防災科学技術研究所 新技術説明会
日時:2017年01月17日(火) 09:55~11:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、防災科学技術研究所
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 計測
1)全層雪崩検知システム ~人の目の代わりに雪崩危険度を知らせる~
防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 阿部 修
新技術の概要
斜面積雪の移動を連続的に測定し、移動速度が、ある「しきい値」を超えたときにアラームを発するというものである。このセンサーを、毎年のように全層雪崩が起こる代表的な斜面に設置しておくことにより、周辺の斜面の発生危険度を把握することができ、道路閉鎖等の判断を下すことが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
手法については以前から知られていたが、センサー部の消費電流とコストを抑えることにより、太陽電池パネルと携帯電話の通信システムを利用して、道路管理事務所等から遠く離れた山間部の無電源地域にある雪崩斜面でも、発生危険度のモニタリングが可能となる。
新技術の特徴
・単純な測定原理
・低価格
・低消費電流
想定される用途
・多雪地帯の道路の安全管理
・斜面に近接する集落の安全管理
- 情報
2)吹雪による視程障害を面的に予測するシステム
防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 主任研究員 根本 征樹
新技術の概要
風速などの気象予測データと積雪深の予測データから降雪強度、雪面の状態を判定し、それに基づき雪面から舞い上がる吹雪の強度を計算する。さらに風速変動に伴う瞬間的な強風を考慮して、吹雪時の視程を面的に予測する。
従来技術・競合技術との比較
従来の予測手法は、吹雪が十分に発達していることを前提とし、吹雪の発達程度に依存する視程障害を的確に評価できないほか、降雪が吹雪の発達に及ぼす影響を直接的には考慮していない、変動する吹雪によって生じる瞬間的な最低視程を予測できない、などの課題があった。新技術ではこれらを考慮した吹雪予測が可能である。
新技術の特徴
・吹雪の気温依存性と様々な雪面状態に依存する吹雪の発達程度を考慮
・変動する吹雪によって生じる瞬間的な最低視程を予測
・粒子飛散のシミュレーション
想定される用途
・冬期間の道路管理や吹雪対策の効率化
・吹雪による災害防止(交通事故、道路交通のマヒ、列車の立往生等)
・強風下で粒子が飛散する領域の推定
- 情報
3)上空と地上の見えない強風を捉えるデータ同化技術
防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門 主任研究員 清水 慎吾
新技術の概要
気象レーダはドップラー効果を利用し、雨がある場所に限り風の情報を得ることができる。本技術はデータ同化という手法を用いて、気象レーダで得られる風情報を数値シミュレーションに高頻度で同化することで、非降水域も含めた任意高度での風向・風速の推定が可能である。
従来技術・競合技術との比較
気象レーダの観測範囲には限度がある。特に地表付近から数百メートルの高度を広範囲にカバーできない。データ同化は、観測データを用いて数値予測の結果を現実大気に近づける技術であり、測器が観測できない高度の予測精度も改善することから、地表付近で非降水域の風向・風速を推定できる。
新技術の特徴
・非降水域と降水域の両方での風向・風速の推定
・リアルタイムを可能とする計算効率化
・任意の高度での強風域の推定
想定される用途
・工事現場などの高所作業のサポート
・交通インフラでの運行サポート
・イベント、行楽地での安全判断
関連情報
・デモあり
- 建築・土木
4)降雨時に土砂災害が発生する過程をリアルに再現できる装置
防災科学技術研究所 先端的研究施設利活用センター準備室 室長 酒井 直樹
新技術の概要
本装置は、傾斜をもった土台に降雨装置と地下水装置を組み合わせた装置である。実際の土を盛った斜面に、降雨や地下水を同時に供給できるポンプ及び配管により、斜面への水の供給調整をシステムとして動作させることが可能である。
従来技術・競合技術との比較
土と水を混ぜて斜面を流下させる、または、土に似せた模擬材料を使って斜面を崩壊させる実験装置は存在しているが、実際の土で作られた斜面に降雨や地下水装置を設置した、小型で実用的な斜面崩壊再現システムとしての実験装置はなかった。
新技術の特徴
・降雨と地下水を同時に制御できる。
・水を循環させているため、繰り返し実験が可能。
・水を排出しないため、室内でも実験が可能。
想定される用途
・土砂災害メカニズムの再現実験
・土砂災害の理解に関する普及啓発
・新センサーの検証実験
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
防災科学技術研究所 企画部社会連携課
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