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先端的低炭素化技術開発(ALCA) 新技術説明会

日時:2016年10月06日(木) 10:55~15:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構

後援:特許庁

発表内容詳細

  • 材料

1)無機ナノファイバーを利用したイオン液体の増粘・ゲル化技術

東京工業大学 物質理工学院 准教授 松本 英俊

新技術の概要

表面に官能基を有する無機ナノファイバーをイオン液体に添加すると、イオン液体中でナノファイバーの3次元ネットワークが形成されることによって、少量のナノファイバーの添加でイオン液体の増粘・ゲル化が進行する。この方法により高いイオン伝導性と耐熱性に優れたイオン液体ゲルを作製することができる。

従来技術・競合技術との比較

イオン液体のゲル化に関しては、ゲル化剤として無機微粒子や有機ナノファイバーを利用する技術があるが、これらの既存技術では高いイオン伝導性と優れた耐熱性を同時に実現するゲルの作製は困難である。

新技術の特徴

・少量のゲル化剤で増粘、ゲル化が可能。
・作製したゲルは液体並みのイオン伝導性を維持。
・作製したゲルは高温でも安定。

想定される用途

・擬固体化イオン液体(電解質用途)
・ペースト状イオン液体

関連情報

・サンプルあり
・外国出願特許あり

  • 材料

2)大容量グラフェンスーパーキャパシター

物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 先進低次元ナノ材料グループ グループリーダー 唐 捷

新技術の概要

炭素原子1個の厚さのグラフェンの巨大な比表面積、高導電性、ナノポア形成の特異性をキャパシター電極に活かすため、カーボンナノチューブをスペーサーとするグラフェン積層を創製した。高密度にグラフェンにナノポアを導入することにより、電解液の高速浸透を可能とし、電解液にイオン液体を用いる等により、キャパシター性能を飛躍的に向上させた。

従来技術・競合技術との比較

バッテリーとの比較では、グラフェンの特徴を活かしたことにより、同程度のエネルギー密度とすることに成功し、出力密度は10倍以上とすることができたので、充電時間は数分以下とすることができた。活性炭素を用いるスーパーキャパシターとの比較では、エネルギー密度及び出力密度とも3倍以上とすることができた。グラフェンの廉価なグラファイトからの量産プロセス開発により、低コストすることができた。

新技術の特徴

・グラフェンの比表面積を電極に活かすグラフェン3次元積層シート
・グラフェン電極、イオン液体電解液を組み込んだ高性能グラフェンスーパーキャパシタシステム
・エネルギー密度250Wh/kg, 出力密度200kW/kgの今までにない高性能スーパーキャパシター

想定される用途

・プラグインハイブリッド車用蓄電デバイスー
・都市型電気自動車用蓄電デバイス
・太陽電池等再生エネルギー用蓄電デバイス

関連情報

・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
・外国出願特許あり

  • エネルギー

3)超小型太陽光励起レーザ応用システム

名古屋大学 未来社会創造機構 研究員 伊藤 博

新技術の概要

超小型太陽光励起レーザと単色レーザ光を高効率で電気に変換する光電変換素子を開発した。この組み合わせによる発電システムは、太陽光をレーザ光に変換する部分と電気に変換する部分を分離することができるため、柔軟な配置やシステム構成を実現できる。

従来技術・競合技術との比較

これまでの太陽光励起レーザは大型なため、限られた用途(宇宙太陽光発電、酸化金属の還元等)にしか使用できなかった。また、近年、問題になっているソーラーパネルの劣化も、光電変換素子を分離して管理された環境下に配置できる本システム構成では生起せず、耐環境性が弱点の次世代太陽電池の使用も可能である。

新技術の特徴

・超小型
・高効率
・柔軟な配置やシステム構成が可能

想定される用途

・ビーム給電型自動車交通システム
・洋上太陽光励起レーザプラント
・宇宙太陽光発電

  • 材料

4)マテリアルインフォマティクスによる触媒開発

島根大学 大学院総合理工学研究科 教授 小俣 光司

新技術の概要

最小限の実験結果から、元素物性に基づく非線形モデルを構築し、新規な触媒を短期間に開発する技術。

従来技術・競合技術との比較

従来は、限られた知見に基づいて、莫大な人的時間的資源を用いて行われてきた触媒の開発を低コスト・短時間に行う。そのような目的には実験計画法や応答曲面法が用いられてきたが、探索できる範囲が限定されており、また、異なる元素を含む触媒には適用できないなどの欠点があったが、それらの欠点を克服した技術を開発した。

新技術の特徴

・限られた実験数から推定モデルを作成する。
・パラメータに元素物性を含めることも可能。

想定される用途

・機能性材料の開発
・あらゆる機能性材料の機能向上

  • 材料

5)炭素系触媒によるリグノセルロース分解

北海道大学 触媒科学研究所 教授 福岡 淳

新技術の概要

安価な炭素系触媒を用いて木質バイオマス中のセルロースとヘミセルロースを分解し、グルコースとキシロースを高収率で合成する。バイオマス中のリグニンは炭素系触媒とともに回収され、空気酸化処理により触媒として再利用可能である。回分式に加えて流通系反応装置の適用も可能である。

従来技術・競合技術との比較

活性炭またはバイオマスの空気酸化により触媒を調製できるので触媒の低コスト化が可能である。リグニンは反応残渣として回収され、触媒原料あるいは燃料として利用する。流通式反応によりグルコースとキシロースを高収率および高速で合成することができる。

新技術の特徴

・活性炭、バイオマスが触媒原料となる。
・リグニンを回収し触媒原料、燃料とする。
・流通式反応が可能である。

想定される用途

・バイオマスの解重合
・バイオポリマー原料の合成

関連情報

・サンプルあり

  • エネルギー

6)低温排熱で発電するための新規な蒸気サイクル

東京大学 生産技術研究所 教授 鹿園 直毅

新技術の概要

作動流体を液相単相で膨張機に導入し、気液二相膨張させる新たな蒸気サイクルを紹介する。高温熱源からの熱吸収を液単相との熱交換で行うため、排熱等の熱源が環境温度まで温度変化する場合に、最もエクセルギー損失の小さい理想的なサイクルを実現することができる。工場等からの排熱、地熱や太陽熱等からの動力回収に適した技術である。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では、排熱からのエクセルギー回収を増やすためには多段化する必要があり、システムが複雑になってしまうという課題があった。一方、本サイクルの場合は温度エントロピー線図で略三角形を描くことから、単一のシンプルなシステムでも排熱のエクセルギー回収量を最大化できる。

新技術の特徴

・低振動の新機構膨張機(圧縮機にも転用可能)の採用。
・高性能熱交換器(新規伝熱促進面)の採用。
・蒸気サイクル(冷凍サイクルにも転用可能)の予測および制御技術

想定される用途

・工場排熱を利用した発電
・エンジンや燃料電池の排熱を利用した発電
・地熱、バイオマス熱、太陽熱等の再生可能エネルギー熱を利用した発電

  • アグリ・バイオ

7)酢酸発酵によるリグノセルロースからの先進高効率エタノール生産

京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授 坂 志朗

新技術の概要

加圧熱水処理、酢酸発酵及び水素化分解を組み合わせることにより、木材など非可食性のリグノセルロース資源から高効率でバイオエタノールを生産できる新規プロセスを開発した。本プロセスは酵母を用いた従来のアルコール発酵法とは全く異なり、原理的にCO₂を排出しないため炭素利用効率が高く、エタノール収率は従来法の2倍以上になる。さらに、本プロセスは原料を選ばず、どのようなリグノセルロース資源でも高効率でエタノールに変換できる。

従来技術・競合技術との比較

従来のアルコール発酵法では単糖の約1/3の炭素がCO₂として排出されるため、エタノール収率が低く、乾物リグノセルロース1t当たり300L程度が限界である。一方、本プロセスはCO₂を排出しないため、700L/t以上のエタノール生産が可能である。

新技術の特徴

・リグノセルロースの加圧熱水処理による分解物を、酢酸発酵により高効率で酢酸に変換する。
・リグニン由来物質や種々単糖、糖の分解物からも酢酸が得られるため、様々な原料に適用できる。
・得られた酢酸水溶液を、水素化分解により直接エタノール水溶液に高効率で変換する。

想定される用途

・従来のアルコール発酵法に替わる、高収率でCO₂削減効果の高いバイオエタノール生産 。
・建築廃木材、未利用リグノセルロース資源などのバイオエタノールとしての有効利用。
・CO₂でさえもエタノールに変換できるため、新規CO₂削減技術としても適用可能。

関連情報

・外国出願特許あり

  • エネルギー

8)固体冷媒を用いた次世代磁気ヒートポンプの研究開発

神戸大学 大学院工学研究科 准教授 川南 剛

新技術の概要

ある種の磁性材料は、外部磁場の変化により発熱および吸熱現象を発現する。この現象を磁気熱量効果と呼び、この効果を利用することで、固体の磁性材料を冷媒としたヒートポンプを構築することが可能になる。磁気ヒートポンプは、磁性材料の磁気熱量効果を用いたガス冷媒を用いない低環境負荷・省エネルギー型の革新的グリーンヒートポンプ技術である。

従来技術・競合技術との比較

地球温暖効果ガスの削減のため、現在のフロン系冷媒を用いたヒートポンプ装置に代わる新しい技術開発が急務である。磁気ヒートポンプは蒸気圧縮式冷凍と違い、磁性体が冷媒の働きをするため、フロン類を使用する必要がなく、地球温暖化に寄与する諸問題を根本的に解決できる可能性がある。

新技術の特徴

・ノンフロンヒートポンプ技術
・磁場により温度変化を生じる新材料の開発
・低振動、低騒音ヒートポンプ技術

想定される用途

・小型冷凍空調装置
・電子デバイスの熱管理
・エネルギーハーベスティング

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

科学技術振興機構 環境エネルギー研究開発推進部

TEL:03-3512-1543 FAX:03-3512-3533
Mail:alcaアットマークjst.go.jp
URL:http://www.jst.go.jp/alca/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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