・直径4㎝、長さ20㎝以下の軽量かつ小型掘削ロボット。
・砂層ならばどこまでも掘れる掘削能力。
想定される用途
・地中汚染物質の調査
・月面探査
・ハンディーな地耐力計測
関連情報
・サンプルの提供可能
・展示品あり(DigBotプロトタイプ)
- デバイス・装置
3)金・銀・銅に光る金属色反射エレクトロクロミックデバイス
筑波大学 数理物質系 物性・分子工学専攻 准教授 後藤 博正
新技術の概要
相転移連続重合法により導電性高分子ポリチオフェンをベースとした1V以下の低電位で金銀銅に発色制御できるエレクトロクロミック材料を合成した。電気化学的にドープ脱ドープを行うことにより金属色を制御する素子を作成できる。
従来技術・競合技術との比較
表示素子で現在までに真の金属色を表示できるものはなかった。本発明では低電位で金銀銅色を構造色として発色できる。
新技術の特徴
・照明機器
・金属色表示ディスプレイ
・フォトニックデバイス
想定される用途
・電子機器のケース
・ディスプレイ
・光変調素子
- 医療・福祉
4)生体・医療デバイス用超弾性ジルコニウム合金の開発
筑波大学 数理物質系 物質工学域 教授 金 熙榮
新技術の概要
生体に安全な元素のみで合成され、冷間加工性に優れたジルコニウムベースの超弾性合金を開発した。ゴムのような柔軟性と高強度を合わせ持つため、様々な医療・福祉用のデバイスへの使用に好適である。
従来技術・競合技術との比較
従来のTi-Ni基超弾性に比べ加工性が高く、Niなどアレルギーや毒性を引き起こす元素を含んでない。また、従来のチタン基の超弾性合金より3倍以上の形状回復能力・しなやかさを有している。
新技術の特徴
・生体適合性に優れ、強くて、しなやかで、柔軟。
・低磁性で、X線造影性に優れた超弾性合金。
・冷間加工性に優れた超弾性合金。
想定される用途
・ガイドワイヤ、ボーンプレートなどの医療デバイス
・歯列矯正ワイヤなどの歯科用器具
・メガネフレームなどの福祉用品
関連情報
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
5)ヒト型NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)を自然発症する新しい動物モデル
筑波大学 医学医療系 生命医科学域 講師 蕨 栄治
新技術の概要
NASHは200万人以上の罹患者がおりその対策が社会的急務となっている。p62:Nrf2二重欠損マウスは、ヒトNASHの病態と非常に類似した表現型を示すこれまでに無い優れたNASHモデル動物である。
従来技術・競合技術との比較
既存のNASHモデルの多くは薬剤誘発性や著しいヤセなど、ヒトNASH病態を反映しない点が多い。本マウスは発症機序・転帰がヒト病態と非常に類似している。
新技術の特徴
・通常食餌の投与下で病態を自然発症する。
・メタボリックシンドロームを発症の背景因子としている。
・病態末期に腫瘍の発生が見られる。
想定される用途
・NASH治療薬の動物モデル評価を通じた創製
・乳酸菌などの機能食品のNASHへの有効性評価のデータ創出
- 医療・福祉
6)正常細胞とがん細胞の共培養系を用いたがん治療法検証
筑波大学 医学医療系 講師 松井 裕史
新技術の概要
理想的な抗がん療法はがん細胞特異的に傷害を与える治療法であるが、現行のスクリーニングでは、この検証ができない。正常とがん細胞に異なる蛍光タンパク遺伝子を導入後共培養し、がん特異性の検証が視覚的に可能な系を確立した。
従来技術・競合技術との比較
既存の方法ではがん細胞培養系に与える傷害の多寡で治療効果を判定してきたが、正常細胞にも強い殺傷力を示す治療は臨床に不適応である。正常細胞とがん細胞に対する効果の差を同時に簡便に判定できる系を新規に確立した。
新技術の特徴
・がんの転移の機序解明
想定される用途
・がん細胞治療効果スクリーニング
関連情報
・サンプルの提供可能(共同研究:理研細胞細胞材料開発室)
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
筑波大学 産学連携部 産学連携企画課
TEL:029-859-1491FAX:029-859-1693Mail:tloilc.tsukuba.ac.jp
URL:http://www.sanrenhonbu.tsukuba.ac.jp/
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