キャンパスイノベーションセンター東京 新技術説明会 (情報・機械・材料)
日時:2016年12月01日(木) 10:00~15:55
会場:キャンパスイノベーションセンター東京5階A会場(東京・田町)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、山形大学、千葉大学、東京工業大学、新潟大学、奈良先端科学技術大学院大学、和歌山大学、鳥取大学、広島大学、山口大学、高知工科大学、佐賀大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 情報
1)スマホで語彙力測定(認知症簡易検査への応用)
奈良先端科学技術大学院大学 研究推進機構 ソーシャルコンピューティング研究室 特任准教授 荒牧 英治
新技術の概要
認知症の進行とともに、会話における語彙能力が低下することが知られている。本技術では、被験者の会話をテキスト化し、それをZIP、LZH、CABなどの既存の圧縮アルゴリズムを用いてテキスト圧縮した際の圧縮率により、認知症の進行状況を測定する手法を提案する。
従来技術・競合技術との比較
従来は、会話中の一定語あたりに含まれる命題数を測定することで意味密度を求め、それを基準として認知症のスクリーニングをしていた。命題数の測定には言語学の専門家が必要であり、英語言語にしか対応できていないという課題があったが、新技術では言語に依存しない測定が可能となる。
新技術の特徴
・言語学の専門家などの人手が不要となり、スマホなどでの簡易な検査が可能。
・言語(英語、日本語など)に依存しない測定が可能。
・認知症の進行状況(継時変化)をより正確に測定できる。
想定される用途
・認知症の簡易検査(専門医の診断を受けるためのスクリーニング)
・幅広い脳障害などの測定
- 情報
2)スマートフォンのプログラム実行時の消費電力削減技術
高知工科大学 情報学群 准教授 鵜川 始陽
新技術の概要
本技術は仮想機械を使ってプログラムを実行するシステム(例:Android)を対象として、プログラムの実行により消費される電力を削減する。仮想機械が定期的に行うタスクであるガベージコレクションの実行時だけ、選択的にCPUの動作速度を下げる。これにより、プログラムの実行速度の低下を抑えつつ消費電力を削減する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術には待機時や入力待ち中の消費電力を削減するものがあるが、本技術ではプログラム実行中の消費電力を削減する。また、常にCPUの動作速度を下げる従来技術では、プログラムの実行速度が大きく低下するが、本技術ではそれを避けられる。
新技術の特徴
・プログラムの実行中に消費される電力を削減する。
・仮想機械のみの修正で実現可能であり、OSやアプリケーションプログラムを変更する必要がない。
・プログラムの実行速度の低下が小さい。
想定される用途
・Androidスマートフォンに適用してバッテリ駆動時間を延ばす。
・サーバシステムに適用してシステムの消費電力を抑える。
- 情報
3)検索コンシェルジュ ~あなたのためのカスタマイズ手法~
佐賀大学 工学系研究科 知能情報システム学専攻 知能情報システム学講座 准教授 中山 功一
新技術の概要
ユーザ一人一人の潜在的なニーズに応じて、検索結果を適切にカスタマイズしてくれる情報システムである。全世界の検索履歴というビッグデータと、ユーザ個人の単語使用履歴というプライベートデータを組み合わせ、有益だが検索時にはユーザが気づいていない情報を提供し、情報検索におけるコンシェルジュの役割を果たす。
従来技術・競合技術との比較
検索時の「サジェスト機能/もしかして機能」や、未ログイン時のオンラインショッピングの「商品推薦機能」は、ユーザ個人にはカスタマイズされない。ログイン後(またはクッキーオン時)の「商品推薦機能」は、個人情報がサーバに送信される。本発明は、個人情報を非公開のままユーザ個人の検索結果をカスタマイズする。
新技術の特徴
・ユーザが気が付いていないが、得ると嬉しい(気づきを与える)検索結果が手に入る。
・プライベートデータを秘匿したまま、ビッグデータと組み合わせてサービスを提供できる。
・個人の端末にインストールするだけで使えるシステムである。
想定される用途
・スマートフォンの検索アプリ,PC用Webブラウザの検索アドオン機能
・企画立案時などで新しい発想を支援する機能
・音声対話(会話)するロボットやユーザへの新たな話題提供機能
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 材料
4)糖とセラミックスの複合化が生み出す新しい環境応答性構造色ゲル
千葉大学 大学院工学研究科 共生応用化学専攻 准教授 上川 直文
新技術の概要
板状の層状チタン酸粒子表面を糖誘導体で修飾した環境応答性を有する無機粒子である。水素結合により粒子間に粒子質量の10倍以上の水や溶媒を保持し膨潤ゲル化する。そしてゲルは板状粒子の配列による構造色を発現し発色波長は溶媒吸収量で変化する。また、膨潤ゲルとシート状乾燥体の状態を可逆的に取れる。
従来技術・競合技術との比較
粘土鉱物など膨潤ゲル化を示す無機粒子は存在するが、本材料は形態を保持した膨潤や構造色発現などに大きな特徴がある。特に構造色は、膨潤溶媒量や溶媒分子の性質で大きく変化するため、発色の調整可能な構造色材料やセンサーへの応用ができる。また、糖誘導体による機能付与なので生体への親和性もある。
新技術の特徴
・層状チタン酸シートが水を吸収しシートの厚み方向にのみに膨潤しゲル化。
・膨潤ゲルは構造色を示し含水率により発色を制御可能。
・膨潤ゲルは大量の水で解膠し無色透明なゾルとなり、シート状乾燥体・ゲル・ゲルに可逆的に変化。
想定される用途
・チタン酸化物のUVカット能と構造色および吸水性耐水性を利用した化粧品材料
・耐久性および耐熱性を有する吸水およびグリコール系溶媒吸収材料
・構造色で可視化するセンサー材料(環境有害物や抗体検査など)
関連情報
・サンプルあり
- 情報
5)高速かつ非接触、非破壊、非侵襲の粘弾性測定技術
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 光メディアインタフェース研究室 博士研究員 青砥 隆仁
新技術の概要
計測対象物体に超音波などの弾性波を照射し、計測対象物体を加圧または加振することで、計測物体表面形状を微小変位させるとともに、計測対象物体に光を照射し、物体表面の法線方向の変化により生じた陰影変化から、物体の粘弾性を、非接触、非破壊、非侵襲で測定する。
従来技術・競合技術との比較
・プローブを接触させて計測する方法は、破壊・侵襲・塑性変形させる可能性が高い。
・レーザ変位計を用いて計測する方法は、光学的に変位を計測することが難しい物体には使用できない。また、物体固有の固有振動数を用いて物体を共振させる必要があり、固有振動数の探索に時間がかかる。
新技術の特徴
・非接触、非破壊、非侵襲での測定が可能。
・法線方向の変化が推定可能な程度の微小変位で良いため、加振させるエネルギーが少ない。
・共振させる必要が無いため、測定時間が短い。
想定される用途
・医療分野における触診の定量化や、内視鏡手術などの直接的な触診を行わない状況での触診。
・農業や漁業分野における生鮮物の品質調査、果物の賞味に適した時期の推定。
- 材料
6)市販の光触媒を凌駕する活性を示す二酸化チタンの安価な合成法
山形大学 大学院理工学研究科 准教授 川井 貴裕
新技術の概要
チタンアルコキシドに安価な無機電解質水溶液を添加後焼成して二酸化チタンを合成した。得られた二酸化チタンの光触媒活性をESR法により測定した結果、市販二酸化チタンの光触媒活性を最大で約2倍上回ることがわかった。さらに、メチレンブルーの退色試験においても充分な性能を有していることが確かめられた。
従来技術・競合技術との比較
二酸化チタン光触媒の工業的製造法(塩素法、硫酸法、ゾル-ゲル法等)による二酸化チタンの活性は、最も高性能とされる市販品の二酸化チタンの活性を下回るものがほとんどであるが、本技術を用いることにより、当該市販品を凌駕する活性を示す二酸化チタンを生成することが可能となった。
新技術の特徴
・高い活性を示す二酸化チタンを安価に生成することができる。
・従来法では副次的に発生する有害な酸を生成することなく合成することができる。
・紛体以外の形状でも生成することができる。
想定される用途
・外壁のコーティング(防汚、抗菌、抗カビ等)
・室内環境浄化(空気清浄)
関連情報
・サンプルあり
- 機械
7)惣菜をツンモリ盛るロボットハンド
東京工業大学 工学院 機械系 准教授 遠藤 玄
新技術の概要
弁当の盛り付け作業に適した2自由度多指ロボットハンドを開発した。特に盛り付け時の美観に配慮し、円錐状に盛る(日本料理用語でツンモリ盛る)ことが出来るような工夫がなされている。1つのアクチュエータで食材を外側から内側に寄せるように多指で包み込むように掴み、それをもう一方のアクチュエータで下方に直動で押し出す機構である。
従来技術・競合技術との比較
従来の食品ハンドリングでは2指開閉グリッパ、真空バキューム、ベルヌーイチャックなどの把持機構がある。しかし麺類・切り干し大根、ひじきの煮つけ、キャベツの千切りなど繊維状の食品を把持することは困難である。特に取り置き後の美観形状まで考慮されたものは本提案が初めてである。
新技術の特徴
・繊維状食品を把持できる。
・2自由度
・美しく盛り付けることが出来る。
想定される用途
・コンビニ、スーパーなどの弁当工場
・病院・介護施設などの食事配膳
関連情報
・展示品あり
- 材料
8)生物関連物質付着を抑制する星型ポリマーコート剤
奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 生体適合性物質科学研究室 准教授 安藤 剛
新技術の概要
新規に開発した星型ポリマーは、単純に基材に塗布するだけでポリマーブラシ様構造を構築でき、血小板、細胞、バクテリア、タンパク質などの不必要な生物関連物質の付着を抑制する機能を与える。PET、PP等の樹脂表面に塗布可能であり、血液に接触する医療デバイス、抗菌・衛生分野(水処理、流しなど)、船底塗料、再生医療用培養基材など幅広い応用が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
・星型ポリマーを塗布するだけで容易に生物関連物質の付着抑制効果が得られる。
・未コートPETフィルムと比較して、血小板で約90%の粘着抑制、バクテリアで約95%の接着抑制を可能とする。
・1gの星型ポリマーで4m2以上の大表面がコートできる。
新技術の特徴
・星型ポリマーコートによるポリマーブラシ様構造の構築
・種々の潜在的用途(人工臓器、バイオセンサー、疾病診断など)
・各種基材表面コート剤への適用の可能性(PP、PE、PTFE、シリコンゴム、無機材料表面など)
想定される用途
・人工血管、カテーテルなどの医療用デバイス
・低侵襲細胞培養基材
・疾病診断
関連情報
・サンプルあり
- 材料
9)非プロトン性有機ゲル化剤の開発と応用
山口大学 大学院創成科学研究科 准教授 岡本 浩明
新技術の概要
多様な有機液体を5%未満の添加量でゲル化することができる添加剤です。形成した有機ゲルは、熱可逆的にゾル-ゲル転移する物理ゲルです。ゾル-ゲル転移温度は、有機ゲル化剤の添加量により制御できます。
従来技術・競合技術との比較
・水素結合性官能基が存在しないことに基づく優れた化学的安定性
・多様な有機液体に対して微量の添加でゲル化可能
・微量の添加量による有機液体の優れた物性の保持したゲルの構築
・添加量に応じて、制御可能なゾル−ゲル転移温度
新技術の特徴
・機能性有機液体(液晶・イオン液体)の固定化
・有機電解液(各種電池材料など)
・有機系増粘剤
想定される用途
・電池材料(リチウムイオン電池、燃料電池など)
・二酸化炭素吸収材料(イオン液体ゲルなど)
・インク・化粧品・洗浄剤・接着剤
関連情報
・サンプルあり
- 情報
10)IoTセキュリティに適用可能なワンタイムパスワード認証方式
高知工科大学 情報学群 教授 清水 明宏
新技術の概要
簡易な処理で、安全に高速な資格認証を実現するワンタイムパスワード認証アルゴリズム。適当な暗号方式と組み合わせれば、適用レイヤにかかわらず、毎回変わる認証情報をシーズに鍵を設定して、パケット、セッション等、送信情報単位ごとに異なる鍵での暗号通信を実現できる。
従来技術・競合技術との比較
従来のワンタイムパスワード認証方式と比較して、格段に簡易で高速な処理を実現しており、上位から下位のあらゆるレイヤへの適用が可能である。特に、暗号方式と組み合わせて、センサネットワーク等に代表されるIoTのセキュアな通信を実現するプロトコルへの適用に最適である。
新技術の特徴
・高速、軽量な処理
・高い安全性
・幅広い適用域
想定される用途
・上位から下位レイヤのあらゆるセキュリティ通信プロトコルへの実装
・クラウド、ASPシステム等のログイン手順
・AV機器、デジタル家電、LSIボード、車載機器等の認証、鍵の開閉システム
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
山形大学 国際事業化研究センター知的財産部門
TEL:0238-26-3024 FAX:0238-26-3633Mail:yu-chizaijm.kj.yamagata-u.ac.jp
URL:http://www.big-i.yamagata-u.ac.jp/
千葉大学 学術研究推進機構 産業連携研究推進ステーション
TEL:043-290-3565 FAX:043-290-3519Mail:ccrcufaculty.chiba-u.jp
URL:http://www.ccr.chiba-u.jp/
東京工業大学 産学連携推進本部
TEL:03-5734-2445 FAX:03-5734-2482Mail:sangakusangaku.titech.ac.jp
URL:http://www.sangaku.titech.ac.jp/
奈良先端科学技術大学院大学 研究協力課 産官学推進係
TEL:0743-72-5064 FAX:0743-72-5015Mail:k-sangakuad.naist.jp
URL:http://ipw.naist.jp/sankan/index.html
山口大学 大学研究推進機構
TEL:0936-85-9961 FAX:0836-85-9962Mail:yuicyamaguchi-u.ac.jp
URL:http://kenkyu.yamaguchi-u.ac.jp/sangaku/
高知工科大学 研究連携部 社会連携課
TEL:0887-57-2025 FAX:0887-57-2026Mail:orgml.kochi-tech.ac.jp
佐賀大学 産学・地域連携機構 知財戦略・技術移転部門(TLO)
TEL:0952-28-8151 FAX:0952-28-8186Mail:tlomail.admin.saga-u.ac.jp
URL:http://www.ocir.saga-u.ac.jp/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp